- はじめに ~ がん治療を塗り替える「エンハーツ」という奇跡
- 第一三共の歴史 ~ 2社合併からADCのリーダーへ
- 第一三共のビジネスモデル ~ ADCを軸としたがん領域
- ADC(抗体薬物複合体)という「魔法の弾丸」
- エンハーツと大型提携(アストラゼネカ・メルク)
- 業績の推移と過去最高益
- 弱点1:エンハーツへの依存
- 弱点2:ADC以外のモダリティの空白
- 弱点3:競合の急追(ADC覇権レース)
- 弱点4:特許切れ(将来)
- 弱点5:新薬開発の失敗リスク
- 弱点6:副作用・安全性のリスク
- 弱点7:米国・グローバル市場への依存と為替
- 弱点8:提携依存(アストラゼネカ・メルク)
- 弱点9:過去のM&Aの教訓(ランバクシー)
- 弱点10:エンハーツ後の成長の持続性
- まとめ ~ ADCで世界のがん治療を変える日本企業
- 参考資料
はじめに ~ がん治療を塗り替える「エンハーツ」という奇跡
製薬業界には、ときに「ゲームチェンジャー」と呼ばれる薬が登場します。しかし、その言葉が安易に使われがちな中で、例外的に実態を伴っているのが、第一三共の「エンハーツ」です。
エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン、T-DXd)は、ADC(抗体薬物複合体)という技術を武器にした、がん治療薬。HER2陽性乳がんをはじめ、複数のがん種で治療成績を塗り替え、「史上最大の乳がん治療薬」を目指す存在です。ADCは、がん細胞を狙い撃ちする抗体に、強力な抗がん剤(薬物)を結合させた、いわば「魔法の弾丸」。正常な細胞へのダメージを抑えつつ、がん細胞だけに薬物を届けます。
この技術で世界をリードするのが、日本の製薬企業・第一三共です。エンハーツは英アストラゼネカとの提携で世界展開され、2024年度の売上収益は約5,400億円(提携先の共同販促費含む)に膨張。第一三共は売上・利益とも過去最高を5期連続で更新しています。
第一三共株式会社(証券コード4568、東証プライム)の2025年3月期は、売上収益1兆8,862億円(前期比+17.8%)、営業利益3,319億円(+56.9%)、純利益2,958億円(+47.3%)。ROEは13%台へ急改善。2026年3月期は売上収益2兆円超を見込んでいます。
しかし、第一三共のビジネスモデルにも、複数の弱点があります。エンハーツへの依存、ADC以外のモダリティの空白、競合の急追、特許切れ、開発リスク――。
本記事では、第一三共の「グローバル製薬×ADC×エンハーツ」モデルを多角的に分析し、その独自の強さと弱点の両面に迫ります。
第一三共の歴史 ~ 2社合併からADCのリーダーへ
第一三共の起源は、第一製薬と三共という2社にあります。
2005年、第一製薬と三共が経営統合し、「第一三共」が誕生。
三共:1899年創業(高峰譲吉のタカジアスターゼ等)。 第一製薬:1915年創業。
合併後の歴史:
- 抗凝固薬、循環器、感染症等
- 2008年、インドのランバクシー(後発品)を買収(後に売却、苦い経験)
2010年代、がん領域への注力。ADC(抗体薬物複合体)技術の開発。
2015年、ADC技術プラットフォーム「DXd ADC技術」の確立。
2019年、エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)を発売。米国・日本。
2019年、英アストラゼネカとエンハーツの提携(総額最大69億ドル)。
2020年代、エンハーツの適応拡大(乳がん、胃がん、肺がん等)。ADCパイプラインの拡充。
2023年、米メルクとADC(ダトポタマブ デルクステカン等)の提携(総額最大220億ドル=約3.3兆円)。
2024年~2025年、エンハーツの世界的成長。2番目のADC「ダトロウェイ」の発売。売上・利益が過去最高を5期連続更新。
現在、第一三共は、ADC技術を武器に、がん領域でグローバルなリーダーへと急成長しています。
第一三共のビジネスモデル ~ ADCを軸としたがん領域
第一三共のビジネスモデルは、ADC(抗体薬物複合体)を軸としたがん領域への注力から成り立っています。
主要製品:
第一に、「エンハーツ」(主力、ゲームチェンジャー)。
- トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)、抗HER2 ADC
- HER2陽性乳がん、HER2低発現乳がん、胃がん、肺がん等
- 2024年度売上約5,400億円(共同販促費含む)
- 英アストラゼネカと提携
- 「史上最大の乳がん治療薬」を目指す
第二に、「ダトロウェイ」(第2の柱)。
- ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)、TROP2標的ADC
- 2025年に米国・日本で発売
- 米メルクと提携
第三に、「リクシアナ」(抗凝固薬)。
- 血栓塞栓症の予防・治療
- 安定収益
第四に、「DXdファミリー」(ADCパイプライン)。
- パトリツマブ デルクステカン(HER3標的)
- イフィナタマブ デルクステカン(B7-H3標的)
- 7つのADC(DXd ADC技術等から創製)
その他:
- ジャパンユニット(ロキソニン、マイティア等のOTC)
事業の特徴:
- ADC技術を武器としたがん領域
- エンハーツの世界的成長
- アストラゼネカ・メルクとの大型提携
- 過去最高益を5期連続更新
第一三共は、独自のADC(抗体薬物複合体)技術を武器に、エンハーツを中心としたがん領域で、グローバルに急成長する製薬企業です。
ADC(抗体薬物複合体)という「魔法の弾丸」
第一三共の競争力の核心が、ADC(抗体薬物複合体)技術です。
ADCとは:
- Antibody-Drug Conjugate(抗体薬物複合体)
- がん細胞表面の特定の抗原を標的とする抗体
- 抗体に、強力な抗がん剤(薬物)をリンカーで結合
- がん細胞だけに薬物を届ける
- 「魔法の弾丸」(正常細胞へのダメージを抑える)
第一三共のADC技術(DXd ADC技術):
- がん細胞表面の抗原を標的とした抗体
- トポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)をリンカーで結合
- がん細胞内部へDXdを届ける
- 独自の技術プラットフォーム
ADCのパイプライン(DXdファミリー):
- エンハーツ(抗HER2 ADC)
- ダトロウェイ(TROP2標的)
- パトリツマブ デルクステカン(HER3標的)
- イフィナタマブ デルクステカン(B7-H3標的)
- 7つのADC(臨床開発段階)
ADC市場:
- この5年で市場規模が4倍以上に拡大
- がん治療のトレンド
- グローバル製薬大手が注目
第一三共は、独自のADC技術(DXd ADC技術)で、エンハーツをはじめとする革新的ながん治療薬を生み出しています。ADCは、がん細胞を狙い撃ちする「魔法の弾丸」であり、がん治療のゲームチェンジャー。第一三共は、このADC分野で世界をリードしています。
エンハーツと大型提携(アストラゼネカ・メルク)
第一三共の成長を支えるのが、エンハーツと大型提携です。
エンハーツの成長:
- 2019年発売
- HER2陽性乳がんから、HER2低発現乳がん、超低発現乳がん、胃がん、肺がん等へ適応拡大
- 2024年度売上約5,400億円(前期比大幅増)
- 米国・欧州主要国を中心に成長
- 早期治療ラインへの適応拡大(術前・術後)
- 「史上最大の乳がん治療薬」を目指す
英アストラゼネカとの提携:
- 2019年、エンハーツの開発・商業化で提携
- 総額最大69億ドル
- 共同開発・共同販促
- グローバル展開
米メルクとの提携:
- 2023年、ADC(ダトポタマブ デルクステカン等)で提携
- 総額最大220億ドル(約3.3兆円)の超大型提携
- 提携金(一時金)が利益に貢献
提携の意義:
- グローバル展開(自社単独では難しい)
- 開発リスク・コストの分担
- 提携金(巨額の一時金)
- マーケティング力
第一三共は、エンハーツを英アストラゼネカ、ダトロウェイ等を米メルクと提携し、グローバルに展開。特にメルクとの3.3兆円という超大型提携は、第一三共のADC技術の価値を示すもの。大型提携が、第一三共のグローバル展開と業績を支えています。
業績の推移と過去最高益
