〜130銘柄超を業種ごとに分析し、なぜ吉田氏が選んだのかを一次データから読み解く〜
本記事を読む前に:3つの大前提
本論に入る前に、3つの大前提を確認させてください。
大前提①:吉田氏ご本人は一切発信していません
吉田知広氏は、書籍・インタビュー・ブログ・SNSなどで投資哲学を公開していません。私たちが知り得るのは、上場企業が提出する有価証券報告書の「大株主上位10名」欄に記載された保有情報のみです。
したがって、本記事の「なぜこの銘柄を持っているか」という分析は、すべて公開保有データから逆算した私の推察です。ご本人の真意とは異なる可能性があることをご承知おきください。
大前提②:保有銘柄は流動的です
吉田氏は2014年から保有銘柄を増やし続け、2024年時点で約131-137銘柄でした。しかし2025年には、IRBANKによれば大株主登場社数が前回比-51社で2社のみとなっています。
これは「ほとんど売った」のではなく、株価上昇で他の機関投資家が大株主上位に入り、相対的にランキング外に押し出された可能性が高いと思われます。あるいは、一部の銘柄については利益確定売却した可能性もあります。
本記事で言及する銘柄は、2024年6月時点で大株主上位に名を連ねていた銘柄を中心としています。
大前提③:本記事は「銘柄推奨」ではありません
吉田氏の保有銘柄を真似して買うことは、極めて危険です。なぜなら:
第一に、彼の買値はあなたの買値より低い可能性が高い。第二に、彼がいつ売るかは分からない。第三に、ポジションサイズが違えば心理戦も違う。
本記事は「投資家としての視点を養う」ためのものであり、「買う銘柄を選ぶ」ためのものではありません。
それでは、本論に入ります。
第1部:建設・土木関連セクター(最重要セクター)
吉田氏の保有銘柄の中で、最も比重が大きく、また最も「彼らしさ」が表れているのが建設・土木関連セクターです。約20銘柄、ポートフォリオの15-20%を占めると推計されます。
このセクターを8つのサブカテゴリに分けて、徹底的に解説していきます。
1-1. 海洋土木(マリコン):東亜建設工業と東洋建設
**マリコン(マリーン・コンストラクター)**とは、海洋・港湾土木を専業とするゼネコンのことです。陸上ゼネコン(鹿島、大成、清水等)とは別カテゴリで、技術もノウハウも全く異なります。
日本のマリコンは「大手5社」と呼ばれる以下の企業が中心:
- 五洋建設(1893)— 業界1位
- 東亜建設工業(1885)— 業界2位 ← 吉田氏保有
- 東洋建設(1890)— 業界3位 ← 吉田氏保有
- 不動テトラ(1813)
- 若築建設(1888)
東亜建設工業(1885):マリコン業界2位
事業内容:浚渫(しゅんせつ:海底を掘る工事)、埋立、港湾施設建設、海岸保全、空港建設、トンネル、ダム、道路、橋梁、河川工事。海洋土木(マリコン)国内2位の建設会社で、浚渫・埋立技術を基盤に海上土木(港湾施設の建設・海岸保全、浚渫・埋立)、陸上土木、建築工事の請負、土地の造成・開発・販売、建設コンサルタントを営んでいます。
財務指標:時価総額約2,000-2,700億円、PER予14.9倍、PBR実1.80倍、配当利回り予3.24%、ROE実14.75%、自己資本比率35.6%。
業績推移:通期連結売上高8.54%増の3,586億9,700万円、親会社株主に帰属する当期純利益29.87%増の193億6,100万円と急成長中。
吉田氏の保有:保有額約27.6億円、保有割合3.12%(2024年6月時点)。これは彼の保有銘柄上位2位の重要ポジションです。
なぜ吉田氏が保有しているのか、私の推察:
第一に、洋上風力発電への期待。日本政府は2050年カーボンニュートラルに向けて洋上風力に大規模投資する方針で、これは港湾整備や海底基礎工事を必要とし、すべてマリコンの仕事です。
第二に、港湾老朽化。日本の主要港湾施設の多くは高度経済成長期に整備され、現在更新時期を迎えています。
第三に、過去のPBRが極端に低かった。2010-2025年のPBRレンジは0.25-1.1倍で、おそらくPBR0.3-0.5倍で仕込めた絶好の機会がありました。
第四に、配当の急増。2019年3月期は配当利回り1.88%、2020年3月期3.46%、2025年3月期は5.86%まで上昇。配当成長を狙えるバリュー株でした。
第五に、2024年4月の株式分割(1株→4株)。これは株価上昇を受けて流動性確保のために実施されており、含み益が大きく出ていることを示唆します。
東洋建設(1890):マリコン業界3位+アクティビスト劇場
事業内容:海洋土木・港湾工事を中心とした建設会社。マリコン業界3位。
吉田氏の保有:保有額約19億円、保有割合1.46%。
東洋建設には、東亜建設工業にはないもう一つのストーリーがあります。それは「旧村上ファンド系のアクティビスト介入」です。
2022年、旧村上ファンド系のヤマウチ・ナンバーテンファミリーオフィスが東洋建設へのTOB(公開買付け)を提案し、大きな騒動になりました。その後も同社は同社株の大量保有を続け、経営改革を要求しています。
これは何を意味するか?東洋建設は「アクティビストのアジェンダがある銘柄」なのです。彼らが経営改革を促す結果、純資産価値の解放(自社株買い、増配、不採算事業の整理等)が起こりやすい。
吉田氏は普段アクティビスト的に動かないサイレント投資家ですが、他のアクティビストが活動している銘柄に「ただ乗り」することはあるようです。これは賢い戦略です。自分が前面に立たなくても、他のアクティビストが企業価値を解放してくれれば、その恩恵を受けられる。
1-2. 一般土木・建築:大末建設、富士古河E&C、その他
大末建設(1814):大阪地盤の中堅ゼネコン
事業内容:マンション、ホテル、商業施設、医療施設等の建設。大阪を中心に関西エリアに強い。
財務指標:時価総額約100-150億円、PBR1倍前後、配当利回り高水準。
吉田氏の保有:保有額約4.8億円、保有割合2.71%。
なぜ吉田氏が保有:関西は大阪万博、IR(統合型リゾート)等の大型建設プロジェクトが続く特需地域。地場に強い中堅ゼネコンは、大手では拾えない案件を取り込めます。
富士古河E&C(1775):エンジニアリング系建設
事業内容:電気設備工事を中心とした総合エンジニアリング会社。富士電機と古河電工の合弁会社。
吉田氏の保有:保有額約3.7億円、保有割合0.63%。
なぜ吉田氏が保有:データセンター、半導体工場、再生可能エネルギー施設等の電気設備需要が急増中。富士古河E&Cはこの分野の中核プレイヤー。
工藤建設(1764):神奈川地盤の地場ゼネコン
