公務員の「知られざる福利厚生」完全リスト——使わなければ損する制度を全部並べる

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はじめに——「給料」だけが公務員の報酬ではない

公務員の給料は「そこそこ」だ。大企業の正社員と比較すれば高くない。だが公務員の「報酬」は給料だけではない。給料の外側に「福利厚生」という巨大な報酬がある。住居手当、通勤手当、休暇制度、健康管理、貸付制度、保険の団体割引、研修制度、退職後の支援。これらを金額に換算すれば、年間数十万円〜100万円以上に相当する。

だがこれらの福利厚生は「自分から申請しなければ使えない」ものが多い。「こんな制度があったのか」と後から知って悔しい思いをする職員もいる。入庁時にすべての制度を説明されるが、情報量が多すぎて覚えきれない。結果、「知らないまま使わずに終わる制度」が出てくる。

このガイドでは、地方公務員(一般行政職)が利用可能な主な福利厚生を、「給料に関するもの」「休暇に関するもの」「健康に関するもの」「お金に関するもの」「その他」の5カテゴリに分類して示す。自治体によって制度の有無や内容が異なるため、自分の自治体の制度を確認した上で活用してほしい。

カテゴリ1:「給料に関する」福利厚生

制度1は「住居手当」。借家(賃貸)に住んでいる場合、月最大28000円が支給される。家賃が月5万円なら、実質的な自己負担は22000円。年間で336000円。派遣社員時代はゼロだったこの手当だけで、年間33.6万円の「追加収入」が得られる。

制度2は「通勤手当」。通勤に要する交通費が全額支給される(上限あり。月55000円まで等)。定期券代が月15000円なら、年間180000円。派遣社員でも通勤手当が出るケースはあるが、時給に含まれている(課税対象になっている)場合がある。公務員の通勤手当は「非課税」。

制度3は「扶養手当」。配偶者、子どもなどの扶養親族がいる場合に支給される。配偶者6500円、子ども1人につき10000円(第3子以降15000円)。独身者には該当しないが、将来結婚した場合に活用できる。

制度4は「地域手当」。勤務地によって給料の3〜20%が加算される。東京都特別区は20%。政令指定都市は10〜16%。地方は3〜6%。月給22万円の20%加算なら、月44000円の上乗せ。年間528000円。「どこで働くか」で年収が50万円以上変わる。

制度5は「時間外勤務手当(残業代)」。公務員の残業代は「全額支給」が原則。民間企業のように「サービス残業」は法的に許されない。時間外1時間あたり、月給を基に計算した単価の125%が支給される。

カテゴリ2:「休暇に関する」福利厚生

制度6は「年次有給休暇」。年間20日。翌年への繰越あり(最大40日)。取得しやすい環境が整っている(民間より取得率が高い)。

制度7は「夏季休暇」。多くの自治体で、7月〜9月の間に3〜5日間の夏季休暇が付与される。有給休暇とは別枠。つまり有給20日+夏季休暇3〜5日=年間23〜25日の「休める日」がある。

制度8は「結婚休暇」。結婚する際に5〜7日間の特別休暇が付与される。有給。独身者には現時点で関係ないが、将来結婚した場合に使える。

制度9は「忌引休暇」。親族が亡くなった場合の特別休暇。配偶者の死亡で10日間、父母の死亡で7日間。有給。派遣社員にはこのような特別休暇がない場合が多い。

制度10は「病気休暇」。公務員は「病気休暇」として、90日間まで給料全額が支給される(自治体による)。90日を超えると「病気休職」となり、給料が減額されるが、最長3年間は在籍可能。派遣社員が病気で90日間休んだら、確実に契約終了だ。この「病気休暇90日間」の安心感は、金額に換算できないほど大きい。

制度11は「介護休暇」。家族の介護のために、年間5日(2人以上なら10日)の特別休暇が取得できる。有給。さらに「介護休業」として、最長6ヶ月の休業が可能(無給だが、雇用保険から介護休業給付金が出る)。

制度12は「ボランティア休暇」。自治体によっては、ボランティア活動に参加するための特別休暇がある。年間5日程度。有給。

カテゴリ3:「健康に関する」福利厚生

制度13は「定期健康診断」。年に1回、充実した健康診断が無料で受けられる。血液検査、心電図、胸部X線、尿検査など。派遣社員でも健康診断はあるが、公務員の健康診断は項目が充実している場合が多い。

