就職氷河期世代のポリテクセンター(職業能力開発促進センター)徹底活用ガイド【無料〜低額でスキルを身につける公的職業訓練の全知識】

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就職氷河期世代のポリテクセンター(職業能力開発促進センター)徹底活用ガイド【無料〜低額でスキルを身につける公的職業訓練の全知識】

はじめに——「ポリテクセンター」を知っていますか

「ポリテクセンター」。正式名称は「職業能力開発促進センター」。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する公的な職業訓練施設だ。全国に61カ所ある。

驚くべきことに、この施設の存在を知らない人が非常に多い。ハローワークに通っている人でさえ、ポリテクセンターの職業訓練を利用していないケースがある。知らないから使えない。使わないから、スキルが身につかない。スキルが身につかないから、仕事が見つからない。この悪循環を断つために、ポリテクセンターの全貌を解説する。

ポリテクセンターとは何か

ポリテクセンターは、求職者向けの職業訓練(離職者訓練)と、在職者向けの能力開発セミナー(在職者訓練)を提供する施設だ。

離職者訓練は、仕事を失った人や求職中の人を対象に、再就職に必要なスキルを身につけるための訓練コース。期間は3ヶ月〜6ヶ月。受講料は原則無料(テキスト代は自己負担、数千円〜1万円程度)。訓練内容は、機械加工、電気設備、溶接、CAD、ビル管理、Web制作、組込みシステムなど、実践的な技術が中心。座学だけでなく、実際の機器や設備を使った実習が充実しているのが特徴だ。

在職者訓練は、現在働いている人がスキルアップするための短期セミナー。期間は1日〜5日間。受講料は2000円〜20000円程度。内容は、機械加工の高度な技術、電気制御、シーケンス制御、CAD/CAMの応用、3Dプリンタ活用など。在職中でもスキルアップの機会がある。

離職者訓練の具体的なコース内容

ポリテクセンターの離職者訓練には、様々なコースがある。氷河期世代が特に検討すべきコースをいくつか紹介する。

コース1は「ビル管理技術科」。ビルの電気設備、空調設備、給排水設備の管理・保守に関する技術を学ぶ。期間は6ヶ月。修了後は、ビルメンテナンス会社や管理会社への就職が見込める。ビル管理は求人が安定しており、年齢制限も比較的緩い。40代50代でも就職しやすい分野だ。在学中に第二種電気工事士やボイラー技士の資格取得も目指せる。

コース2は「電気設備技術科」。電気工事、配線設計、制御盤の組立てなどを学ぶ。期間は6ヶ月。修了後は電気工事会社、設備工事会社への就職が見込める。第二種電気工事士の資格取得を在学中に目指す。電気工事士は人手不足の業界で、資格を持っていれば就職に困りにくい。

コース3は「住環境計画科」。建築CAD(JW-CAD、AutoCAD)の操作、建築図面の作成、リフォーム計画の立案などを学ぶ。期間は5〜6ヶ月。修了後は建築設計事務所、リフォーム会社、ハウスメーカーの設計補助として就職が見込める。CADスキルは在宅ワークとしても需要がある。

コース4は「機械加工技術科」。旋盤、フライス盤、NC工作機械の操作を学ぶ。期間は6ヶ月。修了後は製造業の工場への就職が見込める。機械加工の技術者は慢性的に不足しており、年齢を問わず求人がある。

コース5は「溶接施工科」。アーク溶接、ガス溶接、半自動溶接の技術を学ぶ。期間は5〜6ヶ月。溶接技能者は人手不足が深刻で、資格を取得すれば就職先は多い。JIS溶接技能者の資格取得も在学中に目指せる。

入所の手続きと条件

ポリテクセンターの離職者訓練に入所するための手続きを解説する。

ステップ1は「ハローワークに求職登録する」こと。ポリテクセンターの訓練を受けるには、まずハローワークに求職登録する必要がある。在職中でも、退職予定日が決まっていれば登録可能な場合がある。

ステップ2は「ハローワークの窓口で訓練の相談をする」こと。「ポリテクセンターの職業訓練を受けたい」と相談する。担当者が適切なコースを案内してくれる。自分でポリテクセンターのウェブサイトを見て、希望するコースを決めておくとスムーズだ。

ステップ3は「ポリテクセンターの施設見学・訓練説明会に参加する」こと。多くのポリテクセンターでは、定期的に施設見学会や訓練説明会を開催している。実際の設備や訓練の様子を見ることで、自分に合っているかどうかを判断できる。

ステップ4は「選考を受ける」こと。訓練コースには定員がある。定員を超える応募があった場合は選考(面接、筆記試験)が行われる。選考では「訓練を受ける意欲」と「就職する意思」が重視される。