事業内容:神奈川県を中心とした住宅・建築・土木工事。横浜エリアに強い。
吉田氏の保有:保有額約7.2億円、保有割合2.23%。
なぜ吉田氏が保有:首都圏の建設需要は底堅く、特に神奈川・横浜は再開発が活発。地場の中堅ゼネコンとしての安定収益。
藤田エンジニアリング(1770):群馬地盤の地場エンジニアリング
事業内容:群馬県を地盤とする総合設備工事会社。空調、給排水、電気設備の設計・施工。
吉田氏の保有:保有額約3.1億円、保有割合2.64%。
なぜ吉田氏が保有:地方優良企業の典型。地元密着の独占的ポジション、堅実な財務、安定した配当。
常磐開発(1782):福島地盤の建設会社
事業内容:福島県を地盤とする総合建設会社。土木、建築、舗装、環境を手掛ける。
吉田氏の保有:保有額約1.7億円、保有割合2.45%。
なぜ吉田氏が保有:東日本大震災の復興需要、福島第一原発の廃炉作業関連需要、福島イノベーション・コースト構想等の構造的特需地域。
田辺工業(1828):プラント工事
事業内容:石油、化学、ガス、電力プラントの建設・メンテナンス。
吉田氏の保有:保有額約4億円、保有割合2.37%。
なぜ吉田氏が保有:プラントメンテナンスは「やめられないストック型収益」。プラントが稼働している限り、定期的なメンテナンス需要が発生する。
暁飯島工業(1997):空調設備工事
事業内容:千葉県を地盤とする空調設備工事会社。
吉田氏の保有:保有額約1.1億円、保有割合3.01%。
なぜ吉田氏が保有:データセンター建設ブームで空調需要が急増。中堅空調会社にも仕事が回ってくる。
これら8社に共通するパターンを整理すると:
- 時価総額50-300億円の小型〜中堅ゼネコン
- 地方に地盤を持つ独占的ポジション
- PBR1倍以下の割安水準
- 配当利回り3-5%の堅実な還元
- 特定地域・特定分野の構造的需要
これは前回の記事で書いた「ニッチ独占×バリュー×政策追い風」の典型パターンが、建設業界の細かいプレイヤーに対しても適用されている、と読み取れます。
1-3. 電気工事:四電工、弘電社、都築電気
四電工(1939):四国電力系の電気工事大手
事業内容:四国地方を地盤とする電気工事会社。四国電力の系列。
吉田氏の保有:保有額約9.8億円、保有割合1.72%。
なぜ吉田氏が保有:
第一に、再生可能エネルギーの送電網整備需要。第二に、半導体工場(TSMC熊本工場の関連設備、ソニーの半導体工場)等の地方拠点の電気工事需要。第三に、PBR1倍前後の安定したバリュー水準。
弘電社(1948):独立系の中堅電気工事
事業内容:オフィスビル、商業施設、工場の電気・空調・通信設備工事。
吉田氏の保有:保有額約2.9億円、保有割合2.6%。
なぜ吉田氏が保有:データセンター、物流倉庫、再エネ施設等の電気工事ブーム。
都築電気(8157):商社系の電気工事+IT
事業内容:電気工事+IT・ネットワーク構築。一見地味だが、企業のDX需要を取り込む。
吉田氏の保有:保有額約4.7億円、保有割合1.09%。
なぜ吉田氏が保有:電気工事の「伝統的需要」と、ITネットワーク構築の「DX需要」の二刀流。
1-4. 橋梁・鉄構:宮地エンジニアリング、川岸工業
宮地エンジニアリンググループ(3431):橋梁大手
事業内容:橋梁、鉄構(高層ビル、大空間構造物)、PCコンクリート構造物の設計・製作・架設・補修。通称MEG。橋梁建設・保全エンジニアリング会社で、橋梁・鉄骨等の鋼構造物(橋梁、鉄構・鉄道橋梁、鉄塔、高層ビル、大空間構造物)の設計・製作・架設・補修の請負、PCコンクリート設計・制作、構造物組立を行っています。
財務指標:時価総額約574億円、PER予22.0倍、PBR実1.37倍、配当利回り予4.70%、ROE実12.13%、自己資本比率44.7%。配当性向53.2%、総還元性向83.9%、PBR1.2倍。
吉田氏の保有:保有額約19.6億円、保有割合3.05%。これは保有上位6位の重要ポジション。
なぜ吉田氏が保有:
第一に、国土強靭化計画の本命銘柄。日本中の老朽化橋梁の架け替え需要。
第二に、圧倒的な株主還元。総還元性向83.9%という日本企業として突出した還元水準。
第三に、寡占的業界。橋梁を作れる企業は日本に数社しかない。
川岸工業(5921):橋梁の中堅
事業内容:橋梁、鉄塔等の鉄鋼構造物。茨城県を地盤。
吉田氏の保有:保有額約2.8億円、保有割合2.18%。
なぜ吉田氏が保有:宮地エンジニアリングと同じ橋梁テーマで、より小型のニッチ銘柄として組み込み。
1-5. 建材:大建工業、サンゲツ、中本パックス
大建工業(7905):伊藤忠系の建材大手
すでに前回詳述しましたが、改めて要点を整理:
事業内容:大手建設資材メーカー、伊藤忠商事系列。建材事業(木質内装建材・床材・壁材・天井材、住宅機器)、素材事業(エコ素材/木質繊維板、不燃・耐震・断熱)、エンジニアリング事業(内装工事、空間づくり)。
財務指標:時価総額約2,288億円、PBR実0.88倍、配当利回り予2.00%、ROE実12.91%、自己資本比率45.0%。
吉田氏の保有:保有額約22.8億円、保有割合2.9%。これは保有上位5位。
吉田氏が保有する深い理由:
第一に、伊藤忠商事の連結子会社。伊藤忠は近年、上場子会社の完全子会社化(TOB)を進めており、大建工業も将来的なTOB候補。これは長期保有しているだけで含み益を取れるイベントカタリスト。
第二に、MDF(木質繊維板)の独占的ポジション。建材として不可欠な素材で、輸入代替需要も。
第三に、ROE12%超の高収益とPBR1倍割れの組み合わせ。これは典型的なバリュー+クオリティ銘柄。
サンゲツ(8130):壁紙・床材の最大手
すでに前回詳述しましたが、改めて主要データを:
事業内容:壁紙、床材、カーテンなどインテリア商材の最大手。中部圏発祥で名古屋市西区に本社。連結子会社29社。
財務指標:時価総額約2,000億円、PER予14倍、PBR1.57-1.66倍、配当利回り予5.0%、ROE予11.30%、自己資本比率61.45%。
吉田氏の保有:保有額約49.7億円、保有割合2.8%。ポートフォリオ最大の保有銘柄。
なぜサンゲツが「ポートフォリオの旗艦」なのか:
第一に、国内圧倒的シェア。壁紙では国内市場の半数近いシェア。「目立たないが寡占」の代表例。
第二に、海外事業の成長。2026年3月期中間決算では、海外セグメントの成長が全体を牽引し、北米事業の堅調な推移や東南アジア事業の改善が寄与。
第三に、極めて高い財務健全性。自己資本比率61.45%は商社業界最高水準。
第四に、長年の安定配当。配当利回り4-5%で、配当性向も保守的。