第一三共の近年の業績推移を整理しておきましょう。
2025年3月期(2024年度、過去最高):
- 売上収益 1兆8,862億円(前期比+17.8%)
- 営業利益 3,319億円(+56.9%)
- 当期純利益 2,958億円(+47.3%)
- 売上・利益とも過去最高を5期連続更新
- ROE 13%台(2021年度8%台から急改善)
業績を支えた5つのエンジン:
- エンハーツの世界的”適応拡大ドライブ”(売上4,638億円、+38.6%)
- 抗凝固薬リクシアナの粘り腰
- 円安と米国市場の需要加速
- メルクとの総額3.3兆円の超大型提携金
- ジャパンユニットでのロキソニン・マイティア等のOTC好調
2026年3月期(2025年度)見通し:
- 売上収益 2兆円超を見込む
- 第5期中期経営計画(2021〜2025年度)の売上目標を前倒し達成
株主還元:
- 2年連続増配(2022・2023年度)、2024年度も増配(年間60円予想)
- 自己株式の取得・消却
第一三共は、エンハーツを軸に、売上・利益とも過去最高を5期連続更新。ADC技術を武器にした快進撃を続けています。
弱点1:エンハーツへの依存
第一三共の最大の弱点は、エンハーツへの依存です。
エンハーツ依存:
- エンハーツが業績急拡大の主役
- 2024年度売上約5,400億円
- 第一三共の成長の中心
リスク:
- 一つの製品への依存度の高まり
- エンハーツの成長鈍化リスク
- 副作用問題(間質性肺疾患等)
- 競合の登場
第一三共の急成長は、エンハーツに大きく依存しています。エンハーツは画期的な薬ですが、一つの製品への依存は、その製品が成長鈍化した場合や、副作用問題(エンハーツには間質性肺疾患のリスク)、競合の登場のリスク。エンハーツへの依存が、構造的なリスクです。
弱点2:ADC以外のモダリティの空白
第一三共は、ADCに注力する一方、ADC以外のモダリティ(創薬技術)の空白が課題です。
モダリティの偏り:
- ADC(抗体薬物複合体)に集中
- DXdファミリー(7つのADC)
- ADC以外(低分子、抗体、細胞・遺伝子治療等)が手薄
リスク:
- ADCへの集中(一本足打法のリスク)
- ADC市場の競争激化
- ADC以外の技術の遅れ
- 次世代モダリティの空白
第一三共は、ADCで世界をリードする一方、ADCに集中しすぎているという課題も。ADC以外のモダリティ(低分子、二重特異性抗体、細胞・遺伝子治療等)が相対的に手薄。ADC市場が競争激化した場合、ADC以外の柱が乏しいリスク。ADC以外のモダリティの空白が、課題です。
弱点3:競合の急追(ADC覇権レース)
第一三共のADCは、競合の急追に直面しています。
ADC競合:
- グローバル製薬大手がADC開発を加速
- ファイザー(シージェン買収)、アストラゼネカ、メルク、ロシュ等
- 「ADC覇権レース」
- 各社のADCパイプライン
リスク:
- ADC市場の競争激化
- 競合のADCの登場
- エンハーツの競合(HER2 ADC等)
- 技術の追随
ADC市場は、この5年で4倍以上に拡大し、グローバル製薬大手が次々とADC開発を加速。ファイザーはシージェン(ADC企業)を約430億ドルで買収。「ADC覇権レース」が激化しています。第一三共は先行していますが、競合の急追により、優位性が脅かされるリスク。競合の急追が、課題です。
弱点4:特許切れ(将来)
第一三共のエンハーツも、将来的には特許切れのリスクがあります。
特許切れの課題:
- エンハーツの特許切れ(将来)
- バイオシミラー(バイオ後続品)
- 製品ライフサイクル
リスク:
- 将来の特許切れ
- バイオシミラーの参入
- 売上減
- 次世代製品の必要性
エンハーツは現在成長期ですが、将来的には特許切れ(パテントクリフ)を迎えます。特許切れ後はバイオシミラーが参入し、売上が減少。第一三共は、エンハーツに続くADC(ダトロウェイ等)を育成していますが、エンハーツの特許切れ後を見据えた次世代製品の育成が必要。特許切れ(将来)が、構造的なリスクです。
弱点5:新薬開発の失敗リスク
製薬ビジネスの本質的なリスクが、新薬開発の失敗です。
開発失敗のリスク:
- ADCパイプライン(7つのADC)の臨床試験
- 適応拡大の失敗
- 承認が得られないリスク
- 巨額の研究開発費
リスク:
- 新薬・適応拡大の失敗
- 臨床試験での失敗
- パイプラインの不確実性
- 研究開発費の負担
第一三共は、ADCパイプライン(ダトロウェイ、パトリツマブ、イフィナタマブ等)の開発・適応拡大に注力していますが、新薬開発・適応拡大は高い失敗率を伴います。臨床試験での失敗、承認が得られないリスク。新薬開発の失敗は、エンハーツ後の成長を脅かすリスク。新薬開発の失敗リスクが、課題です。
弱点6:副作用・安全性のリスク
第一三共のエンハーツ等のADCは、副作用・安全性のリスクを抱えています。
副作用リスク:
- エンハーツの間質性肺疾患(ILD)
- ADCの副作用
- 安全性のモニタリング
リスク:
- 副作用による使用制限
- 安全性問題
- 規制当局の対応
- 信頼への影響
エンハーツには、間質性肺疾患(ILD)という重篤な副作用のリスクがあります。ADCは強力な抗がん剤を使うため、副作用の管理が重要。副作用・安全性の問題が深刻化すれば、使用制限・信頼低下のリスク。副作用・安全性のリスクが、課題です。
弱点7:米国・グローバル市場への依存と為替
第一三共は、米国・グローバル市場への依存と為替リスクを抱えています。
米国・為替依存:
- エンハーツの主要市場は米国・欧州
- 円安が業績を押し上げ(2024年度)
- グローバル展開
リスク:
- 米国市場への依存
- 円高転換による業績への影響
- 米国薬価(IRA)
- グローバル市場の変動
第一三共のエンハーツ等は、米国・欧州が主要市場であり、円安が業績を押し上げています(2024年度のエンジンの一つ)。円高転換すれば、円換算業績にネガティブ影響。米国IRA(薬価交渉)等のリスクも。米国・グローバル市場への依存と為替が、リスクです。
弱点8:提携依存(アストラゼネカ・メルク)
第一三共のグローバル展開は、提携(アストラゼネカ・メルク)に依存しています。
提携依存:
- エンハーツは英アストラゼネカと共同
- ダトロウェイ等は米メルクと共同
- 利益・コストの分担
リスク:
- 提携先の経営方針
- 利益の分担(自社単独より利益が減る)
- 提携関係の変化
- パートナーへの依存
第一三共は、エンハーツをアストラゼネカ、ダトロウェイをメルクと共同で展開。提携によりグローバル展開・リスク分担ができる一方、利益を分け合うため、自社単独より利益率が下がる面も。提携関係の変化もリスク。提携依存が、課題です。
弱点9:過去のM&Aの教訓(ランバクシー)
第一三共は、過去のM&A(ランバクシー)で苦い経験をしています。
ランバクシーの教訓:
- 2008年、インドの後発品大手ランバクシーを買収(約4,900億円)
- 品質問題、米FDAの輸入禁止等
- 巨額の損失
- 2015年、インドのサンファーマに売却(事実上の撤退)
リスク:
- M&Aの失敗リスク
- 海外企業の統合
- 品質・規制リスク
- 投資判断
第一三共は、過去にインドのランバクシー買収で、品質問題・FDA規制等により巨額の損失を被り、事実上撤退しました。これはM&Aの失敗の教訓。今後のM&A・提携でも、同様のリスクがあります。過去のM&Aの教訓が、リスク管理の課題です。
弱点10:エンハーツ後の成長の持続性
第一三共は、エンハーツ後の成長の持続性が課題です。
成長持続性の課題:
- エンハーツの成長はいずれ鈍化
- ダトロウェイ等の次世代ADC
- ADC以外のモダリティ
- エンハーツ後の柱
リスク:
- エンハーツ依存からの脱却
- 次世代製品の成長
- 成長の持続性
- パイプラインの世代交代
第一三共は、エンハーツで急成長していますが、いずれ成長は鈍化し、特許切れも迎えます。エンハーツ後の成長を支えるのは、ダトロウェイ等の次世代ADC、そしてADC以外のモダリティ。これらが期待通り成長するかは不確実。エンハーツ後の成長の持続性が、第一三共の長期的な課題です。
まとめ ~ ADCで世界のがん治療を変える日本企業
第一三共のグローバル製薬×ADC×エンハーツモデルを、改めて整理しましょう。
