手取り16万円で「突発支出」に殺されない予備費戦略——家電の故障から冠婚葬祭まで全部備える

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はじめに——「予定外の出費」が生活を破壊する

手取り16万円の生活は、綱渡りだ。家賃5万円、食費2万5000円、光熱費1万円、通信費990円、日用品5000円、NISA積立2万円、貯蓄1万5000円。ぎりぎりで回している。1円の余裕もないわけではないが、「予定外の出費」が1つ発生するだけで、家計が一気に赤字に転落する。

予定外の出費の例。洗濯機が壊れた(買い替え3〜5万円)。歯が痛くなって歯医者に行った(3000〜10000円)。スマートフォンの画面が割れた(修理1〜3万円)。友人の結婚式に招待された(ご祝儀3万円)。エアコンが壊れた(修理1〜5万円、買い替え5〜10万円)。親が入院して帰省した(交通費2万円)。

これらの「突発支出」は、毎月の予算には組み込まれていない。組み込まれていないから、発生した瞬間に家計が破綻する。破綻するとNISAの積立を中断する。貯蓄を取り崩す。最悪の場合、消費者金融に走る。

突発支出に「殺されない」ためには、「予備費」を持つことが必要だ。予備費は「生活防衛資金」とは別のお金だ。生活防衛資金は「失業時の生活費」。予備費は「日常のちょっとした想定外」への備え。この区別が重要だ。

「予備費」とは何か——生活防衛資金との違い

生活防衛資金は「失業・長期入院などの大きなリスク」に備えるお金。50万円を目標に銀行口座に貯めておく。滅多に使わない。使うのは「人生の緊急事態」のとき。

予備費は「日常のちょっとした想定外」に備えるお金。月3000〜5000円を「予備費口座」または「予備費封筒」に積み立て、年間36000〜60000円を確保する。使う頻度は年に数回。家電の修理、冠婚葬祭、急な通院。これらに充てる。

生活防衛資金は「非常食」。予備費は「おやつの予備」。どちらも必要だが、用途が違う。生活防衛資金を「ちょっとした想定外」に使ってしまうと、「本当の緊急事態」のときに枯渇する。だから予備費を別に持つ。

年間の「突発支出」を予測する

「突発」と言っても、過去を振り返れば「毎年何かしら起きている」ことに気づく。過去3年間の突発支出を思い出してみる。

一昨年。歯の治療で8000円。スマートフォンの充電ケーブルが壊れて1500円。コートのジッパーが壊れて新しいコートを買った5000円。帰省の交通費12000円。合計26500円。

去年。冷蔵庫の霜取りで業者を呼んで5000円。友人の葬儀の香典5000円。眼鏡の度が合わなくなってレンズ交換8000円。台風で傘が壊れて新しい傘1500円。合計19500円。

今年(途中まで)。自転車のパンク修理1500円。健康診断の再検査5000円。洗濯機の排水ホース交換2000円。合計8500円(年末までにあと1〜2回は発生するだろう)。

3年間の平均は約25000〜30000円。月あたり2000〜2500円。つまり「月2000〜3000円の予備費」を積み立てておけば、年間の突発支出をカバーできる計算だ。

予備費の「積み立て方」

積み立て方1は「封筒方式」。給料日に3000円を封筒に入れて、引き出しにしまう。12ヶ月で36000円。突発支出が発生したら、封筒から出す。シンプルで確実。デメリットは現金を家に置くリスク(盗難・紛失)。

積み立て方2は「ネット銀行の別口座」。メインの口座とは別に、予備費専用の口座をネット銀行に開設する。給料日に自動振替で3000円を移す。突発支出が発生したら、この口座から引き出す。口座が分かれているので、「つい使ってしまう」リスクが低い。

積み立て方3は「家計簿アプリの仮想予算」。家計簿アプリの中で「予備費」カテゴリを作り、毎月3000円を「予備費」として計上する。実際のお金はメインの口座にあるが、「予備費分は使わない」とルール化する。この方法はメンタルの強さが必要(目の前にお金があると使ってしまう人には不向き)。

おすすめは方式2の「ネット銀行の別口座」。物理的に分けることで、「手をつけにくい」環境を作る。住信SBIネット銀行の「目的別口座」機能を使えば、1つの口座の中に「予備費」「更新料積立」「NISA用」と目的別に分けて管理できる。

「よくある突発支出」と予備費の配分

突発支出を5つのカテゴリに分類し、年間の予備費を配分する。

カテゴリ1は「家電・生活用品の修理・買い替え」。洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、照明器具。これらは5〜15年で寿命を迎える。年間按分で5000〜15000円の出費が見込まれる。予備費から年間10000円を配分。