第五に、コロナショック時の絶好の買い場。2020年3月17日の10年来安値1,269円で仕込めた可能性。
中本パックス(7811):軟包装フィルム
事業内容:プラスチック軟包装フィルムの製造販売。食品、医薬品向けが主力。
吉田氏の保有:保有額約4.1億円、保有割合3.12%。
なぜ吉田氏が保有:建材ではなく包装材ですが、「ニッチ独占」「B to Bの安定需要」「地味だが消えない」という吉田氏の好む条件を満たす。食品包装は人口減少しても一定需要が残る。
1-6. 環境・水道:前澤工業、ナガオカ
前澤工業(6489):上下水道のニッチ企業
事業内容:上下水道施設の機器・プラント、水処理装置。
吉田氏の保有:保有額約6.9億円、保有割合2.67%。
なぜ吉田氏が保有:
第一に、日本の水道インフラ更新は、政府が「水道法改正」「広域連携」を推進する重点課題。
第二に、PBR1倍前後の典型的バリュー水準。
第三に、業界に同業他社が少なく、寡占的ポジション。
ナガオカ(6239):地下水・産業用フィルター
事業内容:井戸用スクリーン、産業用フィルター、水処理装置。
吉田氏の保有:保有額約0.87億円、保有割合0.73%。
なぜ吉田氏が保有:地下水の有効利用、半導体工場の純水製造、海水淡水化等、構造的成長分野。世界的なニッチプレイヤー。
1-7. エンジニアリング:三井金属エンジニアリング、FCホールディングス
三井金属エンジニアリング(1737):プラント工事
事業内容:三井金属グループ。素材工場、リサイクルプラント、産業機械の設計・施工。
吉田氏の保有:保有額約0.56億円、保有割合0.34%。
なぜ吉田氏が保有:レアメタル、銅、亜鉛のリサイクル需要が世界的に高まる中、関連プラント需要が見込まれる。
FCホールディングス(6542):エンジニアリング持株
事業内容:建設コンサルタントの持株会社。インフラ整備の計画・設計。
吉田氏の保有:保有額約0.9億円、保有割合1.5%。
なぜ吉田氏が保有:建設工事自体ではなく、その「計画・設計」を担うコンサル。発注前から関与するため、業界の動向を先取りできるビジネスモデル。
1-8. 建設派遣・プレハブ:夢真HD、夢テクノロジー、スペースバリューHD、KHC
夢真ホールディングス(2362):建設業向け技術者派遣の最大手
事業内容:建設業向けの施工管理技士の派遣。
吉田氏の保有:保有額約14.4億円、保有割合1.82%。これは保有上位10位の重要ポジション。
なぜ吉田氏が保有:
第一に、建設業の2024年問題。時間外労働規制で、技術者の派遣需要が急増。
第二に、人手不足の構造化。日本の建設業職人の高齢化、若年層の不足。
第三に、ストック型ビジネス。派遣契約は通常6ヶ月-2年、安定収益。
夢テクノロジー(2458):技術者派遣
事業内容:建設業含む技術者派遣。夢真の関連会社的位置。
吉田氏の保有:保有額約0.4億円、保有割合0.52%。
スペースバリューHD(1448):プレハブ建築
事業内容:プレハブ建築、ユニットハウスの製造・販売。
吉田氏の保有:保有額約10億円、保有割合2.49%。これも上位15位の重要ポジション。
なぜ吉田氏が保有:災害対策、工事現場用仮設施設、被災地仮設住宅等、構造的需要。
KHC(1451):建設関連持株会社
事業内容:建設関連の持株会社。
吉田氏の保有:保有額約0.7億円、保有割合2.51%。
第2部:電子・半導体関連商社セクター
吉田氏の第二の主力セクターが、エレクトロニクス商社です。半導体メーカーではなく、その流通を担う商社に集中している点が彼らしさです。
2-1. 伯東(7433):独立系エレクトロニクス商社
すでに前回詳述したので、要点のみ:
事業内容:独立系のエレクトロニクス技術商社。輸出入商社として電子デバイス(半導体製品)、電子コンポーネント(電気部品・電気材料)、電子・電気機器(製造装置)、ケミカルメーカーとして工業薬品を取扱う。
財務指標(2026年1月時点):株価4,025円、時価総額851億円、PER予15.5倍、PBR実1.14倍、配当利回り予4.97%、ROE7.81%、自己資本比率50.3%。
吉田氏の保有:保有額約24.4億円、保有割合2.38%。保有上位3位。
なぜ吉田氏が保有:
第一に、PBR推移が示す絶好の買い場。2010年代を通じてPBR0.37-0.78倍で推移、特に2020年3月のコロナショック時には0.37倍の歴史的安値。
第二に、半導体ブームの「裏方」。半導体製造装置や半導体メーカーは時価総額が大きすぎ機関投資家の主戦場。商社は地味でアナリストの目が届かない。
第三に、ケミカル事業の安定収益。半導体サイクルの変動を吸収する事業ポートフォリオ。
第四に、配当利回り5%水準。インカム投資としても魅力。
2-2. 東京エレクトロンデバイス(2760):独立系半導体商社
事業内容:東京エレクトロン系の半導体商社。独立した商社として運営。
財務指標:時価総額約1,500-2,000億円、PER予12-15倍、PBR1-1.5倍、配当利回り3-4%。
吉田氏の保有:保有額約13.1億円、保有割合0.97%。
なぜ吉田氏が保有:東京エレクトロン本体(時価総額10兆円超)は高すぎて買えないが、関連会社のデバイス商社は時価総額1,500億円程度でPBR1倍前後の割安水準。半導体テーマのバリュー敞口を取る賢明な選択。
2-3. ミタチ産業(3321):中小型エレクトロニクス商社
事業内容:電子部品商社。家電、産業機器、車載向け。
吉田氏の保有:保有額約1.3億円、保有割合1.52%。
なぜ吉田氏が保有:時価総額数百億円の小型商社。半導体・電子部品市場全体の成長を、小型バリュー株として取り込む。
2-4. 日本電計(9908):計測機器商社
事業内容:電気計測器、半導体検査装置、産業機器の商社。
吉田氏の保有:保有額約3.6億円、保有割合1.52%。
なぜ吉田氏が保有:半導体検査装置市場の成長、産業用計測器の安定需要。
2-5. バイテックホールディングス(9957):電子部品+環境エネルギー
事業内容:電子部品商社+太陽光発電事業。
吉田氏の保有:保有額約3.3億円、保有割合1.21%。
なぜ吉田氏が保有:電子商社としての安定収益+再生可能エネルギー事業の成長性。
このセクターを総括すると、吉田氏の戦略は明確です:
「半導体・エレクトロニクスの世界的成長を取り込みたい。しかし時価総額数兆円の大手メーカーは買えない。だから時価総額数百億〜1,500億円の独立系商社を5社に分散して持つ」
これは「シャベル屋戦略」の典型例です。ゴールドラッシュで儲かったのは、金を掘った人ではなくシャベルを売った人だった、という有名な逸話通り。
第3部:中堅・地方証券セクター
