45歳独身が「AI時代」を生き残るための最低限のデジタルスキル——ChatGPTからExcelまで無料で学ぶ全手順

この記事は約7分で読めます。

はじめに——「AIに仕事を奪われる」は他人事か

「AIが人間の仕事を奪う」。このフレーズをニュースやSNSで目にするたびに、漠然とした不安を感じる。だが45歳の派遣社員にとって、この不安は「漠然」ではなく「切実」だ。データ入力、書類整理、電話対応。派遣社員が担っている業務の多くが、AIや自動化の対象になりうる。

「自分の仕事がAIに置き換えられたら、どうするか」。この問いに、今のうちから答えを用意しておく必要がある。答えの一つが「AIを使う側に回る」ことだ。AIに仕事を奪われるのではなく、AIを道具として使いこなす。道具を使いこなせれば、「AIが使えない人」より「AIが使える人」のほうが職場で価値がある。価値があれば、仕事を失いにくい。

「でも自分はデジタルが苦手」「パソコンは仕事で使うだけ」「AIなんてわからない」。この気持ちはわかる。だが「わからない」は「学べば変わる」だ。このガイドでは、デジタルが苦手な45歳が「最低限のデジタルスキル」を無料で身につける方法を解説する。

スキル1:「ChatGPT」を使いこなす

ChatGPTは、質問すると文章で回答してくれるAIツールだ。無料版(GPT-3.5)で十分に使える。Googleで検索するように、ChatGPTに「質問」するだけ。

使い方の基本。ChatGPTのウェブサイトにアクセスする。アカウントを作成する(メールアドレスだけで登録可能)。テキストボックスに質問を入力する。「確定申告のやり方を教えて」「もやし炒めのレシピを3つ教えて」「Excelの VLOOKUP関数の使い方を初心者向けに説明して」。質問すれば、数秒で回答が返ってくる。

仕事での活用法。メールの下書きを作ってもらう(「取引先にお礼のメールを書いて。丁寧な文体で」)。書類の要約を頼む(「この文章を3行に要約して」)。Excelの関数を教えてもらう(「売上データの合計を出す関数を教えて」)。わからない専門用語を解説してもらう(「『デフォルト』ってどういう意味?」)。

ChatGPTを使えることの価値。「わからないことを、すぐに、わかりやすく教えてもらえる」。Google検索では「どのサイトの情報が正しいか」を自分で判断する必要がある。ChatGPTは「まとめた回答」を返してくれるので、情報の取捨選択の手間が省ける。ただしChatGPTの回答が常に正しいわけではない。重要な情報は、公式サイトや信頼できる情報源で再確認する。

スキル2:「Excel」の基本関数を覚える

Excelは事務系の仕事で必須のツールだ。「Excelが使える」と言えるレベルは、以下の5つの関数が使えること。

関数1は「SUM」。数値の合計を計算する。=SUM(A1:A10)で、A1からA10までの数値の合計が出る。最も基本的な関数。

関数2は「AVERAGE」。数値の平均を計算する。=AVERAGE(A1:A10)で、A1からA10の平均値が出る。

関数3は「IF」。条件に応じて異なる結果を返す。=IF(A1>=80,”合格”,”不合格”)で、A1が80以上なら「合格」、未満なら「不合格」と表示される。

関数4は「VLOOKUP」。表の中から特定のデータを検索して返す。事務系の派遣で「VLOOKUPが使えます」と言えば、時給が50〜100円上がる可能性がある。YouTubeで「VLOOKUP 使い方 初心者」と検索すれば、10分の動画で理解できる。

関数5は「COUNTIF」。条件に一致するセルの数を数える。=COUNTIF(A1:A100,”東京”)で、A1からA100の中に「東京」が何個あるか数えてくれる。

これら5つの関数を覚えるのに必要な時間。YouTubeの無料動画で各10〜15分。合計1時間。1時間の学習で「Excelの基本関数が使える」スキルが身につく。このスキルは、事務系の派遣で確実に評価される。

スキル3:「タイピング」の速度を上げる

タイピングが速いと、仕事の効率が上がる。データ入力の仕事なら、タイピング速度=生産性。速ければ速いほど、同じ時間でより多くの仕事ができる。

タイピング練習の方法。e-typing(無料のウェブサイト)で毎日10分練習する。最初は「1分間に100文字」程度でも、1ヶ月で「1分間に150〜200文字」に上がる。2ヶ月で200文字を超えれば、事務系の仕事で「速い」と評価されるレベル。

