就職氷河期世代の「ネット銀行」完全乗り換えガイド——ATM手数料・振込手数料をゼロにする全手順

この記事は約7分で読めます。

就職氷河期世代の「ネット銀行」完全乗り換えガイド——ATM手数料・振込手数料をゼロにする全手順

はじめに——ATM手数料は「見えない税金」

ATMで現金を引き出す。手数料110円。たった110円。だがこの「たった110円」が積み重なると、年間で数千円になる。月に4回ATMを使えば、110円×4回×12ヶ月=5280円。振込手数料も加えれば、年間1万円近くが銀行に吸い取られている。1万円はNISAの2ヶ月分。もやし333袋分。「見えない税金」だ。

この見えない税金をゼロにする方法がある。ネット銀行に乗り換えることだ。ネット銀行は、ATM手数料・振込手数料が月に数回無料のところが多い。「無料回数」の範囲内で使えば、手数料はゼロ。年間の手数料コストがゼロになる。

このガイドでは、ネット銀行の選び方、乗り換え手順、注意点を解説する。

ネット銀行のメリット

メリット1は「ATM手数料が月数回無料」であること。住信SBIネット銀行は月2〜15回(ランクによる)。楽天銀行は月1〜7回。auじぶん銀行は月2〜15回。コンビニATMで24時間引き出しても手数料ゼロ。大手銀行は、自行ATM以外(コンビニATM等)では110〜220円の手数料がかかることが多い。

メリット2は「振込手数料が月数回無料」であること。住信SBIネット銀行は月1〜15回(他行宛)。楽天銀行は月0〜3回。auじぶん銀行は月3〜15回。家賃の振込が毎月ある人にとって、振込手数料の無料化は大きい。大手銀行の他行宛振込手数料は330〜660円。月1回の振込でも年間3960〜7920円。

メリット3は「普通預金の金利が高い」こと。大手銀行の普通預金金利は0.001〜0.02%。ネット銀行は0.02〜0.2%。10倍〜100倍の差。100万円を預けた場合、大手銀行は年間10〜200円。ネット銀行は年間200〜2000円。金額としては小さいが、同じお金を預けるなら金利が高い場所に置くのが合理的だ。

メリット4は「スマートフォンで完結する」こと。残高照会、振込、定額自動送金、口座間の資金移動。すべてスマートフォンのアプリで完結する。銀行の窓口に行く必要がない。窓口に行く時間と交通費が節約できる。

主要ネット銀行の比較

氷河期世代におすすめのネット銀行を3つ比較する。

住信SBIネット銀行。ATM無料回数:月2〜15回(スマプロランクによる)。振込無料回数:月1〜15回。普通預金金利:0.02%(SBIハイブリッド預金連携で0.03%)。特徴は「目的別口座」機能。一つの口座内に最大10個の仮想口座を作れる。「生活防衛資金」「旅行費用」「冠婚葬祭」など目的別に管理できる。SBI証券との連携でNISAの資金移動も楽。

楽天銀行。ATM無料回数:月1〜7回(ハッピープログラムのステージによる)。振込無料回数:月0〜3回。普通預金金利:0.02%(楽天証券との「マネーブリッジ」連携で0.1%。300万円まで)。特徴は楽天ポイントが貯まること。給与受取口座に設定すると楽天ポイントが付与される。楽天経済圏を利用している人に最適。

auじぶん銀行。ATM無料回数:月2〜15回(じぶんプラスのステージによる)。振込無料回数:月3〜15回。普通預金金利:0.03%(au PAY連携で最大0.2%)。特徴はau PAYとの連携。Pontaポイントが貯まる。au経済圏を利用している人に最適。

どの銀行を選ぶかは、自分が利用しているサービスとの親和性で決める。楽天カードを持っているなら楽天銀行。SBI証券でNISAをしているなら住信SBI銀行。au PAYを使っているならauじぶん銀行。

乗り換え手順——5ステップで完了

ネット銀行への乗り換えは、以下の5ステップで完了する。

ステップ1は「ネット銀行の口座を開設する」こと。スマートフォンから申し込む。必要なものは本人確認書類(運転免許証またはマイナンバーカード)とメールアドレス。申込みは10〜15分で完了。審査後、1〜2週間でキャッシュカードが届く(カードレスの場合はアプリのみ)。

ステップ2は「給与振込口座を変更する」こと。勤務先の経理担当に「給与振込口座をネット銀行に変更したい」と伝え、変更届を提出する。変更は翌月〜翌々月の給与から反映されることが多い。派遣社員の場合は派遣元の管理部門に連絡する。

ステップ3は「各種引き落としの口座を変更する」こと。家賃、光熱費、通信費、保険料、クレジットカード。これらの引き落とし口座をネット銀行に変更する。各サービスのウェブサイトまたは電話で変更手続きを行う。すべてを一度に変更するのが面倒なら、重要なもの(家賃、クレカ)から順番に変更する。