吉田氏の保有銘柄で特徴的なもう一つのカテゴリが、中堅・地方証券会社です。6社以上に分散投資しているのが特筆すべき点です。
3-1. 岩井コスモホールディングス(8707):大阪地盤の中堅証券
事業内容:大阪を本拠とする独立系証券会社。岩井証券とコスモ証券の合併会社。
財務指標:時価総額約400-500億円、PBR0.6-0.8倍、配当利回り5-6%。
吉田氏の保有:保有額約16.5億円、保有割合3.19%。これは保有上位8位。
なぜ吉田氏が保有:
第一に、新NISA拡充の追い風。対面営業の中堅証券は、高単価富裕層顧客が中心で、新NISA移行で恩恵。
第二に、極端なPBR割安。純資産価値に対して株価が大幅に下回る。
第三に、業界再編期待。地方証券はSBIや楽天のネット証券に押され、業界再編が必至。TOB候補。
3-2. いちよし証券(8624):独立系中堅証券
事業内容:独立系の中堅証券会社。アクティブ運用のリサーチに定評。
吉田氏の保有:保有額約6.4億円、保有割合2.15%。
なぜ吉田氏が保有:独自リサーチの強みを持つ独立系。投信窓口販売も手掛ける。
3-3. 今村証券(7175):金沢地盤の地方証券
事業内容:石川県金沢市を地盤とする地方証券会社。
吉田氏の保有:保有額約2.2億円、保有割合2.98%。
なぜ吉田氏が保有:地方の富裕層を顧客とする独占的ポジション。
3-4. HSホールディングス(8699):証券持株
事業内容:旧東洋証券、藍澤證券の流れを汲む証券持株会社。
吉田氏の保有:保有額約5.2億円、保有割合1.37%。
3-5. 豊トラスティ証券(8747):先物オプション専業
事業内容:先物オプション取引専門の中堅証券。
吉田氏の保有:保有額約3.4億円、保有割合4.09%。4%超の保有比率は彼の銘柄の中でも上位。
なぜ吉田氏が保有:日経平均オプションの取引高は世界トップクラス。専業ニッチプレイヤーとしての独占的ポジション。
3-6. あかつき本社(8737):あかつき証券持株
事業内容:あかつき証券の持株会社。
吉田氏の保有:保有額約3.3億円、保有割合2.02%。
このセクター全体を見ると、吉田氏の意図は明確です:
「中堅・地方証券は構造的に厳しい立場にあるが、PBR0.5倍水準まで売り込まれた。新NISAの追い風、業界再編期待、配当5-6%という3つの要素を考えると、6社に分散すれば1-2社の業績悪化があっても他で補える。セクター・ベットとして1-2割のリターンを狙う」
これは個社の業績当てではなく、業界全体の構造的見直しに賭ける戦略です。
第4部:IT・SI企業セクター
吉田氏のもう一つの主力エリアが、IT・SI(システムインテグレーター)企業群です。これも10銘柄以上に分散しています。
4-1. テクマトリックス(3762):医療IT・セキュリティ
事業内容:医療向け画像管理システム、コンタクトセンターシステム、セキュリティソフトの開発・販売。
吉田氏の保有:保有額約12.9億円、保有割合1.34%。これは保有上位13位の重要ポジション。
なぜ吉田氏が保有:医療DX、サイバーセキュリティという2つの構造的成長テーマを持つニッチなSI企業。
4-2. NCD(4783):金融機関向けSI
事業内容:銀行、証券、保険向けのシステム開発・運用。
吉田氏の保有:保有額約4.9億円、保有割合3.22%。
なぜ吉田氏が保有:金融機関のシステム更新需要は構造的に続く。地味だが安定。
4-3. JFEシステムズ(4832):JFE系SI
事業内容:JFEグループ向けの基幹システム+外販。
吉田氏の保有:保有額約1.0億円、保有割合0.19%。
なぜ吉田氏が保有:親会社JFEからの安定受注+外販拡大。
4-4. NCS&A(9709):金融・流通向けSI
事業内容:金融機関、流通業向けの基幹システム開発。
吉田氏の保有:保有額約2.9億円、保有割合2.09%。
4-5. 菱友システムズ(4685):三菱重工系SI
事業内容:三菱重工グループ向けのエンジニアリング系SI。
吉田氏の保有:保有額約2.5億円、保有割合1.1%。
なぜ吉田氏が保有:航空機、エネルギーといった三菱重工の事業領域で、技術系SIとして独占的ポジション。
4-6. セゾンテクノロジー(9640):データ連携ソフト
事業内容:旧セゾン情報システムズ。データ連携ソフト「HULFT」が主力。
吉田氏の保有:保有額約0.75億円、保有割合0.25%。
なぜ吉田氏が保有:「HULFT」はB to B連携で国内圧倒的シェア。スイッチング・コストが高く、安定収益。
4-7. 両毛システムズ(9691):群馬地盤の地方SI
事業内容:群馬県を地盤とする地方SI。自治体向けが主力。
吉田氏の保有:保有額約1.1億円、保有割合1.33%。
なぜ吉田氏が保有:自治体システムは更新が遅いが、確実に発注される。地味な安定収益。
4-8. キーウェアソリューションズ(3799):NTTデータ系SI
事業内容:NTTデータグループ。官公庁・社会インフラ向けSI。
吉田氏の保有:保有額約0.93億円、保有割合1.42%。
4-9. ヴィンクス(3784):流通業向けSI
事業内容:流通業向けのPOSシステム、基幹システム。
吉田氏の保有:保有額約2.7億円、保有割合0.75%。
4-10. TCS(3316):独立系SI
事業内容:金融、通信、製造業向けの独立系SI。
吉田氏の保有:保有額約1.9億円、保有割合1.76%。
4-11. 情報企画(3712):金融機関向けパッケージ
事業内容:銀行・信用金庫向けの担保不動産評価システム。
吉田氏の保有:保有額約1.8億円、保有割合1.16%。
このセクター全体を見ると、共通項は明確です:
第一に、特定業界・分野でのニッチ独占。「金融機関向けSI」「自治体向けSI」「医療向けSI」など、専門特化。
第二に、ストック型のメンテナンス収益。一度導入されたシステムは長期保守契約に。
第三に、大手SIerとの棲み分け。NTTデータや富士通とは競合せず、それぞれの空隙を埋めるポジション。
第四に、時価総額の小ささ。多くは時価総額100-300億円のスタンダード市場銘柄。
これは「業界の毛細血管」とでも呼べる、地味だが消えないIT企業群への分散です。
第5部:金融サービスセクター
5-1. プレミアグループ(7199):中古車ローン保証
事業内容:中古車向け保証・自動車関連ローン、整備工場ネットワーク。
吉田氏の保有:保有額約23.3億円、保有割合3.02%。保有上位4位。
なぜ吉田氏が保有:ROE20%超の高収益、配当性向50%、構造的に拡大するストック型ビジネス。例外的に「成長性が見えている」吉田銘柄。
