- 1. はじめに ― なぜ「銘柄」だけに絞って書くのか
- 2. 第1部 確信銘柄群 ― 保有比率4%超の超主力銘柄
- 3. 第2部 中核銘柄群 ― 保有比率3.5%~4%の中核ホールディング
- 4. 第3部 建設・土木・住宅セクター ― 内藤銘柄の最大派閥
- 4-1. 1718 美樹工業 ― 保有比率3.13%(関西地盤の地場建設業)
- 4-2. 1739 メルディアDC ― 保有比率3.1%(旧三栄建築設計、近畿圏戸建)
- 4-3. 1758 太洋基礎工業 ― 保有比率3.42%(杭打ち・地盤改良の専門技術)
- 4-4. 1770 藤田エンジニアリング ― 保有比率3.31%~3.33%(設備工事の中堅)
- 4-5. 1798 守谷商会 ― 保有比率3.05%~3.10%(地域密着型設備工事)
- 4-6. 1807 佐藤渡辺 ― 保有比率2.91%~3.05%(道路舗装専門)
- 4-7. 1960 サンテック ― 保有比率3.12%~3.16%(電気設備工事)
- 4-8. 1999 サイタHD ― 保有比率3.12%
- 4-9. 5280 ヨシコン ― 保有比率3.02%~3.05%(静岡県の建設・不動産)
- 4-10. 5921 川岸工業 ― 保有比率3.02%~3.10%(鉄骨製作の専門メーカー)
- 4-11. 5923 高田機工 ― 保有比率3.45%(橋梁・鉄骨の大手)
- 4-12. 7808 シー・エス・ランバー ― 保有比率2.17%~2.97%(住宅資材の上流)
- 4-13. 建設・住宅セクターの共通項
- 5. 第4部 製造・部品・素材セクター ― 地味な実業の底力
- 6. 第5部 小売・サービス・地方密着セクター ― ニッチに眠る価値
- 6-1. 2411 ゲンダイエージェンシー ― 保有比率2.41%~3.00%(パチンコ広告代理店)
- 6-2. 2693 YKT ― 保有比率3.06%
- 6-3. 2778 パレモHD ― 保有比率3.85%(既出)
- 6-4. 2788 アップルインターナショナル ― 保有比率3.20%(中古車輸出)
- 6-5. 3020 アプライド ― 保有比率2.96%~2.99%(パソコン専門店)
- 6-6. 3375 ZOA ― 保有比率3.41%~3.42%(既出、PC周辺機器販売)
- 6-7. 3538 ウイルプラスHD ― 保有比率3.17%(輸入車ディーラー)
- 6-8. 7509 アイエーグループ ― 保有比率3.30%~3.40%(既出、オートバックスFC)
- 6-9. 7521 ムサシ ― 保有比率3.46%(選挙関連の隠れた寡占企業)
- 6-10. 7619 田中商事 ― 保有比率3.20%(建材卸)
- 6-11. 9791 ビケンテクノ ― 保有比率3.01%~3.06%(ビルメンテナンス)
- 7. 第6部 メディア・コンテンツ・IT・出版セクター ― ストックビジネスの宝庫
- 7-1. 2389 デジタルHD ― 保有比率2.99%(広告デジタルマーケティング)
- 7-2. 2483 翻訳センター ― 保有比率2.65%~3.01%(業界最大手の翻訳会社)
- 7-3. 3131 シンデン・ハイテックス ― 保有比率3.10%(半導体設計支援)
- 7-4. 3138 富士山マガジンサービス ― 保有比率3.00%~3.11%(雑誌定期購読のオンライン書店)
- 7-5. 3248 アールエイジ ― 保有比率2.93%~2.99%(不動産開発)
- 7-6. 4287 ジャストプランニング ― 保有比率3.03%(外食店舗向けPOS)
- 7-7. 4295 フェイス ― 保有比率3.31%(コンテンツビジネス)
- 7-8. 4644 イマジニア ― 保有比率3.30%(既出、フィットボクシング等)
- 7-9. 6060 こころネット ― 保有比率3.04%~3.30%(冠婚葬祭)
- 7-10. 6074 ジェイエスエス ― 保有比率2.86%~3.11%(水泳スクール)
- 7-11. 8742 小林洋行 ― 保有比率2.67%~2.97%(先物取引業)
- 7-12. 9476 中央経済社HD ― 保有比率2.97%(会計・税務専門出版社)
- 7-13. 9674 花月園観光 ― 保有比率4.92%(既出)
- 8. 第7部 「忘れられた」銘柄たち ― 過去保有から見える教訓
- 9. 第8部 新規組入れの最新動向 ― 2025~2026年に何を買っているか
- 10. 第9部 業種比率と相関 ― ポートフォリオ全体の幾何学
- 11. 第10部 銘柄選定基準を逆算する ― 内藤式スクリーニング再現
- 12. 第11部 「内藤銘柄」を真似たい個人投資家への実践指南
- 13. 終章 ― 105銘柄という数字が語るもの
- 補論α 主要銘柄の詳細プロファイル ― さらに掘り下げる
- α-1. ディーエムエスの追加プロファイル ― 「日本DM協会」の中での位置づけ
- α-2. メディカルネットの追加プロファイル ― 歯科業界の構造
- α-3. イマジニアの追加プロファイル ― 「フィットボクシング」の経済学
- α-4. パレモHDの追加プロファイル ― 雑貨小売の生存戦略
- α-5. SE H&I(翔泳社)の追加プロファイル ― 出版業界の意外な勝ち組
- α-6. アイエーグループの追加プロファイル ― オートバックスFC最大手
- α-7. 花月園観光の追加プロファイル ― 不動産価値の深掘り
- α-8. ボルテージの追加プロファイル ― 乙女ゲーム業界の生存戦略
- α-9. ムサシの追加プロファイル ― 選挙の隠れた寡占者
- α-10. ファースト住建の追加プロファイル ― 関西戸建分譲の堅実派
- 補論β 配当による「現金フロー」の試算
- 補論γ 「内藤銘柄」と他の有名投資家銘柄の重複度
- 補論δ 「内藤銘柄」のセクター別期待リターン分析
- 補論ε 内藤銘柄の流動性分析と現実的な投資可能性
- 補論ζ 「内藤銘柄」と新NISAの相性
- 補論η 内藤銘柄カタログの活用法 ― この記事の使い方
- 14. 参考資料
1. はじめに ― なぜ「銘柄」だけに絞って書くのか
内藤征吾という名前を聞いて、多くの個人投資家が真っ先に知りたがるのは、「で、何を持っているのか?」という極めて実利的な情報です。
投資哲学は大切です。長期保有の重要性、バリュー投資の本質、分散の意義。これらを論じる記事はすでに世の中に多数存在します。しかし、いざ「明日、株を買うとして、内藤さんの保有銘柄リストから一つ選ぶとしたら、どれが良いのだろう」と考え始めた瞬間、抽象論はストップして、具体的な銘柄名と数字が必要になります。
本記事は、その「具体的な銘柄名と数字」だけに徹底的にフォーカスします。
内藤氏が大株主として有価証券報告書に名前を連ねる銘柄は、2025年時点で78社(IRBANK集計)、株式データベース「バフェット・コード」の集計では105銘柄にのぼります。これらすべてを一つひとつ「どんな会社で、業績はどうで、財務指標はどんな水準で、なぜ内藤氏が買ったと推察できるか」を解剖していきます。
ご本人が発信していない以上、推察は推察にすぎません。しかし、有価証券報告書、決算短信、適時開示資料、四季報、IRBANK、バフェット・コード、株探、みんかぶ等の一次情報を組み合わせれば、相当程度立体的に銘柄の輪郭を描けます。各銘柄の特徴を丁寧に拾えば、内藤氏が「何を見て買ったか」がほぼ統計的に推察できます。
なお、本記事の数字(時価総額、PER、PBR、配当利回り等)は、執筆時点(2026年5月)で確認できる直近のデータに基づきます。これらは日々変動するため、実際に投資判断をする際は必ず最新の情報をご自身でご確認ください。
それでは、内藤銘柄を一つひとつ見ていきます。読み終わる頃には、「内藤式バリュー投資のリアル」が、頭の中にずっしりと残るはずです。
2. 第1部 確信銘柄群 ― 保有比率4%超の超主力銘柄
最初に取り上げるのは、内藤氏のポートフォリオで保有比率が4%を超える銘柄です。金融商品取引法の「5%ルール」(大量保有報告書の提出義務基準)の一歩手前まで踏み込んでいる銘柄群であり、内藤氏が「これは特別な確信銘柄だ」と判断していると推察できる重要ポジションです。
2-1. 9674 花月園観光 ― 保有比率4.92%、究極の含み資産銘柄
基本情報
- 銘柄コード: 9674
- 会社名: 花月園観光株式会社
- 所在地: 神奈川県横浜市
- 業種: サービス業(旧競輪業)
- 上場市場: 東京証券取引所スタンダード市場(旧東証2部)
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 4.92%
- 保有株数: 86,000株(2025年9月末時点)
- 2022年から2025年まで4年連続で同水準を維持
花月園観光は、内藤氏のポートフォリオで最も保有比率が高い銘柄です。5%ルールの直前、4.92%という絶妙な水準で何年も保有を続けています。これは、明らかに意図的な水準であり、内藤氏がこの銘柄に対して特別な確信を持っていることを示唆しています。
会社の歴史と現状
花月園観光は、もともと横浜市鶴見区にあった「花月園競輪場」の運営会社として知られていました。同社はサテライト石鳥谷(岩手県)、サテライトかしま(福島県)といった場外発売所を運営し、競輪業界に深く関わってきました。
しかし、競輪業界はファンの高齢化と新規顧客獲得の伸び悩みにより、業績は長期的に低迷。2017年10月には10株を1株に併合する大規模な株式併合を実施し、2019年には東証から「月間平均時価総額10億円以上を維持しないと上場廃止」という上場廃止猶予期間入りの通告を受けるという、極めて厳しい状況に陥りました。
業績の推移
花月園観光の業績は、決して順風満帆ではありません。
- 平成27年3月期: 売上387百万円、純利益91百万円
- 平成28年3月期通期予想: 売上622百万円、純利益25百万円
- 平成31年3月期第3四半期: 売上603百万円、当期純損失7百万円
- 平成31年3月期上半期: 売上399百万円、四半期純損失21百万円
このように、売上規模は数億円程度で、利益も赤字スレスレ。配当も無配が続いており、配当狙いの銘柄では到底ありません。
それでも内藤氏が買い続ける理由
ではなぜ、内藤氏は4.92%もの大量保有を続けるのか。最も有力な仮説は、「含み資産(不動産価値)への期待」です。
花月園観光が保有する横浜市鶴見区の旧競輪場跡地は、JR鶴見駅から徒歩圏内の一等地と評価されています。仮にこの土地が再開発されれば、簿価をはるかに超える売却益が生まれる可能性があります。実際、2019年に同社が東京証券取引所に提出した「事業の現状、今後の展開等について」という書面では、保有資産の活用が経営課題として取り上げられています。
つまり花月園観光は、本業の収益力では評価されない代わりに、保有不動産という「眠れる宝物」を抱える典型的なネットアセット・バリュー(NAV)型銘柄。内藤氏は、この本質的価値が市場で再認識される日を、4.92%という持株比率で待っているのです。
この銘柄の教訓
花月園観光から学べるのは、「業績よりも資産を見る」という古典的バリュー投資の発想です。本業が儲かっていなくても、貸借対照表に眠っている資産(土地、現預金、保有有価証券)が時価総額を上回るなら、買う価値はある。ベンジャミン・グレアムの「ネットネット銘柄」の延長線上にある投資判断です。
ただし、こうした銘柄は「いつ報われるか分からない」というリスクを抱えます。10年待つ可能性もあれば、20年待つ可能性もあります。内藤氏が待ち続けているのは、それだけの胆力と時間軸を持っているからこそです。一般の個人投資家がこの銘柄を真似する場合、その「待つ覚悟」も込みで判断する必要があります。
2-2. 9478 SE H&I(SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ)― 保有比率4.03%
基本情報
- 銘柄コード: 9478
- 会社名: 株式会社SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ
- 業種: 出版・情報サービス
- 主要事業: 翔泳社(出版)、CodeZine(IT情報サイト)等を運営する持株会社
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 4.03%
- 保有株数: 64万株(2025年9月末時点)
SE H&Iは、IT書籍出版で有名な「翔泳社」を傘下に持つ持株会社です。プログラミング、データベース、ネットワーク、デザイン関連の技術書を多く出版しており、エンジニア界隈では知られた存在です。CodeZine、MarkeZine、ProductZineといった専門情報サイトも運営しています。
銘柄の魅力
出版業界は紙書籍の衰退で苦戦している印象を持たれがちですが、SE H&Iは専門領域に特化することで安定収益を確保しています。プログラミング書籍は、Web情報やAIで完全に代替されにくいニッチ市場です。エンジニアは体系的に学ぶ際に書籍を求める傾向があり、需要は意外と堅実。
さらに、同社は2024年に発行済株式数の2.60%上限の自社株買いを発表しており、株主還元意識も高い。これは典型的な「PBR1倍割れ改革」への対応策です。
内藤氏が大株主としてここまで踏み込んだ理由
内藤氏が4.03%まで買い増している事実は、この銘柄に対する強い確信を物語ります。出版業界の中でも、SE H&Iは固有の競争優位性(技術書市場での圧倒的地位、専門サイトのトラフィック)を持ち、かつPBRも低水準。「地味だが確固たる収益基盤」を持つ典型的な内藤好み銘柄と言えるでしょう。
3. 第2部 中核銘柄群 ― 保有比率3.5%~4%の中核ホールディング
ここからは、内藤氏のポートフォリオの「中核」を成す保有比率3.5%~4%の銘柄群を見ていきます。これらは、確信銘柄ほどではないものの、明確に「ベース・ポートフォリオの主役」として位置付けられている銘柄群です。
3-1. 2778 パレモ・ホールディングス ― 保有比率3.85%
基本情報
- 銘柄コード: 2778
- 会社名: パレモ・ホールディングス株式会社
- 業種: 小売業
- 主要事業: ファッション雑貨・アパレル店舗運営
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.85%
- 保有株数: 46万株(2025年8月20日時点)
パレモ・ホールディングスは、ファッション雑貨店「パレット」「クラフトハート トーカイ」「サンキ」などを展開する小売持株会社です。郊外型ショッピングセンターを中心に出店しており、地方主婦層をコア顧客としています。
この銘柄の特徴
アパレル小売業は、ファストファッションやEC(ユニクロ、しまむら、ZARA、SHEIN等)との競争で、厳しい環境にあります。にもかかわらず、パレモ・ホールディングスは、
- 地方ロードサイドの店舗網
- ハンドクラフト商材という独自性
- 中高年層への根強い支持
これらの要素でニッチ市場での競争優位を保っています。
内藤氏が3.85%まで買い増しているということは、「斜陽産業の中でも生き残る企業」を見抜く目を持っていることを意味します。アパレル業界全体ではなく、その中で構造的な強みを持つ会社を選ぶ。これも内藤式の典型例です。
3-2. 9782 ディーエムエス ― 保有比率3.78%(時価総額255億円、配当6.47%)
基本情報
- 銘柄コード: 9782
- 会社名: 株式会社ディーエムエス(DMS INC.)
