就職氷河期世代の生活困窮・借金・生活保護の権利と活用法【最後のセーフティネットを正しく知る】

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「生活保護だけは受けたくない」——就職氷河期世代の多くが、こう思っています。でも、その思いが、本来受けられるはずの支援を遠ざけている場合があります。

生活保護は「恥ずかしいもの」「怠け者が受けるもの」ではありません。日本国憲法第25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するための、国民の正当な権利です。税金で賄われていますが、それはあなたが長年払い続けてきた税金・保険料でもあります。

この記事では、経済的に苦しい状況にある氷河期世代が知っておくべき支援制度・借金への対処法・生活保護の権利を、正直に解説します。

経済的に苦しい状況への段階的な対処法

経済的な困窮には段階があり、段階に応じた対処が必要です。いきなり最終手段に飛ぶのではなく、段階を踏んで対処することが重要です。

第1段階:収入の確保と支出の削減です。まず、今ある収入を最大化する努力と、支出を削減する取り組みを同時に行います。副業・アルバイトの追加・不用品の売却・固定費の削減(通信費・保険・サブスク)——これらで月々の収支を改善できないかを検討します。

第2段階:公的支援制度の活用です。収入・支出の改善だけでは厳しい場合、公的支援制度を活用します。住居確保給付金・緊急小口資金・総合支援資金・教育訓練給付制度——これらは生活保護の手前の段階で活用できる制度です。市区町村の窓口・生活困窮者自立支援相談窓口に相談することで、状況に合った支援につながることができます。

第3段階:借金の整理です。借金がある場合、放置すると利息が膨らんで状況が悪化します。借金の整理については後述します。

第4段階:生活保護の申請です。上記の手段を尽くしても最低限度の生活が維持できない場合、生活保護を申請する権利があります。

緊急小口資金・総合支援資金:生活保護の手前の重要な制度

緊急小口資金と総合支援資金は、生活に困窮した方が借りることのできる低利(または無利子)の貸付制度です。コロナ禍で特例措置が設けられましたが、通常の制度としても重要な支援です。

緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に、最大10万円(特別の事情がある場合は20万円)を無利子で借りられる制度です。社会福祉協議会が窓口です。返済は借入れから12ヶ月後から2年間で行います。

総合支援資金は、生活再建を支援するための制度です。生活費として月20万円以内(2人以上世帯)・最長12ヶ月分を低利で借りられます。就労支援等の支援を受けることが条件になります。

これらの制度は、あくまでも「貸付」であり返済が必要です。返済が困難になった場合は、生活保護との組み合わせ・免除の申請などが検討できます。

借金問題への対処:知っておくべき債務整理の選択肢

借金が膨らんで返済が困難な状況になった場合、法的な債務整理という選択肢があります。これは「逃げること」ではなく、法律が認めた正当な解決手段です。

任意整理は、弁護士・司法書士を通じて債権者と交渉し、将来の利息をカットして返済額を減らす方法です。裁判所を通じない手続きのため、比較的短期間で解決できます。費用は弁護士・司法書士費用(1社あたり数万円程度)です。任意整理後は信用情報機関に記録が残り、一定期間クレジットカード・ローンが使えなくなります。

個人再生は、裁判所を通じて借金の一部(多くの場合5分の1〜10分の1程度)に減額してもらい、残りを3〜5年間で返済する手続きです。住宅ローンを払いながら他の借金を整理することもできます。弁護士費用は50〜80万円程度です。

自己破産は、裁判所を通じて全ての借金を免除してもらう手続きです。一定の財産は没収されますが、99万円以内の現金・生活必需品は手元に残せます。費用は弁護士費用30〜50万円程度・裁判所への申立費用数万円程度です。自己破産後は10年間、信用情報に記録が残ります。免責が認められた借金は全額免除され、新たなスタートを切ることができます。

借金問題は、早めに専門家(弁護士・司法書士)に相談することが重要です。放置すると利息が膨らみ・差押えが発生し・精神的な負担も増え続けます。法テラスを活用すれば、費用の立替制度で弁護士費用の負担を軽減できます。

生活保護の権利:正しく知って正しく使う

生活保護は、最後のセーフティネットとして日本国憲法が保障する権利です。正確な知識を持って、必要な時に適切に活用することが重要です。

生活保護の受給要件は「資産(預貯金・不動産・車)がない」「働ける状態でない、または働いても最低生活費に届かない」「他の制度(年金・手当等)を活用してもなお不足する」「扶養義務者(親族)から扶養を受けられない」——これらの条件を満たす場合に申請できます。「持ち家があるから受けられない」は必ずしも正しくなく、住み続けながら保護を受けることができる場合もあります。また、「車がある」という場合でも、通勤に必要な場合などは保有が認められることがあります。

扶養照会問題について正確に理解してください。生活保護を申請すると、行政が親族(扶養義務者)に「扶養できますか」と照会することがあります。これが「家族に迷惑をかける」と感じて申請を躊躇する方が多いです。しかし、扶養照会はあくまでも「照会」であり、親族が拒否した場合でも生活保護の申請・受給は可能です。親族からDV被害を受けている場合・長年連絡を取っていない疎遠な親族への照会を拒否することもできます。

「水際作戦」に注意してください。一部の自治体では、生活保護の申請を不当に断ったり・申請書を渡さなかったりする「水際作戦」が問題になっています。生活保護を申請する権利は法律で保障されており、福祉事務所は申請を受け付ける義務があります。「申請を断られた」場合は、支援団体・弁護士に相談して正当な申請を行うことができます。

生活保護受給中の就労については、就労して収入が増えた場合でも全額保護費から差し引かれるわけではありません。就労収入の一部(基礎控除)は手元に残る仕組みになっており、就労意欲が損なわれないように設計されています。

相談できる支援団体・機関

生活困窮・借金・生活保護について相談できる機関を紹介します。

生活困窮者自立支援相談窓口は、市区町村が設置する相談窓口です。生活に困っている方が、就労支援・生活費の相談・住居確保などの支援につながることができます。

NPO・支援団体による相談も有効です。「反貧困ネットワーク」「ほっとプラス」「よりそいホットライン」など、生活困窮者を支援する団体が全国にあります。公的機関より敷居が低く・相談しやすい環境が整っています。

弁護士会の法律相談は、借金・生活保護・労働問題について弁護士に相談できる窓口です。初回30分無料(または5,000円程度)で相談できることが多いです。

まとめ

経済的な困窮・借金・生活保護の問題は、「恥ずかしいこと」でも「負け」でもありません。就職氷河期という時代のしわ寄せを受け続けてきたこの世代が、正当な権利を行使することは当然のことです。段階的な対処法を知り・借金整理の選択肢を理解し・生活保護の権利を正確に把握して——必要な時に必要な支援を躊躇なく使ってください。支援を求めることは、賢さの表れです。

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