5-2. 住信SBIネット銀行(7163):ネット専業銀行
事業内容:三井住友信託銀行とSBIホールディングスの合弁。ネット専業銀行最大手。
吉田氏の保有:保有額約13億円、保有割合0.31%。
なぜ吉田氏が保有:銀行業の中では数少ない成長企業。NISA口座開設で住信SBIネット銀行を選ぶ個人が急増。
ただし保有割合0.31%は彼にしては低水準。これは2023年のIPO銘柄で、上場時の保有が大株主上位に残っているだけの可能性も。
第6部:ニッチ製造業セクター
6-1. ジーテクト(5970):自動車車体プレス部品
事業内容:自動車の車体プレス部品。ホンダ系列。
吉田氏の保有:保有額約11.3億円、保有割合1.37%。
なぜ吉田氏が保有:ホンダの世界生産を支える基幹サプライヤー。EV時代でも車体は必要。
6-2. ティラド(7236):自動車ラジエーター
事業内容:自動車用熱交換器(ラジエーター、エアコン用熱交換器)。
吉田氏の保有:保有額約5.5億円、保有割合2.39%。
なぜ吉田氏が保有:自動車部品でPBR1倍以下のバリュー水準、EV化でも熱交換は必要。
6-3. 幸和製作所(7807):シルバー用品
事業内容:歩行補助車(シルバーカー)、介護用品の製造販売。
吉田氏の保有:保有額約1.9億円、保有割合3.5%。
なぜ吉田氏が保有:超高齢化社会の必然的需要。シルバーカー市場で国内シェア40%超の独占的ポジション。
6-4. テクノクオーツ(5217):半導体製造装置用石英ガラス
事業内容:半導体製造装置用の石英ガラス部品。
吉田氏の保有:保有額約1.8億円、保有割合0.79%。
なぜ吉田氏が保有:半導体製造装置の重要部材。寡占的サプライヤー。
6-5. メタルアート(5644):自動車鍛造部品
事業内容:自動車・建設機械向け鍛造部品。
吉田氏の保有:保有額約2.5億円、保有割合2.5%。
6-6. エノモト(6928):リードフレーム
事業内容:半導体パッケージ用リードフレーム、コネクタ部品。
吉田氏の保有:保有額約1.4億円、保有割合1.34%。
なぜ吉田氏が保有:半導体パッケージ需要、車載コネクタ需要。
6-7. ズーム(6694):プロ用音響機器
事業内容:プロ用録音機器、エフェクター、ハンディレコーダー。
吉田氏の保有:保有額約1.4億円、保有割合3.19%。
なぜ吉田氏が保有:世界的ニッチプレイヤー。YouTubeブームで音響機器需要が拡大。
6-8. 名古屋電機工業(6797):道路情報表示装置
事業内容:高速道路の電光情報板、信号機。
吉田氏の保有:保有額約3.6億円、保有割合3.09%。
なぜ吉田氏が保有:国土強靭化計画でのITS(高度道路交通システム)整備。寡占的ポジション。
6-9. 遠藤照明(6932):LED照明
事業内容:商業施設・店舗向けLED照明器具。
吉田氏の保有:保有額約2.6億円、保有割合1.14%。
なぜ吉田氏が保有:LED化、照明のIoT化、業務用照明市場のニッチプレイヤー。
6-10. 協栄産業(6973):電子部品商社
事業内容:電子部品商社+医療機器販売。
吉田氏の保有:保有額約2.8億円、保有割合3.14%。
6-11. トーヨーカネツ(6369):物流システム+エネルギー設備
事業内容:物流自動化システム、LNGタンク、大型タンク。
吉田氏の保有:保有額約5.0億円、保有割合1.5%。
なぜ吉田氏が保有:EC拡大による物流自動化需要、LNG関連設備の世界的需要。
6-12. 田岡化学工業(4113):機能性化学品
事業内容:合成樹脂、ゴム薬品、化学品の中堅メーカー。
吉田氏の保有:保有額約1.6億円、保有割合1.49%。
ニッチ製造業セクターを見ると、一貫した戦略があります:
「派手な大型メーカーではなく、特定分野で世界・国内シェアトップクラスのニッチ独占企業を、時価総額200-1,000億円で買う」
これは経営学で言う「カテゴリ・キラー戦略」の銘柄選択版。狭く深いポジションは、参入障壁が高く、価格決定力を持ち、長期的に安定収益を生み出します。
第7部:ポンプ・流体機器・特殊機械
7-1. イワキ(6237):マグネットポンプ
事業内容:化学薬液用マグネットポンプ、ベローズポンプ。
吉田氏の保有:保有額約16.1億円、保有割合2.79%。保有上位9位。
なぜ吉田氏が保有:マグネットポンプ世界シェア上位、半導体・化学・医薬品プロセスで不可欠、参入障壁高い。
このセクター単独で17億円規模を投資しているのは、それだけ吉田氏がこの企業の競争優位性を高く評価しているということでしょう。
第8部:アパレル・繊維セクター
8-1. 三陽商会(8011):百貨店アパレル大手
前回詳述したのでデータのみ:
財務指標:時価総額約368億円、PER予8.5倍、PBR実0.82倍、配当利回り予4.42%、ROE実7.18%、自己資本比率70.2%。
吉田氏の保有:保有額約9.4億円、保有割合3.24%。
なぜ三陽商会が「吉田哲学の象徴」なのか:PBR0.27倍まで売り叩かれた時期に買い、回復で約3倍の含み益。「バランスシートが事実、事業の悲観は感情」を体現。
8-2. ハニーズホールディングス(2792):若年女性向けカジュアル
事業内容:若年女性向けカジュアルアパレル「Honeys」。福島地盤、全国展開。
吉田氏の保有:保有額約4.5億円、保有割合1.0%。
なぜ吉田氏が保有:
第一に、SPA(製造小売)モデル。ZARAやユニクロと同じ手法で、コスト競争力。
第二に、地方発の優良企業。本社は福島県いわき市。地方優良株として穴場。
第三に、現金等のキャッシュリッチ性。財務超優良で、極めて保守的な経営。
第四に、コロナ後の業績回復。リベンジ消費とインバウンドで業績V字回復。
第9部:食品セクター
9-1. 日東富士製粉(2003):業務用製粉
事業内容:業務用小麦粉、プレミックス粉。日東製粉と富士製粉の合併会社。
吉田氏の保有:保有額約6.2億円、保有割合0.91%。
なぜ吉田氏が保有:小麦粉は構造的に消えない需要。製粉業界は寡占(日清・昭和・日東富士・木下フレンドなど)でPBR1倍前後の安定バリュー。
9-2. シノブフーズ(2903):おにぎり・寿司
事業内容:コンビニ向けおにぎり、寿司、調理パン。
吉田氏の保有:保有額約3.5億円、保有割合3.17%。
なぜ吉田氏が保有:コンビニ向け食品OEMの寡占企業。コンビニチェーンの安定需要を背景に。
9-3. ジャパンフーズ(2599):飲料受託製造
事業内容:清涼飲料水の受託製造。コカ・コーラ等の主要飲料メーカーから委託。
吉田氏の保有:保有額約0.7億円、保有割合0.7%。
なぜ吉田氏が保有:飲料受託製造のニッチ独占ポジション。