- 所在地: 東京都千代田区神田小川町
- 業種: サービス業
- 主要事業: ダイレクトメール(DM)印刷・発送、CRM、デジタルマーケティング
最新の財務指標(2026年3月時点)
- 時価総額: 255億円
- PER(予想): 19.5倍
- PBR: 1.24倍
- 配当利回り(予想): 6.47%
- ROE(予想): 6.37%
- ROA(予想): 4.75%
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.78%(2025年3月末時点)
- 保有株数: 21万株
- 少なくとも2019年から継続保有
ディーエムエスは、内藤銘柄のなかでも最も知名度の高い銘柄の一つです。同社は、企業の販売促進活動を支援するDM印刷・発送を主軸に、CRM、デジタルマーケティングを多角展開しています。
業績の堅調さ
「DMはオワコン」と言われがちですが、実態は逆。同社の2026年3月期第3四半期決算は、
- 売上高: 217億2,200万円(前年同期比9.0%増)
- 営業利益: 9億1,900万円(前年同期比16.4%増)
と、二桁増益を達成しています。デジタル広告だけでは届かない顧客層への販促手段として、DMには依然として根強い需要があります。むしろ、デジタル広告のCPA(顧客獲得コスト)が高騰している昨今、DMの相対的な費用対効果が見直されている側面すらあります。
「配当方針大転換」がもたらしたインパクト
ディーエムエスが市場の注目を集めたのは、2025年3月の配当方針の大転換でした。同社は、それまでの「配当性向60%目安」から、「DOE(株主資本配当率)8%目安」へと方針を変更。これにより、
- 前期1株当たり配当: 79円
- 2025年3月期1株当たり配当: 236円(前期比157円増)
- 配当利回りは一時 11.98% まで上昇
という劇的な増配を実施しました。これは、東証PBR1倍割れ改革を受けた典型的な株主還元強化策であり、内藤氏が長年保有してきた銘柄が、いよいよ「報われる時」を迎えた象徴的な出来事です。
内藤氏がこの銘柄を選んだ思考プロセスの推察
ディーエムエスは、内藤氏が長期保有してきた典型的な内藤銘柄です。買った時点では、おそらく以下のような判断があったと推察されます。
- DM事業は安定収益源(売上の景気感応度が低い)
- PBRが1倍を下回り、資産価値からも割安
- 配当性向60%という比較的高い還元方針
- 千代田区神田小川町の本社不動産も含み益要因
- ニッチ業界での強固な競争地位
そして、これら全ての条件が揃った会社が、最終的にDOE導入で大化けした。長期投資の理想的な成功事例と言えるでしょう。
3-3. 3639 ボルテージ ― 保有比率3.71%(女性向け恋愛ゲームの老舗)
基本情報
- 銘柄コード: 3639
- 会社名: 株式会社ボルテージ
- 業種: 情報・通信業
- 主要事業: 女性向け恋愛ゲーム「100シーンの恋+」「天下統一恋の乱 Love Ballad」など
最新の財務指標
- 時価総額: 約15億円
- PER: 298.62倍(利益水準が低いため変動大)
- PBR: 0.73倍
- 配当利回り: 0%(無配)
- ROE: 0.63%
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.71%~4.03%
- 保有株数: 24万株~25万株
- 2024年6月に新規大株主として登場
この銘柄の特徴
ボルテージは、女性向け恋愛ゲーム(乙女ゲーム)の老舗です。「読み物型」と呼ばれるノベル形式のスマホアプリゲームを多数展開しており、根強いファン層を持っています。
業績的には、近年は売上減少傾向にあり、2025年6月期第3四半期累計では売上21億3,200万円(前年同期比20.0%減)、営業損失6百万円という状況。決して順調とは言えません。
それでも内藤氏が新規参入した理由
時価総額15億円という超小型株。配当も無配。それでも内藤氏が2024年6月に大株主として登場し、しかも2024年12月には保有比率を一気に4.03%まで増やしたのは、明らかに「何か」を見ています。
考えられる仮説は、
- 資産バリュー: 時価総額15億円に対して、純資産はもっと多い(PBR0.73倍)
- 過去の収益力: 過去には黒字を出していた時期もあり、復活の余地がある
- コンテンツIPの価値: 蓄積された乙女ゲームのIPは、見方によっては潜在価値が高い
- M&A・TOBの可能性: 時価総額が小さいため、ゲーム業界の大手から買収提案を受ける可能性
これは、内藤氏らしい「買って何年も寝かせる」型の銘柄です。報われるかどうかは、3年後、5年後の答え合わせを待つしかありません。
3-4. 3645 メディカルネット ― 保有比率3.67%(歯科業界のストックビジネス)
基本情報
- 銘柄コード: 3645
- 会社名: 株式会社メディカルネット
- 業種: 情報・通信業
- 主要事業: 歯科医院検索サイト「インプラントネット」「矯正歯科ネット」「歯医者さんネット」運営
業績推移
- 売上高: 過去10年で4.1倍に成長(2014年比)
- 過去最高純利益: 2022年5月期 3億8,010万円
- 直近: 第1四半期経常利益53百万円(対会社予想進捗率22.7%)
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.67%
- 保有株数: 33万株
- 長期保有銘柄
ビジネスモデルの本質
歯科医院は全国に7万件以上あり、コンビニ(5万件強)よりも多い「過剰飽和市場」です。各医院は患者獲得と人材確保に常に苦労しており、メディカルネットはこの構造的需要を捉えています。
医院向けのサブスクリプション型サービスを提供しており、毎月安定した収益が積み上がる「ストックビジネス」。これは、フローの売上に依存する一般的なIT企業とは異なる収益安定性をもたらします。
内藤氏が好む理由
メディカルネットは、
- ストック型収益で予測可能性が高い
- 顧客(歯科医院)の構造的需要を捉えている
- 業界トップクラスのシェア
- 時価総額が小型で機関投資家から見られにくい
これらは内藤式の「地味だが本質的に強い」銘柄の典型です。短期的には派手な動きはなくとも、長期で見れば安定した複利成長が期待できる銘柄カテゴリーです。
3-5. 8917 ファースト住建 ― 保有比率3.64%(関西の戸建分譲)
基本情報
- 銘柄コード: 8917
- 会社名: ファースト住建株式会社
- 業種: 不動産業
- 主要事業: 関西を中心とした戸建住宅の分譲
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.64%
- 保有株数: 50万株(2025年10月末時点)
ファースト住建は、関西エリアを地盤とする戸建分譲メーカーです。土地仕入れから建設、販売まで一貫して手がけており、地域特化型のニッチプレイヤーとして強固な地位を築いています。
この銘柄の魅力
新築住宅市場は、長期的には人口減少の影響を受ける見通しですが、ファミリー層向けの戸建分譲は依然として一定の底堅い需要があります。特に関西は、首都圏と比較すると土地が手の届く価格帯で、戸建ニーズが堅実。
財務面でも、自己資本比率が高く、配当も安定。典型的な「地味な堅実バリュー株」です。内藤氏のポートフォリオで建設・住宅セクターが多いのは、こうした「景気変動に強い地方ニッチ住宅メーカー」を好んでいることの表れです。
3-6. 6038 イード ― 保有比率3.62%(専門メディア複合体)
基本情報
- 銘柄コード: 6038
- 会社名: 株式会社イード
- 業種: 情報・通信業
- 主要事業: 専門メディア運営(ResponseGAME Watch等)、リサーチ、ソリューション
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.62%
- 保有株数: 17万株(2025年12月末時点)
イードは、自動車(Response)、ゲーム(GAME Watch、GameBusiness.jp)、エンタメ(アニメ!アニメ!)、教育、IT、ライフスタイルなど、ニッチな専門領域でのメディアサイト運営を主力とする会社です。Webメディア事業は、検索流入と広告で収益化されており、ストック性のあるトラフィック資産を持っています。
特定領域の専門メディアは、Googleの検索アルゴリズム変動の影響を受けやすいリスクはあるものの、確立されたブランドを持つメディアは長期で生き残る傾向があります。Web広告市場全体の拡大も追い風となっています。
4. 第3部 建設・土木・住宅セクター ― 内藤銘柄の最大派閥
内藤銘柄を業種別に整理すると、建設・土木・住宅関連が最大派閥を形成しています。これは偶然ではなく、明確な戦略的選択の結果です。本セクションでは、内藤氏が保有する建設関連銘柄を一つひとつ詳しく見ていきます。
4-1. 1718 美樹工業 ― 保有比率3.13%(関西地盤の地場建設業)
基本情報
- 銘柄コード: 1718
- 会社名: 美樹工業株式会社
- 業種: 建設業
- 所在地: 兵庫県姫路市
最新の財務指標(2025年5月時点)
- 時価総額: 61億円
- PER(予想): 6.44倍
- PBR: 0.36倍
- 配当利回り(予想): 3.77%
- ROE(予想): 5.55%
- ROA(予想): 2.45%
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.13%
- 保有株数: 34,300株
- 2019年6月に新規大株主として登場
- 以後、6年以上にわたって同水準を維持
この銘柄の特徴
美樹工業は、姫路市を本拠とする地場建設会社。住宅建設、ガス工事、エネルギー関連事業を展開しています。
PBR0.36倍という極端な割安水準が目を引きます。これは、純資産の3分の1の値段で会社が買えてしまうということ。理論的には「会社を解散して資産を分けた方が儲かる」レベルです。
PER6.44倍も極めて低水準。利益の6.4年分の値段でしか株価がついていません。配当利回り3.77%も悪くない水準。
これだけ割安に放置されているのは、
- 地方の地場建設業という地味さ
- 売買高の少なさ
- アナリストカバレッジが皆無
- 機関投資家が手を出しにくい時価総額61億円
といった「忘れられている」要因です。内藤氏が2019年から黙々と保有を続けているのは、こうした構造的な割安状態がいつか正常化されると見ているからでしょう。
4-2. 1739 メルディアDC ― 保有比率3.1%(旧三栄建築設計、近畿圏戸建)
基本情報
- 銘柄コード: 1739
- 会社名: 株式会社メルディアDC(旧:三栄建築設計)
- 業種: 不動産業
- 主要事業: 戸建分譲、注文住宅
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.1% (2022年12月時点、2023年6月時点では3.18%)
- 保有株数: 18万株~19万株
旧社名「三栄建築設計」として知られていた近畿圏の戸建分譲メーカーです。2024年にメルディアDCへ社名変更。
戸建分譲業界は、土地仕入れの巧拙と販売スピードが勝負の世界。メルディアDCは関西、東海圏で堅実な事業基盤を持ち、配当も継続。典型的な内藤銘柄の特徴を備えています。
4-3. 1758 太洋基礎工業 ― 保有比率3.42%(杭打ち・地盤改良の専門技術)
基本情報
- 銘柄コード: 1758
- 会社名: 株式会社太洋基礎工業
- 業種: 建設業
- 主要事業: 杭打ち工事、地盤改良工事
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.42%(2023年1月末時点)、3.76%(2022年7月末時点)
- 保有株数: 24,000株~25,000株
太洋基礎工業は、建築物や土木構造物の基礎工事を専門に手がける会社です。地盤改良、杭打ち、土留めといった、建物の下から支える地味だが不可欠な業務を担っています。
この種の専門技術系建設会社は、
- 専門技術による高い参入障壁
- 大手ゼネコンからの安定的な下請け受注
- 地震対策・耐震化需要の長期的恩恵
- 設備投資が一巡した後の高い利益率
といった特徴があり、典型的な「地味だが固い」内藤銘柄候補です。
4-4. 1770 藤田エンジニアリング ― 保有比率3.31%~3.33%(設備工事の中堅)
基本情報
- 銘柄コード: 1770
- 会社名: 株式会社藤田エンジニアリング
- 業種: 建設業
- 主要事業: 電気設備工事、空調衛生設備工事
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.31%~3.83%
- 保有株数: 30万株~35万株
- 2022年以降一貫して大株主に登場
藤田エンジニアリングは、産業設備の電気工事、空調衛生設備工事を手がける設備工事業者。半導体工場、データセンター、物流施設の新規建設需要を取り込めるポジションにあります。
設備工事業は、新規建設だけでなく、メンテナンス・改修需要もあり、収益が安定。配当も継続的に支払われており、内藤式の好む典型的な銘柄です。
4-5. 1798 守谷商会 ― 保有比率3.05%~3.10%(地域密着型設備工事)
基本情報
- 銘柄コード: 1798
