就職氷河期世代の金銭的苦境と社会

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就職氷河期世代の抱えるお金の問題

就職氷河期世代は金銭的に多くの問題に直面しています。たとえば、非正規雇用の場合は初任給が低く昇給も望めないこと、パートや派遣社員など雇用形態が不安定であることが挙げられます。昇給の望める昇進においても、人数が多い団塊の世代やバブル世代が上級の役職を占めており職場での昇進機会が少ないことも就職氷河期世代の金銭的苦境を大きなものにしています。これらの要因は、就職氷河期世代の経済状況を脆弱にし、貯蓄や投資、そして住宅や自動車など大きな消費をするための金銭的余裕を減らしています。

就職氷河期世代の金銭的問題は社会全体にも影響を与えます。就職氷河期世代の消費力が低下すると、経済全体の活性化に悪影響を及ぼします。さらに、低所得者が増えると国家税収や地方税収が減少し、公共サービスや社会保障に必要な費用が増加するため財政に問題が生じる可能性があります。

就職氷河期世代は、定年後の生活についても懸念を抱いています。安定した雇用を得られずに働いてきた人々は、所得が一定しないため、年金の積み立てが十分にできないかもしれません。これは、彼らが老後に安定した生活を送るための大きな障害となります。

これらの問題を解決するための政策対策としては、職業訓練や再教育の機会の提供、雇用の安定性を高めるための法律改正、最低賃金の引き上げなどが考えられます。また、年金制度の改革や税制の見直しも必要かもしれません。これらの政策対策は、就職氷河期世代だけでなく、社会全体にとってもメリットがあると考えられます。

個々のレベルでは、自己投資やスキルの継続的な向上が求められます。また、金融教育を受け、自分自身の経済状況を管理する能力を身につけることも重要です。例えば、節約術を学んだり、投資について学んだりすることで、自己の金融状況を改善することが可能です。

以上のように、就職氷河期世代とお金について考えるときは、就職氷河期世代が直面する金融問題を理解し、その問題が個人だけでなく社会全体に与える影響を考慮する必要があります。そして、それぞれのレベルで適切な対策を講じることが重要です。

老後2000万円問題について

ゆとりのある生活を送る為には、老後に2000万円必要という試算結果が一時世間を騒がせました。2000万円もいらない、2000万円では足りないと諸説あります。しかし、モデルとされた年金加入例は厚生年金加入であり、その支給額も一般的な労働者の支給額よりも相当高いことから、実際は2000万円でも足りないかもしれない可能性があります。実際の年金支給額が少なければ、その分自助努力で貯めておかなければいけない資金は当然ですが増えます。また、増え続ける公的年金の年金支給額を抑制するため、「マクロ物価スライド」という制度が導入され、近年では年金の支給額が削減されるような傾向があります。物価が高騰しても高騰分までは年金が増加しない仕組みになってきていますので、自助努力の重要性は増してきています。

また、就職氷河期世代は前後の世代と比べて明らかに平均年収が低いので、年金に加え自分で用意しなければならない金額が多くなります。年金は賃金や保険料支払月数により金額が変わってきますが、賃金が低めであれば年金が低くなりますし、働いていない期間があれば当然年金額が低くなります。年金という老後の生活のベースとなる金額が減る以上、自分で用意しておかなければならない金額は増えます。

年金制度自体についても、年金制度が破綻して年金が完全にもらえなくなる可能性は低いと思いますが、支給水準の低下はほぼ避けられないということが言われています。年金を受け取る人は増えて、保険料を支払う人が減っていけば当然の帰結とも言えます。現在の年金受給者が受け取る年金を、将来の年金受給者が支払う保険料で賄う賦課方式というシステムを取っている以上、世代間の不公平感が生まれてくることは避けられません。ある世代は払った保険料以上の年金を受け取れるのに、他の世代は保険料以下の年金しか受け取れず、払い損となる可能性があるからです。

自分の支払った保険金に応じた年金が将来支払われる積立方式のほうが世代間の不公平感がなく、良いと思います。もっとも、積立方式の場合はインフレーションや経済の状況で大きな影響を受けやすい為、一長一短ではあります。賦課方式は人口動態が極端に変わらなければ、ある程度年金額を予想しやすいという利点はあります。

公的年金が月に1万円支給がされただけでも年金制度は破綻していないと言い張ることが出来る為、公的年金だけに頼ることは避けたほうが良いと思います。できれば自助努力で老後に収入が入ってくるようにしたほうが安心でしょう。NISAやiDeCoを活用することも一つの手です。

就職氷河期世代の婚活 公務員は安定職なのだろうか?
氷河期世代の公務員へのあこがれ 氷河期世代は新卒採用という就職のスタート時点でつまづいた為、安定職とされる公務員に憧れを持っている人が少なくありません。氷河期世代においては、民間企業の採用が低調であったため、公務員の採用倍率が非常に高く、公...

