独身おひとりさまが「社会とつながり続ける」ための10の仕組み

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独身おひとりさまが「社会とつながり続ける」ための10の仕組み

はじめに——「つながり」は意識しないと消える

結婚している人は、配偶者、子ども、義理の家族、ママ友・パパ友、子どもの学校関係。これらの「つながり」が、生活の中に自動的に組み込まれている。意識しなくても、人との接点がある。

独身おひとりさまには、これらの「自動的なつながり」がない。仕事を辞めれば同僚との接点が消える。友達が結婚すれば疎遠になる。親が亡くなれば家族のつながりが弱まる。意識しなければ、つながりはどんどん細くなり、やがてゼロになる。

つながりがゼロになると何が起きるか。孤独死のリスクが高まる。困ったときに助けてくれる人がいない。認知機能が低下する(人との会話がなくなるため)。精神的な健康が損なわれる。「自分がいなくなっても誰も困らない」という感覚が、生きる意欲を蝕む。

だからつながりは「意識して」維持する必要がある。放っておけば消える。消えないように、仕組みを作る。仕組みがあれば、意志力に頼らずにつながりを維持できる。

このエッセイでは、独身おひとりさまが社会とつながり続けるための「10の仕組み」を紹介する。

仕組み1:月に1回、誰かに連絡する「連絡デー」を設ける

毎月1日(または第1日曜日)を「連絡デー」に設定する。この日に、母、兄弟、元同僚、昔の友人など、「最近連絡していない人」に1通のメッセージを送る。LINEの一言でいい。「元気?」「最近どう?」。それだけで十分。

送るだけ。返信がなくてもいい。送ること自体が、つながりの「メンテナンス」だ。月に1回のメンテナンスで、つながりは維持される。半年連絡しなければ疎遠になるが、月に1回連絡していれば「この人は自分のことを気にかけてくれている」と相手の記憶に残る。

スマートフォンのカレンダーに「連絡デー」をリマインダーとして登録しておく。通知が来たら、メッセージを送る。通知が来るから忘れない。忘れないから続く。続くからつながりが維持される。仕組みの力だ。

仕組み2:行きつけの店を1つ作る

行きつけのカフェ、行きつけの定食屋、行きつけの居酒屋、行きつけの床屋。「行きつけ」があると、店主や常連客と顔見知りになる。顔見知りは「友人」ではないが、「知っている人」だ。「知っている人がいる場所」は、社会とのつながりの一つだ。

行きつけの店では、深い会話は不要。「今日は暑いですね」「いつものでお願いします」。この程度の挨拶で十分。挨拶を交わす相手がいるだけで、「社会の中に自分がいる」実感が得られる。

行きつけの店を作るには、同じ店に週1回以上通うこと。3ヶ月通えば、店主は顔を覚えてくれる。半年通えば、好みを覚えてくれる。1年通えば、「いつものお客さん」として認識される。この「認識される」感覚が、つながりの第一歩だ。

仕組み3:地域のサークルやクラブに参加する

公民館、生涯学習センター、スポーツセンターで開催されているサークルやクラブに参加する。俳句、書道、卓球、ヨガ、英会話、料理教室。月会費0〜2000円程度。

サークルのメリットは「定期的に同じ人と会う」ことだ。週1回や月2回、同じメンバーと顔を合わせる。顔を合わせるうちに、自然と会話が生まれる。会話が生まれると、関係が深まる。関係が深まると、「つながり」になる。

サークルの探し方。自治体の広報誌に「サークル・同好会一覧」が掲載されていることがある。公民館のチラシコーナーにサークルの参加者募集が貼り出されている。自治体のウェブサイトの「生涯学習」「社会教育」のページで情報が見つかる。

参加のハードルが高ければ、まず「見学」だけ行く。見学は無料の場合がほとんど。見学して「合いそう」と感じたら入会する。「合わない」と感じたら別のサークルを見学する。自分に合うサークルが見つかるまで、いくつか見学してみる。

仕組み4:ボランティア活動に参加する

公園の清掃、河川の美化活動、高齢者施設の訪問、子ども食堂の手伝い、フードバンクの仕分け作業。ボランティア活動は、社会とつながる最も直接的な方法だ。

ボランティアのメリット。社会貢献しているという自己肯定感。同じ志を持つ仲間との出会い。感謝される体験(「ありがとう」と言われる経験は、独身おひとりさまには特に貴重)。費用がゼロ。

ボランティア情報は、社会福祉協議会のウェブサイト、ボランティアセンター、自治体の広報誌で見つかる。「○○市 ボランティア」で検索すれば、近くの活動情報が出てくる。

仕組み5:オンラインコミュニティに参加する

リアルのつながりが作りにくければ、オンラインのつながりを作る。Discordのサーバー、Xのコミュニティ、noteのマガジン、趣味のフォーラム。匿名で参加できるので、リアルの知人に知られるリスクがない。

「独身」「一人暮らし」「氷河期世代」「節約」「NISA」「散歩」「読書」「将棋」。同じ境遇や同じ趣味の人が集まるコミュニティに参加すれば、共通の話題で会話ができる。テキストチャットなら、対面の緊張感がない。音声チャット(Discordの音声チャンネルなど)なら、声を出す機会にもなる。

