就職氷河期世代の「光熱費・固定費」削減完全ガイド【住まいにかかるランニングコストを年間5万円下げる全手順】
はじめに——家賃以外の「見えにくいコスト」
住まいにかかるコストは家賃だけではない。電気代、ガス代、水道代、通信費(ネット回線)、NHK受信料、火災保険料。これらのランニングコストが毎月積み上がり、年間では相当な額になる。家賃5万円の物件に住んでいても、光熱費・固定費が月1万5000円かかれば、住居関連の実質負担は月6万5000円だ。手取り16万円の40%を超える。
家賃は交渉しない限り変わらない。だが光熱費や固定費は、自分の行動で確実に下げられる。このガイドでは、項目ごとに具体的な削減方法を解説し、年間5万円の削減を目指す。
電気代を下げる
電気代は、一人暮らしで月3000円〜6000円が目安だ。季節によって変動し、夏と冬はエアコンの使用で跳ね上がる。
削減法1は「電力会社を切り替える」ことだ。2016年の電力自由化以降、消費者は電力会社を自由に選べるようになった。従来の大手電力会社から新電力に切り替えるだけで、月数百円〜千円程度安くなるケースがある。比較サイト(エネチェンジなど)で自分の使用量に合った最安プランを検索し、切り替え手続きをする。手続きはウェブで完結し、工事も不要。切り替え費用もかからない場合がほとんどだ。
削減法2は「契約アンペアを下げる」こと。一人暮らしなら20Aまたは30Aで十分。40A以上で契約している場合は、30Aに下げるだけで基本料金が月数百円安くなる。ブレーカーが落ちるリスクはあるが、一人暮らしで同時に使う家電は限られているので、30Aで問題ないケースが多い。
削減法3は「家電の使い方を見直す」こと。エアコンは設定温度を1度変えるだけで電気代が約10%変わる。冷房は28度、暖房は20度が推奨。照明をLEDに交換すれば、白熱電球の約8分の1の消費電力になる。冷蔵庫の温度設定を「中」にする。便座の暖房機能をオフにする。使わない家電のコンセントを抜く(待機電力のカット)。これらの小さな積み重ねが、月数百円の差を生む。
削減法4は「断熱対策をDIYする」こと。窓にプチプチ(梱包用のエアクッション)を貼る。100均で買えるアルミの断熱シートを窓に貼る。ドアの隙間にすきまテープを貼る。これらは数百円の投資で、冷暖房効率を上げ、電気代を下げてくれる。特に冬場の効果は大きい。
ガス代を下げる
ガス代は、一人暮らしで月2000円〜4000円が目安。都市ガスとプロパンガスで料金が大きく異なる。プロパンガスは都市ガスの1.5〜2倍程度高い。
削減法1は「プロパンガスの物件を避ける」こと。引っ越しの際、都市ガスの物件を優先的に選ぶ。プロパンガスの物件は家賃が安いことがあるが、ガス代の差額で相殺されるか、むしろ総コストが高くなることがある。物件情報の「ガスの種類」欄を必ず確認しよう。
削減法2は「お湯の使い方を見直す」こと。ガス代の大部分は給湯に使われている。シャワーの時間を1分短くすると、月約200円の節約になるというデータがある。湯船にお湯を溜める回数を減らし、シャワーだけの日を増やす。食器洗いにお湯を使わず水で洗う(冬場は辛いが)。
削減法3は「ガス会社を切り替える」こと。都市ガスも2017年の自由化以降、会社を選べるようになった。電力会社とのセット割引もある。比較サイトで最安のプランを調べ、切り替えを検討する。プロパンガスの場合も、業者を変更できるケースがある(賃貸の場合は大家の了承が必要)。
水道代を下げる
水道代は、一人暮らしで月1500円〜3000円が目安。水道は自由化されていないため、料金の切り替えはできない。使い方の工夫で節約する。
削減法1は「節水シャワーヘッドに交換する」こと。ホームセンターや100均で1000円〜3000円程度で購入でき、水量を30〜50%カットできる。年間の水道代削減効果は数千円。投資回収期間は数ヶ月。費用対効果が非常に高い節約グッズだ。
