45歳独身が「かかりつけ医」を持つべき理由——年1回の3000円が命を守る

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45歳独身が「かかりつけ医」を持つべき理由——年1回の3000円が命を守る

はじめに——「病院に行くのは病気になってから」の危険

「かかりつけ医」を持っていない。病気になったときだけ、近くの病院を検索して行く。行くたびに違う病院。毎回初診。毎回最初から症状を説明する。「以前はどんな薬を飲みましたか」「アレルギーはありますか」「持病はありますか」。毎回同じ質問に答える。

かかりつけ医がいれば、これらの質問は不要だ。過去の診療記録が残っている。アレルギー情報も持病も把握されている。「前回の血液検査と比べて、今回はコレステロールが上がっていますね」。過去との比較ができる。比較できるから、変化に気づける。変化に気づけるから、早期発見ができる。

独身の一人暮らしこそ、かかりつけ医が必要だ。家族がいれば「最近顔色が悪いよ」「病院に行ったら?」と指摘してくれる。一人暮らしでは、体調の変化に気づいてくれる人がいない。自分で気づかなければ、誰も気づかない。かかりつけ医は「定期的に体の状態をチェックしてくれる第三者」だ。

「かかりつけ医」とは何か

かかりつけ医の定義は明確ではないが、一般的には「健康に関することを何でも相談でき、必要な場合は専門の医療機関を紹介してくれる、身近な医師」のことだ。近所のクリニック(内科)の医師がかかりつけ医になることが多い。

かかりつけ医の役割。役割1は「日常的な健康相談」。風邪、腹痛、腰痛、不眠。日常的な体の不調を相談する。「これは病院に行くべきレベルか」の判断を仰げる。役割2は「継続的な健康管理」。定期的に通院し、血圧、血糖値、コレステロール値などを継続的にチェックしてもらう。過去のデータとの比較で、異常の早期発見が可能。役割3は「専門医への紹介」。かかりつけ医が「これは専門の検査が必要」と判断すれば、適切な専門医や病院を紹介してくれる。自分で「何科に行けばいいかわからない」問題が解決する。

かかりつけ医の「見つけ方」

見つけ方1は「自宅から徒歩15分以内の内科クリニックを探す」。体調が悪いとき、遠い病院に行くのは辛い。徒歩圏内にあることが重要。Google マップで「内科 クリニック」と検索すれば、近くのクリニックが表示される。口コミも参考になる(ただし口コミは極端な意見が多いので、あくまで参考程度に)。

見つけ方2は「まず1回行ってみる」。「かかりつけ医を見つけよう」と構えるのではなく、「風邪を引いたから、とりあえず近くの内科に行ってみる」くらいの気軽さでいい。行ってみて、医師の対応が良ければ、次回もそこに行く。3回通えば、カルテに過去のデータが蓄積される。蓄積されたデータが「かかりつけ医との関係」の基盤になる。

見つけ方3は「健康診断の結果を持っていく」。会社の健康診断の結果を持って、クリニックを受診する。「健康診断の結果を見てもらいたいのですが」と伝える。医師が結果を見て、「ここの数値が気になりますね。定期的にチェックしましょう」と言ってくれれば、定期通院の開始だ。これが「かかりつけ医との関係の始まり」。

かかりつけ医にかかるコスト

初診料。保険適用(3割負担)で約850〜1500円。再診料は約400〜700円。血液検査が加わると、初診時で2000〜5000円程度(検査内容による)。再診時の血液検査で1000〜3000円程度。

年に2回の定期受診(血液検査あり)の場合。初回約3000〜5000円+2回目約2000〜3000円=年間約5000〜8000円。月あたり約400〜700円。発泡酒3〜5本分。この金額で「体の異変の早期発見」が可能になる。

「高い」と感じるかもしれない。だが異変を早期に発見できれば、治療費は安く済む。初期のコレステロール異常なら、生活習慣の改善で薬が不要な場合もある。放置して心筋梗塞になれば、入院・治療費で数十万円。年間5000〜8000円の「早期発見のコスト」と、数十万円の「放置のコスト」。どちらが安いかは明白だ。

「医者が嫌い」「病院が怖い」への処方箋

「医者が嫌い」「病院が怖い」。この感情を持つ人は少なくない。子どもの頃の注射のトラウマ。「異常が見つかるのが怖い」という恐怖。「医者に怒られるのではないか」という不安。

処方箋1は「かかりつけ医は『味方』であること」を知ること。医師はあなたを叱るために存在するのではない。あなたの健康を守るために存在する。「お酒を控えてください」「運動してください」と言われるのは「怒られている」のではなく「助言されている」のだ。助言を受け入れるかどうかは自分次第。受け入れなくても、医師は怒らない。

処方箋2は「クリニックの雰囲気が合わなければ変えていい」こと。最初に行ったクリニックが合わなければ、別のクリニックに行く。医師との相性は重要。「この先生に診てもらいたい」と思える医師を見つけるまで、いくつか試してもいい。

処方箋3は「最初は小さな用事で行く」こと。「人間ドックを受けたい」や「精密検査を受けたい」のような大きな用事ではなく、「風邪をひいたから」「花粉症の薬が欲しいから」のような小さな用事で行く。小さな用事で行って、医師の対応を確認する。対応が良ければ、次回は「健康診断の結果を見てほしい」と相談する。段階を踏む。

かかりつけ医と「メンタルヘルス」

かかりつけ医は、体の不調だけでなく、メンタルの不調も相談できる場合がある。「最近眠れない」「気分が落ち込む」「食欲がない」。これらの症状を内科のかかりつけ医に相談すると、軽度の場合は睡眠薬や抗不安薬を処方してくれることがある。重度の場合は心療内科や精神科を紹介してくれる。

「メンタルの問題で心療内科に行くのは抵抗がある」という人にとって、かかりつけ医は「最初の相談窓口」として機能する。内科なら「体の不調で行く」体裁が保てる。体の不調として相談し、その中で「実はメンタルも辛い」と打ち明ける。打ち明けやすい雰囲気のかかりつけ医がいれば、メンタルヘルスの問題を一人で抱え込まずに済む。

「独身者の安否確認装置」としてのかかりつけ医

独身の一人暮らしにとって、かかりつけ医は「安否確認装置」の一つでもある。定期的に通院していれば、「来月の予約日に来なかった」場合、クリニック側が気づく。気づいてくれる場所が一つ増える。

もちろんクリニックは「無断キャンセルの患者の安否を確認する」義務はない。だが「最近来ないな、大丈夫かな」と気にかけてくれる可能性はある。気にかけてくれる人が一人でも増えることは、独身者にとって大きな安心材料だ。

まとめ——「年1回の3000円」が命を守る

かかりつけ医を持つこと。年に1〜2回通うこと。これだけで、体の異変の早期発見、メンタルの相談窓口、専門医への橋渡し、そして「気にかけてくれる人」が得られる。コストは年間5000〜8000円。月400〜700円。発泡酒3〜5本分。

発泡酒3〜5本を我慢して、かかりつけ医に行く。3本の発泡酒より、1回の診察のほうが、長期的なリターンが高い。発泡酒は今夜の幸福。かかりつけ医は来年以降の生存確率。どちらも大切だが、生存確率がゼロになれば発泡酒も飲めなくなる。

来月、近所の内科クリニックに行ってみよう。「健康診断の結果を見てもらいたいのですが」。この一言から、かかりつけ医との関係が始まる。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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