副業に関する記事には「成功した話」が多い。月〇万円稼げるようになった・副業で独立した・収入が2倍になった——これらは本当の話だと思うが、成功した人だけが語るため、成功しなかった話は表に出てこない。
私は失敗した。3回。それぞれ異なる種類の副業で、異なる種類の失敗をした。今日はその記録を全部書く。失敗した理由も・失敗した時の感情も・失敗から何を学んだかも含めて。
成功の話ではないが、失敗の話は成功の話より「リアル」なことが多いと思うから。
失敗その一:せどり(転売)——3ヶ月で撤退
最初の副業チャレンジはせどりだった。本屋で安く買った本をAmazonに高く売る、という副業だ。「初期費用が少ない・すぐに始められる」という理由で選んだ。
始めた週から問題が出た。本屋で「Amazonで高く売れそうな本」を探すため、スマートフォンでAmazonの価格を確認しながら棚を巡る作業が、思ったより体力と時間を消耗した。1時間本屋を歩き回って見つかる本は、利益が出そうなものが2〜3冊程度。利益は1冊あたり数百円。時給換算で200〜300円になる計算だった。
最初の月の利益:3,200円。
問題は利益の少なさだけではなかった。本を買って・梱包して・発送して・レビューを確認して——これらの作業が「楽しくなかった」。本は好きだ。でも本を「利益が出るかどうか」の観点で見る行為が、本への愛着を削った。好きなものを「商品」として扱うことが、自分に向いていなかった。
3ヶ月で撤退した。損失は交通費と梱包費で約3,000円。利益と相殺してほぼトントンだった。
学んだこと:副業は「好きなことでやれ」とよく言うが、「好きなものを商品として扱うこと」は、好きなこととは別のことだ。本が好きでも、本のせどりが向いているとは限らない。
失敗その二:ウーバーイーツ——2週間で膝を壊しかけた
2回目の副業はウーバーイーツだった。自転車で配達する副業で、「体を動かせて・スキマ時間にできる」という理由で選んだ。
最初の週は良かった。自転車に乗ることは嫌いではなく・知らない街を走ることに少し楽しさを感じた。最初の週の収入は約12,000円。時給換算で1,200〜1,300円程度だった。
2週目に入ったあたりで、膝に違和感が出始めた。階段を降りる時に痛みが走る・長時間乗ると膝が笑う——40代の体は、急に増えた自転車負荷に対応できなかった。整形外科で「使いすぎ」と言われた。
医者に「自転車を当分乗らない方が良い」と言われた日にウーバーイーツを一時停止して、そのまま復帰しなかった。2週間で撤退。
「体を使う副業は体力が必要だ」というのは当然のことだが、「40代の体は急な負荷増加に耐えられない」という事実を、体験する前に想像できなかった。若い頃と同じ感覚で「体を動かせる」と思い込んでいた。
学んだこと:40代の副業は「体の耐久性のアセスメント」が必要だ。いきなり週20時間の肉体労働的副業を始めることは、体への急激な負荷になる。最初の週の10%程度の負荷から始めて、体の反応を見ながら増やす、という当たり前のことを飛ばした。
失敗その三:ブログ——1年以上続けてほぼ収益ゼロ
3回目の副業はブログだった。これが最も時間をかけた失敗で・最も「なぜ失敗したのか」の理解に時間がかかった失敗だ。
約1年3ヶ月で書いた記事数は87本。毎週2〜3本のペースで書き続けた。総収益は4,200円だった。月平均で280円。
なぜ失敗したか。1年以上かけて原因を分析した結果、主な理由は以下の3つだった。
理由①「何のためのブログかが曖昧だった」。「副収入のため」という目的と「書くことが好きだから」という動機が混在していて、記事のテーマが統一されていなかった。読書感想文・日常のつぶやき・節約のヒント——これらが同じブログに同居していた。誰に向けて書いているかが不明確なブログは、誰にも刺さらない。
理由②「SEOを全く意識していなかった」。「書けば読まれる」という誤解。ブログの収益はアクセス数に比例するが、アクセス数はSEO(検索エンジン最適化)なしには増えない。書くことに集中していて、「見つけてもらうこと」への投資をしなかった。
理由③「収益化のタイムラインを過小評価していた」。「数ヶ月で収益が出る」という思い込みがあった。ブログが収益化するまでの期間は一般的に1〜2年とも言われるが、「自分は早く結果を出せる」という根拠のない自信があった。
1年3ヶ月で停止した。でも完全な失敗とは言い切れない部分もある。87本の記事を書く中で、「文章を書く力」は確実に上がった。この力は、その後別の形で活きることになった。
学んだこと:副業としてのブログは「中長期のプロジェクト」として設計する必要がある。月単位の収益を期待するのではなく、2年後・3年後の収益を見据えた継続設計が必要だ。そして「誰に何を届けるか」が曖昧なまま書き続けることは、努力を消耗させるだけで成果につながらない。
3回の失敗から見えてくること
せどり・ウーバーイーツ・ブログ——3つの失敗に共通していたことがある。「副業を始める前のリサーチが甘かった」という点だ。
副業に関する情報の多くは「成功した人が書いている」ため、「うまくいかなかった場合の話」が少ない。せどりの記事を読んでも「月30万円稼いでいます」という話が多く、「3ヶ月で撤退した理由」を書いている記事は少なかった。ウーバーイーツの記事を読んでも「稼げる」という情報が多く、「40代が膝を壊した話」は見つかりにくかった。ブログについては「成功するまで書き続けろ」という文化があり、「1年で収益ゼロでやめた経験」は共有されにくかった。
失敗談は、成功談と同等かそれ以上の価値がある。特に「なぜ失敗したか」を具体的に記録した失敗談は、同じ轍を踏もうとしている人間への最も実用的な情報だ。
就職氷河期世代として「失敗することへの恐怖」は強い。就職活動で何十社も落とされた経験が、「また失敗するかもしれない」という恐怖を上乗せしている。でも副業の3回の失敗を経て、「失敗は終わりではなく情報だ」という感覚が少しだけ身についてきた。
4回目の副業チャレンジは今も続いている。うまくいっているかは、まだ分からない。

