業績の先行きに懸念のある企業の傾向

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技術力が収益力につながるとは限らない

企業の中には、多数の特許を持ち、技術力があることを企業の特徴としているところがあります。
特に、総合電機メーカー系に多いようです。
しかし、総合電機メーカーの収益力が素晴らしいかというと、全然ダメです。
一方、技術力があまり必要ないことが多いサービス業の中には、高収益を上げている企業があります。
つまり、技術力があるからといって、収益につながるとは限りません。
 技術力が高い企業は世の中の役に立っているのかもしれませんが、相応の収益が生み出されなければ、高い技術を開発するために莫大な費用を要するだけで、投資対象としてはふさわしくありません。

会社の名前

 会社の名前には、創業者の思いや歴史がこめられ、会社を表すものです。
近年における買収や合併、持ち株会社化により、会社の名前が変わることは少なくありませんが、それにはしっかりとした理由があります。
 しかし、好ましくない企業の中には、企業名を頻繁に変えるところがあります。
社名は一種のブランドですからよほどのことが無い限り、変えないものです。
それにもかかわらず、社名変更を頻繁に行う理由としては、不祥事や業績悪化など悪いイメージを払拭したいことが考えられます。
そういう会社は、何をやっているのか分からない見た目だけはカッコイイ社名にしがちです。
特に横文字が並んだ社名には注意が必要です。

不祥事を繰り返す企業

 企業が不祥事を起こすことは、止むを得ないというのが実際のところです。
問題は、不祥事を起こした後の対応です。
不祥事の後、管理体制を刷新しなければ、不祥事は再発するものですが、企業の中には旧弊にとらわれ組織を刷新することが難しい場合もあります。
過去の不祥事で企業がどのような対応をしたのか良く確認しておきましょう。

格付けの悪化

企業の財務内容には格付けが付けられることがありますが、
それはあくまで私的なもので公的な意味合いのあるものではありません

格付けの悪化は、業績が悪化した結果にしか過ぎないことが多いのです。
特に破綻直前企業の場合、投資を控えるには手遅れになってから格付けが低下することが多いので、あまり当てにはならなりません。
格付けは参考程度にして、他の投資指標をよく見たほうがよさそうです。

有利子負債の大きな企業

有利子負債が大きい企業というと、経営不振に陥り借金を返済できないような企業を想像してしまいますが、適切な額の負債は、企業にとって必要なものです。
有利子負債の大きさが企業の大きさと比べて不釣合いに大きくなったときに問題が生じます。業種によりかなり異なりますが、目安としては株主資本比率が30%を切ると注意が必要だと言われています。
 事業がうまく行っているときや金融機関の貸し出し姿勢が良好なとき、低金利の時期は有利子負債が増えていてもなんとかなるかもしれませんが、金利上昇で利払いが困難になったときや、事業環境の悪化、金融不安の時期には有利子負債が多いことは弱点になり資金繰りの悪化を発生させ企業が破綻する原因となりかねません。
要は、借金の条件が悪化すると、銀行など金融機関の方針次第で企業の存続が強く左右されてしまう状況になるわけです。
 有利子負債が多いということは、そもそも営業活動でキャッシュが稼ぎにくいか、営業活動でキャッシュを稼いでも再投資に多額の費用を要してしまう状況も考えられます。
いずれにしても好ましくありません。

上場ゴールの企業

 世の中には、上場して創業者利益を得ればよいというベンチャー企業多数存在します。
IPOで株を高値で売り抜けられれば、あとは会社が傾こうが破綻しようがどうなろうが構わないという経営者は結構たくさんいるものです。
そういう企業を見分ける点としては、目新しいテーマの場合の場合には注意が必要です。売上や利益がほとんど無くても目新しいという理由の人気だけで上場してしまう場合が多いからです。
IPOでは、人気が価格決定の大部分を占めているため、こうした中身がイマイチな銘柄でも高株価で取引されてしまうのです。
しかし、中身がイマイチな会社はやがて下方修正を連発したり、巨額赤字を計上する可能性が高く、やがて静かに消え去ってしまう場合が少なくないのです。
 新規上場企業に投資する場合は、本当に中身のある会社で、少なくとも妥当な価値はある銘柄に投資するべきでしょう。