少しづつでもよいのでお金を貯める習慣をつける

収入が低いとお金を貯めることが苦痛になりがちです。お金をやりくりして余った分を貯蓄に回すようではお金は貯まりません。まず貯めたい金額を考えて逆算し、月にいくら貯めればよいか計算します。例えば1年後に12万円貯めるという目標を立て、そうすれば月に1万円を貯めれば目標を達成することができます。やりくりしてお金を貯めるのでなく、まず所定の金額を貯蓄用の口座に移すなどして別勘定として確保します。その残りで生活することが貯蓄のコツです。人間の欲に限りはないので、手元に現金があれば使ってしまいます。手元にお金があれば散財してしまいますが、きちんと別勘定で管理していればなかなか使ってしまいづらいものです。

最初は苦労しますが、慣れてくれば貯蓄をきちんと確保できるようになります。貯金があると心に余裕ができてきます。余裕のない生活をしていれば会社に対し卑屈な態度になってしまいがちですが、すこしでもゆとりがあればいざとなれば会社を辞めてやることも可能になるので、心が追い込まれずに精神的にも良いと思います。

NISA、iDeCoの活用

日本人は投資に対してアレルギーを持っていますが、投資でお金を増やすのも一つの手です。NISAを使えばお得に投資を行うことができますし、iDeCoを使えば節税しつつ投資を行うことができます。投資なので当然リスクはありますが、普通に投資するよりもメリットが大きいので一考に値します。デメリットもあります。つみたてNISAは売却益が出た際には無税ですが、売却損が出ても一般的な投資のように損失繰越やほかの所得との損益通算ができません。iDeCoは節税メリットがありますが、運用手数料が結構かかります。場合によってはあまりお得でない場合やコストで採算割れしてしまう場合もあります。

iDeCoの最大のメリットは、原則として老後まで下ろすことが出来ないことです。人間の心は弱いので、手元にお金があれば使ってしまいますが、簡単には下ろすことが出来ない場所にお金を貯めておけば、自然と蓄財ができます。

長く働くのも一つの手

最近は定年後に同じ企業で賃金は下がりますが再雇用されたり、パートやアルバイトで収入を得る人が増えています。収入が増えるので年金を補うことができますし、年金に加入できれば年金受給額を増やすこともできます。

昔に比べて高齢者が職を探すハードルはかなり下がっていますし、健康寿命も延びているので場合によっては肉体的につらくない仕事を探すことも一つの手です。介護や警備、小売りなど労働力不足の現場もあるので、高齢者は貴重な戦力となっています。

就職氷河期世代と日本的経営
日本的経営とは 日本的経営とは、終身雇用、年功序列、企業別組合の3種の神器を特色とする経営システムです。かつては、日本的経営は戦後日本の経済的成功の秘密とされてきました。確かに一定の条件下では、日本的経営は優れたシステムです。経済の沈滞が続...

就職氷河期世代と生活保護

就職氷河期世代は、雇用環境が劣悪だったため、正規雇用と比較して待遇の悪い非正規雇用の職に甘んじなければいけない人が多くいました。厚生年金に加入できればまだいいほうで、比較的年金の低い国民年金や最悪の場合無年金になるような人が多くいます。きちんと老後に向けた蓄えがあればいいのですが、望むべくもありません。低年金や無年金の人たちが生活保護を受給する件数が将来増加することが懸念されています。生活保護受給者が増えれば社会保障費の増大を招き、政府の財政状況が悪化するでしょう。これは政府が無策であったためで就職氷河期世代の苦境を放置していたツケです。また、今はなんとか生活できていたとしても、病気になってしまったり、失業すればあっという間に生活保護を受給するようになります。一部には就職氷河期世代の苦境を自己責任と片付ける向きがありごく一握りの不正受給者を誇張したり、役所の窓口で生活保護受給を拒絶する事例がありますが、正当な理由があれば生活保護の受給は当然の権利です。

社会保険を正しく使う

過重労働や不安定な雇用環境で、肉体や精神が病んでしまった人もいるかもしれません。そういう人たちにとって、日々の糧を稼ぐために働くことがつらい状況もあります。そうしたときに役立つものが、社会保険制度です。無理して働いて、自分を追い詰めるのではなく、社会保険制度を正しく使って少し休んだ方がよい場合もあります。例えば、失業手当や傷病手当金、障害年金のような制度があります。ただし、利用するためには様々な要件があるので、社会保険事務所やハローワーク、社会保険労務士に相談したほうがよいでしょう。

同一価値労働同一賃金は就職氷河期世代の救いになるのか?
同一価値労働同一賃金とは 同一価値労働同一賃金とは、同一の価値を生み出す労働の対価として、雇用形態の差異に関わらず、同一の賃金が支払われるべきであるとする概念です。例えば、正社員であろうが、パートであろうが、派遣社員であろうが、労働者が時給...
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