9-4. ニチモウ(8091):水産商社
事業内容:水産物の商社、漁網等の水産機材。
吉田氏の保有:保有額約5.7億円、保有割合3.15%。
なぜ吉田氏が保有:水産業界の中堅商社、PBR0.5倍前後の典型的バリュー。
食品セクター全体で見ると、「消えない需要を、低PBRで買う」というシンプルな戦略です。
第10部:教育セクター
10-1. リソー教育(4714):個別指導塾「TOMAS」
事業内容:高品質個別指導塾「TOMAS」、伸芽会等。
吉田氏の保有:保有額約2.9億円、保有割合0.74%。
なぜ吉田氏が保有:少子化でも富裕層の教育投資は減らない。むしろ一人当たり教育費は増加。
10-2. 学究社(9769):早稲田アカデミー系
事業内容:「ena」を運営する東京地盤の進学塾。
吉田氏の保有:保有額約6.8億円、保有割合3.03%。
なぜ吉田氏が保有:都内中学受験市場でのポジション、配当性向高水準。
10-3. ウィザス(9696):高校・通信制教育
事業内容:第一ゼミナール、第一学院高等学校(通信制)。
吉田氏の保有:保有額約4.7億円、保有割合3.38%。
なぜ吉田氏が保有:通信制高校市場の構造的成長(不登校増加で需要拡大)。
第11部:小売・FC・地方銘柄
11-1. ありがとうサービス(3177):リユースFC
事業内容:愛媛県今治市本社。「BOOK OFF」「HARD OFF」のFC展開。
吉田氏の保有:保有額約1.4億円、保有割合4.53%。保有比率4.5%超は吉田氏の銘柄の中でも例外的に高い。
なぜ吉田氏が保有:リユース市場の長期成長、地方発の優良企業、株主還元高水準。
11-2. 井筒屋(8260):北九州地盤の地方百貨店
事業内容:北九州・小倉を地盤とする地方百貨店。
吉田氏の保有:保有額約0.6億円、保有割合1.2%。
なぜ吉田氏が保有:地方百貨店は厳しいが、不動産価値(駅前一等地)が大きい。清算価値投資。
11-3. ジェイエスエス(6074):スイミングスクール
事業内容:子供向けスイミングスクールの大手チェーン。
吉田氏の保有:保有額約0.6億円、保有割合2.73%。
なぜ吉田氏が保有:少子化でも習い事市場は底堅い。スイミングは「親が子供にやらせたい習い事」上位。
第12部:不動産・住宅関連セクター
12-1. フージャースホールディングス(3284):マンション開発
事業内容:マンション開発「デュオ」シリーズ、シニア向け住宅。
吉田氏の保有:保有額約9.4億円、保有割合2.28%。
なぜ吉田氏が保有:マンション市場の構造的需要、シニア住宅の成長性、PBR1倍以下の割安水準。
12-2. グッドコムアセット(3475):投資用マンション
事業内容:投資用ワンルームマンションの企画・販売。
吉田氏の保有:保有額約6.1億円、保有割合2.82%。
なぜ吉田氏が保有:低金利と相続税対策で、投資用マンション市場は構造的拡大。
12-3. アーバネットコーポレーション(3242):都心マンション
事業内容:東京都心の投資用マンション開発。
吉田氏の保有:保有額約1.9億円、保有割合1.48%。
12-4. グランディハウス(8999):戸建分譲
事業内容:北関東地盤の戸建分譲。
吉田氏の保有:保有額約2.8億円、保有割合1.55%。
なぜ吉田氏が保有:北関東は東京通勤圏として注目、PBR1倍以下のバリュー。
12-5. ハウスフリーダム(8996):戸建分譲
事業内容:福岡地盤の戸建分譲。
吉田氏の保有:保有額約0.3億円、保有割合1.05%。
12-6. ハウスコム(3275):不動産仲介
事業内容:賃貸住宅仲介「ハウスコム」。
吉田氏の保有:保有額約1.0億円、保有割合1.29%。
12-7. スターツ出版(7849):出版+不動産
事業内容:実は出版社ですが、スターツコーポレーション系の関連企業。「ケータイ小説」発祥。
吉田氏の保有:保有額約3.7億円、保有割合2.88%。
12-8. 長栄(2993):京都地盤の不動産管理
事業内容:京都を地盤とする不動産管理・賃貸。
吉田氏の保有:保有額約1.0億円、保有割合1.14%。
なぜ吉田氏が保有:京都の観光需要、インバウンド回復、独自の地盤性。
12-9. property technologies(5527):プロップテック
事業内容:不動産テック、収益不動産売買。
吉田氏の保有:保有額約0.45億円、保有割合1.16%。
不動産セクター全体を見ると、戦略は次のようになります:
「都心マンション、地方戸建、賃貸仲介、プロップテックと、不動産業界を細かく分散して持つ。一社の業績悪化があっても、業界全体の構造的需要には変わりない」
第13部:レジャー・エンタメ・コンテンツ
13-1. KeyHolder(4712):芸能・コンテンツ
事業内容:SKE48マネジメント、芸能関連事業の持株会社。
吉田氏の保有:保有額約5.1億円、保有割合3.26%。
なぜ吉田氏が保有:エンタメ業界のニッチプレイヤー、コンテンツ著作権という資産。
13-2. ルネサンス(2378):スポーツクラブ
事業内容:スポーツクラブ「ルネサンス」運営。
吉田氏の保有:保有額約1.3億円、保有割合0.65%。
なぜ吉田氏が保有:健康志向の構造的需要、コロナで急落したが回復基調。
13-3. グローバルダイニング(7625):レストラン経営
事業内容:「権八」「ZEST」等、都市部のレストラン経営。
吉田氏の保有:保有額約0.65億円、保有割合1.57%。
13-4. スバル興業(9632):道路保全+エンタメ
事業内容:高速道路の保全業+丸の内地区の不動産・映画館。
吉田氏の保有:保有額約3.1億円、保有割合0.95%。
なぜ吉田氏が保有:丸の内エリアの不動産価値、高速道路保全の安定需要。
13-5. 日本BS放送(9414):BS民放局
事業内容:「BS11」を運営するBS民放局。
吉田氏の保有:保有額約1.1億円、保有割合0.66%。
なぜ吉田氏が保有:BSデジタル放送のニッチポジション、放送免許という参入障壁。
13-6. ビーグリー(3981):電子書籍配信
事業内容:「まんが王国」の電子コミック配信。
吉田氏の保有:保有額約1.0億円、保有割合1.67%。
13-7. 富士山マガジンサービス(3138):雑誌定期購読
事業内容:雑誌の定期購読オンライン販売。
吉田氏の保有:保有額約0.28億円、保有割合1.32%。
第14部:商社・流通・サービス
14-1. 高島(8007):建材商社
事業内容:建材専門商社、ソーラーパネル取扱。
吉田氏の保有:保有額約5.1億円、保有割合2.71%。
14-2. カノークス(8076):鉄鋼商社