削減法2は「洗濯のまとめ洗い」。毎日洗濯するより、2〜3日分をまとめて洗うほうが水の使用量が少なくなる。一人暮らしなら、週に2〜3回の洗濯で十分だ。
削減法3は「食器洗いの工夫」。桶に水を溜めて洗う(ため洗い)。流水で洗い続けるより大幅に水を節約できる。
通信費を下げる
通信費は、スマートフォンとインターネット回線の合計で月5000円〜1万円程度が一般的だ。この項目は削減の余地が最も大きい。
スマートフォンは格安SIM(MVNO)に切り替える。大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)のプランは月5000円〜8000円だが、格安SIMなら月1000円〜3000円で済む。通信速度は多少落ちるが、日常使い(メール、LINE、ウェブ閲覧)には十分だ。年間の差額は3〜6万円にもなる。格安SIMへの切り替えは、このガイドで紹介する削減法の中で最もインパクトが大きい。
インターネット回線は、光回線(月4000〜5000円)が標準だが、スマートフォンのテザリングで済ませることも可能だ。動画視聴やオンラインゲームをしない人なら、テザリングで十分。光回線を解約すれば月4000円の節約。年間48000円。ただしテザリングはデータ容量の制限があるので、格安SIMのプランを大容量(20GB〜)にする必要がある。
あるいは「スマホとネット回線のセット割引」を利用する方法もある。光回線とスマートフォンを同じ会社で契約すると、セット割が適用されて月500円〜1000円安くなる。
NHK受信料を適正化する
NHK受信料は、地上契約で月1100円程度(年払いで約13000円)。テレビを持っている場合は支払い義務がある。
削減法としては、「衛星契約から地上契約への変更」がある。BSアンテナがない、またはBS放送を見ない場合は、地上契約に変更できる。衛星契約は月約2000円なので、地上契約に変更すれば月約900円の節約になる。
また、テレビを持たない選択をすれば受信料は不要になる。スマートフォンやパソコンでの動画視聴で十分という人は、テレビを処分してNHK受信料の支払いを解約する方法もある。ただしNHKの受信契約については法的な議論があるため、解約の手続きは慎重に行う必要がある。
住民税非課税世帯の場合、NHK受信料の免除制度がある。全額免除または半額免除の対象になる可能性があるので、自治体の窓口で確認してほしい。
火災保険料を見直す
賃貸の火災保険は、不動産屋が指定する保険に加入することが多い。だが指定の保険は相場より高い場合がある。年間1万5000円〜2万円の保険料を払っていないだろうか。
自分でネット型の火災保険に加入すれば、年間4000円〜6000円程度で十分な補償が受けられる。差額は年間1万円以上。大家や管理会社に「自分で火災保険に加入したい」と申し出れば、大抵は了承される。契約書に「大家指定の保険に加入すること」と明記されている場合は難しいが、明記されていなければ変更可能だ。
年間削減額のシミュレーション
ここまでの削減法をすべて実行した場合の年間削減額をシミュレーションしてみよう。
電力会社の切り替えで年間6000円削減。アンペア変更と節電で年間3000円削減。ガスの使い方見直しで年間4000円削減。節水シャワーヘッドと水の使い方で年間3000円削減。格安SIMへの切り替えで年間36000円削減。火災保険の見直しで年間10000円削減。合計で年間約62000円の削減。月に換算すると約5200円。
年間6万円。これはNISAの年間積立額を月5000円増やせる金額だ。歯医者に2回行ける金額。温泉旅行に1回行ける金額。この金額が、知識と行動だけで生まれる。特別な才能も運も必要ない。
最も大きいのはスマートフォンの格安SIM切り替え(年36000円)だ。まだ大手キャリアを使っている人は、これだけで年間3万円以上浮く。切り替えの手続きは1時間もかからない。1時間の作業で、年間3万円。時給3万円の仕事だ。こんなに時給の高い仕事は、他にはない。

