氷河期世代の「婚活と親」問題——45歳の息子の婚活を親にどう伝えるか

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はじめに——「結婚はまだなの?」の質問が23年間続いている

帰省するたびに。電話のたびに。「結婚はまだなの?」。母親が聞く。父親は黙っている(だが「気にしている」のは顔を見ればわかる)。22歳の頃から23年間、同じ質問を受けている。「まだです」「そのうち」「今は仕事に集中してます」(仕事に集中しているわけではないが)。回答のバリエーションは尽きた。23年分の「まだです」。23年分の親の失望。23年分の「この話題を避ける」ストレス。

45歳。婚活を始めようとしている(または始めた)。このことを「親に報告するか」。報告すれば「応援される」かもしれないが「過度な期待をかけられる」リスクもある。「婚活始めたんだって? どうなった? 相手は? いつ結婚するの?」の質問攻撃。報告しなければ「質問攻撃」は避けられるが「親に嘘をついている罪悪感」が残る。「報告するか、しないか」。この判断が——「婚活と親」問題の核心。

第1章 「報告する」場合のメリットとデメリット

メリット1は「親の安心」。「45歳の息子が婚活を始めた」のは親にとって「行動を起こしている」安心材料。「何もしていない」よりは「何かしている」ほうが親は安心する。メリット2は「親のネットワーク」。親の友人・知人に「うちの息子が相手を探しているんだけど」と声をかけてもらえる可能性。「親の世代のネットワーク」は「マッチングアプリとは別の出会いのルート」。メリット3は「精神的なサポート」。婚活で疲れたとき「お母さんに電話して話す」のは「精神の回復」になる場合がある。

デメリット1は「過度な期待」。「婚活始めたんでしょ? いつ結婚するの?」の催促。「催促」は「焦り」を生み「焦り」は「判断ミス」を生む。「焦って合わない相手と結婚する」最悪のシナリオ。デメリット2は「報告義務の発生」。「どうなった?」の定期的な質問。「まだマッチングしていません」の報告が辛い。「進捗がないのに進捗を報告する」ストレス。NISAの月次報告で「今月はマイナスでした」と報告するのに似ている(NISAは親に報告しないが)。デメリット3は「価値観の相違」。親世代は「結婚は当たり前」「25歳くらいで結婚するもの」の価値観。45歳の婚活は「親の常識の外」にある。「なんで今まで結婚しなかったの」の質問が——「過去23年間の人生を否定された」ように感じるリスク。

第2章 「報告しない」場合のメリットとデメリット

メリット1は「自分のペースで進められる」。親の期待に振り回されない。「焦らず、コツコツ」。NISAの積立と同じペースで。メリット2は「失敗しても報告しなくていい」。婚活が「うまくいかなかった」場合に「親にがっかりされない」。自分だけの失敗は「自分で処理できる」。親を巻き込んだ失敗は「処理が複雑になる」。メリット3は「プライバシーの確保」。「誰とデートした」「どこに行った」「何を話した」を報告する必要がない。45歳の大人として「自分の恋愛は自分で管理する」。

デメリット1は「嘘をつき続ける」。「結婚はまだなの?」→「今は考えてないよ」(嘘)。嘘は「精神的なコスト」がかかる。デメリット2は「親のネットワークを活用できない」。「紹介してもらえる可能性」を捨てている。デメリット3は「結婚が決まったときのサプライズが大きすぎる」。「婚活してたなんて聞いてない! なんで言ってくれなかったの!」の反応。「良い意味のサプライズ」だが「信頼関係の問題」に発展するリスク。

第3章 「折衷案」——言う範囲をコントロールする

折衷案1は「婚活していることだけ伝え、詳細は伝えない」。「最近、出会いの場に行ってみようかなと思って」。この1文だけ。「どのアプリ」「何人と会った」「どこまで進んだ」は伝えない。「行動を起こしていること」だけ伝えれば親は「一応安心する」。詳細を聞かれたら「まだ始めたばかりだから、進展があったら教えるよ」。この1文で「詳細の質問をシャットダウン」。

折衷案2は「母親にだけ伝え、父親には伝えない」。母親は「共感してくれる」可能性が高い。父親は「結果を求める」傾向がある。「母親に伝えて、父親には黙っておいてもらう」。母親が秘密を守ってくれるかどうかは——「賭け」だが。折衷案3は「結果が出てから伝える」。「交際が始まった段階」で初めて親に報告する。「婚活しています」ではなく「付き合っている人がいます」。「進行中のプロセス」ではなく「達成した結果」を報告する。「NISAの積立中の残高は報告しないが、100万円に到達したら報告する」のと同じ。

