45歳独身の「フードバンク・フードパントリー」活用ガイド——食料支援を受けることは恥ではない

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45歳独身の「フードバンク・フードパントリー」活用ガイド——食料支援を受けることは恥ではない

はじめに——「食料支援」は生活保護ではない

「フードバンク」「フードパントリー」。聞いたことはあるかもしれない。だが「自分が利用するもの」とは思っていないだろう。「食料支援を受ける=生活に困っている人=自分はそこまでではない」。この認識がある。だが手取り16万円で家賃5万円を払い、食費を月2万円に抑えて暮らしている人は、十分に「食料支援を受けられる対象」だ。

フードバンク・フードパントリーは「生活保護」ではない。行政の制度でもない。民間のNPOやボランティア団体が運営する「食品の無料配布」だ。企業や農家から「余った食品」を集め、必要な人に配る仕組み。食品ロスの削減と、食に困っている人の支援を同時に実現する。

「余った食品をもらう」のは恥ずかしいことか。いいや。「余った食品を捨てる」ほうが恥ずかしい。日本では年間523万トンの食品が廃棄されている(食品ロス。2021年度)。この「捨てられる食品」の一部が、フードバンクを通じて「必要な人」に届く。あなたが受け取ることで、食品ロスが1つ減る。節約と社会貢献が同時に実現する。

「フードバンク」と「フードパントリー」の違い

フードバンクは「食品を集めて配る組織」の総称。企業・農家・個人から寄贈された食品を、福祉施設・こども食堂・フードパントリーなどに配分する「中間倉庫」のような存在。個人が直接フードバンクから食品を受け取ることもできるが、多くの場合は「フードパントリー」を通じて受け取る。

フードパントリーは「食品を無料で個人に配布する場所・活動」。地域の公民館、教会、NPOの事務所、公園などで「月に1〜2回」開催されることが多い。予約なしで来場し、食品を受け取る。身分証明書の提示が必要な場合と不要な場合がある。所得制限がある場合とない場合がある。運営団体によって異なる。

もらえるもの。米、パスタ、缶詰、レトルト食品、カップ麺、菓子、調味料、野菜、果物、パン。日によって内容は変わる。「何がもらえるか」は行ってみるまでわからない。だがもらえるものは「すべて無料」。

フードパントリーの「見つけ方」

見つけ方1は「『○○市(区) フードパントリー』で検索する」。自分が住む市区町村名+フードパントリーで検索。NPOのウェブサイトやSNS(X、Instagram)が見つかることが多い。開催日時、場所、利用条件が掲載されている。

見つけ方2は「社会福祉協議会に問い合わせる」。市区町村の社会福祉協議会(略称「社協」)は、地域のフードバンク・フードパントリーの情報を把握していることが多い。電話して「フードパントリーの情報を教えてほしい」と聞く。社協は「生活に困っている人」の相談窓口であり、遠慮なく問い合わせてよい。

見つけ方3は「自立相談支援機関に相談する」。生活困窮者の「ワンストップ相談窓口」である自立相談支援機関(すべての市区町村に設置)に連絡する。フードバンクの情報だけでなく、利用可能な制度(住居確保給付金、緊急小口資金等)も案内してもらえる。

見つけ方4は「『セカンドハーベスト・ジャパン』のウェブサイトを確認する」。日本最大のフードバンク団体。ウェブサイトで全国のフードパントリーの開催情報を掲載している場合がある。

フードパントリーの「利用方法」——初めてでも大丈夫

初めてフードパントリーに行くのは緊張する。「どんな場所か」「誰がいるのか」「恥ずかしくないか」。不安は自然だ。だが行ってみれば「普通の場所で、普通の人が、普通に食品を受け取っている」ことがわかる。

利用の流れ(一般的なケース)。開催場所(公民館、教会等)に行く。受付で名前を書く(匿名OKの場合もある)。身分証明書の提示を求められる場合がある(運転免許証、健康保険証等)。配布される食品を受け取る。袋に入れてもらう。帰る。以上。5〜15分で完了。スーパーの買い物より短い。

