就職氷河期世代とブラック企業

この記事は約3分で読めます。

ブラック企業とはなにか

ブラック企業は俗語であり、学術的には明確な定義はありません。ある人にとってはブラック企業であると感じられても、他の人にとってはブラック企業とは感じられない場合もあります。あくまでも主観的な概念であると言えます。例えば、年収が300万円で週に80時間働いたとして、それは労働基準法など何らかの法律に違反するとしても、本人がブラック企業だと思わなければブラック企業であるとは言えないわけです。極端な場合、年収が1000万円で定時に帰れたとしても本人がブラック企業であると思えば、ブラック企業です。概念があまりにも広くいまだに学術的な定義づけされておらず、また、行政もきちんと定義していなことからもブラック企業の問題が根深いことが分かります。

例えば、労働に正当な対価を支払わない企業も当てはまります。本来ならば、500万円貰えるような仕事をしていても、200万円しか支払わないような収奪的な労働環境を放置しているような企業が当てはまります。例えば、スーパーで対価であるお金を払わないで出ていくと捕まりますが、労働の場合は正当な対価を支払わなくても捕まることはあまりありません。労働基準監督署などもありますが、ほとんど機能しておらず、労働者のなかには収奪されていることに気が付かない人もいます。

また、労働者を都合よく利用することを考えて精神的に支配するような企業もブラック企業の特徴です。新入社員を合宿で集めて、創業者や企業の理念を覚えるまで帰さなかったり、軍隊的な行動を強要するなどして、新入社員を従順な労働者に仕込むなどは序の口です。そこで従順になれなかった人間は、自主退職するように仕向けられるか、パワハラを受け病んでしまうかという世界になります。

就職氷河期世代とブラック企業

インターネットが普及しだしてからは、ある企業がブラック企業であるかどうかの情報を得ることがかなり容易になりました。ブラック企業を番付化した掲示板が存在したり、ブラック企業を逆表彰するような動きもインターネット上では見られました。新入社員が会社名を入力すれば、ブラック企業かどうか思っている人が多いかどうかが分かるようにはなってきています。

就職氷河期世代が就職活動をする頃には、インターネットの利用が広まっており、志望会社がブラック企業であるかどうかはある程度分かるようになっていました。しかし、就職氷河期世代のひとの多くは、内定を得るために苦労した為、志望会社がブラック企業であると分っていても生活の為入社せざるを得ない場合が多数存在しました。その心中察するに余りあります。

日本に寄生するブラック企業

安い日本という言葉が流行りだしてだいぶ経過しますが、その裏には安い労働があることを忘れてはいけません。理由なく良質で安いものを届けることなどまず不可能です。顧客が安いものを求めるから企業が安く物を作る。企業が安く物を作るためには賃金を下げなければいけない。この連鎖が日本を苦しめてきました。

顧客が安い商品やサービスを提供するために企業はブラック化せざるを得なかった側面もあります。ブラック企業を正当化するわけではなく、卵が先か鶏が先かという話になってしまいますが、高品質の商品やサービスに対して労働者つまりは消費者が正当な対価を払えるようにならないと日本自体を滅ぼしかねないです。労働者の質が低下し、高品質な商品やサービスが提供できなくなれば、大した資源のない日本はその地位を下げていくばかりでしょう。

正当な金額の給料が支払われないと、労働者は子供を産み育てることすらできません。現在起こっている少子高齢化の原因の一つは、結婚適齢期の就職氷河期世代を行政や産業界が無策のまま放置したツケです。子どもはぜいたく品とまで考えられているようです。このままでは国の存亡にまで関わります。

タイトルとURLをコピーしました