氷河期世代の「婚活で傷つかない」技術——100社不採用のレジリエンスを婚活に転用する

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はじめに——「婚活の拒絶」は「就活の不採用」と同じ構造

マッチングアプリで「いいね」を送る。返ってこない。デートに誘う。断られる。交際を申し込む。「ごめんなさい」。——この「拒絶の連続」は、22歳の就活で経験した「100社不採用」と同じ構造だ。「応募→審査→不合格→また応募」のサイクル。「自分を否定された」感覚。「自分には価値がないのか」の自問。就活で味わった「あの感覚」が——婚活で再現される。

だが22歳の自分と45歳の自分には「決定的な違い」がある。22歳の自分には「拒絶に耐える技術(レジリエンス)」がなかった。だから100社不採用で「ストレス性胃炎」になった。45歳の自分には「23年間で鍛えられたレジリエンス」がある。もやし炒めで。散歩で。読書で。エスシタロプラムで。「拒絶に耐える筋肉」が育っている。この「筋肉」を婚活に転用する。

第1章 「拒絶」の心理学——なぜ「いいねが返ってこない」だけで傷つくのか

「いいね」を送って返ってこない。客観的に見れば「ただのアプリの通知がない」だけ。だが主観的には「自分が拒絶された」と感じる。なぜか。心理学では「社会的排除の痛み」は「身体的な痛み」と同じ脳の領域(前帯状皮質)で処理されることが示されている。つまり「無視される」と「体が痛い」のと同じレベルの「痛み」を脳が感じる。「いいねが返ってこない」×50回=「50回の身体的な痛み」に相当。「50回殴られた」のと同じ。——大げさに聞こえるが「脳の反応」としては事実。

さらに「拒絶の痛み」は「繰り返し」で増幅する。「1回目の不採用」は「ショック」。「10回目の不採用」は「慣れ」。「50回目の不採用」は「麻痺」。「100回目の不採用」は「自己否定」。繰り返しの拒絶は最終的に「自己否定=自分には価値がない」の認知に到達するリスクがある。就活で100社不採用を経験した自分は「自己否定の底」を知っている。だからこそ「その底まで行かないための技術」が必要。

第2章 「100社不採用のレジリエンス」を婚活に転用する5つの技術

技術1は「拒絶を『個人的な否定』と受け取らない」。就活で学んだ最大の教訓。「100社不採用は自分の能力不足ではなく、椅子の数が足りなかった」。婚活も同じ。「いいねが返ってこない」のは「自分に価値がないから」ではなく「相手のタイミング」「相手の好み」「相手の状況」によるものが大半。「自分の問題ではなく、マッチングの確率の問題」。「確率の問題」と認知すれば「個人的な否定」から距離を置ける。

技術2は「拒絶のダメージを分散する」。就活のとき「1社に全賭け」すると「不採用のダメージが甚大」。「複数社に同時に応募」すると「1社不採用でも他があるから大丈夫」。婚活も同じ。「1人に全賭け」は危険。「複数の人と並行してやりとり」する(マッチングアプリでは一般的)ことで「1人に断られてもダメージが分散される」。「分散投資の原理」をメンタルに適用する。NISAのインデックスファンドが「1銘柄の暴落に耐えられる」のは「分散しているから」。心の「分散投資」。

技術3は「拒絶の後に『もやし炒めの儀式』を行う」。「断られた日の夜は、特別版のもやし炒めを作る」。「牛肉バージョン」(通常の豚こまより100円高い)。「断られたダメージ」を「特別版もやし炒めの美味さ」で相殺する。「断られる→もやし炒めが美味くなる」の条件づけ。「断られることにメリット(もやし炒めの特別版)が結びつく」と「断られることへの恐怖が減る」。パブロフの逆条件づけ。

技術4は「拒絶の回数を記録する」。就活のとき100社の不採用を記録していた。「記録する」と「数字」になる。「数字」は「感情」より「冷静に受け止められる」。「今月の拒絶:8回。先月:12回。減ってる!改善してる!」。記録が「進捗の可視化」になる。「改善している」と認知できれば「モチベーションが維持される」。もやし炒めのバリエーション数を記録するのと同じ。「記録は力」。

技術5は「拒絶を『フィードバック』に変換する」。「なぜ断られたか」を分析する。「プロフィールの写真が暗かった→明るい写真に変更」。「メッセージが長すぎた→短くする」。「デートの提案が唐突だった→もう少しメッセージを重ねてから」。「拒絶=改善のヒント」。就活で「不採用の理由を分析して次の面接に活かした」のと同じ。「もやし炒めの失敗(醤油入れすぎ)を次回に活かす」のと同じ。「失敗は最高の教師」。

第3章 「自己肯定感」を守る——拒絶の連続で自分を嫌いにならないために

婚活の拒絶が続くと「自分には魅力がない」「自分は選ばれない人間だ」の認知が強化される。この認知を「ストップする」技術が必要。

技術1は「婚活以外の『自分の価値』を定期的に確認する」。「NISAが90万円ある。7年間コツコツ積み立てた成果」。「もやし炒め120バリエーションを開発した。17年間の努力」。「260冊の本を読んだ。知識の蓄積」。「23年間生き延びた。100社不採用を乗り越えた」。これらの「婚活とは無関係な自分の価値」を「紙に書き出す」。書き出して「視覚的に確認する」。「アプリで選ばれなかった」事実と「NISAを90万円まで育てた」事実は「別の次元の話」。「婚活の結果が自分のすべてではない」。

