業績好調な企業の傾向

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創業者一族が支配する企業の魅力と弱点

国営から始まった企業以外では、創業者がいます。例えば、ソフトバンクの孫氏、ニトリの似鳥氏、ファーストリテイリングの柳井氏などが著名です。創業者一族は、株式の多くを所有します。一方、NTTは財務大臣が首位株主で、創業者一族と呼ばれるような人たちは存在しません。
大株主である創業者一族は、企業のカバナンスが正常であれば、株を多く保有する創業者一族と一般株主の利害関係が一致します。すなわち、より多くの株式リターンを生み出すということです。先ほど例に挙げたソフトバンク、ニトリ、ファーストリテイリングの3社の凄まじいほどのリターンは周知のとおりです。弱点としては、、企業のガバナンスがうまくいっていない場合には、大株主である創業者一族が一般株主の利益を損じてしまう場合があります。例えば、数の優位を頼みにした、低株価でのMBO(経営陣による株式公開買い付け)などです。
一方、NTTなど創業者一族が存在しない、または、創業者の存在が小さくなってしまった企業では、雇われ経営陣が大きな権力を握ります。雇われ経営陣にとっては、自己の報酬を最大化する事が目的になりがちで、株主の利益が損なわれる可能性もあります(エージェンシー問題)。
企業に投資するうえで、大切なのは、経営陣が本当に株主のことを考えているかです。創業者一族がどのようなスタンスで投資家に臨んでいるのかについて詳しく知る必要があります。例えば、自社株の買戻しや配当で株主に報いる傾向があるのかを知る必要があります。単に、企業の安泰のために利益を内部留保するだけの経営者もいるので注意が必要です。

自社株買いを頻繁に行う企業

企業が自社の株を市場から購入することを自社株買いといいます。
自社株買いにより、市場に出回る株式数が減ると、1株あたりの利益が増えるため、増配と並んで株主還元の一つと考えられるようになります。
また、自社株買いをすることで株主資本が減少するため、株主資本利益率に向上にもつながります。
 また、自社株買いは、自社の株価が割安であるということを示す「アナウンスメント効果」があり、市場は好材料と受け止めます。
 自社株買いは、企業にとっては余剰資金の活用と考えられていますが、それだけでなく、金融機関が持ち合い株を売却する際に株価への影響を少なくしたり、敵対的買収をかけらられたときの対抗策として用いることが出来ます。

フリーキャッシュフローが増加傾向にある

多くの企業は、現状維持だけでも多くの資金が必要です。
鉄鋼や電機など重厚長大型産業に顕著な傾向です。
重厚長大産業では、業界シェアを維持するためだけでも、多額の研究開発費や設備投資が必要とされます。
しかし、莫大な投資を行っても、シェア増大や収益性向上に結びつけることが難しいのが現状です。
例えば、他社が100億円の投資を行ったとすると、200億円投資しないと競争には勝てないのが重厚長大産業の特徴です。
 一方、現状維持や成長にあまり資金が必要がない企業群が存在します。
特に、ネット系企業やサービス業などに多く見られます。
これらの企業は、現状維持や成長のために多額のキャッシュを必要としないので、キャッシュを貯まりやすい傾向があります。
 現状維持や成長に多くのキャッシュが必要かどうか見分けるには、フリーキャッシュフローが参考になります。
フリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた数値がおおよその数値になります。
フリーキャッシュフローが継続的にプラスである企業は、現状維持や成長に要するキャッシュが少なく済み、キャッシュが溜まりやすい傾向があります。
フリーキャッシュフローを見る上での注意点は、キャッシュフローは比較的変動しやすいので数年単位でキャッシュフローを見ることです。

ニッチ産業で強い

ニッチ産業は、市場規模が小さいため小回りが利かない大企業の参入が難しく、小規模企業が高シェアを得ている場合が少なくありません。
市場規模が小さいため、先行企業が高シェアを取っていると他社の参入も難しくなり独占や寡占状態が発生しやすくなります。
独占状態や寡占状態にあれば、多数の競争相手がいる状態よりも価格競争は発生しにくくなり、高収益を実現することが可能になります。
よって、ニッチ産業の高シェア企業は投資対象として魅力的な可能性があります。
 ただし、ニッチ産業は、業界が順調に発展していってもそれほど業界が大規模にならない可能性があります。
業界の成長が止まることは、ニッチ産業でしか事業を展開していない企業の場合、事業自体が頭打ちになることを意味します。
また、業界が順調に発展していき、大規模な産業になったときには、大企業の参入を招く可能性があります。
ニッチ産業は小回りの利かない大企業が参入するためにはあまりにも市場規模が小さいため、大企業の参入が難しかったものが、市場規模の拡大により大企業が参入しても事業として成り立つようになります。
大企業が参入してくれば、経営資源で劣る小規模企業には不利です。やがて市場シェアを取られて、小規模企業の収益性は大きく低下していくでしょう。

