バブル世代の上司とZ世代の後輩に挟まれた氷河期世代の職場サバイバル術

この記事は約7分で読めます。

バブル世代の上司とZ世代の後輩に挟まれた氷河期世代の職場サバイバル術

上からと下からの挟撃

職場には、三つの世代がいる。上にバブル世代(1960年代生まれ、50代後半〜60代前半)。真ん中に氷河期世代(1970年代〜1980年代前半生まれ、40代〜50代前半)。下にZ世代(1990年代後半〜2000年代生まれ、20代)。

真ん中の氷河期世代は、上と下の両方から「挟まれる」ポジションにいる。上のバブル世代からは「俺たちの頃は」と過去の武勇伝を聞かされ、下のZ世代からは「それ、効率悪くないですか?」と指摘される。上からは精神論を押し付けられ、下からは合理性を突きつけられる。

この挟撃の中で、氷河期世代はどう振る舞えばいいのか。上にも下にも合わせながら、自分のポジションを守る。この「職場サバイバル術」を、実体験をもとに書いてみたい。

バブル世代の上司の特徴

バブル世代の上司には、共通する特徴がある。すべてのバブル世代がこうだとは言わないが、傾向として。

特徴1は「成功体験が基準」であること。バブル世代は好景気の中で就職し、キャリアを積んできた。就職活動は売り手市場。入社すれば終身雇用。年功序列で昇給。この「成功体験」が基準になっているため、「努力すれば報われる」と本気で信じている。努力しても報われなかった氷河期世代の経験は、理解の範囲外だ。

特徴2は「精神論が好き」なこと。「気合で乗り切れ」「根性が足りない」「俺が若い頃は徹夜が当たり前だった」。これらの精神論は、バブル世代の職場文化の残滓だ。長時間労働が美徳とされた時代の価値観。今の時代にはそぐわないが、上司がこの価値観を持っている以上、真正面から否定するのは得策ではない。

特徴3は「対面コミュニケーションを重視する」こと。メールよりも電話。チャットよりも対面。「顔を見て話せ」が口癖。デジタルツールへの抵抗感がある場合がある。

特徴4は「自分の経験を語りたがる」こと。飲み会の席で武勇伝が始まる。「俺が新人の頃は」「あの案件を取ったときは」。聞く側にとっては退屈だが、語る側は楽しい。この非対称性に、氷河期世代は付き合わされる。

Z世代の後輩の特徴

Z世代の後輩にも、共通する特徴がある。

特徴1は「効率を重視する」こと。無駄な会議、無駄な資料作成、無駄な残業。これらを「無駄」と正面から指摘する。「それ、メールで済みませんか?」「この資料、誰が読むんですか?」。正論だが、言い方がストレートすぎて、バブル世代の上司の神経を逆なでする。

特徴2は「ワークライフバランスを重視する」こと。定時退社が当たり前。有給休暇は権利として堂々と取る。「仕事より私生活が大事」と公言することに抵抗がない。氷河期世代が「有給を取る勇気がない」と悩んでいるのとは、対照的だ。

特徴3は「デジタルネイティブ」であること。スマートフォン、SNS、クラウドサービス、AIツール。これらを息をするように使いこなす。デジタルスキルに関しては、氷河期世代より圧倒的に上だ。

特徴4は「転職への抵抗感が低い」こと。「ここが合わなければ転職すればいい」という感覚。一つの会社に縛られない。この身軽さは、氷河期世代が「正社員にしがみつく」のとは対照的だ。

挟まれた氷河期世代の苦悩

バブル世代の上司に合わせれば、Z世代の後輩からは「古い」と思われる。Z世代の後輩に合わせれば、バブル世代の上司からは「生意気だ」と思われる。どちらに合わせても、もう片方からの評価が下がる。

具体的な場面で考えてみる。会議の進め方。バブル世代の上司は「全員集合して対面で議論」を好む。Z世代の後輩は「チャットで共有してオンラインで短時間」を好む。氷河期世代は、どちらの要望にも対応しなければならない。上司が対面を指示すれば対面に従い、後輩がチャットで情報を流せばチャットにも対応する。二つのコミュニケーションスタイルを同時に使い分ける。これは「器用さ」とも言えるが、「二重の負担」でもある。

残業の考え方。バブル世代の上司は「残業してでも終わらせろ」。Z世代の後輩は「定時で帰ります、明日やります」。氷河期世代は、上司の目があれば残業し、後輩が帰った後に後輩の分も処理する。自分の残業が増える。増えた残業は、誰にも評価されない。上司は「当たり前」と思い、後輩は知りもしない。

スキルの格差。バブル世代の上司は、Excelの基本操作が怪しいことがある。氷河期世代がサポートする。Z世代の後輩は、最新のツール(Notion、Slack、Canvaなど)を使いこなすが、電話応対やビジネスメールのマナーが甘いことがある。氷河期世代が教える。上にも下にも「教え役」を担う。教える手間は、業務時間を圧迫する。