カテゴリ2は「医療・歯科」。急な体調不良、歯の治療、眼鏡の新調。年間5000〜15000円。予備費から年間8000円を配分。

カテゴリ3は「冠婚葬祭」。結婚式のご祝儀、葬儀の香典。年に1〜2回。年間5000〜30000円。別のエッセイ(新規18)で「冠婚葬祭積立」を提案したが、予備費とまとめても構わない。予備費から年間10000円を配分。

カテゴリ4は「交通・移動」。帰省の交通費、急な出張。年間5000〜20000円。予備費から年間5000円を配分。

カテゴリ5は「その他」。傘の買い替え、靴の修理、自転車のパンク、予期しない事務手数料。年間3000〜10000円。予備費から年間3000円を配分。

年間予備費の合計。10000+8000+10000+5000+3000=36000円。月あたり3000円。月3000円の積立で、年間の突発支出をほぼカバーできる。

予備費が「余った年」の使い方

突発支出が少なく、予備費が余った場合。余った分は翌年に繰り越してもいいし、NISAに回してもいい。「予備費が余った=良い年だった」。良い年のご褒美として、余った分の一部(3000〜5000円)を「ちょっとした贅沢」に使うのもアリ。クラフトビールを1本買う。半額のケーキを買う。古本屋で好きな作家の文庫本を3冊買う。

残りはNISAに入れる。「余った予備費のNISA投資」は、「臨時のボーナス投資」のようなもの。これが20年間で積み重なると、意外なほどの金額になる。年間5000円の余りを20年間NISAで運用(年利5%)すると約17万円。「突発支出がなかった年のラッキー」が、17万円の資産に化ける。

予備費が「足りない年」の対処法

突発支出が予備費を超えた場合。洗濯機と冷蔵庫が同じ年に壊れた。結婚式と葬儀が同じ月にあった。こうした「不幸の重なり」で予備費が枯渇することがある。

対処法1は「生活防衛資金から一時的に借りる」。予備費では足りない分を、生活防衛資金から一時的に補填する。翌月から「生活防衛資金の返済分」として月5000〜10000円を上乗せして補填する。「借りた分は返す」を厳守。

対処法2は「支出の優先順位をつける」。洗濯機が壊れて買い替えが必要+結婚式のご祝儀=合計8万円。予備費が3万円しかない場合、「洗濯機の買い替え(必須)」を優先し、「結婚式は二次会のみ参加(ご祝儀3万円→会費8000円に削減)」で対応する。すべてに全額払う必要はない。優先順位をつけ、「必須」と「調整可能」を分ける。

対処法3は「翌月以降の支出を一時的に絞る」。NISAの積立を1ヶ月だけ減額する(月25000円→月10000円)。食費を1ヶ月だけ500円削る(もやし炒めの頻度を上げる)。発泡酒を1ヶ月だけ買わない。これらの「一時的な緊縮」で、不足分を補填する。「一時的」であることが重要。永続的に緊縮すると精神が参る。

「予備費があると安心」——精神的な効果

予備費の最大のメリットは「精神的な安心」だ。予備費がなければ、「洗濯機が壊れたらどうしよう」「急な出費があったらどうしよう」という不安が常にある。不安は精神を蝕み、睡眠の質を下げ、仕事のパフォーマンスを落とす。

予備費が3万円あるだけで、「洗濯機が壊れても3万円ある」「急な出費があっても3万円ある」と思える。3万円の安心感は、3万円の金額以上の価値がある。安心感があれば、日常の「不安の種」が1つ消える。消えた分だけ、心に余裕が生まれる。余裕があれば、散歩が楽しくなる。発泡酒が美味くなる。もやし炒めが——もやし炒めは変わらないか。

まとめ——「月3000円の保険」で突発支出から身を守る

月3000円の予備費積立。年間36000円。この36000円が「突発支出による家計の崩壊」から身を守る。崩壊しなければ、NISAの積立は中断しない。中断しなければ、複利が途切れない。途切れなければ、20年後の資産が最大化される。

月3000円は発泡酒22本分。22本の発泡酒か、1年間の安心か。両方は無理かもしれない。でも発泡酒を月3本減らせば(週5→週4)、月400円が浮く。残り2600円を他の節約で捻出する。発泡酒を月3本だけ我慢して、安心を手に入れる。悪くない取引だ。

今月から、予備費の積立を始めてほしい。ネット銀行に「予備費口座」を作り、月3000円を自動振替する。設定に15分。15分の作業で、「突発支出に殺されない生活」が手に入る。

このエッセイは、就職氷河期世代のひとりの個人的な記憶と感想に基づいています。

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