はじめに——「派遣社員」から「公務員」へ——婚活における「肩書き革命」
婚活市場において、男性の「職業」は最も重要なステータスの一つだ。マッチングアプリのプロフィール、結婚相談所のデータシート、合コンでの自己紹介。「お仕事は?」と聞かれたとき、「派遣社員です」と答えるのと「公務員です」と答えるのでは、相手の反応がまるで違う。
「派遣社員」と言った瞬間、相手の目が一瞬曇る。「不安定」「収入が低い」「将来が見えない」。これらのイメージが自動的に浮かぶ。多くの場合、「派遣社員」と聞いた瞬間に「この人はナシ」と判断される。プロフィールの段階で弾かれる。会ってもらえない。
「公務員」と言った瞬間、相手の目が少し輝く。「安定」「収入が確実」「社会的信用がある」「ボーナスが出る」「退職金がある」。これらのポジティブなイメージが自動的に浮かぶ。「公務員」の肩書きだけで、婚活市場での「打率」が劇的に変わる。
このエッセイでは、「公務員になったら婚活がどう変わるか」を具体的に分析する。「公務員になれば結婚できる」と断言するつもりはない。だが「公務員になることで、婚活の可能性が広がる」ことは間違いない。
婚活市場における「公務員」の位置づけ
結婚相談所や婚活アプリのデータによると、「公務員」は男性の職業の中で人気上位に位置する。医師、弁護士に次ぐ人気。「大企業の会社員」と同等かそれ以上。なぜか。「安定」だ。公務員は不況でもリストラされない。給料が確実に支払われる。ボーナスが出る。退職金がある。年金が手厚い。この「安定」が、結婚相手として最も求められる要素と合致する。
女性が結婚相手に求める条件のトップ3は「性格」「経済力」「職業の安定性」。このうち「経済力」と「職業の安定性」の両方を満たすのが「公務員」だ。年収は大企業ほど高くないが、「安定して300〜400万円が確実に入ってくる」ことの安心感は、年収500万円の不安定な仕事より評価が高い場合がある。
「派遣社員」時代と「公務員」時代の婚活の違い
派遣社員時代の婚活。マッチングアプリで「派遣社員・年収250万円」と書くと、マッチング率が激低。「いいね」をしても返ってこない。プロフィールの段階で弾かれる。会えたとしても、「お仕事は?」「派遣です」の瞬間に空気が変わる。
公務員になった後の婚活。プロフィールに「公務員」と書くだけで、マッチング率が上がる。「いいね」の返答率が上がる。「お仕事は?」「公務員です」。空気が変わらない。むしろ温かくなる。「公務員なんですね!素敵ですね」。この反応の違いは、実体験した人にしかわからない衝撃だ。
ただし注意点がある。「公務員」という肩書きで集まってくるのは「安定を求めている人」だ。「公務員の肩書き」に惹かれているのであって、「あなた自身」に惹かれているかどうかは別の話。「公務員だから」という理由で近づいてくる人に対しては、「自分自身を見てくれているか」を慎重に判断する必要がある。
45歳公務員の「婚活戦略」
公務員になったからといって、自動的に結婚相手が見つかるわけではない。45歳という年齢は婚活市場では不利だ。だが「45歳の公務員」は「45歳の派遣社員」より遥かに有利。この有利を最大限に活かす戦略を示す。
戦略1は「マッチングアプリのプロフィールを更新する」。職業欄を「公務員」に変更する。年収欄を更新する(300〜400万円に)。この2つの変更だけで、マッチング率が目に見えて変わるはずだ。
戦略2は「年齢層を広めに設定する」。同年代(40〜50代)だけでなく、30代後半〜50代前半まで幅を広げる。公務員の「安定」は、年齢差がある場合でも「結婚相手として許容できる理由」になりうる。
戦略3は「再婚者・シングルマザーにも目を向ける」。初婚にこだわらなければ、マッチングの可能性が広がる。再婚者やシングルマザーは「経済的な安定」を最も重視することが多い。公務員の「安定」が、最も高く評価される層だ。
戦略4は「公務員同士の出会いを探す」。自治体の職員互助会のイベント、公務員限定の婚活パーティー。同じ公務員同士なら、「仕事への理解」が共有でき、生活リズムも合いやすい。「公務員の妻が公務員」は最強の安定カップルだ。
「結婚しない」選択も変わらず正しい
公務員になったからといって「結婚しなければならない」わけではない。このシリーズの別の記事(婚活01「結婚しなかった理由を10個書き出してみた」)で書いた通り、「結婚しない」は正当な選択だ。公務員になって経済的に安定すれば、「一人で老後を生きる」ための資金計画も立てやすくなる。
公務員の給料+ボーナス+退職金+NISAの運用。これらを合計すれば、独身のまま老後を迎えても「最低限の生活」は維持できる。結婚は「しなくても生きていける」。だが「したいと思うなら、公務員の肩書きは強力な武器になる」。武器を使うかどうかは自分で決める。
「公務員になったら彼女ができた」——よくある話
実際に氷河期世代の公務員採用者の中に「公務員になってからパートナーができた」人がいる(個人の体験であり統計ではないが)。共通するのは「自信がついた」こと。公務員として働くことで自己肯定感が上がり、自信がつき、対人関係に積極的になれた。積極的になったから出会いの機会が増え、パートナーが見つかった。
「自信」は婚活市場で最も重要な「見えない資産」だ。どんなに年収が高くても、自信のない人は魅力的に映らない。逆に年収が平均的でも、自信を持って堂々としている人は魅力的に映る。公務員になることで得られる「安定」が「自信」を生み、「自信」が「魅力」を生み、「魅力」が「出会い」を生む。この連鎖が、婚活市場での結果を変える。
まとめ——「公務員の肩書き」は婚活の「追い風」になる
公務員になったら婚活が「楽になる」のは事実だ。楽になるが「自動的にうまくいく」わけではない。肩書きは「追い風」であり「帆」ではない。帆を張るのは自分自身だ。プロフィールを更新し、マッチングアプリに登録し、メッセージを送り、会って話す。この「行動」がなければ、追い風は吹いても船は動かない。
行動するかどうかは自分で決める。行動しなくてもいい。一人の人生も悪くない。だが「公務員になった今なら、もしかしたら」と思えるなら、試してみる価値はある。マッチングアプリの職業欄を「公務員」に変更する。5分の作業。5分で「人生の可能性」が広がるかもしれない。広がらなくても、5分のリスクで済む。
このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

