はじめに——散髪代は「固定費」か「変動費」か
1000円カットに月1回通うと年間12000円。美容室なら年間36000〜60000円。「たかが散髪代」と思うかもしれないが、年間12000〜60000円は決して小さくない。手取り16万円の0.6〜3.1%。年間12000円を20年NISAで運用すれば約49万円。散髪の仕方を変えるだけで、20年後に49万円。
「散髪代をゼロにする」方法がある。セルフカットだ。自分で自分の髪を切る。「そんなことできるのか」と思うだろう。できる。「美容師レベルの仕上がり」は無理だが、「清潔で整った見た目」は十分に実現できる。独身の45歳男性に必要なのは「おしゃれな髪型」ではなく「清潔感のある髪型」だ。清潔感は、セルフカットでも十分に出せる。
セルフカットに必要な道具——合計2000〜3000円
必要な道具1は「バリカン」(1500〜3000円)。長さの調整アタッチメント付きのものを選ぶ(3mm、6mm、9mm、12mm等)。Amazonで「セルフカット バリカン」と検索すれば、2000円前後で高評価のものが見つかる。バリカンがあれば、サイドと後ろはこれだけで完了。
道具2は「すきバサミ」(100均〜500円)。トップ(頭頂部)の長さ調整に使う。すきバサミは「切りすぎ」のリスクが低い。普通のハサミで切るとパッツンになるが、すきバサミなら自然な仕上がりになる。
道具3は「散髪ケープ」(100均で110円)。切った髪が服に付かないようにするマント。100均で売っている。なければ大きなゴミ袋の底と側面を切って代用できる。
道具4は「手鏡」(100均で110円)。後頭部を確認するために、壁の鏡と手鏡の2枚を使う。手鏡で後頭部を見ながら、壁の鏡に映った姿を確認する。合鏡の要領。
合計コスト。バリカン2000円+すきバサミ300円+散髪ケープ110円+手鏡110円=2520円。この2520円が「一生分の散髪道具」になる(バリカンの刃は数年ごとに交換が必要だが、交換刃は500〜1000円)。1000円カット3回分の費用で、道具が揃う。4回目以降はコストゼロ。
セルフカットの「基本手順」——初心者向け
45歳独身男性に最も適したセルフカットの髪型は「ツーブロック風のショートヘア」。サイドと後ろをバリカンで短く刈り、トップを少し長めに残す。シンプルで失敗しにくい。
手順1。散髪ケープを着る。浴室で行うと掃除が楽(切った髪をシャワーで流せる)。
手順2。バリカンにアタッチメント(9mmまたは12mm)を付け、サイド(耳の上から側面)を刈る。バリカンを下から上に動かす。左右均等に。
手順3。後ろも同様にバリカンで刈る。手鏡で後頭部を確認しながら。最初は「刈り残し」が怖いので、アタッチメントを少し長め(12mm)にする。慣れたら短く(9mm→6mm)していく。
手順4。トップ(頭頂部)は、すきバサミで長さを調整する。前髪は目にかからない長さ。トップ全体を「少しずつ」切る。一気に切ると「切りすぎ」で取り返しがつかない。「少し切って→鏡で確認→もう少し切る」を繰り返す。
手順5。サイドとトップの「境目」をぼかす。バリカンのアタッチメントを、サイドより1段階長いもの(サイドが9mmなら12mm)に変えて、境目をなぞる。これで「段差のない自然な仕上がり」になる。
手順6。切った髪を掃除する。シャワーで流す(浴室の場合)。掃除機をかける(部屋の場合)。
所要時間は初回で30〜40分。慣れれば15〜20分。1000円カットの店に行く往復時間+待ち時間(合計30〜60分)と比較すれば、自宅でのセルフカットのほうが時間的にも効率的。
「失敗したとき」の対処法
セルフカットで最も怖いのは「失敗」だ。切りすぎた。左右が非対称になった。変な段差ができた。
対処法1は「帽子をかぶる」。失敗がひどい場合、帽子をかぶって出勤する。1〜2週間で髪は伸びる。伸びれば目立たなくなる。帽子は「セルフカットの保険」だ。100均の帽子110円を「失敗時の保険」として1つ持っておく。
対処法2は「坊主にする」。失敗がどうしようもない場合、バリカンのアタッチメントを最短(3mm)にして全体を刈る。坊主頭。潔い。清潔感がある。「失敗の結果が坊主」と考えれば、セルフカットへの恐怖が減る。坊主は最悪のシナリオだが、最悪のシナリオでも「清潔感がある髪型」に変わりはない。
対処法3は「1000円カットでリカバリーする」。自力での修復が無理なら、1000円カットに行って「整えてください」と頼む。1000円のコストはかかるが、次回は「今回の失敗を踏まえて」改善できる。失敗は最高の教師だ。
セルフカットの「練習法」——最初は1000円カットの翌週に
いきなり「全部セルフカット」は怖い。最初の練習法を示す。
練習法。1000円カットで散髪してもらう(いつも通り)。2週間後、「伸びてきた部分」だけバリカンで整える。サイドと後ろを前回のカットと同じ長さに刈る。トップはいじらない。これだけ。「1000円カットの延命処置」として、セルフカットを使う。
この方法なら「全体を自分で切るリスク」がなく、「サイドと後ろだけバリカンで整える」練習ができる。練習を重ねてバリカンに慣れたら、次のステップとして「トップもすきバサミで整える」に進む。3〜4回の練習で、「全部セルフカット」に移行できる。
移行後の散髪サイクル。月1回のセルフカット(15〜20分)。3ヶ月に1回、1000円カットで「プロに整えてもらう」(セルフカットの蓄積されたズレを修正)。年間の散髪代は1000円×4回=4000円。従来の12000円から8000円の節約。「完全にゼロ」にしなくても、8000円の節約は大きい。
年間節約効果まとめ
完全セルフカットの場合。散髪代年間0円(道具の初期費用2520円を差し引いても、2年目以降は完全ゼロ)。従来比で年間12000円の節約。セルフカット+3ヶ月に1回プロの場合。散髪代年間4000円。従来比で年間8000円の節約。
年間8000〜12000円の節約。NISAに月700〜1000円追加で20年運用すれば約29〜41万円。髪を自分で切るだけで、20年後に30〜40万円。バリカン1台の価値は30万円以上。家電の中で最もリターンの高い投資だ。
まとめ——「自分で切る」は恥ずかしくない
「自分で髪を切っている」と言うと「ケチだ」「貧乏くさい」と思われるかもしれない。だが誰にも言わなければ、誰にもわからない。「セルフカットです」と申告する義務はない。清潔に整っていれば、誰が切ったかは問題にならない。
セルフカットは「ケチ」ではなく「合理的」だ。1000円カットに行く往復30分+待ち時間15分+カット15分=60分。セルフカットは20分で終わる。40分の時間節約+1000円のコスト節約。「時間とお金の両方を節約する」行為を「ケチ」とは呼ばない。「賢い」と呼ぶ。
今週末、Amazonでバリカンを注文してみてほしい。届いたら、まずサイドだけバリカンで刈ってみる。「意外と簡単だ」と感じるはずだ。感じたら、次はトップもすきバサミで整える。「これなら自分でできる」。その確信が、年間12000円の節約を20年間続ける力になる。
このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

