氷河期世代の「結婚後の1日」シミュレーション——もやし炒めの夕食はどう変わるか

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はじめに——「結婚したら毎日はどう変わるのか」を具体的にイメージする

婚活の記事をたくさん書いてきた。損益計算書。デートの方法。アプリの攻略法。清潔感の作り方。だが最も重要な問題を書いていなかった。「結婚したら、毎日の生活はどう変わるのか」。具体的に。1時間単位で。「もやし炒めを一人で食べる夕食」は「二人で食べる夕食」に変わる。「壁に向かって『ただいま』と言う帰宅」は「『おかえり』と言ってもらえる帰宅」に変わる。「一人の6畳」は「二人の2DK」に変わる。だが「変わる」のは良いことばかりではない。「変わる」ことによる「ストレス」もある。このエッセイでは「独身の1日」と「結婚後の1日」を1時間単位で比較し「何が良くなり、何が失われるか」を具体的にシミュレーションする。

「独身の1日」タイムテーブル(現在)

6:30 起床。一人。目覚ましで起きる。誰にも「おはよう」を言わない。6:35 洗顔・歯磨き。6:45 着替え・出勤準備。7:00 出勤。通勤電車40分。読書または音楽。7:40 到着。仕事開始。12:00 昼食。一人。もやし炒め弁当。誰とも話さず食べる。17:30 退勤。通勤電車40分。読書。18:10 帰宅。「ただいま」(壁に)。18:15 散歩30分。一人。18:45 もやし炒め調理10分。一人。18:55 夕食。一人。もやし炒め+発泡酒。19:30 自由時間。読書、SNS、ラジオ。一人。22:00 風呂。一人。22:30 就寝準備。エスシタロプラム。22:50 読書10分。23:00 就寝。一人。

「一人」が何回出てきたか数える。——13回。1日に13回「一人」。起きてから寝るまで「ずっと一人」。「一人」は「自由」であり「孤独」でもある。自由度:9/10。孤独度:8/10。

「結婚後の1日」タイムテーブル(シミュレーション)

6:30 起床。「おはよう」とパートナーに言う。「おはよう」と返ってくる。——これだけで「1日の始まりの質」が変わる。6:35 洗顔・歯磨き。交代で洗面台を使う。「洗面台の順番」の調整が必要。6:45 着替え・出勤準備。パートナーも出勤準備中。「今日の天気どう?」「曇りみたいだよ」。5秒の会話。だがこの5秒が「二人の朝」を作る。6:55 朝食(作る場合)。一人のときは「朝食なし」だったが、パートナーが「朝は食べたい派」なら——「簡単な朝食」を用意する。トースト+目玉焼き。材料費80円。調理時間5分。「5分の追加作業」。7:00 出勤。パートナーと「行ってきます」「行ってらっしゃい」。この2語が——「もやし炒め1食分の幸福度」に匹敵する(体感)。

7:40 仕事。ここは「変わらない」。手取り16万円の派遣事務。12:00 昼食。一人で食べる(職場では変わらない)。だが「帰ったらパートナーがいる」の安心感が「昼食の孤独感」を軽減する。17:30 退勤。帰宅を「楽しみにできる」。一人のときは「帰っても誰もいない」。結婚後は「帰ったらパートナーがいる」。「帰宅のモチベーション」が変わる。18:10 帰宅。「ただいま」。「おかえり」。——この2語のやりとりが「23年間なかった」。「おかえり」を聞いた瞬間——「結婚してよかった」と思うだろう(想像)。

18:15 散歩。「一人で行くか、二人で行くか」の選択。「一人の日」と「二人の日」を分ける。月水金は一人。火木は二人。土日は二人。「一人の散歩=自分のペースで歩ける。読書や音楽に集中できる」。「二人の散歩=会話しながら歩ける。今日あったことを話せる」。どちらにもメリットがある。18:45 夕食の準備。一人のときは「自分で作って自分で食べる」。二人のときは「交代で作る」または「一緒に作る」。「今日は僕が作るよ」「じゃあ私は洗い物するね」。分担。自分の担当日は「もやし炒め」(得意料理)。パートナーの担当日は「別の料理」(パートナーの得意料理)。「毎日もやし炒め」から「週3〜4日もやし炒め+週2〜3日別の料理」に変わる。「食の多様性」が増す。

