就職氷河期世代の「住居確保給付金・住宅支援制度」完全ガイド【家賃が払えなくなる前に知っておくべき公的支援の全知識】

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就職氷河期世代の「住居確保給付金・住宅支援制度」完全ガイド【家賃が払えなくなる前に知っておくべき公的支援の全知識】

はじめに——「家賃が払えない」は突然来る

派遣の契約が切れた。次の仕事が見つからない。貯金が減っていく。来月の家賃が払えるかわからない。この状況は、非正規雇用で暮らす人間にとって、いつ起きてもおかしくない。突然来る。予告なく来る。来たとき、何ができるか。何も知らなければ、パニックに陥る。知っていれば、手を打てる。

日本には、家賃が払えなくなった人、または払えなくなりそうな人を支援する公的制度がいくつかある。これらの制度は「知っている人だけが使える」ものだ。知らなければ使えない。使えなければ、住居を失うリスクが高まる。このガイドでは、住まいに関する公的支援制度を網羅的に解説する。「今は必要ない」と思う人も、知識として持っておいてほしい。必要になったときに調べる余裕がない可能性があるからだ。

住居確保給付金とは

住居確保給付金は、離職や廃業、またはやむを得ない休業等により収入が減少し、家賃の支払いが困難になった人に対して、家賃相当額を支給する制度だ。生活困窮者自立支援法に基づく制度で、全国の自治体で利用できる。

支給額は、地域や世帯人数によって異なるが、単身世帯の場合、東京23区で月額53700円を上限に実際の家賃額が支給される。地方ではこの上限額が低くなる。支給期間は原則3ヶ月で、一定の条件を満たせば最長9ヶ月まで延長可能だ。

支給された給付金は、本人ではなく大家(または管理会社)に直接支払われる。つまり、自分の手元にお金が入るのではなく、家賃が給付金から直接払われる仕組みだ。

住居確保給付金の申請条件

申請するためには、いくつかの条件を満たす必要がある。

条件1は「離職・廃業から2年以内、またはやむを得ない事由により収入が減少したこと」だ。派遣の契約終了、雇い止め、会社の倒産などが該当する。「やむを得ない事由」には、勤務先の休業やシフト減少なども含まれる場合がある。

条件2は「離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと」。つまり、主たる収入源を失った人が対象。副業を失っただけでは対象にならない場合がある。

条件3は「ハローワークに求職の申込みをし、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと」。給付金を受けている期間は、求職活動を行うことが条件になる。具体的には、月に一定回数以上の求人応募や面接が求められる。

条件4は「収入要件」。申請月の世帯収入が基準額以下であること。基準額は自治体によって異なるが、単身世帯で月額約13.8万円以下(東京23区の場合)が目安だ。

条件5は「資産要件」。世帯の預貯金が基準額以下であること。単身世帯で50.4万円以下(東京23区の場合)。地方ではもっと低い場合がある。

これらの条件は細かく、自治体によっても運用が異なる。詳しくは居住地の自立相談支援機関(福祉事務所内、または自治体が委託するNPOなど)に直接相談するのが確実だ。

住居確保給付金の申請手順

申請の流れを、ステップごとに解説する。

ステップ1は「自立相談支援機関に連絡する」こと。まず、居住地の自立相談支援機関に電話または訪問する。「住居確保給付金について相談したい」と伝えれば、担当者が対応してくれる。自立相談支援機関の連絡先は、自治体のホームページや「生活困窮者自立支援制度」で検索すれば見つかる。

ステップ2は「相談・面談」。担当者と面談し、現在の状況(収入、資産、住居、求職活動の状況など)を説明する。担当者が給付金の対象かどうかを判断し、申請に必要な書類を案内してくれる。

ステップ3は「必要書類を揃える」こと。一般的に必要な書類は、本人確認書類、離職票または退職証明書(離職の場合)、収入がわかる書類(給与明細、通帳のコピーなど)、預貯金がわかる書類(通帳のコピー)、賃貸借契約書のコピー、ハローワークの求職受付票。自治体によって追加書類が必要な場合もある。

ステップ4は「申請書を提出する」。必要書類を揃えて、自立相談支援機関に提出する。申請書は窓口で記入するか、事前にダウンロードして記入しておく。

ステップ5は「審査」。自治体が書類を審査し、支給の可否を決定する。審査期間は通常2〜4週間程度。

ステップ6は「支給開始」。審査が通れば、翌月から家賃相当額が大家に直接支払われる。支給期間中は、求職活動の報告を定期的に行う必要がある。

住居確保給付金以外の住宅支援制度

住居確保給付金以外にも、住まいに関する公的支援制度がある。複数の制度を組み合わせることで、住居喪失のリスクを最小化できる。

制度1は「公営住宅の優先入居」。都道府県営住宅や市営住宅には、低所得世帯やひとり親世帯、高齢者世帯を対象とした「優先入居枠」がある。通常の抽選とは別に、優先的に入居できる仕組みだ。自治体の住宅課に問い合わせれば、対象かどうかを確認できる。

制度2は「セーフティネット住宅」。住宅確保要配慮者(低所得者、高齢者、障害者、被災者など)を拒否しない賃貸住宅として登録された物件。一部の物件は家賃が低廉化されている(国と自治体からの補助で家賃が下がっている)。「セーフティネット住宅情報提供システム」というウェブサイトで物件を検索できる。

制度3は「生活福祉資金貸付制度」。社会福祉協議会が窓口の低利子または無利子の貸付制度。住宅入居費(敷金・礼金など)を貸し付けてくれる「住宅入居費貸付」がある。貸付なので返済が必要だが、利子が低い(保証人ありなら無利子、なしでも年1.5%)。

制度4は「一時生活支援事業」。住居を失った人、またはネットカフェ等で寝泊まりしている人を対象に、一時的な宿泊場所と食事を提供する制度。生活困窮者自立支援法に基づく事業で、自立相談支援機関を通じて利用できる。すべての自治体で実施されているわけではないので、居住地の自治体に確認が必要。

制度5は「居住支援法人の活用」。住まいの確保が困難な人を支援するNPOや社会福祉法人。物件の紹介、入居支援(保証人代行など)、入居後の見守りサービスなどを提供している。都道府県ごとに指定された法人があり、一覧は国土交通省のウェブサイトで確認できる。

「知っている」ことの価値

これらの制度は、すべて「申請主義」だ。自分から申請しなければ、誰も教えてくれないし、支給されない。行政は「困っている人を自動的に検知して支援する」仕組みにはなっていない。困っていることを自分から伝えなければ、支援は始まらない。

だから「知っている」ことが重要なのだ。制度の存在を知っているだけで、いざというときの行動が変わる。知らなければパニックになり、知っていれば窓口に行ける。窓口に行けば相談できる。相談すれば制度を使える。制度を使えば住居を守れる。

このガイドに書いた情報は、今すぐ必要でなくても、頭の片隅に入れておいてほしい。ブックマークするか、メモに書いておくか。必要になったとき、このページを思い出してくれたら、それだけでこのガイドの目的は達成される。

家賃が払えなくなる前に、知っておく。それが最も安いコストで、最も大きな安心を得る方法だ。

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