服装は普段着でいい。「きちんとした格好」でなくてもいい。エコバッグまたはリュックを持っていくと、食品を入れて持ち帰りやすい。

「利用すること」への心理的ハードル——乗り越える3つの考え方

ハードル1は「恥ずかしい」。「食料支援を受けるなんて、プライドが許さない」。考え方。フードパントリーの利用者は「生活保護受給者」に限らない。一人親家庭、高齢者、学生、非正規雇用の独身者。多様な人が利用している。「恥ずかしい」のは思い込みであり、利用者の間では「普通のこと」だ。

ハードル2は「自分より困っている人がいるのでは」。「自分はまだ食べていける。もっと困っている人に譲るべきでは」。考え方。フードパントリーの食品は「余った食品」だ。受け取る人がいなければ「廃棄」される。あなたが受け取ることで、廃棄が1つ減る。「もっと困っている人に」という配慮は立派だが、「受け取る人がいない→廃棄」よりは「あなたが受け取る」ほうが社会全体にとって良い。

ハードル3は「人に知られたくない」。「職場の人にバレたら」「近所の人に見られたら」。考え方。フードパントリーの利用者は「互いの個人情報に無関心」だ。誰が来ているか気にしていない。自分も他人の顔を見ていないし、他人も自分の顔を見ていない。もし知り合いに会ったとしても、「お互い利用者」であり、「お互い同じ立場」だ。恥ずかしさは共有されれば半減する。

フードパントリーで「もらったもの」の活用法

フードパントリーでもらえるものは「自分では買わないもの」が含まれていることがある。普段食べない種類の缶詰、知らないメーカーのレトルト食品、見慣れないお菓子。これらを「自炊のバリエーション拡大」のチャンスと捉える。

活用法1は「もらったもので1週間の献立を考える」。米5kg、パスタ500g、ツナ缶3個、トマト缶2個、カレールー1箱。これだけあれば1週間の主食+メインおかずがカバーできる。不足する野菜・肉だけスーパーで買い足す。食費が通常の半分以下に。

活用法2は「災害備蓄に回す」。缶詰やレトルト食品は賞味期限が長い(1〜3年)。「今すぐ食べない分」を災害備蓄として保管する。災害備蓄を「買わずに揃える」ことができる。

活用法3は「近所の人におすそ分けする」。もらった食品が「自分一人では食べきれない量」の場合、近所の高齢者や知人におすそ分けする。おすそ分けが「人間関係の構築」につながることもある。

フードパントリーの「月の節約効果」

フードパントリーで月に1〜2回食品を受け取った場合。もらえる食品の推定金額は1回あたり2000〜5000円分。月2回利用で4000〜10000円分。この分だけ、スーパーでの食費が浮く。保守的に月3000円の節約としても、年間36000円。NISAに月3000円追加で20年運用すれば約123万円。

「無料の食品をもらうだけ」で20年後に123万円。利用しない理由がない。

「フードバンクへの寄付」——もらう側から贈る側へ

公務員になって収入が安定したら、または NISA の資産が育ったら、今度は「贈る側」に回ることを目標にしてもいい。フードバンクへの寄付(食品または現金)。ボランティアとしてフードパントリーの運営に参加する。「もらう側」から「贈る側」への転換。これは「社会への恩返し」であると同時に「自分がここまで来たことの証」だ。

もちろん「贈る側に回る義務」はない。余裕がなければ、ずっと「もらう側」でいていい。制度は「使うために存在する」。使うことに罪悪感を持つ必要はない。

まとめ——「受け取る」ことも「社会参加」のひとつ

フードバンク・フードパントリーの食品を「受け取る」ことは「施し」を受けることではない。「余った食品を必要な人に届ける」システムの「必要な人」側として参加することだ。あなたが受け取ることで、食品ロスが減り、フードバンクの「活動実績」が増え、企業からの寄贈が増え、さらに多くの人に食品が届く。「受け取る」ことが「社会参加」であり「社会貢献」でもある。

今日、「○○市 フードパントリー」で検索してみてほしい。次の開催日を確認する。エコバッグを持って行ってみる。受け取った食品で、今夜のもやし炒めにツナ缶を追加する。「無料のツナ缶が入ったもやし炒め」は、いつものもやし炒めより少し豪華だ。少しの豪華さが、毎日の食事に彩りを添える。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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