事業内容:鉄鋼製品の専門商社。
吉田氏の保有:保有額約3.1億円、保有割合1.76%。
14-3. 初穂商事(7425):機械工具商社
事業内容:機械工具、産業機械の専門商社。
吉田氏の保有:保有額約1.8億円、保有割合3.16%。
14-4. ハークスレイ(7561):弁当チェーン
事業内容:「ほっかほっか亭」運営。
吉田氏の保有:保有額約3.2億円、保有割合2.18%。
なぜ吉田氏が保有:弁当チェーンの安定需要、店舗網のスケール。
第15部:人材・コンサル
15-1. ウイルテック(7087):技術者派遣
事業内容:製造業向け技術者派遣、海外人材紹介。
吉田氏の保有:保有額約0.57億円、保有割合1.0%。
15-2. MS&Consulting(6555):飲食業向けコンサル
事業内容:飲食・サービス業向けコンサルティング、ミステリーショッパー。
吉田氏の保有:保有額約0.81億円、保有割合3.13%。
15-3. ブリッジインターナショナル(7039):BPO
事業内容:BtoB営業のBPO、テレマーケティング。
吉田氏の保有:保有額約0.98億円、保有割合1.76%。
第16部:その他特徴的銘柄
16-1. NEW ART HOLDINGS(7638):宝飾+アート
事業内容:ジュエリーブランド「銀座ダイヤモンドシライシ」、ゴルフ事業、アート事業。
吉田氏の保有:保有額約8.9億円、保有割合3.38%。
なぜ吉田氏が保有:富裕層向けジュエリー市場、ゴルフ場の不動産価値。
16-2. AFC-HDアムスライフサイエンス(2927):健康食品
事業内容:健康食品OEM、機能性表示食品の受託製造。
吉田氏の保有:保有額約2.3億円、保有割合1.8%。
16-3. Eストアー(4304):ECサポート
事業内容:中小企業向けECシステム「ショップサーブ」。
吉田氏の保有:保有額約1.1億円、保有割合1.67%。
16-4. TAKARA&COMPANY(7921):IR・株主総会代行
事業内容:株主総会運営、IR資料制作のニッチ独占。
吉田氏の保有:保有額約5.0億円、保有割合1.3%。
なぜ吉田氏が保有:上場企業向けIR業務のニッチ寡占。
16-5. マミヤ・オーピー(7991):パチンコ部品+OA機器
事業内容:パチンコ部品、OA機器。
吉田氏の保有:保有額約1.3億円、保有割合1.18%。
16-6. ピープル(7865):知育玩具
事業内容:「ピタゴラス」等の知育玩具。
吉田氏の保有:保有額約1.0億円、保有割合2.67%。
16-7. 古林紙工(3944):紙器パッケージ
事業内容:化粧品・食品向け紙器パッケージ。
吉田氏の保有:保有額約0.77億円、保有割合3.54%。
16-8. クロス・マーケティンググループ(3675):市場調査
事業内容:オンライン市場調査、リサーチ。
吉田氏の保有:保有額約1.6億円、保有割合1.37%。
16-9. PCIホールディングス(3918):組込ソフト
事業内容:組込ソフトウェア開発。
吉田氏の保有:保有額約1.6億円、保有割合2.01%。
16-10. ギガプライズ(3830):マンション向けISP
事業内容:マンション向けインターネット接続サービス。
吉田氏の保有:保有額約1.8億円、保有割合0.68%。
なぜ吉田氏が保有:マンション向けISPのストック型収益、寡占的ポジション。
第17部:吉田氏のポートフォリオから見える「投資の総合芸術」
ここまで100銘柄以上を業種別に整理してきました。これだけ多様な業種・規模・特性の銘柄を持ちながら、すべてに「吉田流の一貫性」が貫かれていることに驚かされます。
17-1. 一貫性①:「中規模・地味・キャッシュリッチ」の三位一体
ほとんど全ての銘柄が、
- 時価総額100億円〜2,000億円の中規模
- 業種・業務内容が世間で話題にならない地味さ
- 自己資本比率40%超の財務健全性
を満たしています。これは偶然ではなく、明確なスクリーニング基準を持っている証拠です。
17-2. 一貫性②:「構造的需要」へのこだわり
各銘柄は、必ず何らかの「構造的需要」を持っています:
- 建設関連 → インフラ更新、国土強靭化
- 電子商社 → 半導体・電子部品市場の成長
- 中堅証券 → 新NISA、業界再編
- 教育 → 富裕層教育需要、通信制高校市場
- 介護・シルバー → 高齢化
- リユース → 中古市場、SDGs
- 食品 → 人口に関わらず消えない需要
「短期予測」ではなく「長期に消えない需要」に賭ける哲学です。
17-3. 一貫性③:「ポートフォリオ・レジリエンス」の追求
130銘柄分散は、単に「リスクを減らす」だけでなく、「どんな経済状況でも、どこかが好調である」という設計です。
- 景気拡大期 → 建設、半導体、不動産が活況
- 景気後退期 → 食品、教育、リユース、医療が底堅い
- インフレ期 → 商社、エネルギー関連が恩恵
- デフレ期 → キャッシュリッチ企業が安全
季節を問わず、いつかどこかで実りがある——農業の輪作のような発想です。
17-4. 一貫性④:「日本中堅企業」への愛
これは特筆すべきです。彼の保有銘柄には、地方発の優良企業が多数含まれます:
- 名古屋発:サンゲツ
- 北九州発:井筒屋
- 大阪発:岩井コスモHD、大末建設
- 群馬発:藤田エンジニアリング、両毛システムズ
- 福島発:ハニーズHD、常磐開発
- 愛媛発:ありがとうサービス
- 京都発:長栄
- 福岡発:ハウスフリーダム
- 石川発:今村証券
- 千葉発:暁飯島工業
東京一極集中ではない。これは「日本全国の地味な優良企業を支える」という、見えない応援のような側面もあります。
17-5. 一貫性⑤:「派手な勝負を捨てる勇気」
最後に、何度も触れたこの点。
エヌビディアもテスラも持っていない。AI関連株もバイオ関連株も持っていない。仮想通貨もNFTもREITも持っていない。
「取らない」という選択を一貫して貫く。これがおそらく、彼の最大の強さです。
人間は欲深い生き物です。「あの銘柄も買おう」「これも面白そう」と、つい手を広げてしまう。しかし、結果として何も深く理解できず、ポートフォリオは混沌とする。
吉田氏は明確に**「自分が理解できる範囲」**だけを買っています。これは「能力の輪(Circle of Competence)」というバフェットの教えそのものです。
第18部:私たちが吉田氏から学べる「実践的な10カ条」
最後に、吉田氏の保有銘柄分析から導き出せる、私たち個人投資家のための「実践的な10カ条」を整理します。
1.「時価総額1,500億円以下」の銘柄から探す
機関投資家との競合を避けるための鉄則。
