氷河期世代の「医療費」を年間3万円削る全技術——ジェネリック・セルフメディケーション・予防の三本柱

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はじめに——「病院に行くとお金がかかる」のジレンマ

体調が悪い。だが病院に行けばお金がかかる。初診料、検査代、薬代。1回の受診で2000〜5000円。手取り16万円の人間にとって、5000円は3日分の食費だ。「もう少し我慢すれば治るかも」。我慢する。治らない。悪化する。悪化してから病院に行く。重症化しているから、治療費が高くなる。入院する。入院費がかかる。仕事を休む。収入が減る。

「病院に行くとお金がかかる」→「行かない」→「悪化する」→「もっとお金がかかる」。この悪循環を断ち切るには、「医療費を削る技術」を身につける必要がある。このシリーズでは高額療養費制度(マネー25)を解説したが、「制度を使って上限を超えた分を取り戻す」のは「大きな病気」のときの話。日常の「小さな医療費」を削る技術は別途必要だ。

このガイドでは、日常の医療費を年間3万円削るための「3本の柱」を解説する。柱1はジェネリック医薬品、柱2はセルフメディケーション、柱3は予防。この三本柱で、「病院に行くのが怖くない」状態を作る。

柱1:ジェネリック医薬品で薬代を30〜50%削る

ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品(新薬)の特許が切れた後に発売される「同じ有効成分の薬」だ。効果は先発品と同等だが、価格が30〜70%安い。開発費がかからない分、価格が低い。

例えば高血圧の薬。先発品のアムロジピン(ノルバスク)5mgは1錠約25円。ジェネリックのアムロジピン5mgは1錠約10円。1日1錠×30日で、先発品750円、ジェネリック300円。月の差額450円。年間5400円。「たった5400円」と思うかもしれないが、複数の薬を服用している場合は差額が積み上がる。3種類の薬でジェネリックに変更すれば、年間15000〜20000円の節約。

ジェネリックへの変更方法。方法1は「医師に伝える」。「ジェネリックに変更できますか?」と診察時に聞く。医師が「問題ない」と判断すれば、処方箋にジェネリック可の記載がされる。方法2は「薬局で伝える」。処方箋に「変更不可」の印がなければ、薬局の窓口で「ジェネリックに変更してください」と伝えるだけ。薬剤師が対応してくれる。方法3は「マイナ保険証を使う」。マイナ保険証対応の薬局では、過去の薬歴が参照でき、ジェネリックへの変更がスムーズに行われる。

「ジェネリックは効かないのでは」という不安を持つ人がいるが、厚生労働省が有効成分の同等性を審査して承認している。「効かない」ことはない(個人の体感で「合わない」場合は先発品に戻せる)。

柱2:セルフメディケーションで通院回数を減らす

セルフメディケーションとは「軽い症状は自分で対処し、病院に行かない」こと。風邪の初期症状、頭痛、軽い腹痛、筋肉痛、虫刺され。これらは市販薬(OTC医薬品)で対処できることが多い。病院に行けば初診料1000〜1500円+処方薬代1000〜2000円=合計2000〜3500円。市販薬なら500〜1500円。差額は500〜2000円。年に5回「病院に行く代わりに市販薬で対処」すれば、年間2500〜10000円の節約。

市販薬の「常備薬リスト」を作っておく。頭痛薬(ロキソニンS。12錠700円程度)。風邪薬(パブロンSゴールドW。20錠800円程度)。胃薬(太田胃散。50包800円程度)。下痢止め(ストッパ。12錠800円程度)。絆創膏、消毒液、体温計。合計3000〜4000円の初期投資。これが「プチ薬局」となり、軽い症状なら自宅で対処可能になる。

ただし「セルフメディケーションの限界」を知っておくことが重要。以下の症状がある場合は、市販薬で我慢せず病院に行く。3日以上続く高熱(38度以上)。激しい腹痛。胸の痛み。息苦しさ。出血が止まらない。意識の混濁。これらは「軽い症状」ではない。放置すれば命に関わる可能性がある。「病院に行く金がもったいない」よりも「命のほうが大事」。

セルフメディケーション税制の活用。年間の市販薬購入額が12000円を超えた場合、確定申告で所得控除を受けられる。対象は「スイッチOTC医薬品」。パッケージに「セルフメディケーション税制対象」の表示がある。ドラッグストアのレシートを保管しておく。年間16000円の市販薬を購入した場合、控除額は4000円。所得税率5%+住民税率10%で還付額600円。金額は小さいが「レシートを保管するだけ」で600円。捨てるのは600円を捨てるのと同じ。

柱3:「予防」で医療費の発生自体を防ぐ

最もコスパが良い医療費削減法は「病気にならないこと」だ。予防に使う費用は、治療費の10分の1以下。歯科の定期検診に年5000円使えば、虫歯の治療費(1本3000〜15000円)が発生しない。健康診断で早期発見すれば、重症化による高額治療が避けられる。