仕組み6:定期的な「イベント」に参加する

図書館の読書会、自治体の講演会、無料のセミナー、ハローワークの就職支援セミナー、NISAの勉強会。これらの「イベント」に定期的に参加する。

イベントのメリットは「その場限りのつながり」が得られることだ。イベント中は他の参加者と隣り合わせになり、自然と会話が生まれることがある。深い関係にならなくてもいい。「今日、人と話した」という実績が得られるだけで十分だ。

仕組み7:見守りサービスに登録する

独身おひとりさまが倒れたとき、誰が気づいてくれるか。見守りサービスに登録しておけば、安否確認の仕組みが働く。

見守りサービスの種類。自治体の見守り事業(無料のものが多い)。郵便局の「みまもり訪問サービス」(月額2500円)。電力会社の「見守りサービス」(電気使用量の変化で安否を確認)。セコム・ALSOKの「ホームセキュリティ」(月額数千円〜)。スマートフォンアプリの見守りアプリ(無料〜月額数百円)。

見守りサービスは「つながり」というよりは「セーフティネット」だが、「誰かが自分の安否を確認してくれている」という安心感は、精神的なつながりの一種だ。

仕組み8:かかりつけ医を持つ

定期的に通うかかりつけ医がいれば、月に1回は「人と対面で会話する」機会が確保される。健康のための通院であると同時に、社会とのつながりの維持にもなる。

かかりつけ医には、体の不調だけでなく、精神的な不調(不眠、食欲不振、気分の落ち込み)も相談できる。「最近、誰とも話していなくて」と打ち明ければ、医師が適切な支援(カウンセリング、地域の相談窓口の紹介など)を提案してくれるかもしれない。

仕組み9:「挨拶」の範囲を広げる

毎日の生活の中で「挨拶する相手」を意識的に増やす。マンションの隣人に「おはようございます」。コンビニの店員に「ありがとうございます」。散歩中にすれ違う人に会釈する。

挨拶は「会話」ではないが、「社会的な接触」だ。挨拶を交わすだけで、「自分はこの社会の一員だ」という感覚が得られる。感覚は薄いが、ゼロよりは遥かにましだ。

挨拶の範囲を広げるコツは「笑顔」だ。無表情で「おはようございます」と言っても、相手は反応しにくい。少し口角を上げて「おはようございます」と言えば、相手も笑顔で返してくれる確率が上がる。笑顔の返答が、その日の小さな幸福になる。

仕組み10:「遺す」行為でつながる

ブログ、エッセイ、日記、写真。自分の考えや経験を「記録」として遺す。遺した記録は、自分が死んだ後も残り続ける。誰かがそれを読む。読んだ誰かの人生に、わずかでも影響を与える。これは「未来の誰かとのつながり」だ。

このエッセイシリーズも、その一つだ。氷河期世代の一人の人間の記録が、どこかの誰かの役に立つかもしれない。役に立たなくても、「こういう人がいたんだ」と知ってもらえるかもしれない。知ってもらえるだけで、自分の存在が「無」にはならない。

「遺す」ことは、時間を超えたつながりだ。今、一人でブログを書いている行為は、孤独に見えるかもしれない。だが5年後、10年後に、誰かがその記事を読んでくれるかもしれない。読んでくれたとき、書いた自分と読んだ誰かの間に、細い糸がつながる。その糸は目に見えないが、確かに存在する。

「つながり」は「量」より「質」

友達が100人いなくてもいい。LINEの友達リストが3人でもいい。大切なのは「つながりの数」ではなく「つながりの質」だ。

1年に1回しか連絡しない友人でも、「何かあったら連絡していい」と思える相手がいれば、それは質の高いつながりだ。月に1回通うカフェの店主と「今日は暑いですね」と言い合えれば、それも質の高いつながりだ。年に数回参加するサークルの仲間と「お久しぶりです」と言えれば、それも十分だ。

質の高いつながりが3〜5本あれば、独身おひとりさまの生活は支えられる。3〜5本の細い糸が、自分を社会につなぎ止めてくれる。糸が切れそうになったら、メンテナンスする。メンテナンスの方法は、このエッセイで紹介した「10の仕組み」だ。

まとめ——「つながり」は自分で作り、自分で維持する

独身おひとりさまにとって、社会とのつながりは「自動的に維持されるもの」ではなく「意識的に作り、維持するもの」だ。放っておけば消える。消えないように、仕組みを作る。月1回の連絡デー。行きつけの店。サークルへの参加。ボランティア。オンラインコミュニティ。見守りサービス。かかりつけ医。挨拶の範囲を広げる。記録を遺す。

これらの仕組みは、どれも大げさなものではない。月に数分〜数時間の行動で、つながりは維持できる。維持できれば、孤独のリスクは軽減される。軽減されれば、「一人でも大丈夫」という安心感が生まれる。安心感があれば、独身おひとりさまの生活は持続可能だ。

つながりは「もらうもの」ではなく「作るもの」。作るのは自分だ。自分で作った糸は、自分の手で維持できる。維持できる限り、社会から切り離されることはない。切り離されない限り、一人でも生きていける。生きていける限り、発泡酒の最初の一口がおいしい。おいしいなら、今日も生き延びた価値がある。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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