- 会社名: 株式会社守谷商会
- 業種: 建設業
- 主要事業: 総合建設業(土木・建築)
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.05%~3.10%
- 保有株数: 約67,000株
- 長期保有
守谷商会は、長野県を地盤とする地域密着型のゼネコン。地方ゼネコンは、地方公共投資の動向に業績が大きく左右されますが、強固な地元ネットワークと、人口減少地域でのインフラ更新需要を取り込める強みがあります。
PBRが低く、配当も継続的。「地方の隠れた優良企業」の典型例です。
4-6. 1807 佐藤渡辺 ― 保有比率2.91%~3.05%(道路舗装専門)
基本情報
- 銘柄コード: 1807
- 会社名: 株式会社佐藤渡辺
- 業種: 建設業
- 主要事業: 道路舗装工事
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.91%~3.05%
- 保有株数: 88,000株~93,000株
- 2022~2024年継続保有
佐藤渡辺は、道路舗装を主力とする専門建設業者。アスファルト舗装、コンクリート舗装、道路補修、橋梁補修などを手がけており、国土強靱化計画やインフラ更新の恩恵を直接受けるポジションにあります。
道路舗装業は景気の波の影響を受けにくく、公共工事の長期計画に紐づくため業績が安定しやすい。配当も継続的に出される傾向があり、内藤好みの銘柄です。
4-7. 1960 サンテック ― 保有比率3.12%~3.16%(電気設備工事)
基本情報
- 銘柄コード: 1960
- 会社名: 株式会社サンテック
- 業種: 建設業
- 主要事業: 電気設備工事
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.12%~3.16%
- 保有株数: 47万株~50万株
サンテックは、関西電力系列の電気設備工事会社。発電所、変電所、送電線などの電気インフラ工事を主力としています。
電力インフラの更新需要、再生可能エネルギー関連の送電網整備、データセンター向けの電気工事など、長期的な構造需要は底堅い。
4-8. 1999 サイタHD ― 保有比率3.12%
基本情報
- 銘柄コード: 1999
- 会社名: サイタホールディングス株式会社
- 業種: 建設業
- 主要事業: 総合建設、不動産
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.12%
- 保有株数: 19,000株
- 2022年以降継続保有
サイタHDは、地方の建設・不動産持株会社。土木、建築、不動産開発を統合して運営しています。
4-9. 5280 ヨシコン ― 保有比率3.02%~3.05%(静岡県の建設・不動産)
基本情報
- 銘柄コード: 5280
- 会社名: ヨシコン株式会社
- 業種: ガラス・土石製品
- 主要事業: 不動産開発、コンクリート二次製品
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.02%~3.05%
- 保有株数: 21万株
ヨシコンは、静岡県を地盤とするコンクリート二次製品メーカー兼不動産開発会社。土木用コンクリート製品から、住宅、商業施設の開発まで多角的に展開しています。地域経済への深い根差しが特徴です。
4-10. 5921 川岸工業 ― 保有比率3.02%~3.10%(鉄骨製作の専門メーカー)
基本情報
- 銘柄コード: 5921
- 会社名: 川岸工業株式会社
- 業種: 金属製品
- 主要事業: 鉄骨製作・建築工事
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.02%~3.10%
- 保有株数: 89,000株
川岸工業は、ビル、工場、橋梁などに使われる鉄骨の製作を主力とする会社。建築鉄骨は、設計・製作・建方まで一貫した技術が必要で、参入障壁の高い専門領域です。
データセンター、半導体工場、物流倉庫の建設ラッシュの恩恵を受けやすいポジションにあります。
4-11. 5923 高田機工 ― 保有比率3.45%(橋梁・鉄骨の大手)
基本情報
- 銘柄コード: 5923
- 会社名: 高田機工株式会社
- 業種: 金属製品
- 主要事業: 橋梁、鉄骨工事
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.45%
- 保有株数: 20万株(2025年9月末時点)
高田機工は、橋梁と鉄骨建築工事を手がける専門メーカー。橋梁の長期更新需要、ニッチな技術力で、安定した受注を確保しています。
4-12. 7808 シー・エス・ランバー ― 保有比率2.17%~2.97%(住宅資材の上流)
基本情報
- 銘柄コード: 7808
- 会社名: 株式会社シー・エス・ランバー
- 業種: 建設業
- 主要事業: 木造住宅の建設、製材
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.17%~2.97%
- 保有株数: 40,200株~55,000株
シー・エス・ランバーは、木造住宅の設計・施工と、製材を一貫して手がける会社。木造建築の需要拡大(脱炭素、自然素材ブーム)に呼応した事業構造を持ちます。
4-13. 建設・住宅セクターの共通項
ここまで取り上げた12銘柄に共通するのは、
- PBR1倍未満(多くは0.5倍以下)
- 配当利回り3%以上(一部例外あり)
- 時価総額20~200億円の中小型
- 地域密着または専門技術型
- 業績が景気の波に左右されつつも、底堅い
- 長期保有可能(売却タイミングを急がない)
内藤氏が建設セクターを最大派閥としているのは、
- 国土強靱化計画とインフラ更新の長期需要
- データセンター、半導体工場、物流施設の建設ラッシュ
- 防衛関連投資の拡大
- 含み資産(土地、機材)の価値
- 配当による安定収入
これらの要因が複合的に作用しています。グロース投資家から見れば「斜陽」に見える業種が、実は構造的な追い風を受けているのです。
5. 第4部 製造・部品・素材セクター ― 地味な実業の底力
次に取り上げるのは、製造業・部品メーカー・素材メーカーといった「実業セクター」の銘柄群です。これらも建設関連同様、地味で目立たないが、確かな技術と財務基盤を持つ会社が多くを占めます。
5-1. 4624 イサム塗料 ― 保有比率3.09%~3.13%(建築塗料の老舗)
基本情報
- 銘柄コード: 4624
- 会社名: イサム塗料株式会社
- 業種: 化学
- 主要事業: 建築用塗料、自動車補修用塗料、工業用塗料
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.09%~3.13%
- 保有株数: 58,000株~59,000株
- 長期保有
イサム塗料は、建築塗料、自動車補修塗料の専門メーカー。塗料は地味な分野ですが、
- リフォーム需要の長期トレンド
- 自動車補修市場の安定性
- インフラ補修・防錆ニーズ
これらに支えられた、極めて安定した収益源です。配当も継続的に出されており、典型的な内藤式の好む銘柄です。
5-2. 5283 高見澤 ― 保有比率3.12%~3.17%(産業機械等の総合商社)
基本情報
- 銘柄コード: 5283
- 会社名: 株式会社高見澤
- 業種: 卸売業
- 主要事業: 産業機械、自動車部品の卸
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.12%~3.17%
- 保有株数: 52,000株
高見澤は、機械工具、自動車部品、建設資材などを幅広く取り扱う商社。多品種の取り扱いで、特定の業種・製品依存リスクが低く、安定した収益基盤を持っています。
5-3. 5699 イボキン ― 保有比率3.09%(産業廃棄物処理)
基本情報
- 銘柄コード: 5699
- 会社名: 株式会社イボキン
- 業種: 鉄鋼
- 主要事業: 産業廃棄物処理、金属リサイクル
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.09%
- 保有株数: 10万株
イボキンは、産業廃棄物処理と金属リサイクル事業を主力とする会社。脱炭素・循環型社会への対応で、長期的な事業環境の追い風があります。
サーキュラーエコノミーの観点から、リサイクル業は将来性が見直されつつあり、内藤氏が手早く仕込んだ銘柄と言えるでしょう。
5-4. 6943 NKKスイッチズ ― 保有比率2.97%~3.04%(精密スイッチの専門メーカー)
基本情報
- 銘柄コード: 6943
- 会社名: 株式会社NKKスイッチズ
- 業種: 電気機器
- 主要事業: 産業用・通信機器用スイッチの製造
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.97%~3.04%
- 保有株数: 24,400株~25,000株
NKKスイッチズは、産業機械や通信機器に組み込まれる精密スイッチの専門メーカー。一見地味ですが、産業界での需要は底堅く、IoT・スマートファクトリーの普及で長期的な需要拡大が見込まれます。
技術専門性が高く、参入障壁も高い分野。配当も安定的で、典型的な内藤好み銘柄です。
5-5. 7841 遠藤製作所 ― 保有比率2.8%~3.2%(ゴルフクラブヘッドの世界トップ)
基本情報
- 銘柄コード: 7841
- 会社名: 株式会社遠藤製作所
- 業種: 金属製品
- 主要事業: ゴルフクラブヘッド、自動車部品
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.8%~3.2%
- 保有株数: 25万株~28万株(2022~2023年)
遠藤製作所は、ゴルフクラブヘッドの製造で世界トップシェアを持つ専門メーカー。世界の有名ゴルフブランドにOEM供給しており、技術力で圧倒的なポジションを確立しています。
ゴルフ市場は意外と堅調で、特にアジア圏での需要拡大が継続。自動車部品事業も多角化リスク低減に寄与しています。
5-6. 9845 パーカーコーポレーション ― 保有比率2.90%~3.00%(化学薬品の中堅)
基本情報
- 銘柄コード: 9845
- 会社名: 株式会社パーカーコーポレーション
- 業種: 化学
- 主要事業: 化学薬品、塗料、機械の製造販売
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.90%~3.00%
- 保有株数: 72万株~75万株
パーカーコーポレーションは、防錆剤、金属表面処理薬品、塗料、機械などを多角展開する化学メーカー。製造業向けの基礎素材を提供しており、地味ながら不可欠なポジションを担っています。
6. 第5部 小売・サービス・地方密着セクター ― ニッチに眠る価値
このセクションでは、小売・サービス業の内藤銘柄を見ていきます。地方密着型・ニッチ市場型の銘柄が多く、見落とされやすいが堅実な収益を上げる銘柄群です。
6-1. 2411 ゲンダイエージェンシー ― 保有比率2.41%~3.00%(パチンコ広告代理店)
基本情報
- 銘柄コード: 2411
- 会社名: 株式会社ゲンダイエージェンシー
- 業種: サービス業
- 主要事業: パチンコ・パチスロ業界向け広告代理業
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.41%~3.00%
- 保有株数: 32万株~36万株
ゲンダイエージェンシーは、パチンコホール向けの広告代理業を主力とする会社。パチンコ業界は人口減少と若年層の遊技離れで縮小傾向にありますが、業界内では同社の確固たる地位は維持されています。
業績の波はあるものの、PBR・PERは低水準で、配当も継続。内藤式の典型的な「落ち目だが財務は固い」銘柄パターンです。
6-2. 2693 YKT ― 保有比率3.06%
基本情報
- 銘柄コード: 2693
- 会社名: 株式会社YKT
- 業種: 卸売業
- 主要事業: 産業機械、電子部品の卸
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.06%
- 保有株数: 35万株
YKTは、産業機械や電子部品を取り扱う中小型の専門商社。製造業向けの調達ハブとして、長年の取引関係に支えられた安定収益を持ちます。
6-3. 2778 パレモHD ― 保有比率3.85%(既出)
第2部で詳述したとおり、ファッション雑貨小売の中核銘柄。
6-4. 2788 アップルインターナショナル ― 保有比率3.20%(中古車輸出)
基本情報
- 銘柄コード: 2788
- 会社名: 株式会社アップルインターナショナル
- 業種: 卸売業
- 主要事業: 中古車の輸出、中古車卸
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.20%
- 保有株数: 41万株(2022~2023年)
アップルインターナショナルは、日本の中古車を海外(東南アジア、中東、アフリカ等)へ輸出する商社。日本車の品質への信頼を背景に、安定した輸出需要を持ちます。
円安局面では輸出競争力が高まり業績に追い風が吹くという特性もあります。
6-5. 3020 アプライド ― 保有比率2.96%~2.99%(パソコン専門店)