第4章 「親に会わせる」タイミング——交際相手を紹介するとき

交際相手を親に紹介するタイミング。早すぎるリスク:「交際1ヶ月で紹介→2ヶ月で別れた→親に気まずい」。遅すぎるリスク:「交際1年で紹介→なんでもっと早く言わなかったの→不信感」。最適なタイミング:「交際3〜6ヶ月。結婚を具体的に考え始めた段階」。「この人と結婚するかもしれない」の確信度が50%を超えたら紹介する。「50%以下の確信度で紹介する」のは「親を巻き込むリスクが高い」。

紹介の方法。方法1は「食事会」。5万円婚(結婚式をしない完全ガイド参照)と同じ構造。自分+パートナー+親(2〜4人)。レストランの個室。方法2は「帰省時に自然に会う」。「今度一緒に帰省したいんだけど」。「自然な形」で紹介。方法3は「ビデオ通話」。遠方の場合。LINEのビデオ通話で「顔合わせ」。0円。

「手取り16万円の派遣社員」を親にどう紹介するか問題。パートナーの親に「手取り16万円の派遣社員です」と伝える場面。——辛い。だが「年収を打ち明ける技術」(別稿参照)で学んだ方法を適用する。「今は派遣で事務をしていますが、将来のことも計画しています。自炊が得意で、貯金もコツコツしています」。「現状+将来性+スキル+堅実さ」のセット。「娘を任せても大丈夫かどうか」を親は見ている。「年収」ではなく「人柄と計画性」で信頼を得る。「もやし炒め120バリエーションの話」は——「親の前では控えたほうがいい」かもしれない。「料理が得意です」で十分。

第5章 「親の期待」と「自分の現実」のギャップを埋める

親の期待。「息子が幸せになってほしい」。「孫の顔が見たい」(45歳では現実的に厳しいが親はまだ期待している場合がある)。「老後に一人で暮らす息子が心配」。これらの期待は「愛情の表れ」であり「否定すべきもの」ではない。だが「期待通りの結果を出せるかどうかは別問題」。

自分の現実。「手取り16万円で婚活の成功確率は5〜10%」。「成功するかどうかはわからない」。「成功しなくても、もやし炒めがあれば生きていける」。「親の期待」と「自分の現実」のギャップを「どう埋めるか」。

ギャップの埋め方。方法1は「親に現実を理解してもらう」。「婚活は頑張ってるけど、45歳だからすぐには結果が出ないかもしれない。気長に見守ってほしい」。「気長に」のキーワード。NISAの複利が「20年で効く」ように、婚活も「時間がかかる」。「短期的な結果を求めないでほしい」の意思表示。方法2は「親を安心させる別の材料を提供する」。「結婚はまだだけど、貯金は220万円あるよ」「NISAもやってるよ」「健康に気をつけて散歩してるよ」。「結婚以外の安心材料」で「親の不安」を部分的に解消する。「結婚していなくても、ちゃんと暮らしている」証拠を見せる。

方法3は「親自身の老後を一緒に考える」。「僕のことより、お父さんお母さんの老後のほうが心配だよ。何か手伝えることはない?」。「親の心配」を「自分の心配」から「親自身の老後」に転換する。「親の老後を心配してくれる息子」は「結婚していなくても親孝行な息子」。「結婚の有無」ではなく「親を大切にする姿勢」で評価を得る。

結論——「親の幸福」と「自分の幸福」は別のもの

親は「息子の結婚」を望んでいる。だが「息子の幸福」を最も望んでいる。「結婚=幸福」の等式が親の頭にはあるが「結婚しなくても幸福」の可能性を見せれば親も——「まあ、元気ならいいか」と思ってくれる場合がある。「もやし炒めを美味しそうに食べている息子」の写真をLINEで送る。「今日のもやし炒め、新作です」。母親は「あら美味しそうね」と返す。この「美味しそうね」の中に「元気でやってるのね」「ちゃんと食べてるのね」「一人でも大丈夫なのね」の安心が含まれている。もやし炒めの写真1枚が「結婚の質問」を1回減らす。もやし炒めは「親への安心の供給装置」でもある。60円で。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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