「貧乏旅行」のすすめ——手取り16万円でも年1回の旅行を実現する完全ガイド

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「貧乏旅行」のすすめ——手取り16万円でも年1回の旅行を実現する完全ガイド

はじめに——「旅行なんて贅沢」は本当か

「旅行」と聞くと「贅沢」を連想する。飛行機に乗って、ホテルに泊まって、美味しいものを食べて。数万円〜十数万円の出費。手取り16万円の人間には無理。無理だから諦める。諦めたまま何年も過ぎる。

だが「旅行」の定義を広げれば、1万円以下で「旅」はできる。日帰りの電車旅。夜行バスで片道2000円の小旅行。テント泊のキャンプ旅(テントは持っていないが)。「旅行=豪華な宿泊+飛行機」ではない。「いつもと違う場所に行き、いつもと違うものを見る」。これが旅の本質だ。本質に立ち返れば、旅のコストは劇的に下がる。

このガイドでは、年間1万円の予算で実現する「貧乏旅行」の方法を解説する。年に1回でいい。1回の旅が、365日の日常に「色」を加えてくれる。

予算1万円で行ける旅のプラン

プラン1は「青春18きっぷの日帰り旅」。青春18きっぷは5回分で12050円。1回分は2410円。JRの普通列車・快速列車が1日乗り放題。始発から終電まで、どこまでも行ける。東京から熱海まで約2時間。東京から日光まで約3時間。大阪から姫路まで約1.5時間。片道2〜3時間の範囲で、日帰り旅ができる。交通費2410円+昼食500〜1000円=合計約3000〜3500円。

プラン2は「夜行バス+ネットカフェ泊の1泊2日旅」。夜行バスは片道2000〜4000円(早割ならさらに安い)。往復4000〜8000円。宿泊はネットカフェの個室ブース。1泊2000〜3000円(シャワー付き)。合計6000〜11000円。1万円前後で1泊2日の旅が可能。東京→大阪、東京→仙台、大阪→広島。夜行バスなら、翌朝には目的地に着いている。

プラン3は「近場の温泉日帰りプラン」。電車で1〜2時間の温泉地に日帰りで行く。日帰り入浴施設は500〜1500円。交通費往復2000〜4000円。昼食1000円。合計3500〜6500円。温泉に浸かって、地元のB級グルメを食べて、帰る。これだけで「旅」の充実感がある。

プラン4は「徒歩旅行」。交通費ゼロ。自宅から歩いて行ける範囲で「旅」をする。知らない路地を歩く。行ったことのない公園に行く。近くの山を登る。「旅=遠くに行くこと」ではない。「いつもと違う場所に行くこと」が旅だ。徒歩なら、弁当(おにぎり2個=200円)を持っていけば、ほぼ0円。

旅の「費用」を貯める仕組み

年に1回、1万円の旅行をするには、月に約830円の積立が必要。830円。発泡酒6本分。月に6本の発泡酒を我慢すれば、年に1回の旅行ができる。

あるいは「旅行貯金箱」を作る。500円玉貯金のように、100円玉が出たら貯金箱に入れる。月に100円×10回=1000円。12ヶ月で12000円。1万円を超える。100円の積み重ねで、年1回の旅が手に入る。

一人旅の「楽しみ方」

一人旅の最大のメリットは「自由」だ。行きたい場所に行ける。見たいものを見られる。食べたいものを食べられる。歩くペースも、休憩のタイミングも、すべて自分で決められる。誰にも合わせる必要がない。この自由は、一人暮らしの延長であり、独身者にとっては「得意分野」だ。

一人旅の楽しみ方1は「歩く」。目的地に着いたら、地図アプリを見ながら歩く。歩くことで、街の空気を感じる。車窓からは見えない景色が、歩くと見える。路地裏の猫、地元のパン屋、古い建物のディテール。歩くスピードでしか気づけないものがある。

楽しみ方2は「地元の安い食堂で食べる」。観光地のレストランは高い。地元の人が通う食堂は安い。500〜800円で定食が食べられる。地元の食堂で食べるご飯は、コンビニ弁当の10倍美味い(主観)。

楽しみ方3は「写真を撮る」。スマートフォンのカメラで十分。旅先の風景、食べたもの、気になった看板。写真に撮ることで、旅の記録が残る。記録は「思い出」になる。思い出は、旅が終わった後も、写真を見返すたびに蘇る。1日の旅が、何ヶ月もの「思い出」になる。

楽しみ方4は「何もしない時間を楽しむ」。旅先のベンチに座って、ぼんやりする。知らない街の知らない風景を眺める。知らない人が通り過ぎていく。この「何もしない時間」が、日常の「何もしない時間」とは全く違う質を持っている。場所が変わるだけで、「何もしない」の質が変わる。

一人旅の「不安」への対処

「一人旅なんて寂しくないか」と聞かれる。寂しいときもある。観光地でカップルや家族連れに囲まれると、「自分は一人だな」と感じる。だが寂しさは一瞬だ。すぐに「自由だな」に切り替わる。

安全面の不安。一人旅で最も注意すべきは「体調不良」だ。旅先で体調を崩すと、助けてくれる人がいない。対策として、保険証(またはマイナ保険証)を必ず持参する。旅先の救急病院の電話番号をスマートフォンにメモしておく。持病がある場合は薬を余分に持っていく。無理な行程を組まない。

「旅の効果」——日常が変わる

旅から帰ると、日常が少しだけ違って見える。6畳の部屋が「自分の場所」として改めて認識される。もやし炒めが「慣れた味」として安心感を与えてくれる。通勤電車の景色が「見慣れた景色」として心地よく感じられる。旅は「非日常」を体験することで、「日常」の価値を再発見させてくれる。

年に1回の旅行。365日のうちのたった1〜2日。だがこの1〜2日が、残りの363〜364日の「見え方」を変える。「あの旅は楽しかったな」という記憶が、日常のグレーな日々に小さな光を灯す。

まとめ——「旅」は贅沢品ではなく必需品

旅は贅沢品ではない。精神の必需品だ。「いつもと違う場所に行く」体験は、脳をリフレッシュし、感情を動かし、記憶を作る。記憶が人生を「空白」にしない。

年間1万円。月830円。この金額で、年に1回の「非日常」が手に入る。830円は「投資」であり「消費」ではない。投資のリターンは「人生が少しだけ豊かになる」こと。このリターンは、NISAの年利5%に匹敵する——かもしれない。金額には換算できないが、心には確実に刻まれる。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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