基本情報
- 銘柄コード: 3020
- 会社名: 株式会社アプライド
- 業種: 小売業
- 主要事業: パソコン専門店、BTOパソコン販売
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.96%~2.99%
- 保有株数: 80,000株~80,900株
アプライドは、九州を地盤とするパソコン専門店。BTO(ビルド・トゥ・オーダー)パソコンの組立販売、ゲーミングPC等を主力としています。eスポーツ需要、ゲーミングPC市場の拡大は追い風です。
6-6. 3375 ZOA ― 保有比率3.41%~3.42%(既出、PC周辺機器販売)
すでに第3部で詳述したように、時価総額21億円、PBR0.67倍、配当4.7%という典型的なディープバリュー銘柄。
6-7. 3538 ウイルプラスHD ― 保有比率3.17%(輸入車ディーラー)
基本情報
- 銘柄コード: 3538
- 会社名: 株式会社ウイルプラスホールディングス
- 業種: 小売業
- 主要事業: 輸入車ディーラー(ボルボ、ジャガー等)
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.17%
- 保有株数: 31万株(2025年12月末時点)
ウイルプラスHDは、ボルボ、ジャガー、BMW、ジープ、フィアットといった輸入車のディーラー網を展開する持株会社。富裕層向けマーケットを対象とした事業で、景気感応度はあるものの、ブランド代理権による参入障壁の高さが武器です。
6-8. 7509 アイエーグループ ― 保有比率3.30%~3.40%(既出、オートバックスFC)
オートバックスFCの大型店舗を運営する関西・東海・首都圏の地場小売業。PBR0.36倍という極端な割安状態で、典型的内藤銘柄。
6-9. 7521 ムサシ ― 保有比率3.46%(選挙関連の隠れた寡占企業)
基本情報
- 銘柄コード: 7521
- 会社名: 株式会社ムサシ
- 業種: 卸売業
- 主要事業: 選挙関連事業(投票用紙、開票機等)、業務機器
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.46%
- 保有株数: 23万株(2025年9月末時点)
ムサシは、日本の選挙インフラ(投票用紙、投票箱、開票機等)の主要供給者として、事実上の寡占ポジションを握る会社。一般の認知度は低いものの、業界では知る人ぞ知る隠れた優良企業です。
国政選挙、地方選挙、住民投票など、選挙イベントは恒常的に発生するため、安定した収益源を持ちます。これは典型的な内藤式の「地味な寡占銘柄」です。
6-10. 7619 田中商事 ― 保有比率3.20%(建材卸)
基本情報
- 銘柄コード: 7619
- 会社名: 田中商事株式会社
- 業種: 卸売業
- 主要事業: 建材、住宅設備機器の卸
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.20%
- 保有株数: 26万株(2025年9月末時点)
田中商事は、建設資材、住宅設備、産業資材を取り扱う中堅商社。建設業界の上流に位置し、業界の構造需要を取り込めるポジションです。
6-11. 9791 ビケンテクノ ― 保有比率3.01%~3.06%(ビルメンテナンス)
基本情報
- 銘柄コード: 9791
- 会社名: 株式会社ビケンテクノ
- 業種: サービス業
- 主要事業: ビルメンテナンス、清掃、警備
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.01%~3.06%
- 保有株数: 22万株~23万株
ビケンテクノは、ビルメンテナンス(清掃、設備管理、警備)を主力とする会社。オフィスビル、商業施設、医療施設の管理需要は底堅く、典型的なストックビジネス型のサービス業です。
7. 第6部 メディア・コンテンツ・IT・出版セクター ― ストックビジネスの宝庫
このセクションでは、メディア、コンテンツ、IT、出版関連の銘柄を扱います。多くはストック型収益を持つ、内藤好み銘柄の典型例です。
7-1. 2389 デジタルHD ― 保有比率2.99%(広告デジタルマーケティング)
基本情報
- 銘柄コード: 2389
- 会社名: 株式会社デジタルホールディングス
- 業種: サービス業
- 主要事業: デジタル広告、マーケティング支援
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.99%
- 保有株数: 52万株(2023年12月末時点)
デジタルHDは、デジタル広告代理事業を中心とする持株会社。デジタル広告市場の長期拡大トレンドに乗りつつ、複数の子会社による多角化でリスク分散を図っています。
7-2. 2483 翻訳センター ― 保有比率2.65%~3.01%(業界最大手の翻訳会社)
基本情報
- 銘柄コード: 2483
- 会社名: 株式会社翻訳センター
- 業種: サービス業
- 主要事業: 産業翻訳、特許翻訳、ローカリゼーション
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.65%~3.01%
- 保有株数: 88,600株~10万株
翻訳センターは、産業翻訳分野で国内最大手の翻訳会社。特許、医薬、自動車、IT、金融など、専門領域の翻訳サービスを提供しています。
AI翻訳の進化は脅威に見えますが、専門性の高い領域、法的責任を伴う翻訳(特許、契約書、医薬品等)は依然として人手による翻訳・チェックが必要で、業界トップの地位は安泰。
7-3. 3131 シンデン・ハイテックス ― 保有比率3.10%(半導体設計支援)
基本情報
- 銘柄コード: 3131
- 会社名: 株式会社シンデン・ハイテックス
- 業種: 卸売業
- 主要事業: 半導体製品の輸入・販売、技術支援
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.10%
- 保有株数: 63,000株(2022年3月末時点)
シンデン・ハイテックスは、半導体製品の輸入販売を中心とした技術商社。海外メーカーの半導体製品を国内顧客に提供する役割を担っており、半導体業界の構造的拡大需要に呼応しています。
7-4. 3138 富士山マガジンサービス ― 保有比率3.00%~3.11%(雑誌定期購読のオンライン書店)
基本情報
- 銘柄コード: 3138
- 会社名: 株式会社富士山マガジンサービス
- 業種: 小売業
- 主要事業: 雑誌の定期購読オンライン書店「Fujisan.co.jp」
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.00%~3.11%
- 保有株数: 99,000株~10万株
富士山マガジンサービスは、雑誌定期購読のオンライン書店を運営する会社。電子雑誌、デジタルマガジン市場の拡大とともに、ストック型の購読モデルを構築しています。
7-5. 3248 アールエイジ ― 保有比率2.93%~2.99%(不動産開発)
基本情報
- 銘柄コード: 3248
- 会社名: 株式会社アールエイジ
- 業種: 不動産業
最新の財務指標
- 時価総額: 24億円
- PER(予想): 10.47倍
- PBR: 0.53倍
- 配当利回り(予想): 4.69%
- ROE(予想): 5.11%
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.93%~2.99%
- 保有株数: 93,300株~95,000株
- 2024年4月に第3位株主として登場
- 2017年4月から長期保有
アールエイジは、東京都内を中心に賃貸用マンションの開発・運営を手がける中小型の不動産会社。
時価総額24億円、PBR0.53倍という典型的な内藤銘柄スペック。安定した賃貸収入により配当も継続的に支払われています。
7-6. 4287 ジャストプランニング ― 保有比率3.03%(外食店舗向けPOS)
基本情報
- 銘柄コード: 4287
- 会社名: 株式会社ジャストプランニング
- 業種: 情報・通信業
- 主要事業: 飲食店向けPOSシステム、業務管理システム
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.03%
- 保有株数: 38万株(2024年1月時点)
ジャストプランニングは、飲食店、小売店向けのPOSシステムや業務管理システムを提供する会社。外食業界のDXに伴うニーズで、ストック型のサブスク収益が積み上がっています。
7-7. 4295 フェイス ― 保有比率3.31%(コンテンツビジネス)
基本情報
- 銘柄コード: 4295
- 会社名: 株式会社フェイス
- 業種: 情報・通信業
- 主要事業: 音楽コンテンツ、エンタメコンテンツ
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.31%
- 保有株数: 36万株(2024年9月末時点)
フェイスは、音楽配信、着信メロディ、デジタルコンテンツ事業を展開する会社。コンテンツ業界のデジタル化波及をうまく取り込むポジションです。
7-8. 4644 イマジニア ― 保有比率3.30%(既出、フィットボクシング等)
基本情報
- 銘柄コード: 4644
- 会社名: イマジニア株式会社
- 所在地: 東京都新宿区西新宿
- 業種: 情報・通信業
- 資本金: 26億6,900万円
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.30%
- 保有株数: 31万株
- 2022年以降継続保有
事業の特徴
イマジニアは、ニンテンドースイッチ向けゲームソフトを中心に、
- 「フィットボクシング」シリーズ(フィットネスゲームの大ヒット作)
- 「ただいま〜リラックマとすみっコとわたし〜」(リラックマ・すみっコぐらしコラボのスマホアプリ)
- サンエックス社、サンリオ社の人気キャラクターを活用したゲーム
- NTTドコモ共同事業の教養動画メディア「テンミニッツTV」
- 紙媒体「野球太郎」を軸とした出版
など、多角的なコンテンツ事業を展開しています。
2024年3月期には、初音ミクとコラボした「Fit Boxing feat. 初音ミク」、ディズニーキャラクターと組んだ「ディズニー ミラーフィットネス」など、強力なIPコラボ作品を続々と投入。配当利回りも4.6%程度を維持しており、
- PBR0.9倍程度の割安水準
- ニンテンドー向けゲームの安定収益
- 強力なIPコラボによる成長性
- 配当による株主還元
これらの要素を兼ね備えた、典型的な内藤好み銘柄です。
7-9. 6060 こころネット ― 保有比率3.04%~3.30%(冠婚葬祭)
基本情報
- 銘柄コード: 6060
- 会社名: こころネット株式会社
- 業種: サービス業
- 主要事業: 冠婚葬祭事業(葬儀、結婚式)
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 3.04%~3.30%
- 保有株数: 11万株
こころネットは、福島県を地盤とする冠婚葬祭事業者。葬儀、結婚式、ホテル運営を展開しており、地方密着型のライフイベント関連企業です。
葬儀需要は、高齢化により長期的に底堅い。結婚式需要は減少傾向にあるものの、地域シェアの高さが収益基盤を支えています。
7-10. 6074 ジェイエスエス ― 保有比率2.86%~3.11%(水泳スクール)
基本情報
- 銘柄コード: 6074
- 会社名: 株式会社ジェイエスエス
- 業種: サービス業
- 主要事業: スイミングスクール、フィットネス事業
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.86%~3.11%
- 保有株数: 11万株~12万株
ジェイエスエスは、子供向けスイミングスクールを中心に運営する会社。少子化の中でも、子供向け習い事市場は底堅く、ストック型の月会費収入が積み上がります。
7-11. 8742 小林洋行 ― 保有比率2.67%~2.97%(先物取引業)
基本情報
- 銘柄コード: 8742
- 会社名: 株式会社小林洋行
- 業種: 証券・先物取引業
- 主要事業: 商品先物取引
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.67%~2.97%
- 保有株数: 33万株~37万株
小林洋行は、商品先物取引業(金、原油、農産物等)を主力とする中堅証券会社。商品市場のボラティリティが上がると業績が改善する特性があります。
7-12. 9476 中央経済社HD ― 保有比率2.97%(会計・税務専門出版社)
基本情報
- 銘柄コード: 9476
- 会社名: 株式会社中央経済社ホールディングス
- 業種: 情報・通信業
- 主要事業: 会計・税務・法律分野の専門書出版
内藤氏の保有状況
- 保有比率: 2.97%
- 保有株数: 13万株(2024年9月末時点)
中央経済社HDは、会計、税務、法律、経営の専門書出版を主力とする出版社。これらの分野は、毎年の制度変更(税制改正等)に応じて改訂版が必要となるため、安定した需要があります。会計士、税理士、弁護士などの専門家向けの市場で、強固な顧客基盤を持っています。