予防策1は「無料の健康診断を受ける」。自治体が実施する特定健康診査(40歳以上の国保加入者)は無料〜数百円。会社の健康診断は費用負担なし。これらの「無料の健康チェック」を毎年受けるだけで、生活習慣病の早期発見が可能。

予防策2は「無料のがん検診を受ける」。自治体が実施するがん検診は無料〜数百円。胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん。早期発見なら治療費が安く、治癒率も高い。「無料で命が助かるかもしれない検査」を受けない理由はない。

予防策3は「歯科の定期検診を年2回受ける」。保険適用で1回2000〜3000円。年間4000〜6000円。歯の延命戦略の記事(健康01)で詳しく解説した通り、定期検診で虫歯を早期発見・早期治療すれば、将来のインプラント30万円を防げる。

予防策4は「インフルエンザの予防接種を受ける」。接種費用は3000〜5000円(自治体の助成があれば1000〜2000円)。インフルエンザに罹患すると、通院費2000〜5000円+薬代2000〜3000円+休業による収入減(派遣は欠勤=収入ゼロ)。予防接種の費用は「インフルエンザに罹った場合のコスト」の3分の1以下。

予防策5は「生活習慣の改善」。散歩(0円)、バランスの良い食事(追加コスト月500〜1000円)、十分な睡眠(0円)、禁煙(タバコ代がゼロになるのでむしろプラス)、節酒(酒代が減るのでプラス)。生活習慣の改善は「コストがゼロかマイナス」で、医療費を大幅に削減する効果がある。

「薬局の選び方」で薬代が変わる

処方箋を持っていく薬局によって、薬代が変わることがある。「調剤技術料」「薬学管理料」は薬局によって異なる。

ポイント1は「大型チェーン薬局より、小さな薬局が安い場合がある」こと。大型チェーンは「かかりつけ薬剤師指導料」等の加算がつく場合がある。小さな薬局のほうがシンプルな調剤料で安いこともある。

ポイント2は「お薬手帳を持参する」こと。お薬手帳を持参すると「薬剤服用歴管理指導料」が低くなる場合がある。持参しないと加算される。お薬手帳は無料でもらえる。毎回持参するだけで、1回あたり数十円の節約。年間で数百円。

ポイント3は「リフィル処方箋を活用する」こと。2022年4月から導入された「リフィル処方箋」は、一定期間内に同じ処方箋で最大3回まで薬を受け取れる制度。毎回医師の診察を受けずに薬がもらえるので、再診料(1回400〜700円)が節約できる。高血圧やコレステロールなど、安定している慢性疾患の薬で利用可能。医師に「リフィル処方箋にできますか」と聞いてみる。

年間3万円削減のシミュレーション

ジェネリック医薬品への変更:年間10000〜20000円の節約。セルフメディケーション(通院回数削減):年間5000〜10000円の節約。予防(定期検診による重症化予防):将来の高額治療費の回避(金額は不確定だが潜在的に数万〜数十万円)。リフィル処方箋の活用:年間3000〜5000円の節約。セルフメディケーション税制の還付:年間600〜2000円。

合計:年間18600〜37000円。目標の3万円は十分に射程圏内。ジェネリックへの変更とリフィル処方箋の活用だけでも、年間13000〜25000円の節約が確実に得られる。

「医療費が払えない」場合の最終手段

どうしても医療費が払えない場合の選択肢を示す。「払えないから病院に行かない」は最悪の選択。払えなくても行く方法がある。

選択肢1は「無料低額診療事業」。社会福祉法に基づき、経済的に困難な人に無料または低額で医療を提供する制度。全国約700カ所の対象医療機関で利用可能。「無料低額診療 ○○市」で検索。

選択肢2は「医療費の分割払い」。病院によっては、医療費の分割払いに応じてくれる。窓口で「分割払いにできませんか」と相談する。

選択肢3は「高額療養費の限度額適用認定証」。入院や高額な治療の前に、加入している健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払いが自己負担限度額で済む。限度額は所得区分によって異なるが、年収370万円以下なら月57600円。

選択肢4は「生活保護の医療扶助」。生活保護を受給していれば、医療費は全額が医療扶助で賄われる。自己負担ゼロ。

まとめ——「医療費を削る」は「健康を犠牲にする」ではない

「医療費を削る=病院に行かない」ではない。「同じ治療を、より安い方法で受ける」「軽い症状は市販薬で対処する」「病気にならないよう予防する」。これが正しい医療費の削り方だ。健康を犠牲にせず、お金だけを削る。この技術を身につければ、「病院に行くのが怖い」がなくなる。

年間3万円の医療費削減。月あたり2500円。発泡酒18本分。18本の発泡酒か、3万円の貯蓄か。両方ほしいなら、ジェネリックに変更して、リフィル処方箋を使って、予防に力を入れる。3本の柱が、両方を手に入れる道を開いてくれる。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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