ステップ5は「入所」。選考に合格すれば、訓練が開始される。期間は3〜6ヶ月。毎日9時〜16時程度の訓練(平日のみ)。学校に通うような感覚だ。

訓練中の生活費はどうするか

訓練期間中は仕事ができない。その間の生活費をどう確保するかが、最大の課題だ。

方法1は「雇用保険の基本手当(失業手当)を受けながら訓練する」こと。雇用保険の受給資格がある場合、訓練期間中も基本手当が支給される。さらに、訓練が基本手当の給付日数を超えて続く場合、訓練修了まで基本手当の支給が延長される「訓練延長給付」の制度がある。つまり、通常は90日で終わる失業手当が、訓練期間中はずっと支給される。これは非常に大きなメリットだ。加えて、通所手当(交通費)も支給される。

方法2は「職業訓練受講給付金を受ける」こと。雇用保険の受給資格がない場合でも、一定の条件を満たせば「職業訓練受講給付金」として月額10万円が支給される。条件は、世帯全体の収入が月40万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、現在住んでいる場所以外に土地・建物を所有していないことなど。この給付金に加えて、交通費(通所手当)も支給される。

方法3は「貯金を取り崩す」。雇用保険も職業訓練受講給付金も受けられない場合は、自分の貯金で生活費をまかなう。3〜6ヶ月分の生活費(50〜100万円程度)が必要になる。

ポリテクセンターの就職実績

ポリテクセンターの修了生の就職率は、コースにもよるが概ね70〜85%程度。ハローワークの通常の就職率と比較すると高い数字だ。

就職率が高い理由は、訓練内容が実践的であること、訓練中に資格を取得できること、ポリテクセンター自体が企業との連携を持っていること、の三つが大きい。特に、ビル管理や電気設備のコースは求人が豊富で、修了生の多くが3ヶ月以内に就職している。

ただし「就職率」には注意が必要だ。「正社員としての就職」だけでなく、「契約社員やパートとしての就職」も含まれている場合がある。雇用形態の内訳は、ポリテクセンターの担当者に確認するのが確実だ。

ポリテクセンター以外の公的職業訓練

ポリテクセンター以外にも、公的な職業訓練を提供する施設がある。

「都道府県立の職業能力開発校」。都道府県が運営する職業訓練施設で、ポリテクセンターとは別の組織。提供するコースは、美容、調理、介護、保育、IT、デザインなど、ポリテクセンターとは異なる分野をカバーしている場合がある。

「求職者支援訓練」。民間の教育機関が、厚生労働省の認定を受けて実施する訓練。パソコン、Web制作、事務、介護、医療事務などのコースがある。受講料は原則無料(テキスト代は自己負担)。雇用保険の受給資格がない人でも受講でき、条件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)が支給される。

これらの訓練の情報は、ハローワークの窓口で相談すれば案内してもらえる。自分で探す場合は、「ハローワークインターネットサービス」の「訓練検索・一覧」で、地域と分野を指定して検索できる。

氷河期世代がポリテクセンターを使うべき理由

氷河期世代がポリテクセンターを使うべき理由を整理する。

理由1は「無料または低額」であること。受講料は原則無料。テキスト代と作業着代(1〜2万円程度)のみの自己負担。民間のスクールに通えば数十万円かかる内容が、ほぼタダで学べる。

理由2は「実践的なスキルが身につく」こと。座学だけでなく、実際の機器や設備を使った実習が充実している。修了後、即戦力として働ける水準のスキルが身につく。

理由3は「資格取得が目指せる」こと。在学中に電気工事士、ボイラー技士、危険物取扱者、CAD利用技術者などの資格試験にチャレンジできる。訓練の内容が資格試験の範囲と重なっているため、効率よく資格を取得できる。

理由4は「就職支援がある」こと。ポリテクセンターには就職支援のスタッフがおり、求人の紹介、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策などのサポートを受けられる。ハローワークとは異なる求人ルートを持っている場合もある。

理由5は「同じ境遇の仲間ができる」こと。訓練に通う仲間は、同じように求職中の人々。年齢も境遇も様々だが、「スキルを身につけて再就職したい」という目標は共通している。この仲間の存在が、訓練期間中の精神的な支えになる。友達がいない氷河期世代にとって、新しい人間関係のきっかけにもなりうる。

まとめ——「タダで学べる場所」がある

ポリテクセンターは、氷河期世代の「学び直し」の最有力候補だ。無料でスキルが学べる。資格が取れる。就職支援がある。生活費の給付もある。これだけの条件が揃った制度は、他にはない。

知らなければ使えない。使わなければ、もったいない。このガイドを読んだ今日が、「知った日」だ。知った日から、行動は始められる。まずはハローワークに行って「ポリテクセンターの訓練を受けたい」と伝える。それだけで、新しいスキルへの扉が開く。

扉の向こうには、今の自分にはないスキルが待っている。スキルがあれば、仕事が変わる。仕事が変われば、人生が変わる。変わるかどうかは、扉を開けるかどうかにかかっている。

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