サバイバル術1:「翻訳者」になる

挟まれたポジションを逆手に取る方法がある。「翻訳者」になることだ。

バブル世代の上司の言葉を、Z世代の後輩に翻訳する。「上司が言っている『気合を入れろ』は、『もう少し集中して取り組んでほしい』という意味です」。Z世代の後輩の意見を、バブル世代の上司に翻訳する。「後輩が提案している効率化は、結果的にチーム全体の生産性を上げるので検討の価値があります」。

翻訳者は、両方の言語を理解していなければならない。バブル世代の価値観(根性、忠誠、対面重視)とZ世代の価値観(効率、自律、デジタル重視)。両方を理解し、橋渡しする。この「橋渡し役」は、氷河期世代にしかできない。上の世代とも下の世代とも、一定の距離感で接してきた経験が、翻訳の精度を上げる。

翻訳者として信頼を得れば、上からも下からも「あの人に相談すれば話がまとまる」と評価される。この評価は、直接的な成果(売上や業績)ではないが、職場における「存在価値」になる。存在価値がある人間は、リストラの対象になりにくい(理論上は)。

サバイバル術2:Z世代のスキルを「盗む」

Z世代の後輩は、デジタルスキルに関しては先生だ。プライドを捨てて、教えてもらう。

「このツール、どうやって使うの?」「その効率的なやり方、教えてくれない?」。年下の後輩に教えを乞うのは、気が引けるかもしれない。だが技術は年齢に関係なく、知っている人から学ぶのが最短ルートだ。

Z世代に教えてもらうことで、二つのメリットがある。一つは自分のスキルが上がること。もう一つは後輩との関係が良くなること。「教えてくれてありがとう」と感謝を伝えれば、後輩は「この人は自分のスキルを認めてくれている」と感じる。認められた後輩は、こちらにも協力的になる。

逆に、氷河期世代がZ世代に教えられることもある。ビジネスマナー、電話応対、クレーム対応、社内政治の立ち回り。これらは経験から来るスキルであり、若い世代には不足しがちだ。「教え合う関係」を構築できれば、世代間の壁は低くなる。

サバイバル術3:バブル世代の上司を「味方」にする

バブル世代の上司は、敵にすると厄介だが、味方にすると頼りになる。味方にするためのコツがいくつかある。

コツ1は「武勇伝を聞く」こと。退屈でも、相槌を打ちながら聞く。「すごいですね」「勉強になります」。上司は「自分を認めてくれている」と感じ、好意を持つ。好意を持たれれば、仕事の面でも配慮してもらえることがある。

コツ2は「対面のコミュニケーションを大切にする」こと。メールで済む用件でも、たまには上司のデスクに行って直接報告する。「わざわざ来てくれた」という行為自体が、上司にとっては嬉しい。対面重視のバブル世代にとって、「顔を見せる」ことは信頼のサインだ。

コツ3は「上司の得意分野を頼る」こと。バブル世代の上司は、人脈や交渉力に優れていることが多い。「この件、○○さんのお力を借りたいのですが」と頼ると、嬉しそうに動いてくれることがある。頼られることで、上司は自分の存在価値を確認できる。

サバイバル術4:「自分のペース」を守る

上にも下にも合わせていると、自分のペースが崩壊する。崩壊すると、ストレスが蓄積し、メンタルに影響する。自分のペースを守ることが、長期的なサバイバルの鍵だ。

具体的には、「できることとできないことを明確にする」こと。上司から無理な残業を求められたら、「明日の朝一で対応します」と代替案を出す。後輩から「教えてください」と言われたら、「今は手が離せないので、○時以降に」と時間を区切る。断るのではなく、条件を提示する。条件を提示すれば、相手も納得しやすい。

自分のペースを守ることは、わがままではない。自分のペースが崩壊すれば、仕事の質が下がり、結果的にチーム全体に迷惑がかかる。自分を守ることが、チームを守ることにつながる。

挟まれたポジションの「強み」

バブル世代とZ世代に挟まれたポジションは、辛いことが多い。だが強みもある。

強み1は「両方の価値観を理解している」こと。精神論の価値も知っているし、効率化の価値も知っている。両方を知っているから、状況に応じて使い分けられる。使い分けられる人材は、柔軟性があると評価される。

強み2は「適応力がある」こと。氷河期世代は、20年以上にわたって変化する環境に適応してきた。派遣先が変わるたびに新しい環境に適応してきた。この適応力は、世代間の違いにも応用できる。上司が変わっても、後輩が入ってきても、適応できる。

強み3は「バランス感覚がある」こと。極端な精神論にも、極端な効率至上主義にも偏らない。「頑張ることも大事だし、効率も大事」。このバランス感覚は、チームの潤滑油として機能する。

挟まれたポジションは辛い。だが辛いからこそ鍛えられるものがある。鍛えられた「翻訳力」「適応力」「バランス感覚」は、氷河期世代の隠れた武器だ。武器があることを自覚して、使っていこう。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。職場で世代間の板挟みを感じている人は、きっと少なくないはずです。

タイトルとURLをコピーしました