技術2は「婚活の頻度を調整する」。「毎日アプリを開いて、毎日拒絶される」のは「毎日ストレスを浴びる」のと同じ。「週に3日だけアプリを開く」ルールにする。「月水金はアプリの日。火木土日はアプリを見ない日」。「見ない日」は「もやし炒め」「散歩」「読書」「NISA」に集中する。「婚活からの距離を取る日」が「自己肯定感を回復する日」になる。

技術3は「他人と比較しない」。「同級生のAさんは35歳で結婚した」「SNSで同世代の結婚報告を見た」。これらの「比較」が「自分はダメだ」の認知を強化する。「比較は幸福の敵」(SNSとの距離感参照)。「他人の婚活の結果」と「自分の婚活の結果」は「別の人生」。「Aさんは35歳で結婚した。自分は45歳でまだ婚活中」。これは「比較」であり「事実」だが「自分の価値の測定」には使えない。「Aさんの結婚」は「Aさんの人生の結果」であり「自分の人生の評価基準」ではない。

第4章 「撤退ライン」を決めておく——婚活を「やめる」のも戦略

就活では「100社で打ち止め」にした(結果的に100社目で派遣社員として採用された)。婚活にも「撤退ライン」を設定する。「100人にいいねを送って1人もマッチングしなかったら撤退する」「婚活費用が年間15万円を超えたら撤退する」「精神的に辛くなったら即撤退する」。「撤退ラインを決めておく」ことで「底なしの消耗」を防ぐ。「撤退=敗北」ではない。「撤退=戦略的な判断」。NISAの「損切りライン」を決めておくのと同じ。「これ以上は損失を拡大させない」。

「撤退した後の人生」は——「婚活する前の人生」と「ほぼ同じ」。もやし炒めがある。発泡酒がある。NISAがある。散歩がある。読書がある。「婚活する前に幸福だった要素」は「婚活に失敗しても残っている」。「婚活で増えるかもしれなかった幸福」が「増えなかっただけ」。「失うもの」は「婚活費用(年間10〜15万円)」だけ。「婚活費用」はNISAに変換すれば「20年後に30〜45万円」。「30〜45万円の勉強代」。高いか安いか。「自分の限界を知った代償」としては——「安い」かもしれない。100社不採用の「就活の勉強代」(交通費、スーツ代等で推定10〜20万円)と同程度。「就活の勉強代で学んだこと=自分は正社員にはなれないが派遣で生き延びられる」。「婚活の勉強代で学ぶこと=自分は結婚できないかもしれないが独身でも幸せに暮らせる」。どちらも「自分を知る」ための投資。

第5章 「傷ついてもいい」——完璧な防御は不可能であり、不要

ここまで「傷つかない技術」を書いてきたが——正直に言えば「完璧に傷つかない方法」は存在しない。「拒絶されても全く傷つかない人間」はいない。「傷つく」のは「自然な反応」であり「正常な反応」だ。「傷つくこと」を「ゼロにする」のではなく「傷つきすぎない」ようにマネジメントする。

「もやし炒めを作って失敗した日」は「少しがっかりする」。だが「がっかりした自分」を責めない。「次はうまく作ろう」と思うだけ。婚活も同じ。「断られてがっかりした」→「がっかりした自分」を責めない→「次はもう少し工夫しよう」と思う→もやし炒めを食べる→寝る→翌日また普通の日常が始まる。「がっかり→回復→次」のサイクルを回す。回す速度が「レジリエンスの強さ」。22歳のときは「がっかり→1週間引きずる→やっと回復→次」。45歳の今は「がっかり→もやし炒め食べる→翌日回復→次」。「回復速度が7倍に上がった」。23年間の訓練の成果。

「傷ついても翌日にはもやし炒めが作れる」。これが「レジリエンスの最終形態」であり「婚活で傷つかない技術」の究極の答えだ。「傷つかない」のではなく「傷ついても立ち直れる」。「立ち直れる」ことを「知っている」から「傷つくことを恐れない」。「恐れない」から「また挑戦できる」。「挑戦できる」から「成功の確率が上がる」。「もやし炒め→レジリエンス→挑戦→確率の向上」。もやし炒めが——婚活の成功確率を上げている。間接的に。60円で。

結論——「100社不採用で鍛えたメンタル」は「婚活の最強の武器」

100社不採用。13社の派遣先。5回の派遣切り。パニック障害。これらの「逆境の経験」が「婚活の拒絶に耐える力」を育てた。「婚活の拒絶」は「就活の不採用」より「痛みが少ない」。就活の不採用は「生活の基盤(仕事)」に関わる。婚活の拒絶は「生活の質(パートナー)」に関わる。「基盤」のほうが「質」より「切実」。「より切実な痛みを乗り越えた経験」がある以上「婚活の痛み」は「相対的に軽い」。

氷河期世代が持つ「逆境に耐えた経験」は——「婚活市場では表に出ない資産」だが「婚活を続ける力」としては「最強の武器」。「拒絶されても折れない45歳」は「拒絶されたことがない25歳」より「結婚生活で困難が訪れたときに頼りになる」。「折れない力」は「結婚した後」にこそ真価を発揮する。「逆境の経験=結婚後の耐久力の担保」。これが——「45歳のスペック」の中で「最も価値があるスペック」だ。履歴書には書けないが。マッチングアプリのプロフィールには書けないが。「一緒に暮らしたときに初めてわかるスペック」。この「隠しスペック」が発揮される日が来ることを——もやし炒めを食べながら、待つ。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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