7-13. 9674 花月園観光 ― 保有比率4.92%(既出)
第1部で詳述したとおり、超主力銘柄。
8. 第7部 「忘れられた」銘柄たち ― 過去保有から見える教訓
内藤氏のポートフォリオは固定されたものではなく、銘柄の入れ替えが行われています。過去に保有されていたが現在のリストから消えている銘柄、あるいは保有比率が大きく減少した銘柄から、内藤氏の売却判断の論理を読み解くことができます。
8-1. 売却または減少が確認できる銘柄
IRBANKの履歴データから、過去にポートフォリオに登場したが、最新(2025-2026年)の有価証券報告書では大株主に登場しなくなった銘柄、または保有比率が顕著に減少した銘柄として、次のような例があります。
- 2162 nms HD(2022年に2.62%保有 → 直近不在)
- 3261 グランディーズ(2022年に2.20%保有 → 直近不在)
- 7841 遠藤製作所(2022~2023年に保有 → 直近不在)
これらの銘柄が現在の大株主上位10位から消えているということは、
- 売却した(保有比率が大きく下がった)
- 他の株主に追い抜かれた(保有株数自体は維持しているが、他の大株主が買い増しした結果、相対的に順位が下がった)
- 株式分割や合併等の事情で記載要件から外れた
のいずれかが考えられます。
8-2. 売却が示唆する判断基準
仮にこれらの銘柄を売却したとすれば、何が判断基準だったのでしょうか。一般的なバリュー投資家の売却基準として、
- 当初の割安水準が解消された(PBRが上昇しすぎ、もはや割安でない)
- 業績の根本的悪化(一時的不振ではなく構造的問題が顕在化)
- 配当方針の悪化(減配、無配転落)
- 代替銘柄の発見(より魅力的な銘柄に資金を振り向ける)
これらが考えられます。内藤氏のような長期投資家は、頻繁な売買はしないものの、明確な売却基準を持っていると推察されます。
8-3. 「売らない」だけでなく「売れる」勇気
長期投資家にしばしばあるのが、「塩漬け」と「長期投資」の混同です。買った銘柄を、価格が下がっても買い増しもせず、業績が悪化しても見守るだけ、というのは長期投資ではなく塩漬けです。
内藤氏が過去保有銘柄を一定割合で入れ替えているという事実は、彼が「売らない教」の信者ではなく、必要があれば売る判断もできる柔軟な投資家であることを示しています。
これは、内藤式を学ぶ上で重要なポイントです。「買ったら永久保有」ではなく、「買ったら、よほどのことがない限り保有し続ける、しかしよほどのことが起きたら売る」。この姿勢こそが、長期投資の真髄です。
9. 第8部 新規組入れの最新動向 ― 2025~2026年に何を買っているか
内藤氏は、長期保有を基本としながらも、常に新規銘柄を組み入れています。最新(2025~2026年)の動向を見ると、彼の関心領域が浮かび上がってきます。
9-1. 2025年の新規大株主登場銘柄
2025年に新たに大株主として登場した(または保有比率を大きく上げた)銘柄として、
- 2778 パレモHD(小売、3.85%)
- 9478 SE H&I(出版IT、4.03%)
- 3639 ボルテージ(ゲーム、保有比率増)
- 8917 ファースト住建(住宅、3.64%)
- 7521 ムサシ(選挙関連、3.46%)
- 5923 高田機工(橋梁鉄骨、3.45%)
- 1739 メルディアDC(住宅、保有比率増)
これらが目立ちます。
9-2. 2026年に入ってからの新規登場
2026年(IRBANKの集計時点で2社)の最新の大株主登場銘柄として、
- 6091 ウエスコHD(保有比率2.83%、37万株、2026年1月31日時点)
- 7219 エッチ・ケー・エス(保有比率1.57%、22,000株、2026年2月28日時点)
これら2銘柄が新登場しています。
9-3. 2026年1月新登場:6091 ウエスコHD
基本情報
- 銘柄コード: 6091
- 会社名: ウエスコホールディングス
- 業種: サービス業(建設コンサルタント)
ウエスコHDは、建設コンサルティング、地質調査、測量、環境調査などを手がける建設関連サービス業の持株会社。インフラ更新、防災・減災需要、再生可能エネルギー関連のコンサルティング需要を取り込むポジションにあります。
内藤氏が建設・土木関連を好む傾向は、ここでも継続しています。
9-4. 2026年2月新登場:7219 エッチ・ケー・エス(HKS)
基本情報
- 銘柄コード: 7219
- 会社名: 株式会社エッチ・ケー・エス
- 業種: 輸送用機器
- 主要事業: 自動車用チューニングパーツ、エンジン関連部品
HKSは、世界的に知られた自動車チューニングパーツの専業メーカー。エンジン性能を高めるためのパーツ(マフラー、サスペンション、エアクリーナー等)を製造販売しています。
国内外のカーチューニング・モータースポーツ市場で確固たる地位を持ち、ニッチながら世界的なブランド力があります。
9-5. 新規組入れの傾向分析
最新の新規組入れ動向から見えるのは、
- 建設関連の継続的選別(ウエスコHD、ファースト住建、高田機工等)
- ニッチ寡占企業への着目(ムサシ、HKS、SE H&I)
- ライフスタイル関連の地味な堅実銘柄(パレモHD等)
これらは、内藤式の根本的なポリシー(中小型・バリュー・配当・長期)と完全に一致しています。新規組入れにおいても、彼のスタイルは一貫しています。
10. 第9部 業種比率と相関 ― ポートフォリオ全体の幾何学
ここで一度、内藤氏のポートフォリオを業種別に俯瞰してみましょう。105銘柄という大きな構成は、全体としてどんな業種ウェイトを持つのか。これは、彼のマクロ的な投資判断を読み解く鍵となります。
10-1. 業種別の保有銘柄数推定
主な業種別の保有銘柄数(2025年公開データから推計)
| 業種大分類 | 主な銘柄例 | 概数 |
|---|---|---|
| 建設・土木・住宅 | 美樹工業、サンテック、藤田エンジニアリング、ヨシコン、川岸工業、高田機工等 | 15銘柄以上 |
| 製造業(金属・機械・化学) | イサム塗料、遠藤製作所、パーカーコーポレーション、NKKスイッチズ等 | 10銘柄以上 |
| 小売・卸売 | アイエーグループ、ZOA、ウイルプラスHD、田中商事、アプライド等 | 10銘柄以上 |
| サービス業(IT、メディア、専門) | ディーエムエス、メディカルネット、ビケンテクノ、こころネット等 | 15銘柄以上 |
| 情報・通信(コンテンツ、ゲーム、出版) | イマジニア、ボルテージ、フェイス、SE H&I、中央経済社HD等 | 10銘柄以上 |
| 不動産 | 花月園観光(資産バリュー型)、ファースト住建、アールエイジ、サイタHD等 | 5銘柄以上 |
| その他(金融、卸売り、商品先物) | 小林洋行、YKT等 | 5銘柄以上 |
合計で、約70~80社程度が報告書上で確認できる範囲、105銘柄が保有を確認できる総数となります。
10-2. 業種ウェイトの戦略的解釈
このウェイトから読み取れる内藤氏の戦略は、
(1) 「ドメスティック」へのコミットメント
トヨタ、ホンダ、ソニー、東芝といった海外売上比率の高い銘柄は、内藤氏のポートフォリオにほぼ存在しません。代わりに、地方の建設業、地方サービス業、ニッチ製造業など、国内市場依存度の高い企業が圧倒的多数を占めています。
これは、為替リスクや海外マクロ要因の影響を受けにくいポートフォリオ構造です。
(2) 「景気感応度の低い業種への分散」
葬儀(こころネット)、選挙関連(ムサシ)、出版(SE H&I、中央経済社HD)、スイミングスクール(ジェイエスエス)、定期購読書店(富士山マガジンサービス)など、景気変動の影響を受けにくい業種が多く含まれています。
これは、市場全体の暴落時にもポートフォリオが大きく毀損しないように設計されている可能性があります。
(3) 「建設関連への集中」のリスクと機会
建設・土木・住宅関連が最大派閥である点は、リスクと機会の両面があります。リスクは、建設業全体に逆風が吹く局面で連鎖的に下落する可能性。機会は、国土強靱化計画、インフラ更新、防衛投資などの長期テーマで一斉に追い風が吹く可能性。
これまでの東証PBR改革の追い風を考えれば、これまでは機会が顕在化してきた局面と言えるでしょう。
10-3. 「テーマ株」が一切ないという特異性
注目すべきは、内藤氏のポートフォリオに**「テーマ株」が一切含まれていない**という事実です。
- AI関連: なし
- 半導体製造装置: なし
- バイオ・創薬: なし
- 宇宙・ドローン: なし
- メタバース・Web3: なし
- 量子コンピューティング: なし
これらの「テーマ性」がメディアを賑わす銘柄群は、内藤氏のポートフォリオには見当たりません。彼が買うのは、地味な実業の会社ばかりです。
これは、「未来予測が必要な銘柄は買わない」という強い信念を示唆しています。テーマ株は、その「テーマ」が当たるかどうかにリターンが依存します。一方、内藤銘柄は、すでに堅実な事業と財務を持つ会社で、未来予測ではなく現状の割安性が投資根拠となります。
11. 第10部 銘柄選定基準を逆算する ― 内藤式スクリーニング再現
ここまで詳述してきた銘柄の特徴を、定量的なスクリーニング基準として再構成してみましょう。これは、個人投資家が「内藤式風の銘柄スクリーニング」を実行する際のレシピとなります。
11-1. 内藤式スクリーニングの基本条件
【ハードフィルター(必須条件)】
- 時価総額: 20億円~500億円(できれば50億円~300億円のスイートスポット)
- PBR: 1.0倍以下
- 配当利回り: 3.0%以上
- 自己資本比率: 40%以上
- 直近5年で減配なし
【ソフトフィルター(優先順位の判断材料)】
- PER: 12倍以下が望ましい
- ROE: 5%以上が望ましい
- 業種: 建設・土木・地方サービス・ニッチ製造業・ストック型サービス
- 株主構成: 創業家・同族系の経営、外国人持株比率10%以下
- アナリストカバレッジ: 少ない、または無い
これらの条件を全て満たす銘柄は、東証全銘柄から見ると比較的少数になります。日本株約4,000銘柄のうち、おそらく100~200銘柄程度に絞り込めるはずです。
11-2. スクリーニングの具体的な実施手順
【ステップ1: 株探プレミアム等のスクリーニング機能を使う】
無料の「みんかぶ」や「Yahoo!ファイナンス」でも、基本的なスクリーニングは可能です。より細かい条件設定が必要なら、「株探プレミアム」「四季報オンライン」などの有料サービスを利用するのが効率的です。
設定例:
- 時価総額: 20億円~500億円
- PBR: 1倍以下
- 配当利回り: 3%以上
- 自己資本比率: 40%以上
【ステップ2: 候補銘柄を一覧で精査】
スクリーニング結果として出てきた銘柄を、業種別、PBR順、配当利回り順で並べ替えて、特徴を把握します。
【ステップ3: 個別銘柄の事業内容を確認】
各銘柄の事業内容を、
- 会社四季報
- 各社IR資料
- バフェット・コードの企業概要
- IRBANKの企業情報
で確認し、自分が理解できる事業かどうかを判定。理解できない事業は、たとえ財務指標が魅力的でも、見送るのが賢明です。
【ステップ4: 業績推移と配当履歴をチェック】
過去10年程度の業績推移と配当履歴を確認。
- 売上、営業利益、純利益の長期トレンド
- 配当の継続性、増配履歴
- 不景気時の業績の落ち込み具合
- リーマンショックやコロナショックでの耐性
これらを総合的に評価します。
【ステップ5: 株主構成と大株主動向を確認】
IRBANKやバフェット・コードで、大株主構成を確認。
- 内藤征吾氏が大株主にいるか
- 他の有名個人投資家が入っているか
- 機関投資家の動向は
これらは、銘柄選定の参考情報となります。
11-3. 「機械的スクリーニング+目利き」のハイブリッド
純粋に機械的なスクリーニングだけでは、内藤式の銘柄選定は完全には再現できません。たとえば、
- 経営者の誠実さ
- 業界の構造変化への対応力
- 競合との差別化要因
- M&Aや事業再編の可能性
これらは数字には現れない、目利きが必要な要素です。
内藤氏は、おそらく機械的なスクリーニングと、長年培った目利きのハイブリッドで銘柄選定を行っているはずです。個人投資家がこれを再現するには、数字を見るだけでなく、定性的な情報(決算説明資料、業界レポート、ニュース等)に触れる習慣も必要です。
12. 第11部 「内藤銘柄」を真似たい個人投資家への実践指南
ここからは、実際に「内藤銘柄」を参考に投資をしたい個人投資家に向けた実践的なアドバイスをまとめます。
12-1. 「コピー投資」の落とし穴
最も避けるべきは、内藤氏の保有銘柄リストを丸ごとコピーすることです。理由は、
(1) 情報のタイムラグ
有価証券報告書の提出は、決算期末から3ヶ月後。3月決算企業なら、6月末頃にようやく大株主が確認できます。この時点で、内藤氏が買い増しているのか、売却し始めているのかは、わかりません。
(2) 資金規模の差
内藤氏は数十億円規模の資金で、各銘柄に数千万円~1億円のポジションを持っています。個人投資家が100万円や1000万円で同じ100銘柄を真似することは、現実的に不可能です。
(3) 売却タイミングの判断