制度14は「人間ドック補助」。共済組合が人間ドックの費用を一部補助する制度がある。自己負担は5000〜15000円程度(通常3〜5万円のところ)。年に1回利用可能。

制度15は「メンタルヘルス相談」。職員向けの無料カウンセリングサービス。ストレスチェック制度に基づく面談。外部のカウンセラーに匿名で相談可能。上司に知られることなく利用できる。

制度16は「インフルエンザ予防接種の補助」。共済組合が接種費用の一部または全額を補助する場合がある。自己負担1000〜2000円(通常3000〜5000円)。

制度17は「共済組合の附帯事業」。スポーツジムの割引利用。保養施設(宿泊施設)の割引利用。映画館の割引チケット。レジャー施設の割引。これらは「使わなければ損」する制度だ。年間数千円〜数万円の節約になる。

カテゴリ4:「お金に関する」福利厚生

制度18は「共済組合の貸付制度」。住宅購入、自動車購入、教育、医療、冠婚葬祭などの目的で、低利(年利1〜2%程度)の貸付が受けられる。消費者金融の年利15〜18%と比較すれば、圧倒的に有利。借入限度額は目的によって異なるが、一般貸付で200万円程度まで。

制度19は「財形貯蓄」。給料から天引きで貯蓄する制度。「一般財形」「住宅財形」「年金財形」の3種類。住宅財形と年金財形は、元本550万円までの利息が非課税。「先取り貯蓄」の仕組みとして最適。

制度20は「団体保険」。共済組合を通じて加入する団体生命保険、団体医療保険。個人で加入するより保険料が安い(団体割引が効くため)。月数百円〜数千円の保険料で、個人加入と同等の保障が得られる。

制度21は「退職手当」。勤続20年で約551万円(前の記事で計算した通り)。派遣社員にはゼロ。この551万円は「20年間の勤務の対価」として、退職時に一括で受け取れる。

制度22は「年金の上乗せ」。厚生年金に加入するので、国民年金のみの場合より年金額が増える。さらに「年金払い退職給付」(2015年以降採用の公務員に適用)があり、退職後に年金として受け取れる上乗せがある。

カテゴリ5:「その他」の福利厚生

制度23は「研修制度」。職務に関する研修が充実している。新人研修、階層別研修、専門研修、自己啓発研修。費用は公費負担。「お金をもらいながらスキルアップできる」環境。派遣社員時代は「自費で資格を取る」しかなかった。公務員は「公費で研修を受けられる」。

制度24は「自己啓発等休業」。自治体によっては、大学院への進学や海外ボランティアのために、最長3年間の休業が認められる制度がある(無給だが復帰保証)。45歳から利用する人は少ないが、制度として存在する。

制度25は「職員互助会」。職員の親睦・福利のための組織。慶弔金(結婚祝金、出産祝金、弔慰金)、レクリエーション補助、旅行補助。年間数千円〜数万円の給付がある。会費は月数百円〜千円程度(給料から天引き)。会費以上のリターンが得られる場合が多い。

「使いこなす」ためのチェックリスト

入庁したら、以下を確認する。住居手当の申請は済んだか。通勤手当の申請は済んだか。財形貯蓄に加入したか。共済組合の附帯事業(ジム割引、宿泊施設割引等)のパンフレットを読んだか。人間ドック補助の申請方法を確認したか。団体保険の加入を検討したか。職員互助会の給付内容を確認したか。

これらすべてを入庁後1ヶ月以内に確認し、申請すべきものは申請する。「知らなかったから使わなかった」は、年間数万円〜数十万円の損失。知って使えば、給料に「見えない上乗せ」がつく。

まとめ——「給料+福利厚生」が公務員の本当の報酬

公務員の報酬は「月給22万円」ではない。「月給22万円+住居手当28000円+通勤手当15000円+地域手当+ボーナス年100万円+退職金551万円+年金上乗せ+健康診断無料+人間ドック補助+貸付制度+団体保険割引+研修費用公費負担+有給20日+夏季休暇+病気休暇90日」。これらすべてが「公務員の報酬」だ。

派遣社員の報酬は「月給16万円」。それだけ。ボーナスなし。退職金なし。住居手当なし。病気休暇なし。研修費用自費。この差を「目に見える月給」だけで比較するのは不公平だ。「見えない福利厚生」を含めれば、公務員と派遣社員の「本当の報酬差」は年間200〜300万円に達する。

この200〜300万円の「見えない報酬」を手に入れるために、3000円のテキストを買い、200時間の勉強をする。投資効率は——計算するまでもなく、人生最大級だ。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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