2.「PBR1倍以下」を最初のスクリーニング基準にする
バリュー投資の出発点。
3.「自己資本比率40%以上」で財務健全性を確保する
倒産リスクを下げる。
4.「配当利回り3%以上」で長期保有のインカムを確保する
保有中の心理的安定。
5.「地方発の優良企業」を意識的に探す
アナリストの目が届かない金鉱。
6.「業界の毛細血管」となる中堅企業を選ぶ
派手な大手より、その下請け・関連企業に妙味。
7.「政策・構造変化」に沿った銘柄を組み込む
インフラ更新、新NISA、カーボンニュートラル等。
8.「暴落時のために現金を温存する」
平時のキャッシュポジションが最大の武器。
9.「20-30銘柄で十分」と自覚する
130銘柄は真似できないが、20-30銘柄なら可能。
10.「自分のポジションを公言しない」
SNSで自慢しない、自分の頭で判断する。
これら10カ条を実践すれば、特別な才能なしに、長期で確実に資産を増やしていけるはずです。吉田氏が実証している通りです。
おわりに:「沈黙の中の雄弁」
長い記事を、ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。
最後に、私が今回の調査全体を通じて感じたことを、率直にお伝えします。
吉田知広氏は、約130銘柄を通じて、私たちに沈黙のメッセージを発信し続けているのではないでしょうか。
彼は決してテレビに出ません。インタビューも受けません。本も書きません。
しかし、彼の保有銘柄リストそのものが、彼の哲学を雄弁に語っています。
「地味な会社を、安く買って、長く持つ」
たったこれだけのことを、彼は130銘柄、15年以上にわたって、徹底的に実行しています。
この事実こそが、私たち個人投資家への、最強で最も実用的なアドバイスではないでしょうか。
SNSで派手な投資成績を自慢する人は数多くいます。「この銘柄が10倍になった」「あの銘柄で大儲けした」と。
しかし、本当に長期的に資産を築いている投資家は、たいてい黙っています。
吉田氏の沈黙は、その**「黙って続ける**」ことの偉大さを、私たちに教えてくれているのかもしれません。
参考資料・一次情報源
一次情報(有価証券報告書ベースの公開データ)
- IRBANK「吉田知広 | 投資家・起業家情報、大量保有」 https://irbank.net/E31538
- バフェット・コード「吉田知広さんが保有する銘柄一覧と評価額」 https://www.buffett-code.com/shareholder/51d535af80a9aff094ad0da701f94cad
- 株探(かぶたん)「【吉田知広】が保有する株式一覧・時価総額」 https://kabutan.jp/holder/lists/?holdername=%E5%90%89%E7%94%B0%E7%9F%A5%E5%BA%83
- note「851 吉田知広氏の保有銘柄」(えづれ氏、2024年6月17日) https://note.com/ezuremanagement/n/n96045921f1d4
主要保有銘柄の財務データソース
- サンゲツ(8130) – IRBANK:https://irbank.net/E03071、日経電子版:https://www.nikkei.com/nkd/company/?scode=8130、QUICK Money World:https://moneyworld.jp/stock/8130
- 東亜建設工業(1885) – IRBANK:https://irbank.net/E00080、株予報Pro:https://kabuyoho.jp/sp/reportTop?bcode=1885
- 東洋建設(1890) – 各種証券情報サイト
- 伯東(7433) – IRBANK:https://irbank.net/E02802、株予報Pro
- 三陽商会(8011) – IRBANK:https://irbank.net/E00593、株予報Pro
- 大建工業(7905) – IRBANK:https://irbank.net/E00619
- 宮地エンジニアリングG(3431) – IRBANK:https://irbank.net/E01461、キタイシホン:https://kitaishihon.com/company/3431/finance
- プレミアグループ(7199) – 各種証券情報サイト
- 岩井コスモホールディングス(8707) – 各種証券情報サイト
- イワキ(6237) – 各種証券情報サイト
解説・分析記事
- マネーポストWEB「個人投資家、保有企業数で見る『多株主』ランキング その経歴を紹介」(2024年8月29日) https://www.moneypost.jp/742862
- 就職氷河期世代ニートのサバイバル「個人投資家が複数企業の大株主となっている例」(2022年6月10日) https://valuekabu2013.net/
- 株探ニュース「『株探 超活用法DX 大株主の研究』<書籍紹介>」 https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202204150451
- 書籍『株探 超活用法DX 大株主の研究』(宝島社、2022年4月15日)
- 東洋経済オンライン「自由な時間は週に27時間しかないサラリーマンへ…20年で8億円貯めた『コジ活投資家』が勧める”時短投資術”」(2025年4月23日) https://toyokeizai.net/articles/-/870482
投資哲学の理論的背景
- Benjamin Graham, “The Intelligent Investor” – バリュー投資の原典
- Fama, Eugene F. and Kenneth R. French (1993) “Common Risk Factors in the Returns on Stocks and Bonds”
- 東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(2023年3月31日) https://www.jpx.co.jp/
本稿の解釈・分析・推察は、すべて筆者個人の見解です。投資判断はご自身の責任において行ってください。本稿は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
特に、吉田知広氏ご本人が本稿の解釈に同意するかどうかは不明であり、本稿は「公開されている保有銘柄データから第三者が逆算した分析」であることをご了承ください。