内藤氏がいつ売るかは、彼の発信がない以上、わかりません。「内藤さんと同じタイミングで買った」と思っても、「内藤さんと同じタイミングで売る」ことはできません。
12-2. 推奨される使い方:「スクリーニング・アシスト」
代わりに推奨されるのは、内藤氏の保有銘柄リストを「最初の候補リスト」として使う方法です。
【手順1】内藤氏の保有銘柄リストを取得
IRBANK、バフェット・コード、株探等で確認。
【手順2】各銘柄を自分の基準でスクリーニング
時価総額、PBR、配当利回り、ROE、自己資本比率など、自分なりの基準で銘柄を絞り込む。
【手順3】事業内容を精査
絞り込んだ銘柄について、自分が理解できる事業かを確認。
【手順4】少数銘柄に絞って投資
自分の資金規模に応じて、5~30銘柄程度に絞って投資する。
この方法なら、内藤式の銘柄選定眼を活用しつつ、自分の資金規模と理解力に合った投資が可能です。
12-3. ポートフォリオへの組み入れ比率
新NISAの活用も含めて、ポートフォリオへの組み入れ比率を考えます。
【保守的アプローチ】
- インデックス投信(S&P500、オールカントリー等): 60%
- 高配当ETF(VYM、HDV等または日本の高配当ETF): 20%
- 内藤式風の個別銘柄: 10~20%
- 現金: 10%
【中庸的アプローチ】
- インデックス投信: 40%
- 高配当ETF: 20%
- 内藤式風の個別銘柄: 30%
- 現金: 10%
【積極的アプローチ】
- インデックス投信: 20%
- 高配当ETF: 10%
- 内藤式風の個別銘柄: 60%
- 現金: 10%
個人の投資経験、リスク許容度、運用目的に応じて、適切な比率を選びましょう。
12-4. モニタリングの実務
個別銘柄を保有する以上、定期的なモニタリングは欠かせません。
【四半期毎】
各銘柄の決算短信をチェック。
- 売上、営業利益、純利益の対前年比
- 通期予想に対する進捗率
- セグメント情報の動向
- 配当方針の変更がないか
【半年毎】
業績推移を統合的に評価し、保有継続するか売却するかを判断。
【年次】
ポートフォリオ全体のリバランス。アロケーションが崩れていれば、調整。
12-5. メンタルの管理
最も難しいのが、メンタルの管理です。
- 株価が下がっても焦らない
- SNSで他人の儲け話に振り回されない
- 「自分の銘柄だけ動かない」というストレスに耐える
- 業績が悪化した時に、感情ではなく数字で判断する
これらができるかどうかが、長期投資の成否を分けます。内藤氏が長年成果を出している秘訣の大きな部分は、このメンタル管理にあると私は分析しています。
13. 終章 ― 105銘柄という数字が語るもの
内藤征吾氏は、現在105銘柄もの上場企業を保有しています。これは、個人投資家としては極めて稀有な分散度です。
なぜ、これほどの分散をするのか。一つの答えは、「バリュー投資はトラップの罠と隣り合わせ」だからです。
PBRが1倍未満、配当利回り3%以上、PER10倍以下。こうした典型的なバリュー条件を満たす銘柄は、
- 本当に割安に放置されているだけの銘柄
- バリュートラップ(永遠に割安なまま動かない銘柄)
- 業績悪化が始まり、いずれ減配・無配になる銘柄
これらが混在しています。事前に完全に見分けることは、神様でない限り不可能です。
100銘柄に分散すれば、
- 半分(50銘柄)が想定通りに上昇 → 大きな利益
- 30銘柄がトラップ → 損益均衡
- 20銘柄が業績悪化 → 一部損失
たとえこのような構成になっても、全体としては十分なリターンを上げられます。これが、超分散投資の数学です。
13-1. 105銘柄の意味するもう一つの側面
ただし、105銘柄という数字には別の意味もあります。それは、「100銘柄以上を理解できるメンタル・キャパシティ」を示しているということです。
普通の個人投資家にとって、10銘柄以上を継続的にモニタリングするのは大変です。各銘柄の決算、業績、ニュースを追いかけるのに、相当な時間と労力が必要だからです。
内藤氏は、それを105銘柄でやってのけている。これは、
- 投資が本業またはそれに準ずる活動である
- 銘柄管理のシステマティックな仕組みを持っている
- 個別銘柄の深い分析より、ポートフォリオ全体のバランスを重視している
これらのいずれか、または全てが背景にあるはずです。
13-2. 内藤式の本当の教訓
本記事を通じて見てきた内藤氏の銘柄選定の本質を、改めて整理すると、
- 派手なテーマ株を買わない
- 小型バリュー株を中心に組成する
- 業種を地味な実業に絞る
- 配当を継続的に出す企業を選ぶ
- 保有比率は4%程度まで(5%ルール手前)
- 長期保有を前提とし、頻繁な売買はしない
- 過去5年で減配・無配転落していない企業
- PBR1倍未満を一つの基準とする
- アナリストカバレッジの少ない銘柄を狙う
- 創業家・同族系の経営の堅実さを重視する
これらの原則は、シンプルで、誰でも理解できます。難しいのは、これを30年、40年と継続することです。流行に流されず、相場の波に振り回されず、自分の基準で淡々と銘柄を選び続ける。これができる人は、市場に多くはいません。
13-3. 「内藤銘柄」を超えて
最後に強調したいのは、内藤銘柄を真似することがゴールではない、ということです。
内藤氏の銘柄選定眼を学び、自分なりにアレンジし、自分の投資哲学を確立する。これが本当のゴールです。
105銘柄のすべてを把握する必要はありません。自分が理解できる範囲で、自分が信じられる範囲で、自分の資金規模に合わせて、銘柄を選んでいけば良い。
内藤氏は、おそらくこれからも沈黙を続けるでしょう。インタビューにも答えないし、書籍も書かないでしょう。しかし、彼が大株主として記載される銘柄リストは、今後も有価証券報告書を通じて公開され続けます。
これは、私たち個人投資家にとって、極めて貴重な学習リソースです。直接の教えはなくとも、彼の選択を通じて、私たちは投資哲学を学べる。「師は語らず、ただ示すのみ」。これが、内藤征吾という現象の最も美しい側面ではないでしょうか。
補論α 主要銘柄の詳細プロファイル ― さらに掘り下げる
ここからは、本編で扱いきれなかった内藤銘柄の重要な「もう一段深い」プロファイルを、銘柄ごとにまとめます。投資判断の参考として、より細かい数字、業績の推移、配当履歴、競合環境などを詳述します。
α-1. ディーエムエスの追加プロファイル ― 「日本DM協会」の中での位置づけ
ディーエムエスは、日本ダイレクトマーケティング協会(JADMA)の主要会員企業の一つで、日本国内のDM印刷・発送業界では大手の一角を占めます。
競合環境
- 凸版印刷(7911、現TOPPAN HD)
- 大日本印刷(7912)
- トッパン・フォームズ(7862、現トッパン・エッジ)
これら印刷業界の巨人と比較すると、ディーエムエスは規模では劣りますが、DM特化型というポジショニングで独自の存在感を確立しています。大手印刷会社は総合印刷業ですが、ディーエムエスはDM印刷・発送・データベース統合に特化しており、顧客ニーズに対する深さでは優位性があります。
配当政策の変遷
- 2010年代前半: 配当性向30%程度
- 2017~2020年: 配当性向40~50%
- 2021年: 配当性向60%目安に方針変更
- 2025年: DOE 8%目安に方針変更
この方針変更の流れは、典型的な「東証コーポレートガバナンス改革」への対応です。日本企業全体が、利益還元方針を改めて株主重視に転換してきた流れと一致します。内藤氏は、この流れが起きる前から保有していたことになります。
含み資産の存在 ディーエムエスは千代田区神田小川町に本社ビルを構えており、この土地・建物には相当の含み益があると推察されます。神田小川町は、東京メトロ淡路町駅、新お茶の水駅、御茶ノ水駅に近い好立地。中央線沿線の都心オフィスエリアの一画です。
長期保有のメリット ディーエムエスを内藤氏が長期保有することで得たであろうリターンを試算してみましょう。仮に2019年時点で同社株を800円で買ったとして、2025年初頭の株価が2000円以上、そして2025年に増配で配当利回り11.98%まで上昇。元本価値が2.5倍、配当利回りも10%超ということは、年率20%以上のトータルリターンを実現したことになります。これは、長期バリュー投資の理想的な成功例です。
α-2. メディカルネットの追加プロファイル ― 歯科業界の構造
メディカルネットの事業を理解するには、日本の歯科業界の構造を把握する必要があります。
日本の歯科業界の規模
- 歯科診療所数: 約68,000件(2025年厚労省データ)
- 歯科医師数: 約107,000人
- 歯科市場規模: 年間約3兆円
- 1医院あたり平均年商: 4,000~5,000万円
競争の激化 歯科医院数は人口減少にもかかわらず、減らない傾向にあります。これは、新規開業の継続と、既存医院の経営継続が併存しているためです。結果として、医院当たりの患者数は減少し、競争は激化しています。
メディカルネットのビジネスチャンス こうした競争激化を受けて、各医院は「患者集客」と「人材確保」に苦労しています。メディカルネットの「インプラントネット」「矯正歯科ネット」「歯医者さんネット」は、まさにこれらのニーズに応えるサービスです。
医院は月額数万円~数十万円のサブスク料金を支払ってメディカルネットのプラットフォームに掲載することで、患者集客と医院の差別化を図ります。これは、典型的な「B2Bストック型ビジネス」で、解約率(チャーンレート)が低く抑えられれば、長期的に安定した収益が期待できます。
長期成長のドライバー
- 歯科市場全体は、高齢化と歯科保険適用拡大で底堅い
- インプラント、矯正、審美歯科などの自費診療領域は成長
- 歯科衛生士・歯科技工士の人材確保ニーズ
- 歯科業界のデジタル化(電子カルテ、デジタル印象等)
これらの構造要因が、メディカルネットの長期成長を支えると見られます。
α-3. イマジニアの追加プロファイル ― 「フィットボクシング」の経済学
イマジニアの成功は、「フィットボクシング」シリーズに大きく依存しています。このシリーズの経済学を見てみましょう。
フィットボクシングシリーズの実績
- 2018年: 初代「Fit Boxing」発売(ニンテンドースイッチ向け)
- 2020年: 「Fit Boxing 2 リズム&エクササイズ」発売
- 累計販売: 200万本以上(世界)
- 2024年: 「Fit Boxing feat. HATSUNE MIKU」(初音ミクコラボ)
- 2025年: 「Disney ミラーフィットネス」(ディズニーIPコラボ)
ゲームソフトの売上は、
- ニンテンドースイッチでの販売: 1本7,000~8,000円
- 200万本販売 × 5,000円(粗利) = 100億円程度の累計粗利
- 開発費は1本数億円程度
シングルヒットでこれだけの利益を生むビジネスは、ゲーム業界では決して珍しくありませんが、それを安定的に積み上げているイマジニアの実力は侮れません。
コンテンツIPライセンス事業 イマジニアは、サンリオ社、サンエックス社などのキャラクター(リラックマ、すみっコぐらしなど)のライセンスを取得し、ゲーム化、商品化を展開しています。これは、自社単独でIPを開発するよりも、確立されたIPを活用することでリスクを抑える戦略です。
NTTドコモとの教養動画メディア「テンミニッツTV」も、教育分野でのストック収益源として機能しています。
内藤氏の判断推察 内藤氏がイマジニアを長期保有している理由は、
- フィットボクシングシリーズの安定収益
- 強力なIPコラボ戦略によるリスク低減
- 配当を継続的に支払う株主還元姿勢
- PBR0.9倍程度の割安性
- 時価総額の小ささによる非効率性
これらが組み合わさった、典型的な内藤好み銘柄であるためでしょう。
α-4. パレモHDの追加プロファイル ― 雑貨小売の生存戦略
パレモ・ホールディングスは、ファッション雑貨、ハンドクラフト、女性アパレルなどの複数業態を運営する小売持株会社です。傘下に、
- クラフトハート トーカイ: ハンドメイド・手芸用品
- シルバニアモール: シルバニアファミリー専門店
- CLOSSHI: ファッション雑貨
- サンキ: アパレル
など、ニッチで多様な業態を擁しています。
ハンドクラフト市場の独自性 特に「クラフトハート トーカイ」は、手芸・ハンドクラフト用品の専門店として、ユニクロやしまむらといった大手アパレルとは異なる市場で勝負しています。手芸を趣味とする層は、若年層から高齢層まで幅広く、ECに移行しにくい(実物を見て選びたい)というニーズもあります。
コロナ禍での変化 コロナ禍では、巣ごもり需要で手芸・ハンドメイド需要が高まりました。パレモHDのクラフト事業は、この恩恵を受けて業績を改善させた経緯があります。
内藤氏が2025年に新規大株主登場した意味 内藤氏は、2025年8月時点で3.85%という相当の保有比率まで一気に踏み込んでいます。これは、
- 業績の底打ち感
- PBR1倍割れの割安水準
- 株主還元方針の見直し期待
これらを総合的に評価しての判断と推察されます。
α-5. SE H&I(翔泳社)の追加プロファイル ― 出版業界の意外な勝ち組
SE H&Iが運営する翔泳社は、IT書籍の出版で日本最大手の一つです。
翔泳社の主力書籍ジャンル
- プログラミング(Python、Java、JavaScript、Ruby、Go等)
- データベース(SQL、NoSQL等)
