低位株投資における分析対象

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<低位株投資における分析対象>
世の中には、巨大企業がいくつもあります。
これらの企業は産業の根幹を担っており、もし破綻した場合には、一企業だけの問題にとどまりません。
連鎖倒産のリスクや、さらには一国の経済危機など様々な問題を引き起こす可能性があります。
ですから、破綻すると影響が甚大な大企業は、かなり内情が悪かったとしても、増資引き受けや融資面などで救われるケースが多いのです。
つまり、”大きすぎて潰せない”です。
こうした企業は特に、金融システムの根幹を担う大銀行や、数多くの下請け企業を抱える製造業に多いように感じられます。
減資などで株主責任を問われるかもしれませんが、並みの企業に比べれば、”大きすぎて潰せない”企業は救われるケースも多く、倒産リスクを抑えることができるでしょう。
 市場主義の本場といわれる米国でも、リーマンショックにおいていくつかの金融機関はその影響力の大きさから、政府による公的資金の注入を受け、ほかの金融機関から支援を受けました。

また、企業には、系列という縦の関係や、企業提携といった横の関係があります。
系列の方がつながりは強い場合が多いようです。
歴史的経緯から、旧財閥系を典型として、たとえ資本関係は弱くても協力し合う企業もあります。
もし企業が経営危機に陥ったとしても、こうしたつながりを活用して、融資や増資を申し込み、事業の結びつきを強くするなど対策が取れます。
まったく独立した企業よりは、こうした支援が期待できる銘柄の方がよいです。

一般的には、有利子負債は大きすぎると問題を引き起こします。
利払いの負担増、財務体質の悪化、借り入れ余力の低下などです。
巨額な有利子負債が存在する状況が継続するといずれ銀行など貸し手は融資を引き上げ、資金繰りは悪化し、企業は破綻に至ることになります。
しかし、余りにも有利子負債が大きすぎる場合は、もし破綻させると貸し手側に巨額の損失を発生させることになり、貸し手側の銀行を危機に陥らせ、さらには一国の経済危機をも招きかねません。
こうした企業は、破綻させるべきなのに、破綻の影響が余りにも大きすぎるため、存在し続ける可能性が高くなります。
破綻させると余りにも影響が甚大な巨大企業は、銀行だけでなく国など公的機関から融資が受けやすく、存続がより容易になります。

公益性の観点から低位株を分析することも必要です。
外食産業と公益事業でそれぞれ倒産寸前の同程度規模の企業があった場合、どちらが支援を得られる可能性が高いでしょうか。もちろん、公益事業のほうでしょう。なぜかというと、外食産業の企業は無くなってもそれほど生活に大きな影響は受けませんが、公益事業が消滅すると多くの人が困るからです。
公共性という面では、社員の多さも見逃せないところです。同じような状況の社員100人の企業と社員1万人の企業のどちらが救われやすいかというと社員1万人の企業でしょう。
雇用の面から、社員1万人の企業を破綻させるのはより影響が大きいからです。

ところで株価には、リターン・リバーサル効果という経験則(アノマリー)があります。
リターン・リバーサルとは、ひどく下落した株ほどよく上昇するという現象です。
アノマリーというのは科学的な説明がつきませんが、経験的に有効な法則です。
例えば、1000円が500円になった銘柄と、1000円が100円になってしまった銘柄のどちらが上昇しやすいかというと、1000円が100円になってしまった銘柄のほうです。
 私の場合には、リターン・リバーサル効果を生かすため、前回高値からの下落率を参考に用います。
理想としては、80%の下落率が欲しいところです。
100のものが80%下落するということで、前回高値の20%まで落ち込めば、元の100に戻ったとき、500%(5倍)になります。
低位株のリスクを考えれば、これくらいのリターンは欲しいものです。
チャート分析はあまり当てにはなりませんが、景気循環株の場合、業績が悪いときではいくらくらいが底値か、業績が良いときはいくらくらいが上値かの検討がつきます。
景気循環の関係からある程度長い期間で動きを見るためと、情報入手の容易さから、10年チャートがよいです。
業績がさほど悪くなく過去10年間の底値に近ければより魅力的な銘柄ですし、株価が過去10年間上値に近ければ売却も検討するべきでしょう。
しかし、過去10年間の底値を割り込み、また、上値を超えることもよくあるため参考程度にするべきでしょう。