練習のコツ。「正確さ」を優先する。速さよりもミスタイプを減らすことが先。ミスタイプが少なくなれば、自然と速度も上がる。ホームポジション(キーボードのF・Jに人差し指を置く位置)を守る。最初は遅くてもいい。正しい指使いで打てるようになれば、速度は後からついてくる。

スキル4:「クラウドストレージ」を使う

Googleドライブ、OneDrive、iCloud。これらの「クラウドストレージ」を使えれば、ファイルをパソコンとスマートフォンの両方からアクセスできる。「USBメモリに保存して持ち歩く」時代は終わった。

Googleドライブの使い方。Googleアカウント(Gmailのアカウント)があれば、15GBまで無料で使える。ファイルをGoogleドライブにアップロードすれば、パソコンでもスマートフォンでもアクセスできる。「パソコンで作った書類を、スマートフォンで確認する」ことができる。

仕事での活用法。重要な書類のバックアップ(パソコンが壊れてもクラウドに残る)。外出先からファイルにアクセスする。共有リンクを使って、メールで大きなファイルを送る代わりにリンクを送る。

スキル5:「ウェブ検索」の精度を上げる

「Google検索くらい誰でもできる」と思うかもしれない。だが「検索の精度」は人によって大きく異なる。同じ問題を解決するのに、検索が上手な人は5分で答えを見つけ、下手な人は30分かかっても見つからない。

検索のコツ1は「キーワードを具体的にする」。「年金」ではなく「国民年金 免除 申請方法 2025年」。具体的なキーワードほど、求める情報にたどり着きやすい。

コツ2は「公式サイトを優先する」。税金のことは国税庁のサイト。年金のことは日本年金機構のサイト。健康保険のことは協会けんぽのサイト。個人ブログやまとめサイトより、公式サイトの情報が正確。

コツ3は「検索結果の2ページ目以降も見る」。多くの人が検索結果の1ページ目だけ見て終わる。2ページ目以降に、より詳細な情報や異なる視点の情報がある場合がある。

スキル6:「スマートフォンの設定」を使いこなす

スマートフォンの「設定」メニューを開いたことがない人は多い。だが設定を使いこなせば、生活の効率が上がる。

設定のコツ1は「スクリーンタイムの設定」。前のエッセイ(新規13)で解説した通り、SNSの利用時間を制限する。設定→スクリーンタイム→App使用時間の制限。これだけで1日2時間が解放される。

コツ2は「リマインダーの活用」。ゴミの日、薬を飲む時間、冠婚葬祭の積立日。これらをリマインダーに登録しておけば、忘れない。忘れなければ、ゴミが溜まらず、薬を飲み忘れず、お金が計画的に貯まる。

コツ3は「辞書登録」。よく使う文字列を辞書に登録する。「あり」→「ありがとうございます」。「おつ」→「お疲れさまです」。「じゅ」→「〒123-4567 東京都○○区…」(自分の住所)。入力時間が大幅に短縮される。

「デジタルスキル」は「生存スキル」

デジタルスキルは「趣味」ではなく「生存スキル」だ。AI時代に「デジタルが使えない人」は、就職氷河期に「正社員経験がない人」と同じ立場に追いやられる。「使えないから仕事がない」→「仕事がないから収入がない」→「収入がないから生活できない」。この悪循環を防ぐために、最低限のデジタルスキルを今のうちに身につけておく。

6つのスキルすべてを身につけるのに必要な時間。ChatGPT(30分)、Excel(1時間)、タイピング(毎日10分×1ヶ月)、クラウドストレージ(30分)、検索スキル(30分)、スマホ設定(30分)。合計約3〜4時間+タイピング練習1ヶ月。3〜4時間の「初期投資」で、AI時代の生存確率が上がる。費用はすべて無料。0円の投資。リターンは「仕事を失わない可能性の向上」。

まとめ——「デジタルが苦手」は今日限りでやめる

「デジタルが苦手」は、「まだ学んでいない」だけだ。学べば使える。使えれば苦手ではなくなる。45歳から学んでも遅くない。60歳からでも遅くない。「遅い」のは「学ばないこと」だけだ。

今日、ChatGPTにアカウントを作ってみてほしい。作ったら、「もやし炒めの美味しい作り方を教えて」と聞いてみる。回答が返ってくる。「これがAIか」と思う。次に「Excelの VLOOKUP の使い方を初心者向けに教えて」と聞く。わかりやすい解説が返ってくる。「AIって便利だな」と思う。

その「便利だな」が、デジタルスキル学習の第一歩だ。第一歩を踏み出せば、第二歩は自然についてくる。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

タイトルとURLをコピーしました