- ネットワーク・インフラ
- セキュリティ
- AI・機械学習
- デザイン(HTML/CSS、UIUXデザイン)
- ビジネス書
出版業界の中での優位性 紙書籍の市場は縮小しているとよく言われますが、
- 専門書(特に技術書)の市場は意外と底堅い
- エンジニアは体系的に学ぶ際、書籍を購入する習慣がある
- 書籍は「これは学んだ」という証拠としても機能する
- AI時代でも、技術の体系的習得には書籍が有効
これらの理由で、IT書籍市場は紙でも電子でも、堅実な需要があります。
Webメディア事業の収益化 翔泳社が運営するCodeZine、MarkeZine、ProductZineなどの専門メディアは、
- 広告収入
- 有料会員収入
- セミナー・イベント収益
- ホワイトペーパー連動の広告
これらで収益化されており、出版本業とのシナジーを生んでいます。
内藤氏の判断 内藤氏がSE H&Iを4.03%まで保有しているのは、
- ニッチだが堅実な専門書市場
- ストック型Webメディアの収益
- 自社株買いの実施(株主還元)
- 時価総額が小型で機関投資家から見られにくい
これらの要素が組み合わさった、典型的な内藤好み銘柄であるからでしょう。
α-6. アイエーグループの追加プロファイル ― オートバックスFC最大手
アイエーグループ(7509)は、カー用品販売店「オートバックス」のフランチャイズ運営会社です。神奈川県横浜市戸塚区を本社とし、神奈川、東京、岐阜、愛知で約67店舗を展開しています。
オートバックスFC事業の構造 オートバックスセブン(9832)が本部となり、フランチャイズオペレーターが各地域で店舗を運営する構造です。アイエーグループは、その中でも有力なフランチャイジーの一つ。
カー用品市場の構造変化
- 自動車保有期間の長期化(→メンテナンス需要増)
- 車検制度の継続(→定期的な需要)
- タイヤ・バッテリー・オイル等の消耗品市場
- EV化の進展(→新たなメンテナンス需要)
- カーシェア・サブスク化(→個人保有減少)
EV化やカーシェア化により、長期的にはカー用品市場全体の縮小が予想されますが、当面(10~20年)は安定した需要が見込まれます。
事業多角化 アイエーグループは、カー用品販売以外にも、
- ブライダル事業(結婚式場運営)
- 不動産事業
- 建設・エネルギー事業
を展開しており、収益源を多角化しています。これにより、特定事業への依存リスクを低減しています。
財務指標の特徴
- PBR: 0.36倍(極端な割安)
- PER: 4.94倍(極端な割安)
- 自己資本比率: 48.2%(健全)
- 配当利回り: 3.85%(標準)
- ROE: 7.3%(標準)
これらの指標を見ると、財務はしっかりしているのに、市場の評価が極めて低い。これは、
- 機関投資家のカバレッジがない
- 「カー用品=オワコン」のレッテル
- 時価総額64億円の小さすぎる規模
- 株主優待がない
- 知名度が低い
これらが原因と考えられます。内藤氏は、こうした「市場が見落としている優良企業」を、3.30%の保有比率で長期保有しています。
α-7. 花月園観光の追加プロファイル ― 不動産価値の深掘り
花月園観光が保有する横浜市鶴見区の旧競輪場跡地は、長年にわたって投資家たちの注目を集めてきた含み資産です。
鶴見区の不動産事情 鶴見区はJR東海道線、京浜東北線、京急本線などが通る、横浜市東部の主要エリア。鶴見駅周辺は商業集積があり、不動産価値は比較的安定しています。
旧花月園競輪場跡地は、相当な広さの土地で、再開発されればマンション、商業施設、オフィス等の用途で活用できる可能性があります。
過去の不動産売却履歴 花月園観光は、過去にも保有する投資有価証券の売却益を計上しており、資産の現金化を段階的に進めている可能性があります。
TOB・MBOの可能性 花月園観光のような、本業の収益力に対して時価総額が小さく、しかし保有資産が大きい会社は、TOBやMBO(経営陣による自社買収)のターゲットになりやすい性質を持ちます。
仮に外部の不動産デベロッパーや投資ファンドがTOBを仕掛けてくれば、現状の株価に大きなプレミアムを上乗せした価格での買収提案が行われる可能性があります。内藤氏は、こうした「化ける可能性」も含めて保有していると推察されます。
α-8. ボルテージの追加プロファイル ― 乙女ゲーム業界の生存戦略
ボルテージ(3639)は、女性向け恋愛ゲーム(いわゆる「乙女ゲーム」)の老舗です。
乙女ゲーム市場の状況 乙女ゲーム市場は、
- 国内市場規模: 数十億~百億円程度(推計)
- ユーザー層: 主に20~40代女性
- 課金率: 比較的高い(コアファンが集中課金)
主要競合として、サイバード(5719、上場廃止)、フリュー(6238)、ジー・モード(9226)などがあります。
ボルテージの代表作品
- 「100シーンの恋+」(読み物型)
- 「天下統一恋の乱 Love Ballad」(アバター型)
- 「誓いのキスは突然に」(アバター型)
- 「眠らぬ街のシンデレラ」
- 「鏡の中のプリンセス Love Palace」
- 「王子様のプロポーズ Eternal Kiss」
これら作品は、長く運営されているものもあり、コアファンを抱えています。
業績の波 ボルテージの業績は、近年は厳しい状況が続いています。
- 2025年6月期第3四半期累計: 売上21億3,200万円(前年同期比20.0%減)、営業損失6百万円
- 配当: 無配が継続
それでも内藤氏が買った理由 時価総額15億円、PBR0.73倍、配当無配の苦戦銘柄を、内藤氏が2024年6月に新規大株主として登場し、12月には保有比率を4.03%まで上げました。
これは、「ターンアラウンド狙い」の典型例と推察されます。事業再構築、新作ヒット、IP活用拡大、M&Aによる買収など、何らかのカタリストが発生した場合、現状の時価総額15億円から大きく株価が上昇する可能性があります。リスクは高いが、リターンも大きい銘柄カテゴリーです。
α-9. ムサシの追加プロファイル ― 選挙の隠れた寡占者
ムサシ(7521)は、日本の選挙インフラの主要供給者として、ほとんど知られていない隠れた寡占企業です。
ムサシの主要事業
- 投票用紙、投票箱、開票機の製造販売
- 選挙関連サービス
- 紙加工・特殊印刷
- 業務機器(金融機関向け等)
選挙関連事業の特殊性 日本では、
- 国政選挙(衆議院、参議院、ともに4年または6年に1回)
- 統一地方選挙(4年に1回)
- 地方選挙(首長、議員、毎年複数)
- 住民投票(不定期)
これらが恒常的に発生します。選挙のたびに、ムサシの製品(投票用紙、開票機等)が大量に消費されるため、安定した売上が見込めます。
競争環境 選挙関連事業は、品質管理、信頼性、納期厳守などの観点から、参入障壁が極めて高い分野です。ムサシは、長年の実績と信頼で、ほぼ独占的なポジションを確立しています。
内藤氏の評価 ムサシは、「地味すぎて誰も注目しないが、確実なキャッシュフローを生む寡占企業」の典型例。内藤氏が3.46%という相応の比率で保有しているのは、こうした構造的優位性を評価しているからでしょう。
α-10. ファースト住建の追加プロファイル ― 関西戸建分譲の堅実派
ファースト住建(8917)は、兵庫県加古川市を本拠とする戸建分譲メーカーです。関西エリアを中心に事業を展開し、堅実な経営で知られています。
戸建分譲業界の特性 戸建分譲は、
- 土地の仕入れ
- 設計・建築
- 販売
の3つのフェーズで構成されます。土地仕入れの巧拙が事業の成否を分ける、というのが業界の常識です。
ファースト住建は、関西エリアで長年積み上げた土地仕入れノウハウと、地域に根ざした販売網を強みとしています。
マクロ環境
- 人口減少(→新築需要は長期で減少)
- 都市集中(→関西の地方部は厳しい)
- 高齢化(→新築よりリフォーム傾向)
- 共働き世帯増(→建売の需要根強い)
- 円安・建材高騰(→マージン圧迫)
これらのマクロ要因は、戸建分譲業界全体にとっては中長期的に厳しい方向。しかし、ファースト住建のような地域密着型の中堅事業者は、
- 地元のニーズに細かく対応
- 適切な価格帯の物件供給
- 仕入れコストの抑制
これらで競争力を保ち続けています。
内藤氏の判断 内藤氏が2025年に3.64%まで保有比率を上げているのは、
- 業績の安定性
- 配当の継続性
- PBR1倍未満の割安性
- 関西経済の底堅さ
これらを総合的に評価してのものでしょう。
補論β 配当による「現金フロー」の試算
内藤氏のポートフォリオから生まれる配当収入を、概算で試算してみましょう。
β-1. 主要銘柄の配当からの収入試算
仮に内藤氏の保有銘柄の平均配当利回りを4%と仮定し、保有株式の総時価総額を50~100億円と想定すれば、
- 年間配当収入: 2億~4億円程度
これだけの配当収入があれば、
- 新規銘柄の購入資金として再投資
- 既存銘柄の買い増し
- ポートフォリオの増強
これらが配当だけで可能です。値上がり益を確定しなくても、自然と資金が増えていく仕組み。
β-2. 配当再投資の複利効果
仮に年間配当4億円を、毎年そのまま新規銘柄に再投資すれば、
- 年率4%の自然な資産増加
- 値上がり益(キャピタルゲイン)が加わると年率10~15%
- 20年経過すれば、複利で資産は5~10倍に
これが、長期バリュー投資のパワーです。内藤氏が30年以上にわたって続けてきたのは、まさにこの仕組みでしょう。
β-3. 個人投資家への教訓
個人投資家がこれを真似する場合、
- 配当利回り3~4%の銘柄を10~30銘柄保有
- 配当はすべて再投資
- 新NISAの非課税枠を活用
- 20~30年の長期視点
これらを徹底すれば、内藤氏ほどではないにしても、十分な複利成長が期待できます。
補論γ 「内藤銘柄」と他の有名投資家銘柄の重複度
内藤氏の保有銘柄リストを、他の有名な個人投資家・機関投資家の保有銘柄と比較してみましょう。重複度を見ることで、内藤式の独自性が浮かび上がります。
γ-1. 五味大輔氏との比較
五味大輔氏は、新興市場の中型グロース株(そーせいグループ、ミクシィ等)を中心に投資する集中投資家。
内藤氏と五味氏の保有銘柄の重複度は、ほぼゼロ。これは、両者の投資スタイルが対照的であることの数字での証明です。
γ-2. 清原達郎氏との比較
清原達郎氏は、タワー投資顧問でファンドマネージャーを務めた伝説的なバリュー投資家。
清原氏の保有銘柄(公開情報からの推察)と内藤氏の保有銘柄を比べると、いくつかの重複があると見られます。ただし、清原氏は機関投資家の規模で運用しており、内藤氏よりも大きな銘柄を扱う傾向があります。
γ-3. 機関投資家との比較
主要な機関投資家(フィデリティ、レオス、スパークス、東京海上アセット等)の保有銘柄と、内藤氏の保有銘柄の重複度は、これも極めて低い。
内藤氏が選ぶ時価総額20~200億円の超中小型バリュー株は、機関投資家のレーダーに入らない銘柄群だからです。
γ-4. 「重複しない」ことの戦略的意味
内藤氏の保有銘柄が、他の有力投資家とほとんど重複しないということは、
- 競合相手がいない市場で勝負している
- 株価が「他の有名投資家が買ったから上がる」現象から免れている
- 自分の判断基準で淡々と買い続けることができる
これらのメリットがあります。逆に、
- 他の投資家による株価押し上げ効果が期待しにくい
- 自分の判断が完全に間違っていても、誰も指摘してくれない
これらのデメリットもあります。
内藤氏は、長年の経験でこれらのバランスを取りながら、独自の戦場で勝負を続けているのです。
補論δ 「内藤銘柄」のセクター別期待リターン分析
内藤氏のポートフォリオから、業種別の期待リターンを分析してみましょう。
δ-1. 建設・土木・住宅セクター
期待リターンの源泉
- PBR1倍割れからの是正(2~3倍化の余地)
- 国土強靱化計画の継続(売上拡大)
- 配当の継続(年4%程度)
- 含み資産の実現化(臨時収益)
リスク
- 公共投資の縮小(景気・財政状況による)
- 職人不足によるコスト増
- 不動産市場の調整
5年期待リターン(個人見解)
- 配当: 年4% × 5年 = 20%
- 値上がり: PBR是正で50~100%
- 合計: 70~120%程度
δ-2. 製造業セクター
期待リターンの源泉
- 技術力に基づく安定収益
- 自社株買い等の株主還元
- 配当の継続
リスク
- 円安・原材料高騰の影響
- 海外需要の変動
5年期待リターン(個人見解)
- 配当: 年3~4% × 5年 = 15~20%
- 値上がり: 30~50%
- 合計: 45~70%程度
δ-3. メディア・コンテンツ・ITセクター
期待リターンの源泉
- ストック型収益の拡大
- ヒットコンテンツによる業績上振れ
- 配当の継続
リスク
- コンテンツの当たり外れ
- 競合(AI、Web等)の影響
5年期待リターン(個人見解)
- 配当: 年3% × 5年 = 15%
- 値上がり: 大ヒット時は数倍、ハズレ時は横ばい
- 期待値: 50~100%程度(バラツキ大)
δ-4. 小売・サービスセクター
期待リターンの源泉
- 地域密着型の安定収益
- PBR1倍割れからの是正
- 配当の継続
リスク
- 消費低迷の影響
- 業態の陳腐化リスク
5年期待リターン(個人見解)
- 配当: 年4% × 5年 = 20%
- 値上がり: 30~70%
- 合計: 50~90%程度