ステップ4は「大手銀行の残高をネット銀行に移す」こと。大手銀行の残高をATMで引き出し、ネット銀行に入金する。またはネット銀行のアプリから振込指示を出す(大手銀行からネット銀行への振込は、大手銀行側の手数料がかかる場合がある。一度だけの費用なので許容する)。

ステップ5は「大手銀行の口座を整理する」こと。すべての引き落としが移行完了したら、大手銀行の口座は解約するか、予備口座として残す。残す場合は、残高を最小限(数千円)にしておく。

乗り換え時の注意点

注意点1は「引き落とし口座の変更漏れ」だ。変更が完了する前に大手銀行の残高がゼロになると、引き落としが不能になる。不能になると延滞扱いになる可能性がある。すべての引き落としが新口座に移行したことを確認してから、旧口座の残高を移す。移行期間中(1〜2ヶ月)は、旧口座にも最低限の残高を残しておく。

注意点2は「ネット銀行のATMの場所」だ。ネット銀行は自前のATMを持っていない(一部例外あり)。コンビニATM(セブン銀行、ローソン銀行、E-net)を利用する。近所にコンビニATMがない場合は不便。ただし最近はほとんどの場所にコンビニがあるので、問題になるケースは少ない。

注意点3は「インターネット環境が必要」であること。ネット銀行の操作はすべてスマートフォンまたはパソコンで行う。窓口がない。スマートフォンの操作が苦手な人には、ハードルが高い場合がある。だがこのシリーズの読者は、すでにスマートフォンでこの記事を読んでいるはずなので、操作は問題ないだろう。

注意点4は「セキュリティ」だ。ネット銀行はインターネット上で操作するため、フィッシング詐欺やパスワードの漏洩に注意が必要。対策として、二段階認証を有効にする。パスワードを使い回さない。公衆Wi-Fiではネットバンキングを操作しない。不審なメールのリンクをクリックしない。これらの基本的なセキュリティ対策を守れば、ネット銀行は十分に安全だ。

「大手銀行を完全にやめる」必要はない

ネット銀行に完全移行する必要はない。大手銀行とネット銀行の「併用」でもいい。

例えば、給与振込と日常の引き落としは大手銀行のまま。貯蓄口座としてネット銀行を追加。大手銀行からネット銀行への自動送金を設定し、先取り貯蓄を行う。この「併用型」なら、乗り換えの手間が少なく、ATM手数料の削減と貯蓄の自動化が同時に実現する。

完全移行と併用、どちらを選ぶかは自分の生活スタイルに合わせて決める。重要なのは「ネット銀行を1つ持っておく」ことだ。持っているだけで選択肢が広がる。

ネット銀行の「ランク制度」を攻略する

多くのネット銀行は「ランク制度」を採用しており、ランクによってATM無料回数や振込無料回数が変わる。ランクを上げるには、一定の条件を満たす必要がある。

住信SBIネット銀行の「スマプロランク」の場合。ランク1は月2回のATM無料+月1回の振込無料。ランク2は月5回+月5回。ランク3は月10回+月10回。ランク4は月15回+月15回。ランクアップの条件は、総預金残高30万円以上、SBI証券口座との連携、外貨預金の利用、デビットカードの利用など。総預金残高30万円以上ならランク2に上がる。生活防衛資金50万円を住信SBI銀行に置いておけば、自動的にランク2以上になる。

楽天銀行の「ハッピープログラム」。残高10万円以上でベーシック(月1回ATM無料)。残高50万円以上でアドバンスト(月2回)。残高100万円以上でプレミアム(月5回+振込3回無料)。こちらも貯蓄と連動しているので、「お金を貯めるほどサービスが良くなる」仕組みだ。

年間節約額のシミュレーション

ネット銀行に乗り換えた場合の年間節約額をシミュレーションする。

現状(大手銀行のみ)。ATM手数料110円×月4回×12ヶ月=5280円。振込手数料330円×月1回×12ヶ月=3960円。合計9240円。

乗り換え後(ネット銀行)。ATM手数料0円(無料回数内で利用)。振込手数料0円(無料回数内で利用)。合計0円。

年間節約額:9240円。10年で92400円。NISAで年利5%で10年運用すれば約12万円に。ATM手数料をゼロにするだけで、10年後に12万円の差がつく。口座開設は無料。乗り換えのコストはゼロ。リターンは年間9240円。これほどリスクゼロでリターンの大きい「投資」は他にない。

まとめ——ネット銀行は「持っていて損がない」

ネット銀行は、ATM手数料・振込手数料がゼロになり、金利が大手銀行より高く、スマートフォンで完結する。デメリットは「窓口がない」「ネット環境が必要」くらい。メリットがデメリットを圧倒している。

まだネット銀行を持っていない人は、今日口座開設を申し込んでみてほしい。15分の申込みで、年間9000円以上の手数料がゼロになる。15分で年間9000円。時給36000円の仕事だ。こんなに時給の高い作業は、他にはない。

タイトルとURLをコピーしました