投資に役立つ各種指標(財務編)

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株主資本比率

株主資本÷総資本×100
株主資本比率は、会社の総資本に占める株主資本の割合です。
株主資本比率が大きいということは、他人資本の割合が小さいということになり、財務が健全で安定的な資金を手にしているということなのです。
負債が小さく、利息のコストも少ないということなので安定した財務体質を望む場合には、株主資本比率は大きいほうが良いでしょう。ただし、成長のためには、ある程度借入金が必要なのである程度の借入金があったほうが、成長スピードを高めることができます。ROE(自己資本利益率)と呼ばれる欧米の投資家に重視される数値を高めるためにも、借入を起こしてレバレッジをある程度かけることも必要です。

株主資本比率は少なくとも30%は欲しいところですが、業界によって妥当な株主資本比率は異なります。
有利子負債の多い鉄道業や不動産業、特殊な財務構造を持っていることが多い銀行業などは低くなりがちです。例えば、鉄道業は鉄道運賃や賃貸収入など日銭の入ってくる商売なので、ある程度借入を起こしても収入のめどはつくので有利子負債の返済は容易です。一方、デベロッパーなどの不動産開発系企業は、土地などを仕入れてキャッシュが出ていくと、物件としてキャッシュが回収できる販売時点までに年単位の日時を要するので、あまり借入依存度が高いと、景気の悪化や金融引き締めがあったときに財務状態の悪化により倒産の恐れがあります。このように自己資本比率は単純に数値を見るのではなく、会社がどのように資金を投入し資金を回収しているかまで総合的に見ることが必要です。

ROA (総資本経常利益率)

総資本経常利益率=経常利益÷総資本×100
ROAとは、経常利益を総資本で割ったものを表し、総資本経常利益率といいます。
総資本は、会社の経営に使われている全ての資本を表します。
銀行などから借り入れしてきた他人資本と、株主から出資された株主資本をあわせて、会社は営業活動を行っています。
総資本利益率は、投下された資本がいかに効率よく利益を上げたかを意味します。
日本企業の平均値としては5%くらいです。
10%程度あれば、優良企業といわれます。過剰設備を抱えて、資産が大きくなっているとROAは低くなります。財務レバレッジの影響を受ける、 ROE(自己資本比率)とあわせて分析したほうが良い指標です。ROAが低くても、借入金を増やすとROEも高くなり財務バランスが崩れるため、ROEとROAは同時に見るようにしましょう。

ROE (自己資本当期利益率)

自己資本当期利益率=税引き後利益÷自己資本×100
ROEとは、当期利益額を自己資本の額で割ったものを表し、自己資本利益率といいます。
当期純利益とは、経常利益から特別損益を加減して税引き前利益を出し、そこから税金を引いた税引き後利益のことです。
自己資本とは株主の持分であり、資本金や過去の利益の蓄積である剰余金も含まれます。
株主資本利益率は、株主が投下した資本がどれくらいのリターンを生むのかを示します。
アメリカなどでは、2桁のROEがあるのが一般的なのに対し、日本企業は3%程度のROEしかありません。
こうした日本企業のROEの低さが株主軽視として海外からの機関投資家を中心として批判されるようになってきました。
日本企業は、従業員や取引先を重視し、株式会社の出資者である株主を軽視してきました。
このような流れの中で、一定のROEを経営目標に掲げるようになる企業も出てきました

PBR

PBR=株価÷一株あたり株主資本
企業の資産から負債を引いて、発行株式数で割ったものを一株あたり株主資本といいます。
株価を一株あたり株主資本で割ったものをPBRといいます。
PBRは、PERと同じくらい頻繁に使われる指標ですが、会社を見る角度はずいぶんと違います。
PBRは、会社の株主資本というストックに基づいて計算される指標ですが、PERは、会社の利益というフローに基づいて計算される指標です。
PBRは、時価総額を株主資本で割った数値でもあります。
株主資本は簿価で時価総額は時価ですから、PBRは、市場で簿価の何倍で評価されているかを示しているともいえます。
ですから、株主はPBRが高く評価されるように経営者に経営してもらいたいと望んでいます。
PBRを見る際に注意するべき点は、2つあります。
第一に、PBRから見て割安な株があったとしても将来、その値が修正されるかどうかが問題です。
低PBRが将来修正されないとしたら、意味がありません。
第二に、PBRの低さが本物であるかどうかという点です。
余りにも低いPBRの場合、会社の財産は見かけだけであって、実際には存在しないという可能性があります。

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