部門別投資
株式には、様々な特性があります。
成長に伴って純利益が増加し株価が値上がりしていくタイプや、景気の動向に対して敏感に反応して急激に上げ下げを繰り返すタイプなどです。
売買のタイミングにも関ることなので、自分が投資した銘柄がどのような値動きのタイプを持つのかを知っておく必要があります。成長に伴って株価が値上がりしていくタイプの場合、利益成長が順調であるかどうかが重要な点になりますし、景気動向に株価が大きく左右される場合は景気動向を良く見ておく必要があります。
或いは、株式を世の中ではグロース(成長株)とバリュー(割安株)とに分けられることが多いです(両方の特質を持った株も不況時にはありえます)。どちらに分類されるかにより、株式の取り扱い方が異なるので、よく調べておくことが必要でしょう。
成長株投資
1.投資指標
株式は日本株だけでも星の数ほどあり、その中から成長株を見つけることはとても大変なことです。そこで役に立つのがスクリーニング機能です。ある一定の条件を設定することでコンピュータが条件に合う銘柄を探し出してくれます。
ここでは、著名な投資家であるグレアムの基準を利用して、
PER×PBR=22.5以下になる銘柄を成長株として投資の目安とします。
例えば、PERが15倍の場合はPBR1.5倍を上限とし、PERが10倍の場合はPBRが2.25倍が上限の目安となります。
この基準でスクリーニングをし、株式を選別することで極端に割高な株を購入することを防ぐことができます。
ただし、PER×PBR=22.5以下という数値は厳しすぎるので条件を緩和することもありますが、それなりの根拠がなければ緩和してはいけないです。
どんなに優れた銘柄でも割高な株価で購入しては利益を出すことが困難になることを忘れてはいけません。
たとえば、PER100倍で買えば、100年分の利益を先取りすることになりますが、よほどの成長株でなければそのような高評価は正当化できないのです。
成長株の特徴としては売上増と同時にEPS(1株当たり利益)が継続的に増えていくことにあります。
EPSの増加が5年以上10%以上続いていることが望ましいでしょう。
2.事業資質
株価がいかに割安だとしても、その企業がそれ相応の実力しか兼ね備えていなければ、値上がりは期待できないでしょう。
いわゆる万年割安株と掴むことにもなりかねません。
そこでスクリーニングをして得た企業の中から、投資に値する企業(=成長を続けていける企業)を選ぶ必要があります。
ふるいにかけた企業を1つ1つ調べて企業の強みや弱みをじっくりと調べていくことで投資の機会が見えてくるようになります、
つまり、決してスクリーニングが万能というわけではありません。
景気循環型企業への投資
景気循環型企業とは、業界の景気の良し悪しに対し業績が敏感に反応する銘柄のことをいいます。
景気の影響を企業が受けるのは、当たり前ですが、景気循環株銘柄の場合には特に強く影響を受けます。
業種としては、鉄鋼や造船など重厚長大産業が多いです。景気循環株の特徴としては、業界の景気が悪い時には巨額の赤字を計上し、業界の景気が良いときには巨額の黒字を計上する傾向にあります。
ですから、業界の景気が悪いときに買って景気が良いときに売れば、株式投資で儲かる可能性は高くなりますが、景気の底で景気の天井なのかはなかなか分からないので難しいというのが実情です。
また、業界がずっと停滞したままである可能性も否定できません。しかし、底値で仕込んで天井値で売れれば買値の数倍や時には数十倍の利益が得られることもあるので、ハイリターンを得られるという魅力はあります。
景気循環株で注意する点は、一見すると割安に見える低PERのときに買うと天井で買ったことになる可能性が高いということです。
景気循環株では、業界の天井付近では巨額の黒字を計上する傾向が強いですが、投資家はこの収益が永続すると思っていないので、収益の割には高い株価がつきません。
よって、景気に左右されにくい業界の銘柄に比べると低PERの評価しか受けない傾向があります。
低PER=割安だと思ってしまうと、業界における景気の天井付近で株式を購入してしまうことにもなりかねないため注意が必要です。
一方、景気循環株は、業界の景気がどん底付近になると利益は激減し巨額の赤字を計上するようになります。
業界の景気がいずれ回復するとするなら、このどん底の時期に銘柄を仕込むべきなのですが、高PER=割高、赤字=悪という考え方だと銘柄を仕込むことができなくなってしまいます。
このように、景気循環株には他の銘柄とは異なった特性があります。