公務員の「部署ガチャ」完全解説——配属先で仕事も人生も変わる現実と対処法

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はじめに——合格した喜びの後に待つ「配属先の運命」

公務員試験に合格した。嬉しい。だが喜びも束の間、次の不安がやってくる。「どの部署に配属されるのか」。公務員の配属先は、基本的に「自分では選べない」。人事課が決める。希望は出せるが、希望通りになる保証はない。「市民課で窓口対応がしたい」と希望しても、「下水道課」に配属されることがある。これが「部署ガチャ」だ。

部署ガチャの結果は、公務員生活の質を大きく左右する。「当たり」の部署に配属されれば、仕事が楽しく、人間関係も良好で、定時に帰れる。「ハズレ」の部署に配属されれば、仕事が辛く、人間関係がギスギスし、残業が多い。同じ自治体の同じ職員でも、部署が違えば「天国」と「地獄」ほどの差がある。

このガイドでは、自治体の主要な部署を「仕事内容」「忙しさ」「氷河期世代の適性」の観点で分類し、「配属されたらどう対処するか」を解説する。

自治体の部署を「5つのカテゴリ」に分類する

自治体の部署は大きく5つのカテゴリに分けられる。

カテゴリ1は「窓口系」。市民課、税務課、保険年金課、福祉課の窓口。市民と直接対面して手続きを行う。「住民票を出してください」「国保の手続きをしたい」「生活保護の相談がしたい」。市民の「顔が見える」仕事。やりがいを感じやすいが、クレーム対応のストレスもある。

カテゴリ2は「事務系(内部管理)」。総務課、人事課、財政課、会計課。組織の内部管理を担当。予算の編成、職員の人事、文書管理、契約事務。市民と直接接する機会は少ない。デスクワーク中心。正確さと緻密さが求められる。

カテゴリ3は「企画系」。企画課、政策推進課、広報課、情報政策課。自治体の計画策定、政策立案、広報活動、ICT推進。「クリエイティブな仕事」に見えるが、実態は「会議と資料作成の連続」。議会対応で繁忙期は残業が増える。

カテゴリ4は「福祉系」。生活保護課、障害福祉課、高齢者福祉課、子育て支援課。社会的弱者の支援を担当。ケースワーカー(生活保護担当)は精神的な負荷が大きいが、「困っている人を助ける」やりがいも大きい。氷河期世代の「当事者意識」が最も活きる分野。

カテゴリ5は「技術系・現場系」。土木課、建築課、環境課、農林課、上下水道課。道路の維持管理、建築確認、ごみ処理、水道管理。現場への外出が多い。デスクワークだけでなく現場対応もある。事務職で採用されても配属される可能性がある。

「忙しさ」で部署をランク分けする

自治体の部署には「忙しさの格差」がある。同じ月給をもらっていても、部署によって残業時間が月10時間と月80時間の差がある。

比較的忙しくない部署(残業月10〜20時間以下)。市民課(繁忙期の3〜4月を除く)。環境課(一部)。教育委員会の事務局(一部)。図書館。公民館。出先機関(支所、サービスセンター)。

中程度の忙しさ(残業月20〜40時間)。税務課。保険年金課。福祉課。総務課。人事課。広報課。

かなり忙しい部署(残業月40〜80時間以上)。財政課(予算編成時期の10〜3月は激務)。企画課(議会対応時期)。生活保護課(ケースワーカー。常に多忙)。防災危機管理課(災害時は24時間体制)。選挙管理委員会(選挙前後は超激務)。

氷河期世代の45歳新人が最初に配属されやすい部署は「窓口系」か「出先機関」が多い。窓口系は「新人が最初に経験すべき仕事」として位置づけられており、市民対応のスキルを身につける場として定番。出先機関は「本庁より忙しくない」ため、新人が慣れるのに適している。

氷河期世代に「向いている」部署

氷河期世代の経験を最も活かせる部署を3つ示す。

向いている部署1は「福祉課・生活保護課」。氷河期世代の「当事者意識」が最も活きる分野。生活に困窮している市民の相談に乗り、適切な支援につなげる。「困っている人の気持ちがわかる」ことが最大の強み。精神的に辛い場面もあるが、「ありがとう」と言われたときのやりがいは格別。

向いている部署2は「市民課の窓口」。30以上の職場で培った「対人スキル」と「適応力」が活きる。住民票、戸籍、印鑑証明。手続きの種類が多いが、パターンを覚えれば対応できる。「新しい業務を短期間で覚える」スキルは派遣時代に鍛えられている。

向いている部署3は「就職氷河期世代支援の担当部署」。一部の自治体では「就職氷河期世代支援」の専門部署や担当を設けている。氷河期世代の当事者がこの部署に配属されれば、「施策の対象者そのもの」が「施策の推進者」になる。これ以上の説得力はない。

「ハズレ部署」に配属されたときの対処法

希望しない部署に配属されることは「普通」だ。公務員の大半は「第一希望ではない部署」で働いている。ハズレだと感じても、対処法がある。

対処法1は「3年間の辛抱」と割り切ること。公務員の異動は3〜5年サイクル。ハズレ部署でも3年経てば別の部署に異動できる。「3年間だけ頑張る」と期限を決めれば、精神的に楽になる。派遣社員として「3ヶ月〜1年で職場が変わる」ことに慣れてきた氷河期世代なら、「3年で異動」は十分に耐えられるはずだ。

対処法2は「ハズレ部署での経験を『自分のスキル』に変換する」こと。どんな部署でも「学べること」はある。下水道課に配属されたら「公共インフラの知識」が身につく。財政課に配属されたら「予算編成のスキル」が身につく。これらのスキルは、異動後の部署でも活きる。「すべての経験は将来の自分の糧になる」。派遣時代に30以上の職場で得た教訓と同じだ。

対処法3は「異動希望を出し続ける」こと。多くの自治体では年に1回「異動希望調査」がある。希望する部署を記入して提出する。1回で希望が通ることは少ないが、3年連続で同じ希望を出し続ければ、人事課も「この人はこの部署を強く希望している」と認識する。認識されれば、次の異動で反映される可能性が上がる。

「部署ガチャ」を「人生のスパイス」と捉える

民間企業(特に大企業)でも「配属ガチャ」は存在する。公務員に限った話ではない。だが公務員の「部署ガチャ」には、民間にはないメリットがある。それは「まったく異なる分野の仕事を経験できる」ことだ。

民間企業の異動は「同じ職種内の異動」が多い(営業から営業へ、経理から経理へ)。公務員の異動は「福祉→土木→企画→税務」のように、まったく異なる分野に移る。これは「ジョブローテーション」と呼ばれ、「幅広い行政サービスを理解するため」に意図的に行われる。

結果として、定年までに5〜7の異なる分野を経験する。「福祉のことも、税金のことも、道路のことも、予算のこともわかる」人材になる。この「幅広さ」は、管理職になったときに活きる。全体を俯瞰できる力。部分最適ではなく全体最適を考える力。氷河期世代は「派遣で多様な業種を経験した」幅広さを持っている。公務員の「部署ガチャ」は、その幅広さをさらに拡大してくれる。

まとめ——「どの部署でもやっていける」のが氷河期世代の強み

部署ガチャの結果は自分ではコントロールできない。コントロールできないことに悩んでも仕方がない。コントロールできるのは「配属された部署でどう働くか」だけだ。

氷河期世代は「30以上の職場に適応してきた」実績がある。30の職場に適応できた人間が、1つの部署に適応できないはずがない。「どの部署でもやっていける」。これが氷河期世代の最大の強みであり、部署ガチャの最強の攻略法だ。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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