40代での転職活動は、20代の就職活動と似ているようで、全く違うゲームだと気づいた。
20代の就職活動は「可能性で戦う」。これからどうなるか・何ができるか——未来への可能性を提示することが評価される。40代の転職活動は「実績で戦う」。これまで何をしてきたか・何ができるか——過去の実績を具体的に提示することが評価される。ルールが違う。
40代前半に2回の転職活動を行った。応募した企業数・書類通過率・面接通過率・採用になった理由と不採用になった理由——全部記録していた。今日はその記録を、可能な範囲で正直に公開する。
1回目の転職活動:書類選考の現実
1回目の転職活動(42歳)での応募数は23社。書類選考を通過したのは8社。通過率は35%だった。
書類落ちになった15社のうち、連絡が来なかった(いわゆるサイレント不採用)のが9社。「書類選考の結果はメールでご連絡します」と書いてあったのに連絡が来なかった会社に対して、最初は怒りを感じた。でも後から考えると、その会社が「連絡をしない文化の会社」だという情報を得た、という見方もできる。連絡しない会社に入社したら、どんな対応を顧客・取引先にするかが想像できる。
書類落ちになった理由について、エージェントが教えてくれた(推測を含む)情報によると、「年齢が経験に見合わない」という評価があったようだ。42歳という年齢に対して、キャリアの蓄積が線形ではなかった(非正規期間・転職の空白期間があった)ことが、書類段階での評価を下げていた可能性があった。
就職氷河期世代として「キャリアの空白」を持つことは珍しくない。でも採用側はこの空白を「説明が必要な空白」として見る。書類でその説明をする余白は少ない。この限界と向き合うことが、40代転職の書類選考における最初の課題だった。
面接を通過した会社と落ちた会社の違い
書類を通過した8社のうち、最終面接まで進んだのは3社。内定が出たのは1社だった。
面接で落ちた5社を振り返ると、共通点が見えてくる。「自分のキャリアの説明に一定の時間がかかった面接」は落ちていた。就職氷河期世代として非線形なキャリアを持つ私は、「これまでの経緯」を説明するのに時間を要する。その説明の時間が長くなるほど、「前向きな話をする時間」が減る。面接は短時間勝負で、説明に終始することは印象を弱める。
最終的に内定になった会社の面接では、「経緯の説明」を最小化して「今できることと今後やりたいこと」に集中した。「非線形なキャリアを持っています。それが結果的にこういう強みになっています」という簡潔な変換ができた面接だった。
不採用の理由を聞くことについて
不採用になった時に「理由を聞く」ことが良いか悪いかについて、私は「聞ける場合は聞いた方がいい」という立場だ。
エージェント経由の応募では、エージェントが企業側にフィードバックを求めることができる。直接応募の場合は難しいが、メールで「お時間を取っていただき、ありがとうございました。もし差し支えなければ、今後の参考のためフィードバックをいただけますでしょうか」と送ることは、失礼でも過剰でもない。
実際に不採用理由のフィードバックをもらった経験が2回ある。1回は「他の候補者との比較で」という当たり障りのない理由。もう1回は「弊社が求めているスピード感と候補者の方のペースが合わないと判断しました」という具体的なものだった。後者は有益だった。「自分のペースが遅く見えた面接だった」という自覚はあって、それが採用側の判断として言語化されたことで、次の面接での改善点が明確になった。
内定が出た企業との「最初の違和感」
内定が出た企業に入社して3ヶ月後、「なぜここに受かったか」が少し分かった気がした。
その会社の文化は「丁寧さ」を評価していた。スピードより正確さ・量より質——私のキャリアが「丁寧だが遅い」と評価されてきた文化と合致していた。不採用になった会社は「スピード感」を重視する文化で、採用になった会社は「丁寧さ」を重視する文化だった。
採用とは「能力の評価」でありながら「文化的な適合度の評価」でもある。能力が高くても文化が合わなければ不採用になるし・能力が平均的でも文化が合えば採用になる。40代での転職は「自分の能力を上げること」より「自分の文化と合う会社を見つけること」の方が効率的かもしれない。
40代転職の総括
40代での転職活動を総括すると、「準備した量と結果が比例しない」という経験だった。
面接の準備に最も時間をかけた会社に落ちて、最も自然体で臨んだ会社に受かった。準備が無意味だったのではなく、準備が「自然体を支える基盤」として機能した時に結果につながった。準備した台本を読む面接と、準備を基盤にして自然に話す面接——後者の方が面接官に届く、という当たり前のことを体験で学んだ。
就職氷河期世代として「就職活動で落ち続けた経験」が、40代の転職活動への過度な恐怖を作っていた。でも40代の転職は「ゼロの自分を売り込む就職活動」ではなく「積み上げてきたものを届ける転職活動」だった。その違いに気づいた時に、活動のトーンが変わった。