財テク企業は避ける

 企業は、本業で稼ぐのが常道です。
しかし、本業がうまくいっていない企業においては財テクで本業の不振を補おうとする場合や、本業がうまくいっていても内部の業務管理がいい加減な企業では財テクにのめりこんでしまうことがあります。
一担当者が巨額のハイリスク商品に手を出し企業を傾かせることもよく聞く話です。
バブル崩壊後には、多数の企業が無謀な財テクの失敗により破綻しました。
 財テクがうまく行っている間はよいですが、財テクにのめりこむような企業はリスク管理がうまく行なわれていない場合が多いので、いずれ巨額の損失を出す可能性が高くなります。
特別損失をカバーできるほどの財務基盤や収益力があれば何とかなるでしょうが、そうでなければ本業も傾かせることになり企業が破綻するリスクは大きく高まります。
企業が投資している金融商品は、企業が発表する有報に記載されている場合があるので、ハイリスクな金融商品に多額の投資をしている企業には注意したほうがよいでしょう。

本業と関係のないM&Aに熱心な企業は避ける

 M&A(企業の合併・買収)というと、一見すると華やかな感じがします。
巨大企業がM&Aを繰り返しさらに巨大化していく様や、企業規模では圧倒的に小さい企業が大企業を買収する様はドラマや映画の題材にもなっています。
しかし、実際のM&Aはうまく行かないケースがかなり多いようです。
企業文化や管理システムなどあらゆる面がまったく違う企業同士が合併すると、その分無駄な労力が必要となります。
M&Aでは、買収企業によりシナジー効果が強調されますが、M&Aのマイナス面はあまり考慮されていないことが多いのです。
 本業と関連のあるM&Aならマイナス面を考慮してもある程度はシナジー効果があるのかもしれません。
しかし、企業の中には、本業と無関係なM&Aを繰り返す企業があります。
シナジー効果はほとんど期待できず、企業の中に無用の混乱を招くだけの本業と無関連なM&Aに意味はないのではないでしょうか。
なぜ、その種のM&Aを繰り返すかというと、おそらくは本業が行き詰っているからだと思われます。
本業が行き詰っていてもM&Aを繰り返せば見かけ上の売上・利益を増やすことは可能です。
しかし、いずれは多数の被買収企業管理により社内が混乱し、業績が低迷する可能性は少なくありません。
買収に要する多額の資金を借り入れでまかなっていれば、財務体質の悪化を招くでしょう。
 やはり、本業がしっかりとしている企業に投資することが好ましく、投資先企業のM&Aに一貫した戦略があるのかチェックしたいものです。

立派な本社ビルの建設

 企業というものは、よほど気を引き締めていないとムダが増えていくものです。
小企業の頃は、コスト削減に必死になりますが、事業がうまく行って規模が大きくなると気の緩みが生じ、ムダに対して敏感でなくなる場合があります。
組織は肥大化し、現場がおろそかにされ管理部門ばかりが大きくなることはよくあります。
 俗に”立派な本社ビルを建設した会社の業績は低迷する”と言われますが、あながち根拠の無いこととも言い切れません。
立派な本社ビル建設が企業の気の緩みを示しているとも考えられるからです。
自社所有の本社ビルは、本業が不動産業でもない限り不必要なものです。
管理部門が入るだけなら賃貸ビルで十分です。自社ビルという利益を生まない資産を増やしては、企業の資産効率が低下します。
 確かに、自社ビルというのはステータスであり成功した経営者が建てたいと思うのはもっともです。
しかし、自社ビルを建設できると言うことは企業が事業以外に資金を使えるゆとりができたということを意味します。
余剰資金を事業に回さず、株主にも還元せず、費用ばかりがかかる自社ビルを建設するということは、企業全体のコスト感覚が低下している可能性があります。
また、自社ビルに入るのは管理部門であり、企業の大規模化により管理部門が肥大化したため本社を移転するということも考えられます。管理部門は必要ですが、費用ばかりかかり利益は生みません。
 立派な自社ビルを建てた企業が、その後、全て業績が低迷するわけではありませんが、自社ビル建設がコスト感覚低下の兆候であるなら、注意が必要かもしれません。

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