強みとしては、2005年の第一製薬・三共合併から誕生したグローバル製薬企業、ADC(抗体薬物複合体)技術のグローバルリーダー、エンハーツ(がん治療のゲームチェンジャー、2024年度売上約5,400億円)、2025年3月期売上1兆8,862億円・営業利益3,319億円(過去最高を5期連続更新)、ROE13%台、DXdファミリー(7つのADC)、ダトロウェイ(第2の柱)、英アストラゼネカ・米メルクとの大型提携(メルクとは3.3兆円)、リクシアナ(抗凝固薬)、2026年3月期売上2兆円超見込み、増配・自己株式取得。
ただし弱点も多数あります。エンハーツへの依存、ADC以外のモダリティの空白、競合の急追(ADC覇権レース)、特許切れ(将来)、新薬開発の失敗リスク、副作用・安全性のリスク(間質性肺疾患)、米国・グローバル市場への依存と為替、提携依存(アストラゼネカ・メルク)、過去のM&Aの教訓(ランバクシー)、エンハーツ後の成長の持続性。
第一三共の本質的な強さは、「独自のADC(抗体薬物複合体)技術を武器に、エンハーツという『がん治療のゲームチェンジャー』を生み出し、世界のがん治療を変えている」点にあります。
第一三共は、ADC(抗体薬物複合体)という、がん細胞を狙い撃ちする「魔法の弾丸」技術で世界をリード。エンハーツは、HER2陽性乳がんをはじめ複数のがん種で治療成績を塗り替え、「史上最大の乳がん治療薬」を目指す存在へと成長しました。英アストラゼネカ・米メルクとの大型提携(メルクとは3.3兆円)でグローバル展開し、売上・利益とも過去最高を5期連続更新する快進撃を続けています。
一方で、エンハーツへの依存、ADC以外のモダリティの空白、グローバル大手の「ADC覇権レース」での急追という課題も。第一三共は、ダトロウェイ等の次世代ADCを育成し、エンハーツ後の成長を模索しています。
私たちやその家族が、がんと闘うとき、第一三共のADC(エンハーツ等)が、命を救う「魔法の弾丸」となるかもしれません。日本発の技術が、世界のがん治療を変えています。
ビジネスを設計する人にとって、第一三共の事例は「独自技術(ADC)による差別化」「ゲームチェンジャー製品(エンハーツ)の創出」「大型提携によるグローバル展開」「主力製品への依存とリスク」「技術の集中と分散のバランス」「過去のM&A(ランバクシー)の教訓」――多面的な教訓を提供してくれます。
10年後、第一三共はエンハーツ後の成長を実現しているでしょうか。ADC覇権レースを勝ち抜いているでしょうか。ADC以外のモダリティを育てているでしょうか――。それは、現代日本の製薬業界における興味深いテーマの一つです。
参考資料
- 第一三共株式会社 公式IRサイト https://www.daiichisankyo.co.jp/investors/
- 第一三共株式会社「第一三共の現況と成長戦略(2025年1月12日)」https://www.daiichisankyo.co.jp/files/investors/individual/calendar/20250112/20250112_presentation.pdf
- ファーマ経営研究所「エンハーツ旋風の次に来るものは?― 第一三共 2025年3月期通期決算を深掘り」https://note.com/pharma_manage/n/n02a4807f12bd
- Worries.com「第一三共の将来性を徹底分析|エンハーツ依存のリスクと成長戦略の実態」https://worklife-carrer.hatenablog.com/entry/2025/05/20/071508
- AnswersNews「第一三共、5ADC開発の現在地…エンハーツは『史上最大の乳がん治療薬に』」https://answers.and-pro.jp/pharmanews/29882/
- 第一三共株式会社「プレスリリース(エンハーツ・ADC関連)」https://www.daiichisankyo.co.jp/
- アストラゼネカ、メルク、ファイザー、ロシュ、武田薬品、アステラス製薬等競合企業の公式情報
- 第一製薬・三共・第一三共の企業史関連書籍
- 日本経済新聞、東洋経済オンライン、AnswersNews、ファーマ経営研究所等の第一三共関連報道

