就職氷河期世代の危険物取扱者・ビルメンテナンス系資格で安定就職する完全ガイド【40代50代でも需要がある「設備管理」の世界への入り方】

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就職氷河期世代の危険物取扱者・ビルメンテナンス系資格で安定就職する完全ガイド【40代50代でも需要がある「設備管理」の世界への入り方】

はじめに——「ビルメン」という選択肢

「ビルメン」。ビルメンテナンスの略称。ビルや商業施設、マンションなどの建物の設備管理・保守を行う仕事だ。電気設備、空調設備、給排水設備、消防設備。これらの設備を点検・保守し、トラブルが起きれば対応する。地味な仕事だが、なくてはならない仕事であり、慢性的に人手が不足している。

ビルメンの世界は、氷河期世代に相性がいい。理由はいくつかある。年齢制限が緩い。50代でも60代でも採用されるケースがある。資格があれば未経験でも入れる。体力的な負担が軽い(肉体労働よりはデスクワーク+巡回点検)。安定した需要がある(ビルがなくならない限り、ビルメンは必要)。

このガイドでは、ビルメン業界への入門として必要な資格群——通称「ビルメン4点セット」と「危険物取扱者」——について解説し、40代50代からビルメンを目指すための具体的なロードマップを示す。

ビルメン4点セットとは

ビルメン業界で「最低限持っておくべき資格」とされる4つの資格がある。通称「ビルメン4点セット」だ。

資格1は「第二種電気工事士」。電気設備の工事・保守に必要な国家資格。ビルの照明、コンセント、分電盤などの電気設備を扱うために必須。合格率は筆記試験60%前後、技能試験70%前後。学習時間は200〜300時間。受験料は9300円。年に2回(上期・下期)受験できる。ビルメン4点セットの中で最も重要度が高く、「これだけは持っておけ」と言われる資格だ。

資格2は「第三種冷凍機械責任者」。冷凍・冷蔵設備(エアコン、冷凍庫など)の管理に必要な国家資格。ビルの空調設備を管理するために有用。合格率は30〜40%。学習時間は100〜200時間。受験料は8400円。年に1回(11月)のみ受験できるので、チャンスを逃さないこと。

資格3は「二級ボイラー技士」。ボイラー設備の管理に必要な国家資格。ビルの暖房や給湯設備にボイラーが使われている場合に必要。合格率は50〜60%。学習時間は100〜150時間。受験料は6800円。受験前にボイラー実技講習(3日間、約2万円)の受講が推奨される。

資格4は「危険物取扱者乙種第4類(乙4)」。ガソリン、灯油、軽油などの引火性液体を取り扱うための国家資格。ビルの非常用発電機の燃料管理などに関連する。合格率は30〜40%。学習時間は50〜100時間。受験料は4600円。年に複数回受験できる。4点セットの中では最も取りやすい。

4点セットの取得順序とスケジュール

4点セットは一度にすべて取る必要はない。1年〜2年かけて、計画的に取得していくのが現実的だ。おすすめの取得順序は以下の通り。

第1ステップは「危険物取扱者乙4」。最も簡単で、受験機会が多い。まずこれを取って「国家資格を取った」という成功体験を得る。学習期間は1〜2ヶ月。

第2ステップは「第二種電気工事士」。4点セットの中で最も価値が高い。筆記と技能の二段階試験なので、準備に3〜4ヶ月かける。技能試験は実際に電線やスイッチを使って回路を組み立てるので、工具と練習材料を揃える必要がある(1万〜2万円程度)。

第3ステップは「二級ボイラー技士」。実技講習を受けてから受験する。講習と学習で2〜3ヶ月。

第4ステップは「第三種冷凍機械責任者」。年1回の試験なので、タイミングを合わせる。学習期間は2〜3ヶ月。

このスケジュールで進めると、約1年半〜2年で4点セットが揃う。費用の合計は、受験料(29100円)+テキスト代(各1500〜3000円×4冊=6000〜12000円)+ボイラー実技講習(約2万円)+電気工事士の工具・材料(約1.5万円)=合計約7〜8万円。民間のスクールに通うよりはるかに安い。

