資本政策のポイント

この記事は約4分で読めます。

自社株買い

自社株買いは、株価が低迷している時期に行えば、合理的な株主還元策です。
市場に出回っている株式が減少することで1株あたりの利益が増加し、結果的に株価が上昇します。
企業が利益還元策の一環として自社株を行うのは、第一に、企業が市場に出回っている株式を買い集めることで、株価の上昇が期待できます。
第二に、配当金などの形で株主に還元すると、株主に税金がかかりますが、自社株買いという形でならば株主に税金がかかりません。
第三に、自社株は割安なので自社で買っているというシグナルを市場に送ることができます。自社株買いは市場で十分に評価されていないと企業が主張しているので、それに注目した投資家が株式を購入する要因となります。

株式分割を頻繁に行う企業

株式分割は、増配と並ぶ株主への利益還元策といわれていますが、理論的には株価に中立です。
企業が1株を2株に分割するとした場合、企業全体の価値は変わらないので、1株あたりの株主資本や1株あたり利益は2分の1になり、理論株価も2分の1になります。
しかし、配当の額を分割したほどには減らさず、実質的な増配とするケースがあります。もともとの株式の配当金が70円だったとする場合、2分割すると配当金は35円になるはずですが、50円にとどめることで実質的増配が行われることになります。
また、株価が安くなることで個人投資家が買いやすくなるというメリットがあります。
売買単位が変われないとすると、分割前より株式購入に必要な金額が少なくなり、株価が高い値嵩株の場合には個人投資家にとって便利になります。

高配当銘柄への投資について

高配当銘柄には、つい目が行ってしまいがちです。
銀行預金の利息がほとんど期待できない今、年率3%くらいの配当利回りの銘柄があれば、つい投資したくなってしまうものです。
しかし、高配当銘柄にはいくつか注意しておきたい点があります。
 第一に、企業の成長率が低くなり、企業が投資活動にあまり資金を必要としなくなった結果として、資金還元策の一環で高配当を行っている可能性があることです。
企業が成長期にあるなら、企業の投資資金は足りませんから配当に回したりはしません。
高配当銘柄は、成長余力が少なくなってきたため、余剰資金が溜まり、株主還元の一環として配当を増やしてきた可能性があります。
高配当に気をとられすぎると、低配当が多い傾向がある成長企業への投資機会を逃してしまうかもしれません。
高配当は、投資を決める上での一要因にすぎないのです。
 第二に、高配当が見かけだけという場合が考えられます。
1000円の株に前期は10円の配当があったとします。
株価が500円になれば配当利回りは2%、株価が100円になれば配当利回りは10%です。
しかし、業績が悪化した結果、株価が下落していた場合、来期も配当が前期同様に支払われるとは限りません。
あるいは、倒産してしまうかもしれません。
いくら見かけの配当利回りが高くなっても、配当利回りの計算の元となった配当が実際に支払われなければ高配当に意味がありません。

 第三に、配当性向が高すぎる場合です。
毎期の1株あたり利益が10円の会社が、配当が20円を毎期出していれば、いずれ減配しなければいけなくなります。
減配されれば、高配当株と言えなくなるかもしれません。

ストックオプション

 ストックオプションとは、条件を満たしたときある一定の金額で株式を購入することができる権利のことを言います。
例えば、ストックオプションの行使価格が8万円で、株式の時価が10万円のときにストックオプションを行使すれば2万円儲かります。
 ストックオプションを会社が従業員や役員に与えて、株価が上昇すればするほど従業員や役員は儲かるので、会社の利益に貢献しようとする意識が高くなります。
また、新興企業では十分な給料を支払えない場合もあるので給料の補填という意味合いもあります。
 ストックオプション制度は、適正に運用されていれば特に問題はないのですが、余りにもたくさんのストックオプションが発行されると潜在的に株式の希薄化につながり株主の不利益になるので注意が必要です。
また、ストックオプションの行使価格が異常に低い場合も問題です。
ストックオプションの行使価格が1万円で、株式の時価が10万円だとしたら、余りにもストックオプションの価値が大きすぎます。
特に、欧米では役員としての給料としてよりもストックオプションの行使による収入が非常に多いことが問題視されています。
こうしたことから、ストックオプションを大量に発行している企業は、株主軽視といわれても仕方がないのかもしれません。

増資は悪か?

世の中では、増資が発表されると株価が下落するといわれているようですが、本当に増資は悪なのでしょうか。
確かに、増資により1株あたりの収益は希薄化します。
しかし、増資により企業にはキャッシュが入ってきます。
そのキャッシュを有益に使えば、増資で希薄化した分以上の利益を生み出すことが可能ではないでしょうか。
増資により資本体質の改善もできます。
また、まともな価格で公募できるなら、増資を行う企業は市場から信用されているとも考えられます。
要は、増資自体は極端に安値で増資しない限りは悪でも良いことでもなくて、増資で得たキャッシュをどのように使うかが大切なのです。
ですから、増資計画発表により市場が反応して極端に株価が下落した場合、買い場になることも少なくありません。

タイトルとURLをコピーしました