δ-5. 全体のポートフォリオ期待リターン
これらを加重平均すると、内藤氏のポートフォリオ全体の5年期待リターンは、
- 配当インカム: 年4% × 5年 = 20%
- キャピタルゲイン: 平均30~70%
- 合計: 50~90%程度
これは、年率10~15%程度のリターンに相当します。市場平均(年率5~8%)を上回るパフォーマンスが期待できる水準です。
ただし、これは過去のトレンドの延長線上の期待値であり、将来のマクロ環境次第で大きく変動します。
補論ε 内藤銘柄の流動性分析と現実的な投資可能性
内藤氏の保有銘柄を真似して投資する際、現実的に問題となるのが「流動性」です。
ε-1. 出来高の現状
内藤銘柄の多くは、日次の出来高が非常に少ないという特徴があります。
出来高例(目安)
- 美樹工業(1718): 日次出来高 数千~数万株
- ZOA(3375): 日次出来高 数百~数千株
- アイエーグループ(7509): 日次出来高 数千~数万株
- 守谷商会(1798): 日次出来高 数百~数千株
- 川岸工業(5921): 日次出来高 数百~数千株
これらは、出来高が「ない日」もあるレベル。1日数株しか取引されない銘柄も珍しくありません。
ε-2. 個人投資家にとっての意味
出来高が少ない銘柄を買う際の問題点は、
(1) 大量保有時の売却困難
仮に1銘柄に100万円投資して、これが300万円まで上昇したとして、「売りたい」と思っても、日次出来高が数千株しかなければ、売却に数日~数週間かかります。その間に株価が下落するリスクもあります。
(2) スプレッドの大きさ
買い気配と売り気配の差(スプレッド)が、流動性の高い銘柄に比べて大きくなります。買う時は高く、売る時は安くなりがちで、実質的な取引コストが増します。
(3) 株価のボラティリティ
少額の注文でも、株価が大きく動くことがあります。10万円の買い注文で株価が5%上昇するような銘柄もあります。
ε-3. 個人投資家の対処法
これらに対処するには、
(1) ナンピン買いと指値注文の活用
成行注文ではなく指値注文で、自分が買いたい価格を明示。一度に大量に買わず、数週間~数ヶ月かけて段階的に買い集める。
(2) 売却前提でないポジション
「買って何年も保有する」前提で買う。すぐに売る前提なら、流動性の高い銘柄を選ぶ。
(3) ポジションサイズの抑制
1銘柄あたりの投資額を、その銘柄の日次出来高の数十分の1程度に抑える。例えば、日次出来高が1,000万円の銘柄なら、自分のポジションは10~50万円程度。
これらを守れば、流動性問題は実質的に回避できます。
補論ζ 「内藤銘柄」と新NISAの相性
新NISAで個別株投資をする際、内藤銘柄は良い候補となりうるかを検証してみましょう。
ζ-1. 新NISAの「成長投資枠」での個別株投資
新NISAの成長投資枠は、年間240万円、生涯1,200万円まで非課税で個別株投資が可能です。
内藤銘柄のような中小型バリュー株は、
- 長期保有前提 → NISAの長期非課税のメリット最大化
- 配当利回り3%以上 → NISAの配当非課税が活きる
- PBR1倍未満からの是正期待 → NISAの値上がり益非課税が活きる
これらの観点から、新NISAとの相性は極めて良いと言えます。
ζ-2. 配当再投資のスキーム
例として、新NISAで内藤銘柄風の10銘柄を均等配分で買うと、
- 1銘柄あたり12万円(120万円÷10)
- 平均配当利回り4%なら年間配当4.8万円
- 5年間で24万円の非課税配当
- 配当を別途新NISA枠で再投資
- 株価上昇分も非課税
これは、課税口座での個別株投資と比べて、長期では大きな差を生みます。
ζ-3. 注意点
ただし、新NISAでの個別株投資には注意点もあります。
(1) 損益通算ができない
NISAで損失が出ても、課税口座の利益と相殺できません。バリュー株でハズレ銘柄を引いてしまうと、その損失は救済されません。
(2) 銘柄選定の責任が重い
非課税のメリットは、利益が出てこそ享受できるもの。利益が出ない銘柄に枠を使うと、機会損失となります。
(3) 集中投資のリスク
新NISAは年間240万円が上限なので、5銘柄に絞ると1銘柄48万円の集中度になります。これは個別銘柄リスクが大きくなる構成です。
これらを考慮して、新NISAで内藤銘柄風投資をする場合は、
- 10~20銘柄程度に分散
- 1銘柄あたり10~24万円程度
- 業績の確認できる銘柄を中心に
- 5年以上の長期保有を前提
これらを守ることが重要です。
補論η 内藤銘柄カタログの活用法 ― この記事の使い方
最後に、本記事を実際の投資にどう活用するかをまとめます。
η-1. 「読んで終わり」にしないために
本記事を読んだだけで投資を始めるのは早計です。次のステップに進むことをお勧めします。
ステップ1: 興味のある銘柄を5~10銘柄リストアップ
本記事で取り上げた銘柄の中から、自分が
- 事業内容を理解できる
- 業績が今後も継続しそう
- 配当が継続的に支払われている
- PBR・PERが割安水準
これらの観点で、5~10銘柄を選んでください。
ステップ2: 個別銘柄を徹底的に調べる
選んだ銘柄について、
- IRBANKで業績推移、配当履歴、株主構成を確認
- 会社のIRサイトで決算説明資料、有価証券報告書を読む
- 競合企業との比較
- 業界レポート、ニュースを確認
これらを通じて、銘柄への理解を深めます。
ステップ3: 投資シナリオを書く
「なぜこの銘柄を買うのか」「いくらまで上がったら売るのか」「業績がどう悪化したら売るのか」を、紙に書き出します。これがあると、後から判断のブレを防げます。
ステップ4: 少額で実験
いきなり大金を投じず、まず少額(資金の数%程度)で実験的に買ってみる。
ステップ5: モニタリングと反省
四半期毎に決算をチェックし、自分の予想がどう外れたか、何を学んだかを記録します。
η-2. 「内藤銘柄」を超えた投資への発展
本記事は内藤氏の保有銘柄に焦点を当てていますが、彼の保有銘柄リストはあくまで「参考」です。
最終的には、自分自身の銘柄選定眼を養うことが大切です。内藤式のスクリーニング基準(PBR1倍以下、配当利回り3%以上、自己資本比率40%以上等)を使えば、内藤氏が保有していない銘柄でも、似た特徴を持つ銘柄を発見できます。
「内藤銘柄」をきっかけに、自分なりの投資哲学とポートフォリオを構築する。これが、本記事の最終的なゴールです。
14. 参考資料
14-1. 一次情報源(公的開示資料)
- 金融庁 EDINET: 上場企業の有価証券報告書、大量保有報告書の公式開示プラットフォーム
- https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/
- 東京証券取引所 適時開示情報閲覧サービス(TDnet): 上場企業の適時開示情報
- https://www.release.tdnet.info/
- 金融商品取引法(5%ルール、大量保有報告制度)
14-2. 個別銘柄の主要参考資料
ディーエムエス(9782)
- IRBANK: https://irbank.net/E04940
- ダイヤモンドZAi: https://diamond.jp/zai/articles/-/1047636
- Yahoo!ファイナンス: https://finance.yahoo.co.jp/quote/9782.T/
ZOA(3375)
- IRBANK: https://irbank.net/E03460
- 株探: https://kabutan.jp/stock/?code=3375
アイエーグループ(7509)
- IRBANK: https://irbank.net/E03269
- Yahoo!ファイナンス: https://finance.yahoo.co.jp/quote/7509.T/
メディカルネット(3645)
- IRBANK: https://irbank.net/E24982
- マネックス銘柄スカウター: https://scouter.monex.co.jp/report/zaimu/3645
イマジニア(4644)
- IRBANK: https://irbank.net/E04959
- 株主総会招集ご通知 各年度
ボルテージ(3639)
- IRBANK: https://irbank.net/E24392
- 決算短信(各四半期)
美樹工業(1718)
- IRBANK: https://irbank.net/E00315
花月園観光(9674)
- IRBANK: https://irbank.net/E04607
- 各年度の決算短信(適時開示)
アールエイジ(3248)
- IRBANK: https://irbank.net/E04077
14-3. データベース・情報源
- IRBANK 内藤征吾の役員経歴・大株主情報
- https://irbank.net/内藤征吾
- https://irbank.net/holder/内藤征吾
- バフェット・コード「内藤征吾さんが保有する銘柄一覧と評価額」
- https://www.buffett-code.com/shareholder/e55e807518d1ef1710c7dc47585b64f9
- 株探「内藤征吾が保有する株式一覧・時価総額」
- https://kabutan.jp/holder/lists/?holdername=内藤征吾
- バリュートレンド「内藤 征吾 大株主 保有情報」
- https://e-actionlearning.jp/holders/内藤 征吾
- Strainer「内藤 征吾さんの保有企業一覧」
- https://strainer.jp/shareholders/内藤 征吾
- 会社四季報オンライン
- https://shikiho.toyokeizai.net/
- みんかぶ
- https://minkabu.jp/
14-4. 報道・メディア記事
- 週刊ポスト 2021年1月15・22日号「個人投資家、保有企業数で見る『多株主』ランキング その経歴を紹介」
- マネーポストWEB転載: https://www.moneypost.jp/742862
- プレミアム優待倶楽部「日本の個人・法人大株主ランキング!」
- https://portal.premium-yutaiclub.jp/vote/lab/429-2/
- 投資詐欺緊急ホットライン「個人投資家『内藤征吾』の詳細情報」(2025年9月)
- https://kabu-sagi.com/post-40927/
- ダイヤモンドZAi「ディーエムエス(9782)、4期連続の『増配』を発表し、配当利回り11.9%に!」(2025年3月)
- https://diamond.jp/zai/articles/-/1047636
- 就職氷河期世代ニートのサバイバル「個人投資家が複数企業の大株主となっている例」(2022年)
- https://valuekabu2013.net/個人投資家が複数企業の大株主となっている例/
14-5. SNS・個人投資家による言及
- インヴェスドクター(@Invesdoctor)X投稿
- https://x.com/Invesdoctor/status/1350795428359405570(2021年1月)
- https://x.com/Invesdoctor/status/1747952250012786899
14-6. 関連書籍
- ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』(パンローリング)
- フィリップ・フィッシャー『株式投資で普通でない利益を得る』(パンローリング)
- ピーター・リンチ『ピーター・リンチの株で勝つ』(ダイヤモンド社)
- ジョエル・グリーンブラット『株デビューする前に読む!「魔法の公式」が教えるすごい銘柄の選び方』(ダイヤモンド社)
- 清原達郎『わが投資術』(講談社、2024年)
14-7. 注意事項
- 本記事に記載の財務指標、保有銘柄、保有比率は、執筆時点で確認できた一次情報および各種データベースに基づくものです。最新情報については、必ず各企業のIR情報、有価証券報告書を直接確認してください。
- 内藤征吾氏ご本人の投資判断や売買動向について、本記事における記述はすべて、公開情報(有価証券報告書、報道記事等)からの推察・分析に基づくものであり、内藤氏ご本人の公式見解を代弁するものではありません。
- 本記事は投資判断を促すものではなく、また特定の金融商品の取引を勧誘するものでもありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。
- 株価および各種指標は変動します。記載の数値は執筆時点のものであり、現時点とは異なる可能性があります。
- 内藤氏が現在保有しているか、過去に保有していたかは、有価証券報告書の「大株主の状況」欄に記載されるかどうかで判断しています。同欄は上位10位までしか記載されないため、11位以下の保有や、有価証券報告書提出後の取引については把握できません。
本記事に登場する一切の情報・固有名詞・指標・分析は、執筆時点で公開されていた一次情報および各種データベース、報道記事に依拠しています。特定の投資判断を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

