他社株式を時価総額に比べ大量に保有している銘柄
他社の株をたくさん持っている会社があるんですね。
土地と同じように含み資産になっている保有銘柄もあるから、要注目だよ。
会社の中には、創業の経緯や株式の持ち合いなどで、大量の株式を保有している場合があります。こうした会社において、時価総額と比して保有株式の評価額が大きければ、含み資産といえます。土地の場合と同じように、投資ファンドの介入や企業の財務方針の転換などにより株式が売却されれば、莫大なキャッシュが会社に転がり込むことが想定され、それがカタリストとなり株価上昇が期待できます。また、配当金や自社株買いなど株主還元も期待できるでしょう。ただし、会社が政策的に保有している銘柄は売却が期待できないため、バリュートラップにはまるリスクもあります。
参考記事:含み資産銘柄とは何か
参考記事:銘柄備忘録(土地含み資産)
代表的銘柄
・昭栄薬品
取引先である花王株式を約70万株保有する。花王の株価は8,540円なので(2020年6月30日現在)、昭栄薬品が保有する花王株の時価総額は60億円ほどである。一方、昭栄薬品の時価総額は35億円ほどと、極めて小さい。また、日本のバリュー株投資家として著名な光通信が5%以上の大株主であるので、カタリストとして期待できる。
・ 岩塚製菓
中華系の菓子メーカー旺旺集団の株式を大量に保有する。1980年代に旺旺集団に対し技術提供したことが縁となり、旺旺集団に出資することとなった。その後、旺旺集団は一時時価総額2兆円を超える大手製菓会社に発展した。現在は、莫大な配当金が岩塚製薬に入り、経常利益を大きく押し上げている。岩塚製菓の営業利益率は1%以下と低いが、経常利益率では10%程度にまでになることからも旺旺集団からの配当金が占める存在感が分かる。岩塚製菓は、旺旺集団の発行株式を約5%保有している。岩塚製菓の保有する旺旺集団の時価総額は約500億円であるが、岩塚製菓の時価総額は225億円ほどしかない。旺旺集団に投資するつもりで岩塚製菓に投資するというアイデアはあるが、旺旺集団株が割高であることはリスクである。
・京成電鉄
京成電鉄は、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの株式を19.9%と大量に保有する。オリエンタルランドは、京成電鉄の持分法適用会社であり、京成電鉄の業績に大きく貢献している。オリエンタルランドの時価総額は5兆円ほどなので、京成電鉄の保有するオリエンタルランド株の価値は、1兆円ほどとなる。しかし、京成電鉄の時価総額は5800億円ほどにしか過ぎない。 また、京成電鉄はその他にも傘下に上場企業として新京成電鉄を擁する。
・ 豊田自動織機
トヨタグループの祖業である自動織機の名を冠する企業である。トヨタグループ各社との持ち合い株式がある。2019年の数値では、豊田自動織機が保有する有価証券は、帳簿上で7650億円ほどであるが、 ユーレットによると豊田自動織機の保有する株式の時価総額は、約2兆6000億円ほどである。豊田自動織機の時価総額は、1兆8000億円ほどであるから、豊田自動織機の保有有価証券時価総額を下回る。