19:00 夕食。「二人で食べる」。「いただきます」を二人で言う。「美味しいね」を言い合う。「今日のもやし炒め、ちょっと醤油多かったかも」「そう? 私はちょうどいいと思うけど」。——この会話が「味のフィードバック」であり「もやし炒めの改善」につながる。一人のときは「自分の味覚だけが基準」。二人のときは「相手の味覚もフィードバック」。「もやし炒めの品質管理が強化される」。19:30 発泡酒。一人で「ふぅ」→二人で「ふぅ」。「ふぅ」の共有。「ふぅ」を共有できる相手がいることの幸福度は——測定不能(高すぎて)。

20:00 自由時間。一人のときは「100%自由」。二人のときは「70%自由+30%共有」。「自分は読書、パートナーはスマートフォン」の「並行自由時間」。同じ部屋にいるが別々のことをしている。「一緒にいるけど干渉しない」時間。これが「理想の共有自由時間」。または「一緒にラジオを聴く」「一緒に散歩の写真を見返す」の「共有体験時間」。22:00 風呂。交代で入る(ユニットバスの場合)。22:30 就寝準備。エスシタロプラム。「おやすみ」「おやすみ」。23:00 就寝。「隣に人がいる」。「一人の暗闇」から「二人の暗闘」に。「暗闇の孤独」が「暗闇の安心」に変わる。

「変わること」のリスト——良い変化と悪い変化

良い変化。「おはよう」「行ってきます」「ただいま」「おかえり」「おやすみ」の5つの挨拶が「壁」から「人間」に変わる。「食事を二人で食べる」の幸福度アップ。「帰宅のモチベーション」の向上。「もやし炒めのフィードバック」が得られる。「暗闇の安心」。「発泡酒のふぅの共有」。

悪い変化(コスト)。「朝食を作る5分の追加作業」。「洗面台の順番待ち」。「自由時間の30%が共有時間に変わる(自由度の低下)」。「散歩が一人でできない日がある」。「読書の時間が減る可能性」。「もやし炒めの頻度が週3〜4日に減る可能性」。「発泡酒を飲むことに「飲みすぎじゃない?」の指摘が入る可能性」。

「良い変化」と「悪い変化」のバランス。良い変化は「精神的な充足」が中心。悪い変化は「自由度の制限」が中心。「精神的な充足」と「自由度の制限」のトレードオフ。このトレードオフが「結婚の本質」であり「独身vs既婚の幸福度比較」(別稿参照)で分析した構造と一致する。

「結婚後も変わらないもの」のリスト——安心の基盤

変わらないもの1は「もやし炒め」。頻度は減るかもしれないが「もやし炒めを作るスキル」は変わらない。「もやし炒めが作れる限り、生きていける」の安心は変わらない。変わらないもの2は「NISA」。月1万円の積立は「結婚しても続ける」。パートナーも月1万円積み立てれば月2万円に増額。NISAは「結婚で改善される」要素。変わらないもの3は「散歩」。一人でも二人でも「歩く」ことは変わらない。変わらないもの4は「読書」。時間は減るかもしれないが「通勤電車の80分」は変わらない。変わらないもの5は「エスシタロプラム」。結婚したからといって「すぐに薬をやめる」わけではない。医師と相談しながら慎重に。

「変わらないもの」が「5つ」ある。この5つが「結婚前の自分のアイデンティティ」であり「結婚後も維持すべき基盤」。「結婚したから全部変わる」のではなく「変わるものと変わらないものがある」。変わるものを「受け入れ」、変わらないものを「守る」。このバランスが「結婚生活の安定」を生む。もやし炒めの味は変えない。醤油の量は変えない。変えるのは「誰と食べるか」だけ。

結論——「結婚後の1日」は「もやし炒めの味が変わらない1日」

結婚しても「もやし炒めは美味い」。結婚しても「発泡酒は冷えている」。結婚しても「散歩は気持ちいい」。結婚しても「NISAは増えていく」。「変わらないもの」がある安心。その安心の上に「変わるもの」が乗る。「おかえり」が乗る。「美味しいね」が乗る。「おやすみ」が乗る。「変わらない基盤の上に、新しい幸福が追加される」。これが「結婚後の1日」の理想形。「もやし炒めの基盤+パートナーの追加=幸福度の上昇」。もやし炒めに「チーズを追加する」のと同じだ。もやし炒めの味は変わらない。チーズが加わって「もっと美味くなる」。結婚は——「人生のチーズトッピング」。60円のもやし炒めに30円のチーズを乗せて「90円の贅沢」にする。人生も同じ。「一人の人生」に「パートナー」を乗せて「二人の贅沢」にする。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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