ストック型ビジネスとフロー型ビジネス

ビジネスには、大きく分けてストック型ビジネスとフロー型ビジネスがあります。
ストック型ビジネスの代表例としては、電力事業やガス事業が挙げられます。
ほぼ毎月決まった収入が入ってきて、契約者が増えれば収益も増えていく事業のことです。
ある程度、収益の見通しもつき、また事業の安定性も高いので、手堅い投資である傾向があります。
一方、フロー型ビジネスは、売上の増減が激しく、取引が一度きりというビジネスです。
フロー型ビジネスは、安定性はないですが、爆発的な売り上げ増が期待できます。
しかし、持続力は無いことが多いので売り時を間違えると大変ですが、業績が絶好調のときに売り抜ければハイリターンが期待できます。

連続増配企業

世の中には、十年単位で連続して増配を行っている会社があります。
こうした企業の業績が良いのは当然ですが、不必要なキャッシュは株主にどんどん還元していこうという企業が存在します。
一方で、成長を続けていても他に有用な使い道もないのに、増配や自社株買いなど株主還元をせず、内部留保を蓄えていくだけの企業も存在します。
どちらが株主を重視しているかは明らかです。
こうした企業が評価される前に、購入することで配当額が年々増えていくという楽しみがありますし、連続増配企業は市場から評価されやすいので株価上昇も期待できます。
一方で、連続増配記録が途絶えた場合は、成長性や配当に対する失望から売られることも想定されますが、こうした企業は優良企業である可能性が高いので、株価が下がったところを狙うという作戦もありそうです。

実績のある投資家やファンドの株式保有

株式に投資するには、しっかりと調査することが必要です。
もちろん、個人の観点で銘柄調査をすることも重要ですが、他人の意見を参考にすることも大切です。
例えば、実績のある投資家やファンドが保有している銘柄を、個人で調査してみるというのも一つの手です。
 有能な投資家やファンドが保有している銘柄は、個人では不可能な程、莫大な手間と費用をかけてかなりきっちりと調査されていると考えられます。
上場企業では主要株主は公開されますから、株主名や保有割合は簡単に分かります。主要株主情報を調べれば、簡単に有能な投資家やファンドが保有している銘柄が分かります。
あてずっぽうに銘柄を探すよりも効率がよいでしょう。
見つけた銘柄をじっくりと調査すれば、よい銘柄が見つかる可能性はあるでしょう。

経営陣の持ち株割合の変化

経営陣が持ち株を売る場合、なんらかの理由があるものです。
単純に個人の生活資金を得るためだけかもしれませんが、もっと深い理由があるかもしれません。
もしかしたら、経営陣が株価が割高だと考えているのかもしれませんし、企業の業績が低迷傾向にあり今後株価が低迷すると考えているのかもしれません。
逆に経営陣が持ち株を買い増ししたなら、株価が割安であると考えていたり、企業業績が好調になりつつあることを示しているのかもしれません。
 1人だけでなく、複数の経営陣が持ち株を増減させた場合には、何かがある可能性はより高くなるでしょう。

成長余地

企業や業界には成長余地というものがあります。
例えば、マーケット人口1億人の国で国民が100万台の車をもっているとします。
残りの9900万人に売れる余地があるので、これはまだまだ成長余地があるといえます。そして、マーケット人口1億人の国で国民が1億台の車を持つようになったとしたら、1人が2台、3台と車を持たなければ成長余地はありません。
しかし、輸出していくという方法もあるので、まだまだ成長余地はあります。
しかし、世界全体の人が十分な株の車を持つようになったら、もう買い替え需要しかなくなってしまいます。
国民が100万台しか車を持っていない状況で自動車会社に投資するのと、世界全体の人が十分な車を持っている状況で自動車会社に投資するのでは、どちらが成長余地が高いかは明白です。
成長余地が高いということは、収益を高めるチャンスがあるということです。
企業に投資するときには、企業自体や業界にあとどれほど成長余地があるのか把握しておいた方がよいでしょう。

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