ビルメンの仕事内容と労働条件

ビルメンの具体的な仕事内容を知っておこう。就職後のギャップを防ぐために。

日常業務は、建物内の設備の巡回点検。電気設備、空調設備、給排水設備、消防設備を定期的にチェックし、異常がないか確認する。異常があれば対処する(軽微なものは自分で修理、大規模なものは専門業者に連絡)。照明の交換、排水口の清掃、エアコンのフィルター交換なども行う。

宿直勤務がある場合が多い。24時間体制で建物を管理するため、夜間の宿直(当直)がある。宿直中は仮眠を取れるが、緊急事態が発生すれば対応する。宿直明けは休みになるのが一般的。

給与水準は、正社員で年収300〜450万円程度。初任給は月給18〜22万円程度が多い。派遣やアルバイトの場合、時給1200〜1600円程度。事務職の派遣と同等か、やや高い。資格手当がつく会社もあり、電気工事士で月3000〜5000円、ビルメン4点セット揃えると月1万円以上の手当がつくケースもある。

ビルメンのメリットは「安定している」こと。景気に左右されにくい。ビルがある限り仕事がある。人手不足の業界なので、リストラのリスクも低い。デメリットは「給与の上昇幅が小さい」こと。大幅な昇給は期待しにくい。だが氷河期世代にとっては「安定した収入が確保できる」こと自体が大きなメリットだ。

40代50代からビルメンになるためのロードマップ

40代50代からビルメンを目指す場合の現実的なロードマップを示す。

フェーズ1(0〜6ヶ月目)。危険物取扱者乙4と第二種電気工事士の学習・受験。仕事をしながら独学で進める。費用は合計3〜4万円。

フェーズ2(7〜12ヶ月目)。二級ボイラー技士と第三種冷凍機械責任者の学習・受験。フェーズ1と並行して進めてもいい。費用は合計4万円程度。

フェーズ3(13〜18ヶ月目)。4点セットが揃った段階で、ビルメン会社への転職活動を開始。ハローワーク、転職サイト、ビルメン専門の求人サイトで求人を探す。「ビルメンテナンス」「設備管理」「ビル管理」のキーワードで検索する。

フェーズ4(19ヶ月目以降)。就職後、実務経験を積みながら上位資格を目指す。「ビルメン三種の神器」と呼ばれる上位資格(第三種電気主任技術者、エネルギー管理士、建築物環境衛生管理技術者)を取得すれば、さらに給与アップと転職の選択肢が広がる。

ポリテクセンターの「ビル管理技術科」を利用すれば、フェーズ1〜2を6ヶ月の訓練で一気にカバーできる。訓練中に4点セットの受験が可能で、就職支援も受けられる。仕事を辞めてからの再就職を考えている人には、ポリテクセンターが最も効率的なルートだ。

ビルメン以外で危険物取扱者が活きる仕事

危険物取扱者乙4は、ビルメン以外にも活用できる。ガソリンスタンド、化学工場、石油製品を扱う倉庫、塗料メーカーなど。セルフ式ガソリンスタンドでは、危険物取扱者の有資格者が常駐している必要があり、求人が恒常的にある。時給は一般のアルバイトより200〜300円高い傾向がある。

危険物取扱者乙4は、取得が比較的容易で(学習時間50〜100時間)、活用先が広い。ビルメンを目指す場合も、そうでない場合も、「持っていて損はない資格」の筆頭だ。受験料4600円、テキスト代1500円。合計6100円。この投資で、就職の選択肢が広がる。

まとめ——「手に職をつける」の現実解

「手に職をつけろ」。氷河期世代が何度も言われてきた言葉だ。だが何の「職」をつければいいのかが、わからなかった。事務職のスキルは「手に職」とは言いにくい。プログラミングは挫折した。

ビルメンは、「手に職」の現実的な選択肢だ。4つの国家資格を取れば、40代50代でも就職できる。仕事は安定している。体力的な負担は軽い。給与は高くないが、安定している。「安定」が最も貴重な価値である氷河期世代にとって、ビルメンは検討する価値のある進路だ。

4点セットの取得に1年半。費用は7〜8万円。この投資で「安定した仕事」が手に入る可能性がある。投資としては、副業セミナーの3000円よりはるかにリターンが高い。

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