老後2000万円問題と就職氷河期世代【2000万円では足りない世代の現実的な対処法】

この記事は約5分で読めます。

2019年に金融庁の報告書が「老後に2,000万円が必要」と試算したことで、大きな話題になりました。でも就職氷河期世代にとって、2,000万円という数字は的外れかもしれません。

なぜなら、この試算は「夫婦二人・夫が正社員で厚生年金あり・妻が専業主婦」という前提で計算されているからです。非正規・低年収・厚生年金の加入期間が短い氷河期世代には、2,000万円では全く足りない可能性があります。場合によっては3,000万円・4,000万円以上の準備が必要になるケースもあります。

この記事では、就職氷河期世代にとっての老後2,000万円問題の現実と、どう対処すべきかを解説します。

老後2000万円試算の前提と問題点

金融庁の試算が「老後2,000万円が必要」と計算した根拠を正確に理解することが重要です。

この試算は、総務省の家計調査をもとに、夫65歳・妻60歳の高齢夫婦世帯の毎月の収支を計算したものです。毎月の収入(主に年金)が約21万円・毎月の支出が約26万円で、毎月約5万円の赤字が出るという計算です。これが30年続くと約1,800万円の不足になり、概算として「約2,000万円」という数字になりました。

この試算の前提が、多くの氷河期世代には当てはまりません。まず、収入として計算されている約21万円の年金受給額は、夫が正社員として長年厚生年金に加入していた場合の額です。非正規・低収入で長年過ごした氷河期世代の年金受給額は、これより大幅に少ないケースが多いです。

また、この試算は2017年の支出データをもとにしており、現在の物価上昇(インフレ)を反映していません。物価が上昇すると、同じ生活水準を維持するために必要な金額は増えます。2,000万円という数字は、インフレが続く中では実質的に目減りします。

氷河期世代の老後資金試算:現実的な数字

就職氷河期世代が実際にどのくらいの老後資金を準備すべきかを、より現実的に試算します。

まず月々の年金受給額ですが、非正規・低収入期間が長かった氷河期世代の場合、月6万〜10万円程度になるケースが少なくありません。一方、老後の月々の生活費は単身世帯で15〜16万円・二人世帯で23〜25万円が目安です。

単身・年金月7万円・生活費月15万円のケースで試算します。毎月の不足額は8万円です。65歳から90歳まで25年間とすると、8万円×12ヶ月×25年=2,400万円の不足が生じます。これに介護費用(平均500〜700万円)・緊急時の医療費・住居修繕費などを加えると、実際には3,000万円以上の備えが必要になる計算です。

二人世帯・夫婦合計の年金月15万円・生活費月23万円のケースでは、毎月の不足額は8万円で、25年間では同様に2,400万円の不足になります。ただし二人世帯では介護費用・医療費が双方に発生する可能性があるため、備えの額はさらに大きくなります。

これらの数字は悲観的すぎると感じるかもしれません。でも「知らなかった」より「知って備えた」方が、確実に良い結果につながります。現実を直視した上で、今から一歩ずつ対策を取ることが唯一の正解です。

3000万円を準備するために今からできること

3,000万円という目標額は大きく感じるかもしれませんが、時間と複利の力を使えば、今から40代・50代で始めても現実的な目標です。

NISA(新NISA)を活用した積立投資は、老後資金準備の最も有効な手段です。新NISAでは年間360万円まで非課税で投資できます。毎月3万円を年率5%で20年間積み立てると、約1,230万円になります(複利計算)。毎月5万円であれば約2,050万円になります。インデックスファンドへの長期積立は、過去のデータを見ると年率5〜7%程度のリターンが期待できます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)との組み合わせも有効です。NISAとiDeCoを両方活用することで、投資可能枠が広がります。iDeCoは掛け金が全額所得控除になるため、節税しながら老後資金を積み立てられます。

副業による収入アップも、老後資金準備を加速させます。月3万円の副業収入を全て老後資金に回せば、年間36万円の追加積み立てが可能です。副業収入をNISAに積み立て続けることで、老後資金の準備スピードが大幅に上がります。

働く期間を延ばすことも重要な対策です。65歳まで働くことを前提にするのではなく、健康が許す限り68歳・70歳まで働くことを視野に入れることで、年金の繰り下げ受給ができ・老後に取り崩す資産額も減ります。氷河期世代は体力的に厳しい労働を続けてきた方も多いですが、体力が許す範囲での就労継続は、老後の経済的な安定に大きく貢献します。

インフレへの備え:現金だけでは目減りする

老後資金を現金・預貯金だけで持っていることの危険性についても理解しておく必要があります。

インフレ(物価上昇)が続くと、現金の実質的な価値は目減りします。年率2%のインフレが20年続くと、現在の100万円は購入できるものの量が約67万円分に減ります。銀行の普通預金の金利は0.001〜0.1%程度であり、インフレ率に全く追いつきません。

老後資金の一部を投資(株式・投資信託)で持つことで、インフレに対応する必要があります。すべてを投資に回す必要はありませんが、老後資金の30〜50%程度を株式・投資信託で持ち・残りを現金・債券で持つという分散が、インフレリスクと価格変動リスクのバランスを取る上で現実的な戦略です。

まとめ

老後2,000万円問題は、就職氷河期世代にとっては2,000万円では足りない問題です。現実的な試算をすると、3,000万円以上の備えが必要になるケースが多いです。でも今から動けば、時間と複利の力を使って確実に備えることができます。NISA・iDeCo・副業・就労期間の延長——これらを組み合わせて、一つずつ着実に進めていきましょう。

タイトルとURLをコピーしました