就職氷河期世代の老後資金問題は、他の世代より深刻です。これは感情論ではなく、数字の話です。
非正規雇用が長かった・収入が低かった・厚生年金の加入期間が短い——これらの要因が重なり、氷河期世代の年金受給額は同年代の正社員と比べて大幅に少なくなるケースが多い。老後の生活費を年金だけで賄うことが難しい可能性が、他の世代より高い世代です。
でも、諦める話をしたいわけではありません。今からできることは確実にあります。この記事では、氷河期世代が老後資金を現実的に作るための全手順を解説します。
まず現実を把握する:自分の年金見込み額を確認する
老後資金の計画を立てる前に、自分の年金見込み額を正確に把握することが第一歩です。「なんとなく少ないだろう」という感覚ではなく、具体的な数字を知ることで、どれだけの資産形成が必要かが計算できます。
年金見込み額は、日本年金機構の「ねんきんネット」または毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認できます。まだ確認したことがない方は、今すぐ確認してください。自分がどのくらいの年金を受け取れるかを知らないまま老後の計画を立てることは、地図なしで旅に出るようなものです。
氷河期世代の中には、国民年金の未納期間がある方もいます。未納期間がある場合、その分年金受給額が減ります。60歳になるまでの間であれば、過去の未納分を追納できる制度があります。追納することで将来の年金受給額を増やすことができるため、未納期間がある方は確認することをおすすめします。
老後に必要な資金の目安を計算する
老後に必要な資金は、「老後の月々の生活費×12ヶ月×老後の年数」から「年金受給額×12ヶ月×老後の年数」を引いた金額が、自分で準備する必要がある資産です。
老後の月々の生活費は、総務省の家計調査によると単身世帯で月15〜16万円程度、二人世帯で月23〜25万円程度が目安です。ただしこれは平均値であり、持ち家か賃貸か・医療費の状況・趣味・生活スタイルによって大きく変わります。
老後の年数は、65歳から平均寿命(男性81歳・女性87歳程度)まで計算すると、16〜22年程度になります。長生きリスクを考えると、90歳・100歳まで生きることを想定した計画を立てることが現実的です。
例として試算してみます。月の生活費が16万円・年金受給額が月8万円の場合、毎月の不足額は8万円です。90歳まで生きると仮定して65歳から25年間の不足分を計算すると、8万円×12ヶ月×25年=2,400万円が自分で準備する必要がある金額です。この数字が大きく見えても、今から積み立てていけば決して不可能ではありません。
今からできる老後資金の作り方:3つの柱
老後資金を作るための方法は、大きく3つの柱で考えることをおすすめします。
1つ目の柱は、NISAを活用した長期投資です。NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。2024年から新NISAが始まり、年間360万円まで投資でき、非課税保有限度額は1,800万円に拡大されました。インデックスファンド(日経平均やS&P500に連動する投資信託)を毎月一定額積み立てる「積立投資」は、長期間続けることで複利の効果が期待できます。月1〜3万円程度から始めることができ、氷河期世代でも無理なく取り組める方法です。
2つ目の柱は、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用です。iDeCoは、老後資金を自分で積み立てる私的年金制度です。掛け金が全額所得控除になるため、所得税・住民税の節税効果があります。60歳まで引き出せないという制約がありますが、老後資金専用の積み立てとして考えると、長期的な資産形成に有効です。月5,000円から始めることができます。
3つ目の柱は、収入を増やすことです。資産形成の効果を最大化するために、収入を増やすことも重要です。転職・副業・スキルアップによる年収アップ——収入が増えれば積み立てられる金額が増え、老後資金の形成が加速します。氷河期世代は収入の低さを「仕方ない」と諦めがちですが、転職市場の変化を活用して収入を改善することは、老後資金形成において最も効果的な手段のひとつです。
投資初心者が最初にやるべきこと
「投資をしたことがない」「お金のことがよくわからない」という方に向けて、最初の具体的なステップを解説します。
まず証券口座を開設することから始めます。SBI証券・楽天証券・松井証券などのネット証券は、口座開設が無料でオンラインで完結します。口座開設には本人確認書類とマイナンバーが必要です。
次に、つみたてNISA(新NISAの積立投資枠)を活用して、インデックスファンドの積立設定をします。「全世界株式インデックスファンド」または「S&P500インデックスファンド」が、初心者に最もおすすめの投資先です。月3,000円から始めても構いません。大切なのは始めることと、続けることです。
iDeCoは、証券口座開設後に申し込むことができます。会社員の場合は会社の規定によって掛け金の上限が変わるため、事前に確認してください。
氷河期世代が投資で気をつけるべきこと
氷河期世代が投資を始める際に、特に注意してほしいことがあります。
「一発逆転」を狙う投資は避けてください。低収入・少ない貯蓄で「早く増やしたい」という焦りから、ハイリスクな投資に手を出す人が多いですが、これは老後資金を失うリスクがあります。インデックスファンドの長期積立という地味な方法が、最も確実性の高い資産形成の手段です。
生活費に手をつけないことも重要です。投資は「余裕資金」で行うことが原則です。生活費・緊急資金を確保した上で、残りの資金を投資に回すことが基本です。緊急資金として生活費の3〜6ヶ月分を現金で確保しておくことを先に行ってください。
相場の短期的な変動に動揺しないことも大切です。積立投資を始めると、株価が下がった時に「やめた方がいいのか」という不安が出てきます。でも、長期投資においては短期の価格変動は気にしなくていいです。むしろ価格が下がった時は安く買えるチャンスです。毎月一定額を積み立て続けることが、長期投資の基本です。
まとめ
就職氷河期世代の老後資金問題は深刻ですが、今から動けば確実に改善できます。年金見込み額を確認する・必要な資産額を計算する・NISA・iDeCo・収入アップの3本柱で老後資金を作る——この流れを今日から始めてください。
「もう遅い」と思っている方に伝えます。40代から始めても、65歳まで20年以上あります。月3万円を年率5%で20年間積み立てると、約1,200万円以上になります。遅くはありません。始めないことが唯一の失敗です。

