株式とは何か
株式とは、会社の所有権を示す概念です。口約束でAさんたち10人が均等に出資して会社を作ったとして、それを証明するものが何か必要です。それぞれが確かに出資したという証明書のようなものが株式です。口約束だけでは、心配ですからね。
それぞれが保有する株式が同じ権利内容だとすると、利益の分配も株式保有数に比例することになります。つまり円形のケーキがあるとして、ケーキをどのように分配するのか決める為の基準が株式保有数なのです。例えば、A社が100万円儲けたとしてA氏とB氏が半分ずつ株式を保有していたとすると、ケーキを半分にするように、A氏とB氏に50万円ずつ利益が帰属します。もっとも株式にも種類があって、優先株に代表されるように権利の強弱があります。ある人には配当が多く分配されて、ほかの人には配当が全く分配されてないという場合もあり得ます。あるいは、会社の方針を決める際の議決権がほかの人よりも強い株式もあります。例えば、IT企業においてカリスマ的な創業者が会社の議決権を手放したくない場合にこうした株式が発行されます。
Aさんたちの商売が上手くいって、その商売を引き継ぎたいという人が現れたとします。Aさんは商売をほかの人に売りたいとしても、ほかの人が反対していたとしたら、どうしたらよいでしょうか。借金を支払い、貸していたお金を返してもらい、商売を清算すれば良いかもしれませんが、それでは、せっかくうまくいっていた商売が台無しになってしまいます。株券をほかの人に自由に譲り渡せるようにしておけばよいのです。そうすれば、商売を続けたまま、ほかの人に商売の権利を譲り渡すことができます。
昔は、紙ベースで株式が管理されていたので分かりやすかったのです。例えば、1000株の株券があれば、それだけ或る会社の所有権を保有していることを示していました。単純に10000株の株式が発行されていれば、10%の所有権を持っていることを示していました。戦後の財閥解体の際には、大量の株券すなわち大量の紙が財閥から運び出され、市場に流通するようになりました。
かつては、株式の権利を正式に移転するためには、印鑑や署名が必要で煩雑な手続きが必要でした。しかし、現在では株券の電子化が行われたため、通常の人は証券会社を通すことで簡単に電子システム上において取引ができるようになりました。取引コストも低下し、かつては多額の手数料が株式取引に必要でしたが、いまではわずかな取引コストで株式取引ができるようになっています。
今では株式が電子化されたため、株券という紙ベースのものはありません。電子空間に存在する情報として管理されています。確かに権利として存在はしているのですが、紙のように手に取れるようなものではなく、あくまで情報として存在しているのです。しかし、発行株数10000株の企業において、1000株保有していれば、株式会社の10%の所有権を保有しているということに違いはありません。
株式会社とは何?
会社を経営していくためには、多額の資金が必要です。その資金をまかなうために、株式を発行している会社を株式会社といいます。
会社の規模が小さいうちは、自己資金や親戚や友人などから資金を集めることができますが、会社が軌道に乗って大きくなるとそれだけではとても足りなくなります。
ここで、不特定多数の人から出資を募り、代わりに株券を渡すことで多額の資金を集めることが可能になります。出資に 応じてもらうことの代わりに株主に配当金を支払ったり、経営に参加してもらうことになります。つまり、株主になるということは、企業の一部を支配するということです。
こうした仕組みで、企業は多額の資金を集めることができます。一方、株主も株式を買った後、株式をずっと持っているだけではなく売却することもできるので、よりよい投資対象があれば、株式を買い換えることもできるのです。このように、株式会社という制度は、会社と投資家双方にメリットがあるため、広く使われています。
株式を公開するとは?
株式会社は日本全国に星の数ほどありますが、どんな会社の株式を買えるわけではありません。
株式会社は、日本全国に星の数ほどありますが、ほどんどが大きな資本を必要としていないため上場していません。
投資家が株を買えるのは、不特定多数の人から多額の資本を必要としている企業です。こうした企業は、企業の概要や業績などを広く公開し、一般の人に株を買ってもらえるようにします。
このように一般の人に株を購入してもらうことを株式を公開するといいます。
企業が株式を公開するためには、資本金額や株主数、業績など厳しい条件をクリアしなければなりません。
ですから、上場企業は、厳しい条件をクリアしたというお墨付きを得てステータスが高まり、優秀な人材を集めやすくなったり、商売がしやすくなりやすくなります。