転職回数が多すぎて履歴書が1枚に収まらない問題

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転職回数が多すぎて履歴書が1枚に収まらない問題

職歴欄が足りない

履歴書を書こうとすると、最初にぶつかる壁がある。職歴欄の行数が足りないのだ。

市販の履歴書用紙には、学歴・職歴欄が設けられている。だいたい15行から18行くらい。学歴で5行使うとして、職歴に使えるのは残り10行から13行。

私の職歴は、派遣先を含めると15社以上ある。1社につき最低2行(入社と退社で1行ずつ)必要だから、15社×2行=30行。13行の枠に30行を詰め込むのは、物理的に不可能だ。

初めて履歴書の職歴欄が足りなくなったのは、30代前半のことだった。それまでは何とか収まっていた。だが派遣先が増えるにつれて、行数が圧迫されていった。最初は字を小さくして詰め込んだ。小さくしすぎて読めなくなった。次に、短期の職歴を省略した。省略すると、空白期間が生まれる。空白期間は面接で「この期間は何をしていたんですか」と聞かれる。聞かれたくない質問が増える。

どうすればいいのか。転職サイトのアドバイス記事を読んだ。「職歴が多い場合は、派遣元でまとめて記載しましょう」。つまり、「株式会社○○(派遣会社)に登録、以下の派遣先にて勤務」と書いて、派遣先を箇条書きにする方法だ。これなら行数を節約できる。

やってみた。だが派遣先が15社あると、箇条書きでも長い。しかも、派遣先ごとに業務内容が違う。一行にまとめると「一般事務」としか書けない。15社の経験が「一般事務」の一言に圧縮される。圧縮率が高すぎて、中身が伝わらない。

「転職回数が多い」というレッテル

転職回数が多いことは、日本の転職市場では明確なマイナスだ。

「この人はすぐに辞める人だ」「飽きっぽい」「人間関係が構築できない」「忍耐力がない」。転職回数が多い人間に対して、採用担当者はこういうイメージを持つ。統計的に、転職回数が多い人材のほうが早期離職率が高いのかもしれない。だがそれは統計の話であり、個人の話ではない。

私の場合、転職回数が多い理由は明確だ。派遣社員だからだ。派遣の契約は数ヶ月から数年。契約期間が終わったら、次の派遣先に移る。自分の意志で辞めたわけではない。契約が終了したから移動しただけだ。

だが履歴書上は、「入社→退社→入社→退社」の繰り返しとして記載される。自分の意志で辞めたのか、契約終了で離れたのかは、履歴書の行間からは読み取れない。読み取れないから、「すぐ辞める人」と誤解される。

派遣社員が転職回数で不利になるのは、制度の矛盾だ。派遣という制度が短期の雇用を前提にしているのに、その結果として増える転職回数が、転職市場でマイナスに評価される。制度を使った結果がペナルティになる。制度のユーザーが制度によって罰せられる。

履歴書2枚問題

職歴欄が1枚に収まらないとき、2枚目を使うしかない。だが履歴書は通常1枚にまとめるのがマナーとされている。2枚にすると、「まとめる能力がない」と見なされるリスクがある。

また別のアドバイスには「PC作成の履歴書を使いましょう」とある。手書きではなく、パソコンで作成すれば、行数を調整できる。フォントを小さくして詰め込むこともできるし、職歴欄を大きくカスタマイズすることもできる。

だが「手書きの履歴書を好む企業」もまだ存在する。特に中小企業や伝統的な企業では、手書きの履歴書が「誠意の証」として評価されることがある。手書きで15社の職歴を美しく書くのは、書道の腕前が必要だ。私に書道の腕前はない。

結局、PC作成の履歴書を標準にして、手書きを求める企業は避ける、という消極的な戦略を取っている。避けた結果、応募できる企業の幅がさらに狭まる。転職回数の多さが、応募先の選択肢をも制限する。

面接で聞かれる「なぜこんなに多いんですか」

書類選考を通過して面接に進んだ場合、ほぼ確実にこの質問が来る。

「転職回数が多いですが、理由を教えてください」。

正直に答えるなら、「派遣契約が終了するたびに次の派遣先に移ったからです」。だが正直に答えると、「なぜ派遣を続けているのか」「なぜ正社員にならなかったのか」という追加質問が来る。この追加質問に答えるには、就職氷河期の話、100社落ちた話、正社員登用の嘘の話をしなければならない。面接の限られた時間で、20年分の経緯を説明するのは不可能だ。

だから模範的な回答を用意する。「さまざまな企業で経験を積むことで、幅広い事務スキルを身につけました。多様な環境への適応力があります」。ポジティブに言い換える。転職回数の多さを「弱み」ではなく「強み」として表現する。転職エージェントに教わった技法だ。

この回答が面接官に刺さるかどうかは、面接官次第だ。「なるほど、幅広い経験ですね」と受け取ってくれる人もいれば、「結局、一つの場所で長く続けられないんでしょう」と見透かす人もいる。見透かされると、もう挽回は難しい。

履歴書が物語る人生

履歴書を書くたびに思う。この紙は、私の人生の要約だ。

学歴欄。大学を出た。それなりの大学を出た。ここまでは順調だった。

職歴欄。ここから先が、曲がりくねった道になる。短い行が何行も並ぶ。1年、8ヶ月、1年半、6ヶ月。短い期間の繰り返し。一つの場所に長くいられなかった記録。いられなかったのは自分のせいではないが、紙の上では自分のせいに見える。

この紙を、面接官が30秒で眺める。30秒で20年分の人生を判断する。30秒では、行間は読めない。行間に詰まった努力、忍耐、適応、苦労。これらは30秒の視線では拾い上げられない。拾い上げられるのは、「転職回数が多い」という表面的な情報だけだ。

それでも履歴書を書く。書くたびに、自分の人生を要約する作業をする。要約するたびに、切り捨てられる部分がある。切り捨てられた部分のほうが、本当は大事なのかもしれない。だが履歴書には載せられない。載せられない人生は、面接官には届かない。届かない人生を抱えたまま、次の面接に向かう。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。履歴書の職歴欄に悩んだ経験がある人は、きっと少なくないはずです。

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