氷河期世代の「冠婚葬祭」のお金問題——ご祝儀・香典をどう工面するか
はじめに——「ご祝儀3万円」が月収の2割
友人の結婚式に招待された。嬉しいような、辛いような。嬉しいのは友人の幸せ。辛いのはご祝儀3万円。手取り16万円の18.75%。月収の約5分の1が、一日で消える。もやし1000袋分。NISAの月積立額の1.5ヶ月分。
冠婚葬祭は「断れない出費」の代表格だ。結婚式のご祝儀、葬儀の香典、出産祝い、入学祝い。これらは「社会的な義務」として求められ、「払えません」とは言いにくい。だが手取り16万円の生活で、突発的に3万円の出費が発生するのは、家計にとって大打撃だ。
このエッセイでは、冠婚葬祭のお金問題への現実的な対処法を示す。「いくら包むか」「どう工面するか」「断ってもいいか」。
冠婚葬祭の「相場」を整理する
まず、冠婚葬祭で必要な金額の相場を整理する。
結婚式のご祝儀。友人の場合:3万円。同僚の場合:3万円。親戚の場合:5〜10万円。二次会のみ参加:5000〜10000円。
葬儀の香典。友人の場合:5000〜10000円。同僚の場合:5000円。上司・目上の場合:5000〜10000円。親戚の場合:10000〜30000円。
出産祝い。友人の場合:5000〜10000円。同僚の場合:3000〜5000円。親戚の場合:10000〜30000円。
入学祝い・七五三祝い。親戚の場合:5000〜10000円。友人の場合:不要(または3000円程度のプレゼント)。
年間で、結婚式1回(3万円)、葬儀1回(5000円)、出産祝い1回(5000円)が発生すると仮定すると、年間40000円。月あたり約3300円。NISAの月積立を3000円分増やせる金額だ。
ご祝儀3万円を「工面する」5つの方法
方法1は「冠婚葬祭の積立をする」こと。毎月3000円を「冠婚葬祭用」として別に積み立てておく。12ヶ月で36000円。年に1回の結婚式のご祝儀(3万円)と、1〜2回の香典(5000〜10000円)をカバーできる。先取り貯蓄と同じ要領で、給料日に自動で別口座に移す。
方法2は「生活防衛資金から一時的に出す」。積立が間に合わない場合、生活防衛資金50万円から一時的に3万円を出す。翌月から月5000〜10000円ずつ補填して元に戻す。生活防衛資金は「予期しない出費」のためのものであり、ご祝儀は「予期しない出費」に該当する。
方法3は「食費を一時的に削る」。ご祝儀を出す月だけ、食費を5000円削る。もやし炒めの頻度を増やす。外食を完全にゼロにする。1ヶ月だけの「超節約モード」で5000円浮かせば、ご祝儀の負担は25000円に軽減される。
方法4は「交通費・服装の費用を抑える」。結婚式の交通費は自己負担の場合がある。遠方なら夜行バスで移動する。服装はレンタルスーツ(5000〜10000円)を検討。靴も磨いて使い回す。
方法5は「二次会だけ参加する」。披露宴のご祝儀3万円は厳しいが、二次会なら5000〜8000円。「当日は仕事があるので披露宴は出られないが、二次会には行きます」。嘘ではない場合もあるし、嘘の場合もある。二次会だけでも「出席した」という事実が残り、友情は維持される。
「断る」という選択肢
結婚式を断ることは「あり」だ。断るのは失礼だと思われがちだが、経済的に出席が困難な場合は、正直に断っても問題ない。
断り方の例。「おめでとう。本当に嬉しい。でも正直に言うと、今お金が厳しくて、ご祝儀を包む余裕がないんだ。申し訳ないが欠席させてほしい。お祝いの気持ちだけ受け取ってくれ」。正直に経済状況を伝えることは恥ずかしくない。恥ずかしいのは「払えないのに無理して払って、翌月の家賃が払えなくなる」ことだ。
断った場合でも、後日お祝いのプレゼント(1000〜3000円程度)を送れば、気持ちは十分に伝わる。3万円のご祝儀と、3000円のプレゼント。金額は10倍違うが、「お祝いの気持ち」は同じだ。
香典の「最低ライン」
葬儀の香典は、結婚式のご祝儀より柔軟だ。友人や同僚の葬儀なら、5000円で問題ない。3000円でも許容される場合がある。香典の金額は「故人との関係の深さ」と「自分の経済力」で決めていい。「払える金額」を包む。それが自分にとっての「誠意」だ。
香典は「偶数を避ける」「4や9を避ける」などのマナーがある。5000円か10000円が最も無難。3000円なら新札ではなく、折り目のある紙幣を使う(新札は「準備していた」印象を与えるため、葬儀ではマナー違反とされる)。
冠婚葬祭と「人間関係の断捨離」
冠婚葬祭の出費は、「誰と付き合うか」によって大きく変わる。友人が多ければ結婚式の招待も多い。親戚が多ければ冠婚葬祭の機会も多い。人間関係の断捨離(前のエッセイで解説した)を行い、「本当に大切な関係」だけを残せば、冠婚葬祭の出費も自然に減る。
「大切な人の結婚式には3万円を包む。それ以外は断る」。このルールを持っておけば、冠婚葬祭の出費が予想外に膨らむことはない。
まとめ——冠婚葬祭は「計画的に備える」もの
冠婚葬祭の出費は「突発的」に見えるが、「年に数回は発生する」という意味では「予測可能」だ。予測可能なら計画的に備えられる。月3000円の積立で、年間の冠婚葬祭費用をカバーできる。月3000円。もやし100袋分。この100袋分で、社会的な義務を果たし、人間関係を維持できるなら、悪くない投資だ。
冠婚葬祭は「払うべきもの」であると同時に「断ってもいいもの」だ。払える範囲で払い、払えない場合は正直に断る。正直さは、長い目で見れば信頼を築く。「あの人は無理して借金してまで来てくれた」より「あの人は正直に事情を話してくれた」のほうが、関係は健全だ。
このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