これまで、いくつか低位株投資に重要なポイントを挙げてきましたが、低位株投資を行う際に調べておきたい一番のポイントは、企業の格です。
もっとも大きな要素は、どのような企業グループに属しているかということです。
日本では、旧財閥系企業がもっとも格が高いと思われます。
財閥とは、中心となる企業が、他の企業を子会社として支配して多種多様な産業に進出している状態を言います。
三菱や三井、住友などが知られています。日本では、戦後に財閥解体が行われ財閥は消滅したことになっていますが、ある程度対等な横の関係は残っています。
こうした旧財閥系企業は、旧財閥系であることをブランドと考えており、グループ内の企業を互いに助け合う不文律があり、ある企業が危機に陥ったら、出資や提携などを通じてその企業を救う傾向があります。
ですから、旧財閥系の低位株は、独立系の企業に比べれば、低リスクであると言えます。
同じ経営危機にある企業だとしても、旧財閥系企業(特に三菱、住友、三井)と新興企業ではまったく意味合いが違います。
新興企業の場合は、他企業からの支援はあまり期待できません。
一方、旧財閥系企業の中心には銀行や証券など金融会社があり、ある旧財閥系企業が経営危機に陥ったとしてもかなりの金融支援が期待できます。
同一の旧財閥系に属する他企業からの支援も期待できます。

また、メインバンクの存在も大切です。
メインバンクとは、ある企業への融資を中心になって行う銀行のことです。
メインバンクが融資を止めれば、他の金融機関が資金繰りを助けない限り、企業の資金繰りが行き詰る可能性が高くなります。特に低位株のような経営状態があまり好ましくない企業の場合には、資金繰りに困ることは、破綻を意味するためメインバンクの動きには注意が必要です。
 メインバンクからは、企業経営を助けるためと企業に影響力をもつために銀行から企業に役員が派遣されることもあります。
メインバンク出身の役員が辞任したときは、メインバンクがある企業への融資から手を引こうとしている予兆の場合があるので注意が必要です。
 メインバンク自体の経営状態にも注意が必要です。メインバンクの経営状態が良くないなら、貸付金の回収を急ぎ新規融資を断らなければならないため、企業の資金繰りにも大きな影響を与えるからです。

 低位株では、巨額の赤字を垂れ流し続けている企業も少なくありません。
赤字を垂れ流し続ければ、一般的にはキャッシュは減り続けいずれ資金繰りに行き詰り、企業は破綻します。
心がけの良い企業なら不況時に備えて、普段からキャッシュを貯えるため、そのキャッシュでしばらくしのぐことができます。
そうした財務に余力のある企業の場合、他社や銀行の支援を受けずとも、次の好況が来るまで、耐えることができる可能性は高いでしょう。
財務力を見るためには、自己資本比率、現預金残高や利益剰余金額などが参考になります。
逆に、他社からの支援が得られそうも無く、財務力も弱い企業の場合には、投資は控えるべきでしょう。
低位株投資で、最も大きなリスクは倒産リスクです。
低位株においては、倒産リスクは避けられませんが、低減することはできます。
そのためには、銘柄をなるべく分散することです。
単に低位株の銘柄数を増やすだけではなく、投資銘柄の業種も分散させるべきです。
例えば、鉄鋼関連だけに投資するのではなく機械関連や精密機器関連にも投資してみるという具合です。
こうすれば、特定の産業が長期不況に陥ったときでも、他の業種の株価が回復することで、最悪の状況は避けやすくなります。

重厚長大産業は、鉄鋼や金属加工、造船などの産業をいい、巨額の設備投資と多くの従業員が必要です。
また、多くの取引先が存在しています。
ですから、倒産すると多方面に甚大な影響を与えてしまいます。
売上が同等の、巨大高炉を保有する鉄鋼メーカーと、巨大外食チェーンがあった場合、どちらが救われる可能性が大きいかというと、恐らく鉄鋼メーカーでしょう。
外食チェーンはいくらでも代わりがありますが、重厚長大産業にはそう簡単に代わりは見つかりません。
”鉄は国家である”と言われたように、製造業、特に重厚長大産業は国の基幹産業なのです。
他産業に比べると、雇用の面や下請け業者に大きな影響を与えることからこうした重厚長大産業は簡単に潰すわけには行かないのです。
ただし、例外はあって、大企業に比べて影響が少ない、中小の重厚長大産業は破綻する可能性は低くはないでしょう。

低位株投資において、社歴の長さは考慮するべきことだと思われます。
社歴が長ければ、潜在的な支援相手である他社との関係が広く深くなります。
社歴が長くなると名門企業と呼ばれるようになり、名門企業を銀行が破綻させると破綻させた銀行側のイメージダウンにもつながりかねないため、銀行側は懸命に支援する傾向が強くなるでしょう。
また、工場の土地や有価証券など、多額の含み資産のあるものが存在する可能性が高くなります。
ただし、社歴が長くなると企業の組織自体が沈滞傾向に陥り、改革能力が低下する傾向がある点には注意が必要です。

まとめ
・低位株投資の際には、企業の“格”を見る。

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